PER 3 
                                
                
                 
                                
                PER(その3)金利との関係 
                 
                 
                 
                PERは株価を1株当り利益で割ったものですが、その逆数 
                 
                (つまり1株当り利益を株価で割ったもの)のことを「益回り」、 
                 
                「利益利回り」、あるいは「利益回り」などと呼びます。 
                 
                (何ともこなれない言い回しですが。) 
                 
                 
                 
                益回り=1÷PER=EPS÷株価 
                 
                 
                 
                で、ふつうは、これに100を掛けて%表示します。 
                 
                 
                 
                「PER20倍を割安・割高の境目としている投資家が多い」と私は書い 
                 
                て来ました。PER20倍はマジック・ナンバー、としたのですが、 
                 
                PER20倍ということは、その逆数の益回りを計算しますと、 
                 
                 
                 
                益回り=1÷20=5(%) 
                 
                 
                 
                となって、PER20倍のマジック・ナンバーは、益回りで見れば 
                 
                「益回り5%がマジック・ナンバー」ということになります。 
                 
                今のわが国は「異常低金利時代」ですからピンと来ませんが、 
                 
                5%という数字は長期金利の水準として多くの人が思い浮かべる 
                 
                平均的水準でしょう。 
                 
                 
                 
                会社は、利益があがれば株主に配当金を支払います。ふつう、 
                 
                その配当金はその期の純利益の範囲内で支払います。純利益以上 
                 
                に支払いますと、会社の資本が減って株主は気に入らないのです。 
                 
                純利益のうちどれくらいの割合を配当したか?を「配当性向」と 
                 
                言います。 
                 
                 
                 
                配当性向(%)=配当金総額÷純利益=1株当り配当金÷1株当り利益 
                 
                 
                 
                例えば、50円の1株当り利益をあげた会社が、20円の配当金を 
                 
                支払えば、配当性向は、20円÷50円で40%です。配当性向は企業の 
                 
                戦略として株主の了解を得て決めることですが、超成長会社でない限 
                 
                り常識的には50%以上を株主は望むでしょう。 
                 
                 
                 
                配当金を株価で割った数字を、「配当利回り」と呼びます。 
                 
                 
                 
                配当利回り(%)=1株当り配当金÷株価 
                 
                 
                 
                1株当り利益が50円の会社が、20円の配当金を支払い、 
                 
                その株価が1,000円だとしますと、この株の配当利回りは、 
                 
                 
                 
                配当利回り=20円÷1000円=2%です。 
                 
                 
                 
                配当利回りは、債券の金利や預金の利子と株の配当を比べるときに 
                 
                よく使います。預金金利が1%のときに、配当利回りが2%の株でしか 
                 
                も株価が下がりそうもない銘柄があれば、たいていのひとは 
                 
                「良い株を見つけた」と思います。 
                 
                 
                 
                さて、この会社は「最大限いくらの配当金を支払えるのか?」 
                 
                と考えます。配当性向を100%にすれば良いのですから、1株当り利益 
                 
                が50円で最大限配当金を払おうとすれば、1株当り配当金は50円です。 
                 
                としますと、最大限配当金を支払ったときの配当利回りは、 
                 
                1株当り利益を株価で割ったものになることが分かります。 
                 
                 
                 
                最大限の配当利回り(%)=1株当り利益÷株価=PERの逆数=益回り 
                 
                 
                 
                つまり、益回りとは、配当性向を100%としたときの配当利回り、 
                 
                その株の「最大限の配当利回り」なのです。 
                 
                 
                 
                1株当り利益50円の会社の「最大限の配当利回り」は、50円÷1000円 
                 
                =5%、となります。現実の配当利回りが2%だとしても、 
                 
                この株の配当利回りは「潜在的に」5%まで「可能」ということです。 
                 
                 
                 
                預金の金利が1%のときに、配当利回りが2%なら良い株だ、 
                 
                と思いますが、この株が実は潜在的に配当利回り5%も可能、 
                 
                ということであれば、なおさらこの株は良い株だ、と感じるでしょう。 
                 
                つまり、投資家は預金金利や債券の利回りと、潜在的な 
                 
                「最大配当利回り」である、株の益回りを「比較して」どちらが魅力的か? 
                 
                判断するのです。 
                 
                 
                 
                PERの第三の観点は、「PER(の逆数である益回り)と債券などの 
                 
                金利を比較して、有利不利を考える」というものです。 
                 
                 
                 
                ちなみに、私はこれまでPER20倍(=益回り5%)をマジック・ナンバー 
                 
                と述べてきました。しかし世界的に物価が安定し、それがこれからも 
                 
                相当の期間続きそうな見通しからしますと、これからはPER30倍、 
                 
                益回り3%くらいが「マジック・ナンバー」に変わって行くのではないか 
                 
                と思います。現状のわが国の株式市場の平均PERは25倍ほどですが 
                 
                、これが徐々に上昇して行く、と予想して良いように思います。 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
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