ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています   者間距離

   Top page


    船画像            者間距離

  私達夫婦に若い女性より下記のような質問がありました。
「何十年もどうして仲良く過ごせるのですか」
「それは、喧嘩をすることで二人の間の軌道修正をしているのです」
若い女性は目を丸くして「喧嘩ですか?」とびっくりしていました。
 車の運転と同じで車間距離が近すぎても危険。離れすぎても上手く
チームが組めないことを話しました。車距離と者距離を例に喧嘩方法を
話しました。
 介護も看護も多くの人々とのチームプレイが大切です。
者間距離が大切です。者間距離について私見を述べてみます。

マーク  いろいろな者間距離

 1. 配偶者間

 夫婦喧嘩にもルールがあります。些細なことより、大きな距離感が出てしまう
ことが多くあります。適切な二人の者間距離が大切です。
相手の人間性に入り込まないことが、適当な者間距離と言えます。
喧嘩をしても人間性に関わるような言葉は慎みましょう。言葉一つでこころまで
傷つけることになります。
 お互いの親族を罵らないことも大切と思います。私も、つい、口に出そうなこ
とが多々ありますが、普通の場合にはあたりまでも喧嘩中はいけません。
相手は,自分ではないのです。そこにはやはり者間距離が必要でしょう。
 男は,謝り下手です。自分が悪いと思っても素直に謝ることが私も含めてで
きません。一言「ごめん」と言えば済むものなのですが、それが難しいのです。
 ひどい言葉で相手を攻めていない場合には謝りやすいのですが、その点女性は
素直なのでしょうか。多くの男性に反対されそうですが。
適切な者間距離を保つことで夫婦喧嘩も少なくなることでしょう。
者間距離が開きすぎますと、もとに返らない状況が出て来るような気がします。

 2. 親子間及び親族間

 親子の間でもある程度の間隔をあける努力が大切です。息子を騙って振り込み
詐欺にあうなんてことは、適当な親子の者間距離がなく、両者が一体のような
間隔ではないでしょうか。息子と言えばすぐに信用する。者間距離を持つことで
冷静に考えることができるような気がします。
 介護でも言えることです。介護者側と介護される人は同じ人ではありません。
介護する側の人は強い立場にあります。強いからこそ介護される人の立場を考える
ことが求めれrます。冷静さをもって、適当な者間距離をもって介護に勤めて欲し
いものです。被介護者が主役です。

 親族間も同様です。兄弟間も同じことです。相手は、あなたとは違うのです。
あまりにも親と介護者との距離感が無くなれば、些細なことで揉める多くの原因
となります。お互いの家庭生活に必要以上に立ち入らないことです。
 兄弟姉妹の中で親の介護などを担当している人がいますが、介護をできないこ
との言い訳に、遠距離を理由にする方が多くいます。例え日々の介護ができなく
とも多くのことができます。介護ができない人に限って介護方法に口出しするよ
うな場面に出合います。介護できない兄弟姉妹は、冷静に者間距離を保って介護
者を見つめて下さい。言葉一つで介護者は元気が出るものです。「有難う」から
始めましょう。

 3. 協力者間

 グループにも言えることです。自分の言葉が全てではありません。多くの意見を
集約するためには、やはり者間距離が必要でしょう。例えその人がトップの立場に
あっても、自分とグループの人達とは適当な距離が必要です。
一人で走っては、いい成果は得られないと考えます。
 グループ内でも仲が良い人とはつい走り過ぎることがありますが、常日頃から
注意し、心がけておく必要があるように思えます。

  4. 介護施設と家族に於ける者間距離

 老人施設に行きますとよく見かける光景に「自分の親しか生活していない」と
感じられる家族に出会うことがあります。老人施設には大勢の高齢者が生活して
います。少し、自分の親と距離感を持ち施設を眺めることも大切です。
鳥が空より地上を見ている間隔、バードウオッチングが適切な者間距離を保つこと
に役立つと考えます。施設全体を冷静に観察することで施設の環境向上に役立つ
のではないでしょうか。
 老人施設の幹部の方にもお願いしたいものです。施設の生活者をもう少し観て
欲しいと思える場面に出会うことがあります。
 最近訪問した特別養護老人ホームの理事長のお話を聴きその思いが益々募りま
した。「私が年を取り、介護が必要となった場合にはこの施設で生活したい」と
自信を持って話されていました。
 どれだけの施設長や理事長が、このようなことばを私たちに話せる方がいる
でしょうか。このような幹部の方が多くなればなるほど、私たちは安心して老い
ることができますし、この安心感が、認知症予防につながるような気がしてなり
ません。

                      シニア ライフ アドバイザー
                          岡 島 貞 雄


Top page


終末ケアに関わる人々 老人施設での安心感 死生学
高齢期の3ステージ モリー先生との火曜日 夫婦介護
看取り Gerontologyとは 老成と老衰
孤独について 生と死 認知症と拘束
老いと時間 老いには夢がある 生きると自立
老人施設での安心感 介護老人福祉施設の優しい人たち 高齢者のリハビリ
高齢者介護と延命について  介護と終末ケアについて(1) 高齢者虐待
介護施設のターミナルケア(1) 介護施設のターミナルケア(2) 介護と胃ろう
老人福祉施設と往復切符 高齢者のこころのサイン すばらしき人々
高齢者(神様)との会話 気をつけたい言葉と行動 高齢期と安心感
高齢者介護に思うこと 高齢期の3ステージ 認知症と拘束
老いには夢がある 映画(海洋天堂)と成年後見制度  小さな復活
     
老いの心・技・体 ユマニチュードによる介護  介護と看取り
病いとこころ  笑う門には福来る  高齢期を生きる