ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています        高齢期と安心感
  
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     安心感     「高齢期と安心感」

 高齢者施設の訪問や高齢者とのお付き合いの中で高齢者が元気に自分を生きるため
 には何が必要か、また、周りの人々がどのようにお付き合いすれば生き生きと日々
 を過ごすことができるか、多くの高齢者の意見をまとめてみました。
 私達の勝手な思いを修正する必要も感じました。

  
  高齢期に於ける人々の思い

1)安心感

 
  高齢期で体力や認知力が衰えた方々は、人々に見放されていないと思える時は、落ち着き会
  話も弾みます。
  誰かと一体感、役割感がもてると感じますと体もこころも生き返ったような気持ちになります。
  これは、社会から見放されていないという安心感ではないでしょうか。

    体力も知力も衰えたことは本人が一番よく分っていることです。それに応じた役割はきっと
  グループの中で社会のなかで必ずあると考えています。しかし、一人では思いつかないこと、
  実行に移せないこと等多々あります。
  若い人たちのお手伝いを必要とする高齢者も多いと思います。一緒に考えて下さい。
  高齢期と言われる年になっても何かの役割感があれば安心して日常を過ごすことが出来ます。

   
 
2) 
大切な人

   見放されていない、私を大切な人と思ってくれる人がいると思える時は、例え認知症の人で
  も高齢期の人々でも嬉しくて生きがいを感じる時ではないでしょうか。

  
安心し、一人ぽっちでない気持ちが、落ち着きを取り戻すのではないでしょうか。
  「こんにちは」「お元気ですか」 の言葉に素晴らしい笑顔で答えてくれます。


   
家族でよく見かける光景ですが、妻(夫)が認知症と思える夫(妻)に対して、常に命令と
  注意の言葉が先に出ている方を見かけます。その人達は、愛情深く相手を思いやる気持ちから
  でている言葉と思いますが、ひと呼吸入れて、話しかけて欲しいものです。
  高齢者に、常に指示と命令ではなく、会話として物事を進めて欲しいものです。
  家族の一人として大切な人と思えるような環境が、高齢者にとって一番うれしいときなのです。

3)悩みを判って欲しい

   高齢者が、何を求めているか、何を悩んでいるかなどについて高齢者の立場になって考え
  てみて下さい。
  若者にとっては取るに足らないような悩みでも、高齢者にとっては大切なことなのです。
  ひと呼吸入れて高齢者の悩みを判って欲しいものです。

  身体の具合や寂しさ、判断力の衰えなどなど若い時には思いも付かないようなことで悩む
  こともあるのです。
  悩みがある間は元気な証拠です。一緒に悩んでくれたらそれ以上の幸せはありません。

   80歳になれば幾ら頑張っても今まで生きてきた時間の10%も残されていないかも知れ
  ません。その時間を自分自身として生きて生き抜き、最終の仕上げとして素晴らしい終末を
  迎えたいと考えています。しかし、それは最も難しいことです。
  短い時間を力一杯に生きたいものです。そのお手伝いが欲しいのです。

   高齢者は人の親切、愛情、支えてくれたことなど嬉しかったことを思い出して生きている
  のです。

4) 横にいてくれる人がいる

   高齢期には、意味のない寂しさがあるものです。そのようなときに誰かが付いてくれている
  と思える時は寂しさから安心感にかわります。
  高齢期に夫婦で生活している方は、夫婦で会話などを通じて寂しさが和らぎますが、その為
  には長年の夫婦の協力や会話が大切です。今、夫婦で生活している方は、気づいた今からで
  も遅くありません。話合い、買い物を一緒に、食事の相談、時々楽しい外食など一緒に行動
  することです。

   ひとり生活の方は、一人で自活して生きている素晴らしい方達です。でも、寂しいときが
  あると思います。可能なかぎり外に出て自然に触れて下さい。また、多くの友人をもつこと
  も大切ですが、高齢期になって友人をもつことが、一番難しいことかも知れませんが・・。
  家を出てグループやまちのイベントに参加することで、友たちや悩みを聴いてくれる人も
  できる可能性があります。

5) 判るように話してくれる

    最近難しい言葉が多くなり、理解できなことが多々あります。
  高齢者は、理解力する時間が遅いし、それに対する判断力も遅くなっています。しかし、
  会話として仲間に入ることが出来た場合は、立派に意見を持っているのです。

  ある高齢者と話している時にわかったことですが、役所に電話すると、「HPを見て下さい」
  「メールで申し込んでください」などと言われ、パソコンに不慣れな者には、それでお仕舞
  と言う気持ちになります、と話されました。
  確かにファックスさえ持っていない、使い方がわからない高齢者もいますし、パソコンを
  持っていない高齢者も多くいます。
  その人達にも判るように話したり、方法を考えて欲しいものです。

   若者の早口も付いて行けない場合が多くあります。特に老人施設では職員の言葉が理解
  できなくて困っている高齢者も多くいるような気がしてなりません。
  高齢者の顔をみながら、目をあわせてゆっくりと話して欲しいものです。


タイトル おしまいに

   人はみんな年をとると体にどこか悪いところ、不具合なところが出てきます。
  今、認知症と言われて苦しんでいる方々、高齢期で体力や認知力が衰えている方々も、
  皆日常的に何かをしたい、人々の役に立ちたいと考えています。その思いを大切にして
  欲しいものです。

   多くの人々の気遣いで穏やかに安心した日常を送ることが出来ます。そして健康寿命が
  延びる可能性があります。
  グループホームを訪問し、認知症と言われる方々から、多くの役割や生きがいをもって日々
  過ごしていることを教えて頂きました。


                シニア ライフ アドバイザー岡島貞雄


                                               

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