ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています            孤独とは 

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マーク  高齢者の孤独について

 辞書によると孤独とは、ひとりぽっち、仲間がいないこと等となっていいます。
孤独感となればこころが入ってくる。大勢の中でいても孤独感を味わようです。
大勢の人の中の孤独が一番むずかしい問題と考えています。
周囲の人達が一つ誤れば大変なこととなる場合があります。
高齢者の孤独について述べてみます。

1)大勢の中での孤独感

 大勢の中にいて何か知れないが孤独感に襲われることがあります。
特別養護老人ホームを訪問すると大勢で生活しているにも関わらず
寂しそうな高齢者に出会うことがよくあります。
一人の高齢者とお話をしていますと何処からか視線を感じるのです。
会話を打ち切ることの難しさも感じます。視線を感じた高齢者と話を
始めるとホットした表情で話し始めてくれます。一般的には大勢に囲ま
れ、介護職員もいるのですが、寂しそうで孤独に耐えている様子が手
に取るように感じられます。

 家族から離れた寂しさでしょうか。住み慣れた生活環境から離れた
寂しさでしょうか。大勢の中にいても会話のない孤独感があるようです。
やはり家族が訪問するとうれしそうです。
もう少し、ボランティアを活用してはどうでしょうか。ボランティアの方も
高齢者のこころを感じ取る勉強をして欲しいものです。

 特別養護老人ホームでは施設の外部の空気が必要なのです。
穏やかに日々を過ごすことができるように願いたいものです。施設で
生活している高齢者は、今の日本を築き、夫を介護し、見送った後に
施設での生活をはじめた方々なのです。

2)グループの中での孤独感

 個人的な考え方ではありますが、仲良くしているグループの中で妙に違和感を感じ
て孤独感を味わうことがあります。
ワイワイと騒いでいる中に入れないのです。会話や遊びの話について行けないのです。
そのようなときには無性に寂しく孤独感を感じる時が有りますが、寂しいものです。

 このような状況の場面が増えるとグループから離れることになります。
勝手な行動でしょうか。
自分の役割が亡くなった時、方向性(理念が違ってきたとき)が違って来た時は、
新しいものを求めて行動をとるようになります。
勝手な行動と批判されるかも知れません。しかし、高齢期におけるボランティアでは、
ストレスを貯めてまでグループに留まる必要はないと考えています。
当分寂しさは抜けませんが、先のことを考えることで耐えるようにしております。

3)家族の中での孤独感

 以前3家族を調査したことがあります。
  1.一人暮らしの女性 夫の介護を十数年続けた女性
  2.一人ではあるが家族囲まれた女性
  3.三世帯で夫も元気な女性。
これらの方々みなさんこの世を去りましたが、一番元気で最後まで生きた女性は、
条件的には最も恵まれていないと言われそうな女性です。
寝たきりの夫を、10年以上も介護し、見送ってからケアハウスで生活を初めて
最後まで自分を生き抜いたようです。
夫を看取った後に相続で苦労されましたが。遺言書の大切さ思い知らされました。

 大勢の家族の中で生活しているにも関わらず、寂しく、
不安感が常に感じられる女性。
自分が最も信頼している家族に無視された人は、他人から無視された人以上に孤独感
を味わい、自分の世界に閉じ籠り、考え方が不安定になるようです。
元気な子供や孫は気にもしないようですが、おじいちゃん、おばあちゃんに気配りが
欲しいものです。
年老いた二人が元気に日常を送ることは結局は若い子供たちに素晴らしいプレゼント
があるのです。それは介護度の軽減です。

 夫を早く亡くしましたが、家族の中で大切にされた女性は最後まで幸せな
人生でした。
年を取ると一人でない、多くの信頼できる人達に見守られているという気持ちが
一番幸せではないでしょうか。年をとり、孤独に耐え寂しさを常に感じている方は、
認知症などが早く、自分をなくし、それは、捨て置いた子供たちへの仕返しとも言え
ます。自分達が幸せな生活がしたいのであれば、まず、
年老いた両親を家族の一員として認めることから始まります。

4)一人住まいの孤独感

 一人住まいの方は、強い方と弱い方に分かれるようです。一人の生活ですから、
孤独感をコントロールしている高齢者は非常に強いようです。
その方達は、閉じこもらないで人との会話を楽しむ、日々の生活を考えて
工夫しているのです。
街中でよく出会いますが、明るい笑顔で近況をお話し下さいます。
多くのことを教えられました。将来の棲家についてなど実によく考えています。
相談を持ち掛けられますが、私などが回答することは全くありません。
自分の考えを話すことで自分自身で回答の確認をしているのでしょう。

 一人の高齢者が有料老人ホームに入りました。
その調査力の素晴らしさには感心しました。
新しい棲家での生活で不安があれば何時でも連絡くださいとのみ話しました。
 一人住まいの方で今誰かが手を差し伸べればと思えるような方がいますが、
いつの間にか、街中より姿がなくなります。
誰とも話をしている場面に出会うことがなく、現状の生活がどのようになっている
かは定かではありません。手をだし、生活のお手伝いができない思いのみがこころ
を占め辛い思いで一杯です。

5)思い込みの孤独感

 多くの人の中で日常を送っているにも関わらず、寂しい、孤独な日々と言ってい
る高齢者に出会うことがあります。そのような方は、お金持ちの方に多いようです。
自分の生活を自分で工夫することなく、人に頼る、お金で解決しようとする面が
多くみられます。
 お金は、最初はいいのですが、度が過ぎますと人は離れて行きます。
人間は、お金で動くものでなく(動く人もいるようですが)、お互いに感謝が
できる雰囲気が最も楽しくてこころがほのぼのするものです。

 一人住まいの方も、大勢の中での生活でも、自分が工夫すること、
考えることで孤独から脱出することはできるのです。
年を取ればとるほど社会より必要とされることが出てきます。
私自身が年を取り、高齢者の心理や体のことが想像の世界より実感の領域と
なってきました。
これからが本当のボランティアの中での重要な一人になれると考えています。

                 
シニア ライフ アドバイザー  岡島 貞雄

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