4.稲荷について教えてください。

Q.稲荷について教えて下さい。
A.稲荷信仰は、極めて広範囲でかつ奥の深いものを持っています。したがって、この問題については簡単にスケッチすることができません。一応原初的な稲荷信仰は、穀物の根元霊であると考えられます。そのことの手がかりを与えてくれるのが、稲荷の神使としての狐の存在です。よく稲荷=狐と誤って認識されますが、狐はあくまでも稲荷神の使いであって、稲荷神そのものではありません。キツネは、関西地方ではケツネと発音されていました(ケツネうどんと言うでしょう)が、五来重氏によれば、ケは食べ物の意味、ツは所有格の「の」、ネは「根」で根元の意味だと言いますつまり「食べ物の根元」これが「ケツネ」の語源的な解釈だと言うことになるわけです。そのケツネが稲荷の神使となったわけですから、稲荷そのものも食べ物に関わる神であったと言うことが考えられるわけです。しかし、その後はやくから稲荷は極めて多岐に展開し、田の神、屋敷の神、城の神、福の神、先祖の神など実にさまざまな信仰をえることとなりました。佛教のダキニ天とも習合しています。その詳細は、五来重編『稲荷信仰の研究』を参照して下さい。因みに、稲荷の祠の裏や横を見てみて下さい。そこに小さな穴があけてある場合があります。時には、そこに陶器のキツネが放り込んであるのを見ることができます。この穴は、どのようにしてできたかは別にして、神使であるキツネがあの世とこの世を行き来するための穴だと考えられます。みなさんも一度ご覧になってはいかがでしょうか