9.聖地とは何ですか。霊場とはどのように違うのですか。

Q聖地とは何ですか?それは霊場とどう違うんですか?
A. 「聖地」をどのように捉えるかについては、難しい問題です。一応、これについては「日常の生活空間から区別され、神聖視される空間」と、とりあえずは考えておくことにしましょう。
 聖地には、自然の場所が設定されることが多く、そこに何らかの人為的な工作物を構築して聖化の印とすることも行われます。また一般的には禁忌を伴います。自然物だけでなく、神話や歴史上の人物にゆかりの場所が聖地となることもあります。たとえば、隠れキリシタンの殉教の地が聖地となるのはその典型です。
 聖地と呼ばれる場所は、比較的せまい土地を指すことが多いのですが、一定の敷地を構える寺院や神社を「聖域」と呼ぶこともあります。
 一方、「霊場」については、「聖地がある規範によってシステマティックに構成された場」と捉えておきましょう。したがって必然的に一定の広がりをもつことになり、四国霊場などはその典型となりますが、それほど広い地域でなくとも比叡山や高野山のように一つの山岳寺院が霊場と呼ばれることもあります。要はいくつかの聖なる場所が集まって、一定地域で有機的な連携を持っていることが重要なのですね。
また、霊場の場合、そこに関わる人すなわち参詣する人、修行する人あるいは管理する人などが、それぞれ人生におけるなんらかの問題を解決しようとするための場、という性格が濃厚に存在しますが、「聖地」の場合は、その場が神聖視されることが必要でかつ充分な条件であって、その場で人生上の問題を解決するかどうかは、比較的問われないことが多ようです。