⑵宗教の主観的領域

 主観的研究方法をとる宗教研究の代表的な領域の一つは、いわゆる神学的研究です。これは、信仰者が信仰の立場から行うのがその基本的姿勢です。少し極端な言い方をすれば、自身の信ずる宗教の正しさを明らかにしようとしたり、自分の信仰を深めるための学びであるといえるでしょう。したがって、神をたてる宗教の場合、その存在を疑うことは前提にはありません。あくまでも神は実在するものとして、さまざまな考察が加えられていきます。キリスト教神学などはその代表的なものでしょう。仏教の場合は、それぞれの宗派の教学研究、たとえば日本の浄土真宗の研究を行う真宗学などもその典型例といえます。  
 今ひとつ宗教哲学的な研究もこのグループに入ると言えるでしょう。この分野では、人間の理性をよりどころとして宗教の本質を明らかにしようとします。理性とは、人間にそなわっている論理的な思考によってものごとを考える能力を言います。したがって、この場合は神の存在を証明しようとする研究もありえるわけです。