何かを研究するとき、主として二つの立場が考えられます。ひとつは主観的なもので、もう一つは客観的な視点からするものです。主観的とは、自分のものの見方や考えを中心に物事を判断することであり、客観的とは、その反対に特定のものの見方や考えによるのではなく、多くの人が同じような判断にいたるようなプロセスで物事を判定することです。その際、事例(データ)が重視され、それに基づいて論をたてる手法が、多くの場合で採用されます。たとえば、全ての生き物には魂があり、死ねば天国か地獄に行く。だから死んだ彼もいまはそのどちらかにいる、というのは主観的思考です。また、あのカラスは黒いなぁ、こっちのカラスも黒いね、あっちのカラスも黒いぞ・・・わかった!カラスはみんな黒いんだ、というように事実にもとづいて考えるのが客観的思考です。
近代の科学は客観的であることが重視されてきましたので、私たちもどちらかというと主観的という言葉は、マイナスのイメージで捉えることが多くなっています。しかし、学問研究ことに宗教を対象とした領域では、それぞれに大切な側面があって、必ずしも主観的研究が否定されるものであるとは限りません。