⑶宗教の客観的研究領域

 一方、資料に基づいて宗教を考える領域、すなわち宗教の客観的研究を行う分野には、主に二つが考えられます。一つは宗教の歴史をあきらかにする宗教史的研究で、いまひとつは宗教学的研究です。
宗教史は、過去に起こった出来事を時間の軸に沿って整序・評価し、その意味を考える学問領域です。一般に歴史研究がそうであるように、宗教史研究もまた過去を明らかにすることで現在を考えることがその目的となります。注意しなければならないのは、神学的研究をおこなう分野に於いても、宗教史研究はあり得ることです。例えば、前節で例に出した真宗学には真宗史と呼ばれる分野があります。ただし、こうした場合、あくまでも対象とする宗教への理解を深めるためのものであり、言うならばより良い信仰を模索するための学びとなることには注意しておかなければなりません。
さて、もう一つの領域すなわち宗教学的研究ですが、これは、現実に行われている宗教の諸現象について体系的に整理し、そのただしい理解を得ることが目指されます。そしてこれこそが私たちがこれから学ぼうとする領域です。次節以下で少々詳しく見ていきましょう。