石川虚舟
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芸術 (Kunst)
 
マルティン・ハイデガー
『芸術作品の根源』
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石川虚舟 《 三関 》
 2014(凝灰岩、210×170×225mm)
  
二つの石材は、一方は緑色で肌理が細かく、他方は白色で粗い。白い凝灰岩を主とする同一の岩山に、緑の石が層をなし、希少に産出する。両者は切り出され、それぞれ石材となるが、ここに再び一体化し作品と化す。
 
 
 
芸術  Kunst  
 
芸術家は作品の根源である。作品は芸術家の根源である。どちらも他方なしには存在しない。 とは言え、両者のどちらも自力で他方を支えているわけではない。芸術家と作品は各々それ自体で[存在する]のであるが、それらは先立つ第三のものを通して循環関係の中に[存在する]のである。つまり、芸術家と芸術作品がそこから名称を得ている例のものを通して、すなわち芸術を通して[存在する]のである。
マルティン・ハイデガー『芸術作品の根源』1935/36
 
Der Künstler ist der Ursprung des Werkes. Das Werk ist der Ursprung des Künstlers. Keines ist ohne das andere. Gleichwohl trägt auch keines der beiden allein das andere. Künstler und Werk sind  je in sich und in ihrem Wechselbezug durch ein Drittes, welches das erste ist, durch jenes nämlich, von woher Künstler und Kunstwerk ihren Namen haben, durch die Kunst.
Martin Heidegger, Der Ursprung des Kunstwerkes, Reclam, Universal-Bibliothek(2010), S.7.
 
【石川虚舟訳註】 上記の文章は、『芸術作品の根源』(本文)の最初の段落に登場する。ハイデガーはそこで、「芸術家」と「作品」をそれぞれ「陽」と「陰」に対応させ、そして「芸術」を「陰/陽」の循環関係である「太極」に対応させ、論じようとしている。