隣家の完成を目前にしたある日、隣家当方側の壁から、沢山の配線が出ているのに気づき、作業員に聞くと、一般家庭では考えられない台数の屋外機が設置されるとのこと。隣家周囲4面のうち、空間的に余裕のある道路側および私道側の2面には機器を1台も置くことなく、当方など隣接家屋のある2面に12台もの機器を集中させ、そのうちエネファーム・パワコン・エアコンの屋外機7台が当方居間(1F)・寝室(2F)・庭に向けて置かれようとしていました。施工業者は施主側の景観・都合のみを考えたようで、この2面を機械置き場とし、騒音・排熱・排気を近接する隣家に向けた訳です。すぐに施工会社に連絡をいれ、機器設置場所の変更を申し入れましたが、施主も施工会社も応じませんでした。それで、窮地に陥った当方は御近所の署名を集め、施工会社に再考を求めましたが、計画どおりの設置が強行され、当方は工事の進行をただ呆然とみているばかりでした。4か月に及ぶ解体・新築工事の騒音に耐えながら、完成した隣家の大量の機器によって、半永久的に
騒音に曝されることは目に見えていました。これだけの機器が一斉に稼働すると、どのような騒音が出るのか、素人でも予想できます。施工会社の企業倫理、施主の個人としての良心を疑いました。旧知である隣家によって、当方、先住者に対する配慮のない建築に人格を否定されたような屈辱を感じました。
以下は施工会社S社の社員の言葉です。
工事監督:試験運転が始まって、発電器が夜間も騒音がしているので尋ねてみると)
「これは日の出ているときにしか動きません。」
→太陽光発電のパワコンとエネファームの燃料電池発電ユニットを間違えていました。
若手設計担当者(電話で):「法律に違反しなければ、何をしてもいいんでしょ。」
→ 驚くべき言葉です。
「エネファームは図書館並みの静けさです。機械が動き出すときに、ボッといって、そのあと
はすぐに静かになります。」
→夜間の普通騒音計による計測では45dB〜46dBで環境基準に触れています。”ボッといって、
そのあと静か・・・”は、貯湯ユニットのことであり、エネファームの燃料電池発電ユニット
は24 時間稼働です。
「法律に違反しなければ、何をしてもいいんでしょ」は一設計者の失言というよりは、
この施工会社の企業体質の露見ではないでしょうか。又、設計者もプロではないと感じまし た。
工事監督も設計担当者もエネファームに関して無知でした。エネファームのカタログでは、
騒音レベル: 発電ユニット 38dB 貯湯ユニット 45dB
ですが、これは無響室で測定したデータであり、反響、共鳴等で実際には音圧レベルは上がります(夜間は環境基準を超えます)が、設計者はカタログの数値のみで”図書館並みの静かさ”と判断し、先住者の家の間取りを無視して設置しています。しかし、このころはまだ、事態の深刻さに気がついていませんでした。
そして、隣家が入居したその翌日の早朝、耳慣れぬ音(振動)で目覚め、その出所を調べるために、家の中を探し回りました。しかし、異常はなし。庭にでると、エネファームの騒音がうるさく、怒りが込み上げてきました。エネファームは強弱はあるものの24時間運転です。窓を開けると騒音、そして窓を閉めるとプーンという音。可聴域低音までカットする高機能耳栓を使っても遮ることができないこの音は低周波音だと判断し、低周波音について貪るようにネットを巡回し、書籍を渉猟しました。この音をマスクするために、CDをエンドレスにかけながら。
続く
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