言うまでもないことだが、学齢期にある帯同の子どもは学校で2度の困難に直面する。親の赴任時の編入学と帰任時の編入学である。
その際、友人や先生方との別離と新たな出会いにおけるリスクを別にして、学校教育においては、教育課程(教科・科目の体系)と授業スタイル(教育目標が絡んでくる)が基本的に同じなのか、根本的に異なるのかが大きなリスク要因となる(国内学校どうしの転校とは大きく違うはず)。
この赴任時と帰任時の編入学という二重の困難(リスク)を回避すべく設置がすすめられてきたのが日本人学校であり、補習授業校であると考える。
ということは、海外子女教育・帰国子女教育における最大課題は、内外の学校教育制度の大きな違いに起因するものではないか。
この観点でまとめたのが、次のプレゼン原稿である。
(併せて、日本の小・中・高の学校教育を特徴づけている、現行の「学習指導要領」の概要を紹介している。)
また、中高生(特に高校生)を帯同する場合には、さらに、大きな段差が待ち構えている。
というのは、戦後の日本の学校教育は、基本的には占領軍の中心であった米国の公教育が雛型となったはずなのだが、
米国の公教育とは違って、中学校教育と高校教育との間に制度的にも大きな段差が生じてしまっているものと考える。
例えば、小中学校の公教育の大部分は市町村立学校であって、高校の公教育は都道府県立学校が中心である。
つまり、学校設置の団体が異なり、しばしば教職員の給与体系等までも微妙に異なっていて、中高の教員移動は極めて困難です。
(東京都立の中等教育学校においては、教職員の給与体系は予め揃えられていたとお聞きしました。)
さらに、教育法規でも高校「入学資格」「卒業資格」等を「学校教育法施行規則」で細かく規定するなど、「敷居」を高く設定してある。
(今日の事実上の義務教育化した高校教育を想定せずに、戦前の旧制中学の伝統を残そうとしたのかもしれないと愚考するところだ。)
そこで、次のプレゼン原稿が必要となる。
(関連しての
「資料@」「資料A」は、コチラ。)
蛇足となるが、日本の学校教育は、(幼稚園)小学校・中学校・高等学校教育と「学習指導要領」を通じて、極めて体系だっており効率的な反面、
身体的な事情や家庭事情、あるいは所謂「荒れ」で途中の教育課程の修得が不十分となると、非常に「学び直し」がしにくい学校教育制度となっている。
(この観点では、海外子女教育・帰国子女教育における教育課題と、「全く」と言っていいほど「瓜二つ」であると考えている。)
大阪府教育委員会では、この課題に果敢に立ち向かうべく(だと考えるのだが)、
「エンパワメントスクール」の取組みを推進している。
(定年退職した身ながら応援しているところである。こうした困難に直面している生徒・保護者がおられたら、これらの高校をご紹介いただきたい!)
