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原始ダイオード研究室 ![]() |
研究テーマ | 概要 |
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●元祖「検波ダイオード」 | ・元祖「検波ダイオード」の復活と教材化の工夫 |
●鉱石「検波ダイオード」 | ・鉱石「検波ダイオード」の教材化 |
●瞬間「検波ダイオード」 | ・瞬時に自作する高性能「検波ダイオード」 |
●研究「市販ダイオード」 | ・改造ラジオで「市販ダイオード」の研究 |
●自作「整流ダイオード」 | ・「自作ダイオード」による整流実験 |
開発のねらい |
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半導体素子の面白さ 電子工作は中学生の頃からの趣味で,組みあがったラジオやアンプが作動する喜びとともに,さまざまな電子部品そのものも興味の対象でした。特にトランジスタは不思議な素子で,金属缶を切断して見つけた半導体チップに目を輝かせました。 そんな懐かしい記憶から,半導体素子を手作りして電子機器を作動させる学習を思い立ちました。もちろん,何の設備もなく,不可能なことはわかっていました。しかし,半導体素子の元祖といえる「鉱石検波器」なら可能なことを知っていました。 鉱石検波器 ラジオの元祖である「鉱石ラジオ」に用いる「鉱石検波器」は,方鉛鉱や黄鉄鉱などの表面に金属針を押し付けただけのものです。研究は鉱石の採集から始めましたが,生徒と共に鉱石を採集し,現地でラジオ放送を聴取したいという願いからです。 当初,霜田光一先生(元 日本物理教育学会会長)からは関係の学会論文をいただき,それに期待していました。しかし,針の材質,鉱石に押し付けるメカと圧力など,教材化ということで身近な材料や簡単な構造を意図すると,ほとんど役立ちません。また,当初用いた元祖鉱石ラジオが,屋上の長い一本のアンテナでも2台の作動が限界で,混信もあって放送内容が聞き取りにくいこともわかりました。次々に見つかる問題と課題で,何度もつぶされそうになりました。 半導体素子の自作 ようやく学習に利用できるようになった鉱石検波器ですが,見慣れない鉱石の登場には違和感があります。また,当初から半導体素子を自作したいという思いもあります。もし成功すれば,誰でもどこでも検波器を自作できます。そこで,二つの可能性に賭けました。 『酸化鉄の利用』 無人島に不時着した米兵が,錆びた鉄をラジオの検波ダイオードにしたという話があります。また,親しくしていた電子パーツ店の部長さんから,「包丁をリンゴに挿し,翌日できた錆で作った検波ダイオードが優れていた。」というお話しを聞きました。 『亜酸化銅の利用』 銅板に亜酸化銅膜を作ると,その厚さでいろいろな色を示すという実験があります。亜酸化銅はよく知られた化合物半導体で,実際に亜酸化銅の整流ダイオードが存在していたそうです。 期待していたのは亜酸化銅膜ですが,さまざまな色の板に針を立てても全く機能しません。仕方なく酸化鉄に賭けるしかなくなりましたが,包丁を挿したリンゴを並べるわけにもいきません。結果,目から鱗のような意外な発想で,簡単確実にして高性能な検波ダイオードの開発に成功しました。 ※「鉱石検波器は,半導体の性質を持つ鉱石に金属針を接触させた時のショットキー障壁を利用して整流作用を得るもの。」とあります。安定したショットキー障壁作りはさまざまな発展が可能となる重要なテーマで,現在も研究が続いているそうです。 |