プロローグ 「ラス」「キア」というのは、僕ら二人が出会って間もない頃に遊びでつけたコードネームだ。 当時の僕らは世渡りの下手な中学生だった。 生き延びるために突っ走ったことが裏目に出て蹴つまづき、はじきとばされて痛い思いをした。 それからけっこうな時間をかけ、あちこちぶつかりながらも、なんとか世の中の一部として暮らすことを学んできた。 これから始める話は、そんな僕らにもようやく日々の平安が手に入りかけた頃、高校二年の夏の出来事だ。