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味と見かけにトコトンこだわる!ダックワーズ作りのこだわり、いろいろ | 記事登録日:2014/09/12 |
最終更新日:2014/09/12 | |
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ダックワーズ作りにハマっています。 試行錯誤を始めてから、かれこれ2年が経ちました。 元々は生クリーム大福の中餡を落ち着かせる手段として目を付けた生地でしたが、今ではすっかり「ダックワーズ」そのものの虜です。 シンプルな材料と簡素な手順で仕上がるお菓子ですが、それゆえに奥深く、作り飽きない、非常に魅力的な焼菓子です。 ただ作り方が簡潔なだけに、適切な道具選びや小さなコツがものを言う製菓でもあると思います。 ここではダックワーズ作りに最適なおススメ道具や、「作り方」に対する私なりのコダワリをご紹介します。 素人が試行錯誤した末の、あくまで「感想」なので、素材や道具の扱い等で考え違いなどがある点についてはご容赦くださいね。 |
◇◇◇ 道具や型へのコダワリ ◇◇◇ | ◇◇◇ 作業工程についてのコダワリ ◇◇◇ |
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◆◆◆ 器具・道具・型のこと ◆◆◆ |
エキュモワール | |
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そもそもエキュモワールとは、ecumer(アクを取る)のための道具、つまりフランス料理で使われるアク取りのことです。 ですから、マトファーショップで扱われているような穴のあいたものが本来の姿になります。 私が使っている「エキュモワール」は弓田亨氏が考案され、自身のショップで販売されているもので、ビスキュイやダックワーズなど、メレンゲがポイントになるお菓子を作る際に使用するようこちらの書籍 フランスでアク取りを製菓に使うことがあるのかどうかは調べても分かりませんでしたが、少なくとも、私がダックワーズを作る際には、無くてはならない道具になっています。 いくらかでも製菓を楽しまれている方であれば、絶対に買って損にはならない商品だと思いますが、弓田氏によれば、湯豆腐用の玉じゃくしのような、すくう面が平らなもので代用できる、と書かれています。 |
代官山イルプルーのエピスリーか 楽天内のネットショップで購入可能な 弓田氏考案のエキュモワール ヘッド部分は・・cmと案外小さめですが この大きさが意外に 小回りが利いてちょうど良い! |
シャブロン | |
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シャブロンとは「型抜きしづらい、やわらかい生地を均一に抜くためのすり込み型」(馬嶋屋菓子道具店のHPより抜粋)のこと。 「ダックワーズ」独特の、薄平ぺったい小判型に成形するには、この「シャブロン」を使います。 市販されているシャブロンには、いくつか種類がありますが、大別するとアルミ製とゴム製に分かれます。 この二者は、そもそも素材が違いますので、取り扱い方が全く変わるのはもちろんのことですが、出来上がるダックワーズの大きさが違う点が、最大の相違点かもしれません。 アルミ製は60mm×40mmで厚み8mmの小判型、ゴム製ですと70mm×45mmで厚さ10mmの小判型か、Φ55mmで厚さ10mmの円形、が一般に販売されているサイズです。 ゴム製の小判型の個別サイズは、家庭向けに販売されている6穴のものでも同様で、こちらも70mm×45mmで厚さ10mmになっています。 私的にはこの出来上がりサイズ重視で、アルミ製シャブロンを選びました。 一個当たりのサイズが小さくなるという事は、単純に同じ生地量でも出来上がる個数が増えるという利点がありますね。 またこの大きさが、クリームをはさんで仕上がった際にも「気が効いてるサイズ」だと思うのです。 小さい方は気軽につまめる大きさですが、大きい方は食べる時に決心が要るといいますか、「これから食べるぞぉ〜」という意気込み無しには食べきれない大きさに仕上がります。 ま、好みの問題ですけども・・・。 |
私の一押し! マトファ社取り扱いのアルミ製シャブロン サイズは50cm×36cmと 業務用オーブンサイズなので 家庭で使うにはちょっと大きい・・・? ですが、これを四分割して 12枚取りで天板3枚分にアレンジすれば (天板1枚分が25cm×26cm程度に収まります) 家庭用オーブンでも楽勝 実は下に敷いてあるオーブンシートは 白い点線部分で4枚に切ってあります 下に敷いてあるのは A2サイズの硬質カードケース (A2はA4用紙4枚分です) |
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素材の違いからくるそれぞれの長所・短所を書いておきますと、まず、アルミ製の方はしっかりした作りですが意外に軽いです。(おそらくゴム製より軽いかと) 硬いので、とにかく型抜きしやすいのがオススメポイント。 指をかけやすい板状なので、ちょっとしたコツをつかんで、まっすぐに持ち上げることができれば、角が直角で綺麗にそろった生地に抜き上がります。 穴の上の方がなだらかなカーブになっているので、生地の表面が滑り落ちやすく、生地離れが良いのも利点だと思います。 大きいので家庭用のシンクでは洗いにくいですが、同じサイズのゴム製よりは洗浄しやすいかと思います。 金属製なので汚れがすっきり落ちるのも◎。 ただし、衝撃による変形にはくれぐれも注意したいところ。 厚手のアルミ板製のしっかりした作りではありますが、アルミ自体はやわらかい金属なので、落下などの衝撃で変形することは大いにあり得ます。 一度歪んでしまったら、すり込み型として使い物にならなくなる可能性が高いので、お互いこの点には注意しましょう! それに対し、よほどの無茶をしなければ、変形・破損の心配がないのはゴム製の最大の利点かもしれません。 ですが、金属製のような硬さはないので、業務用サイズのものは片方の端からページをめくるような感じで浮かし、はぎとるような型抜きのしかたになるので生地の側面はいびつになり気味です。 家庭用の小さなものであれば、アルミ製同様、全体を持ち上げるように型抜きできますが、型が作業台に対し平面状に接しているので、型の底面に指を入れるのに一苦労、小さくても結構ゆがむのでまっすぐ持ち上げるのにもう一苦労、と言う感じで、側面がまっすぐになるように、きれいに抜くにはかなりの工夫とテクニックを要します。 型の上面もシャープな直角なので、ツルツルのゴム型でも意外に型離れが悪い(なかなか生地が型から落ちてくれない)という苦労も・・・。 型抜き前につまようじ等で抜き型の周りを一周して生地をあらかじめ剥がしておく方法なども紹介されていますが・・・。 私がやってみた限りでは手間の割にそれほど改善は見られず、生地の傷みの方気になるありさまで、あまりおすすめとは言えない方法でした。 洗浄に関しては、家庭用サイズですと場所を取らないので大きいものよりも洗いやすいのは確かですが、シリコンゴムという材質の関係か案外汚れ落ちが良くありません。 洗剤で洗ってキレイにしたつもりでも、いつもどこか曇ったような、油が浮いたような洗い上がりですっきりしません。 大きいサイズのほうですと、洗いにくさはおそらく金属製以上だと思います。 また、ダックワーズの生地は、メレンゲの泡がつぶれ始めると水っぽくなってくるのですが、作業台に平面状に接しているゴム製のほうですと分離した水分が型の底面を伝ってどんどんにじみ出る、と言う欠点もあります。 それに対し金属製の方はそれぞれの型(穴)の底面が直線状になっており、生地の水分がにじみ過ぎることはありません。 これは離水しないしっかりとした生地を作り、手早く作業を進めることで回避できる問題ですが、技術の及ばない私のような素人にとっては大きな利点です。 私はアルミ製型を「めっちゃ」気に入っていますので、ゴム製の欠点ばかりを上げつらう内容になりましたが、そうはいっても一万円越えの型を購入するのはそうそう出来ることではないですよね。 家庭用のシリコン製型の方が大きさ的にも価格的にも手に入れやすいのは間違いありません。 ただ、この型ですと一回に6枚(3個分)しか生地が取れない点には注意してください。 粉糖をふる作業を最後に行えば、型は作業中に使い回すこともできますが、作業効率や出来上がりのきれいさを考えるとおすすめはできません。 そういう場合は、例えば、小判型に成形するのは3個分だけにして、後は丸口金でハート型とか丸ドーム型に絞って焼きあげるなど、型にこだわりすぎない使い方をされるのが良いと思います。 型の保存を考えて、やっぱり小さめの型をたくさん使う方向で・・・、とおっしゃる方には毎年10月に行われる馬嶋屋菓子道具店さんのセールがオススメです。 もともとこちらの馬嶋屋オリジナルのダックワーズ型は家庭用サイズの他のブランド物に比べてお安いのですが、毎年のセール時には更に割引されて販売されますので、複数枚購入を考えていらっしゃる方にはお買い得です。 さて、すり込み型は「シャブロン」と呼ぶのが正確なのですが、ダックワーズに使うシャブロンを探す場合は「ダックワーズ 型」もしくは「ダコワーズ 型」で検索する方がより正確に商品検索されます。 ところで、 私のお気に入りのアルミ製シャブロンについて、しつこく「マトファ社取り扱い」と書いているのですが、これは型自体にマトファの刻印が無い為です。 フランスのマトファ社はセレクトショップに近い製菓・調理道具専門の商社のようで(調べたわけではないですが、どうもそんな感じ)、マトファブランドでカタログに載っていてもすべてがマトファの自社製品と言うわけではないみたいなんですね・・・。 ですので、マトファの刻印の無い製品は、マトファが扱うに値する品質ではあるけれども、マトファじゃない、という認識を持つ方が裏切られないかな、と思い、このような表現にしておきました。 実際、楽天のMATFER shop(潟}トファー・ジャパン)さんではこの型の取り扱いはありませんし・・・。 ただ、クオカさんで扱っているMatfer×cuoca オリジナルダックワーズ型12個取(2014年9月現在欠品中)はMatfer×cuocaのロゴ入りで、間違いなくマトファ社製のようですね。 ですが、こちらの型は一個のサイズは60mm×40mmで大きいアルミ型と同じなのですが、厚さ(高さ)が10mmとなっていますので同商品の家庭用サイズ、というわけではなさそうです。(パッと見た目の作りは同じっぽいですが・・・)、 |
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アルミ製シャブロンの裏側 裏面が直線状で ゴム製型のように平面状で無いことで 成形中に生地から水分がにじみ出ないことが 利点であると 個人的には高評価 |
生地を抜き取ったところ 型への生地のこびり付きはこの程度です 写真奥側の未使用部分の型を見てわかる通り それぞれの型の角は直角で無く 緩やかなカーブになっているため 生地が滑り落ちやすい気がします この点もゴム製型には無い利点 |
こちらの型は公団型のキッチンシンクでも なんとか洗う事ができますが すすぎの時には少々てこずります 洗浄には断然シャワー状の口が便利なのですが 我が家の蛇口にはそれが付いていないので 園芸用の散水ホースを短く切って使っています |
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生地はテフロン製のオーブンシートに 成形していますが その下にはシャブロンの形状をなぞった紙を カードケースに入れたものを置いています カードケースに霧吹きで軽く水をかけておけば オーブンシートが密着し シャブロンと一緒に持ち上がらなくなります |
カードケースはA2サイズの 硬質のものを使用しています (軟質のものは保管をうまくしないと角が曲がります) これは分割されたオーブンシートに 具合よく生地をすりこむための必需品 文章で説明するのは難しいのですが 分割焼成する際にはこういうものがある方が 絶対便利です |
シャブロンと硬質ケースの保存は A2サイズのデザインケース 少し厚みのあるこちらのケースにすれば 型やカードケース、オーブンシートなど ダックワーズ作りに必要な道具を 一括でしまえます シャブロンはしっかりと乾かした後 オーブンペーパーで包んで収納しています |
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クオカさんのシャブロン 280mm×280mmと 家庭用オーブンにぴったりのサイズ! 口コミでの評判も良いのですが もう一年以上欠品しているような・・・ こちらは正真正銘のマトファ・ブランド(!?) Matfer×cuocaの刻印入り 私的には「厚さ10mm」と言う点が希望に合わず 購入対象からはずれました いえ、その時点ですでにもう 欠品中だったんですけどもね |
楽天市場のイル・プルーには スチレンボード製のシャブロンもあります 型のサイズは縦30cm×横24cm×高さ1cm 一枚のサイズは長径65mm・短径40mmと やや縦長 軽くて、何より穴が互い違いに空いている点が 大いに魅力だったのですが スチレンボードと言う材質がネックで おすすめからは外れます スチレンボード自体は 探せば100均でも手に入る素材 職人さんがひとつひとつ手作り・・・ ということらしいですが それにしてもお値段高すぎじゃぁ・・・・・? |
イルプルー主催の弓田氏の著書 弓田亨のフランス菓子 シャブロンを自作する方法が載っています それにならって自作したのが上の写真 ステンレス抜き型をガス火で熱して スチレンボードを焼き落とすという・・・ 熱し加減で穴の大きさは変わるし なかなか抜き型通りのきれいな形には抜けないし 焼き落とした穴の側面はガリガリで 生地が異様にこびり付くし・・・ サンドペーパーで穴を一つ一つ磨いてみるも 期待したほどの効果は無く・・・ 苦労の割には満足感の少ない出来上がりでした |
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馬嶋屋オリジナル ピンクのダックワーズ型 写真は二個並んでいる状態です 上の写真は、少し見えにくいですが 我が家の天板サイズのオーブンシートに 左の型の6枚分と、右の型の3枚分が 載っている状態 この状態で成形すれば 天板1枚で9枚(4.5個分)が 焼成できます |
上がゴム製型(70mm×45mmで厚さ10mm) 下がアルミ製型(60mm×40mmで厚み8mm) で仕上げたダックワーズ 大きさの違いの雰囲気、 お分かりになります・・・よね? 大きい方は仕上がると 結構な迫力なんですよ。。。 お客様にお出ししても 小食な方だと一個食べきれない方も・・・ |
ゴム製大シャブロンでの作業は こんな感じみたいです 薄い生地であれば 歪みも気にならない程度だと思いますが 厚さ1cmともなるとこのやり方では・・・うーん ただ、辻口さんの著書でもこのような作業で ダックワーズを作られてましたので これもアリなんだとは思います (確かこちらの本モンサンクレール 軽やかさの秘密) (この写真の出典元のブログは 消えてしまったようです) |
◆◆◆ 作業工程についてのコダワリ ◆◆◆ |
1.アーモンドパウダーの下準備 |
アーモンドパウダーと粉糖の下準備にはいくつかバリエーションがあります。 NHK今日の料理で紹介された近藤冬子さんのレシピでは事前にオーブンで乾燥焼きしておくように指示されています。 こちらのレシピは高さ2cmのタルトリングで成形する分厚い生地の為、焼き色のつかない中心部分に生っぽさを出さないための工夫でしょうか? 乾燥焼きの作業はアントルメに仕立てる際に使用するダコワーズ生地を作る際によく見られる工程です。 私が試してみたところ、ボリュームの小さい成形においては焼き縮みが激しくなるように感じたので、小さめ成形のダックワーズでは特に必要無いと感じました。 弓田亨氏の「弓田亨のフランス菓子」 こちらではアーモンドパウダーと粉糖を両手でしっかり揉みこんでなじませるように指示されています。 弓田亨氏を心の師匠と仰いでいる私としては、彼の指示する工程には基本的には問答無用で絶対服従が基本なのですが・・・。 この「両手で擦り合わせ」についてはちょっと「???」 アーモンドパウダーは、いじればいじるほど油が浮いてくるので、生温かい人肌で擦り混ぜたりしたら、軽さが失われボソボソのクランブル状になりますし、メレンゲとあわせた際にもうまく混ざらないうえ、泡が消えやすくなってしまいます。 私がその作業の真意を取り違えているのかもしれませんが、こちらも個人的にはおすすめしない工程です。 |
2.「メレンゲ」を語ってみる |
本編の方でも書きましたが。 ひと口に「メレンゲ」と言っても、そのベストな状態はお菓子の種類によってかなり違います。 レシピ本によっては、どのお菓子に対しても「卵白でメレンゲを作る」と、一言だけで済ませているものも多くありますが、卵白の温度や砂糖を加えるタイミング、泡立ての速度や目指す硬さ、などはお菓子の種類によって、もっと言えば「自分が目指す仕上がり」によって、変わる、というのが私の意見です。 ツノの先がソフトクリームのようにお辞儀する「とろん」とした状態のメレンゲが合うとされるシフォンケーキから、鋭い角がピンと立つまで固く泡立てられたものを使うマカロンまで。 一般にこのように言われるお菓子でも、作り手次第で「ベストな状態のメレンゲ」は、意外に違っているものなのです。 では、今回のダックワーズ作りに最適であると、私が考えているものはと言うと、「粘りがあり、キメが細かく、ほどほどに固く、室温とのギャップが大きすぎないメレンゲ」になります。 この「最適なメレンゲ」を作るために、試行錯誤の結果、自分なりにあれこれと決まりごとを設けた結果が今回のレシピです。 その「決まりごと」は主に以下の卵白の特性を利用しています。 @ 卵白は温度が低いほど泡立ちにくいが、細かい気泡を作ることができる。 A 砂糖を加えるタイミングが早いと泡立ちにくくなり、ボリュームも出にくくなるが、粘りのある強いメレンゲになる。 B 「メレンゲ」とは卵白中のたんぱく質が空気に触れることにより変性する性質を利用したものである。 (以上は科学でわかるお菓子の「なぜ?」―基本の生地と材料のQ&A231 そして、卵白の性質とはまた別に、レシピの分量上の制約から必要になる工夫もあります。 それは、メレンゲを作るには圧倒的に少ない量の「砂糖」の扱い。 一般に、メレンゲは、砂糖分が多いほうが安定したものが出来上がります。 けれども、ことダックワーズに関してはひっじょーに少ない砂糖分でしっかりしたメレンゲを作ることを課せらています。 レシピでは、後に粉砂糖が入りますので、この粉砂糖を減らして、メレンゲを作るためのグラニュー糖を増やす方が、事が簡単に運ぶように思うのですが、なぜか、すくなーい砂糖分で強いメレンゲを作るように、大抵のレシピでは指示されているのです。 あくまで個人的な感想ですが、私が作り比べてみた結果、このメレンゲに加える砂糖の量の違いは仕上がった生地の歯切れの良さに現れました。 メレンゲに加える砂糖分が少ないほうが、よりさっくりと仕上がるんですね。 全体としての甘みは同じでも、メレンゲに加える砂糖分が多くなるほど、ヌガーのようなむっちり感が増します。 この違いは焼き立て時が一番顕著です。 両者は日にちがたつごとに砂糖分が生地になじんできて、最終的には似たような舌触りに落ち着きます。 ダックワーズに使うメレンゲが、少量の砂糖で作られる訳が「さっくり感のため」だけ、というのはちょっと理由としては弱い気がするので、他にも何か目的があるのだと思いますが、とにかく少ない砂糖分で目指すメレンゲに仕立てるための工夫も必要になるわけです。 以上を踏まえて、レシピで書いた手順の「なぜ?」を書き出していきます。 まず、卵白は半凍り状態のものを使います。 これは先ほど挙げた@を利用するためです。 シャーベット状の卵白から泡立てはじめると、ボリュームこそ出ませんがキメの細かい粘りのあるメレンゲに仕上がります。 欠点として挙がられる泡立ちにくさも、長時間泡立てたいので(理由は後述しています)むしろ歓迎。 ただその 一方で、冷たすぎるメレンゲは、室温とのギャップで焼成前に泡がどんどん消えてしまうというマイナス点も持ち合わせますので、泡立て終わりのころ(7分後)にはある程度メレンゲの温度が上がっていることも重要です。 そのため一口に「半凍り」といっても、夏場と冬場では「半凍りの程度」を調節する必要がでてきます。 夏場は溶けやすいのでかなりシャーベットに近い状態のものを、冬場は逆に溶けにくいので液体に近い状態のものを、それぞれ使用しています。 泡立てはじめに砂糖を少量加えるのはAの理由によります。 ダックワーズ作りにメレンゲのボリュームは不必要で、それよりも粘りのある強いメレンゲに仕上げることの方が重要。 初めの1分間は濃厚卵白のコシを切るために低速で泡立てますが、とりあえず加える砂糖分で無駄に泡立つことを防止します。 その後に加え続ける砂糖分の添加は、泡立ち過ぎによる卵白の分離を防いでくれます。 合計7分間というのは、メレンゲの泡立てにしてはかなり長い時間になります。 しかも砂糖分が少ない、ということで分離しやすい条件が余計に重なっている状態です。 そこでまず少量の砂糖を加える。 その後も絶えず糖分を加え続けることで少ない砂糖を有効活用しつつ泡立ち過ぎを抑制します。 メレンゲ作りに使う砂糖分が多いレシピでは、これほど小刻みに加える必要は無い訳ですが、今回のようなケースでは効果的な方法だと思います。 そして、ここで使用する砂糖の種類なんですが、オススメはごくごく一般的なグラニュー糖。 メレンゲ作りに使用する砂糖の量が少なく、無理に溶かしこむ必要が無い為、コスパ的にも安価な量販品で十分♪と言うのが最大の理由。 なんですが、もっともらしいウンチクを書き加えるとするならば、グラニュー糖の粒の大きさが今回のメレンゲ作りに好都合だと感じたわけです。 製菓の際、特にメレンゲ作りにはシュクレーヌなどの微細グラニュー糖が勧められることが多いですね。 これらは砂糖の粒が小さく、溶けやすいことが特徴であり利点なのですが、長い時間をかけてじっくり泡立てたいダックワーズ用メレンゲにとっては、むしろ粒が大きくゆっくり溶ける普通のグラニュー糖の方が都合が良い、ということなのです。 レシピでは2分目から5分目が終了するまで、絶えず15秒おきにグラニュー糖を加えています。 これは、「少量の」グラニュー糖を「ゆっくりと溶かす」事で有効利用しつつメレンゲ全体になじませることで、7分間の泡立てにも耐えられる(分離しない)メレンゲを目指しているわけです。 では、なぜ「7分間の泡立て」が必要なのかと言うと、卵白の特性Bを利用するためです。 メレンゲは、卵白が空気に触れることで出来上がるものです。 空気に触れる「量」が多いほうが、よりしっかりとしたメレンゲになる訳です。 と、言う事は、泡立てる量を増やして空気に触れる機会を増やし、それをできるだけ長い時間継続すれば良いことになります。 「泡立てる量を増やす」と言う部分だけ見ればハンドミキサーの最高速が、「長い時間」を取り上げれば低速で泡立て続けることが、それぞれ有利になりますが、前者は長時間の泡立てには向かず、後者ではいくら時間をかけても「泡立ての量」について絶対に高速に及ばないという欠点がでてきます。 そこでこの欠点を補うために、低速で泡立てはじめ、最高速まで、6分間かけてメレンゲを持ち上げ、最後の1分最低速でキメを整える方法に落ち着きました。 前述の科学でわかるお菓子の「なぜ?」―基本の生地と材料のQ&A231 その点から見ても、低速である程度粒のそろった泡を高速でより細かく寸断するように、段階を踏んで回転を上げていくやり方は理にかなっていると思っています。 と、いうことですので、ハンドミキサーの使用は、私のレシピでは必須、人力では無理、と結論しています。 以上が、私がレシピに記載した工程の理由です。 この考えに基づいた作業の果てには「粘りがあり、キメが細かく、ほどほどに固く、室温とのギャップが大きすぎないメレンゲ」が出来上がっているはずなのです。 ここまではメレンゲ作りについての考察でしたが、メレンゲ菓子の場合(ダックワーズやマカロンなど)、メレンゲに使用する「卵白の状態」についても諸説ありますね。 メレンゲに使用する卵白選び(?)のポイントでよく言われるのが、「強いメレンゲを作るためには古くてコシの切れた卵白を使うと良い」というもの。 その「コシ」を切るために、卵白のみを常温保存する方法や弓田氏などは果物の酵素を利用する方法なども紹介されているほど。 (これを濃厚卵白の水溶化と言うそうです) ただ、私個人はどちらかというと濃厚卵白の多い新しい白身のほうが好みです。 私はダックワーズ用のメレンゲに半凍りの卵白を使用していますが、水っぽい卵白を凍らせたものは解凍の際にカキ氷状のキメの粗いジャリジャリが残るのに対しし、濃厚卵白はシャーベット状のなめらかな半凍り状態になるので、キメの細かいメレンゲができるように感じるからです。 また、「新しい卵」で問題になる濃厚卵白も、その「濃厚さ」が私の理想とする粘りのあるメレンゲ作りに有意で、この点においても「新鮮な卵の方に一票」投じます。 ただ現実には、ぶっちゃけその都度残った卵白を冷凍して集めたものを使用していますので、新旧気にせず入り混じった卵白を使っているというのが実情で、そうして出来上がったメレンゲや焼き上がりのダックワーズに、特に激しい質の違いを確認したことはありません。 いずれにしろ、同じメレンゲ菓子のマカロンほど「外観上の仕上がり具合」のハードルが高くないので、私は、卵白の状態についてはそれほど神経質にこだわっていません。 さて、ここまで、「レシピの分量に忠実に従った上で粉合わせに耐えられる強いメレンゲを作ること」について試行錯誤した経緯を語ってみたわけですが、「とりあえず形だけでもダックワーズ作りを成功させたい!」ということであれば別のアプローチもあります。 先に書き出した通り、単純に砂糖の量を増やせばメレンゲを強くすることはできるわけですから、レシピ中の粉砂糖の量を減らし、メレンゲに加える砂糖分を増やして対応してみるのも一案です。 現に初心者向けには、全ての砂糖分をメレンゲに加えるグラニュー糖で計算してあるレシピも存在しますし、イタリアンメレンゲにすることで保形性の良い生地に仕立てる方法も目にしました。 (イタリアンメレンゲ;高温のシロップで半煮えにしたメレンゲを更に泡立てたもの、固く泡がつぶれにくいメレンゲになる) 生地の仕上がりをなるべく変えずに失敗を減らすには、グラニュー糖@を20g、グラニュー糖Aを40gに増やし、粉糖を43gとするレシピがおすすめ。 卵白152gに対する砂糖60gというのは、これでもまだまだメレンゲ作りには少ない方ですが、だいぶ作業はしやすくなるはずです。 焼成前に生地がダレてしまう、という失敗は、メレンゲの強さが足りないか、粉合わせがスムーズに行っていないか、いずれにしても作業に不慣れであることが原因の場合が多いように思います。(実際私がそうでしたし・・・。) なかなか思うような仕上がりにならない、と言う方は、砂糖の量を増やして強く安定したメレンゲを作り、まずは全体の作業手順に慣れてみる、というのはいかがでしょうか?。 メレンゲ作りから成形に至るまでの工程がスムーズにできるようになってきたら、その時は、ぜひ砂糖が目いっぱい少ない元のレシピにチャレンジしてみてください。 |
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