感じて楽しむ部活動

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 自覚を持ち、部に対して積極的に関わる部員へと、生徒が変わる瞬間

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1.期待される部員像

 「親はなくても子は育つ」という諺がありますが、「顧問がなくても部員は育ち」ます。その育っていく流れの中で影響を与えているのが、 「あんな先輩になりたいなあ」という、あこがれの対象や目標となる部員がいるということがあります。 顧問はすべての部員と話をして意思疎通をするべきですが、それには大変時間がかかります。 しかし、そんな目標となる部員をとおして他の部員の意見を知ったり、顧問の意図が部員に伝わりやすくなったりします。 これはよく言われる、リーダーの育成です。しかし、部活動の場合、顧問の意向を理解しそれを他の部員に伝えるという 中間管理職的なリーダーではなく、あんな先輩になりたいと後輩が思うような自立した部員として育てる方向で接していくべきでしょう。 これが、自主的な課外活動としての部活動での特徴の一つだと考えます。

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2.まわりの部員

 積極的に活動する部員は、顧問が特に何も言わないでも頑張ってくれます。しかし、すべての部員がそうなるのはなかなか難しいでしょう。 しかも、その活動的な一部の部員だけでは、部全体はスムーズには働きません。部全体が活性化するためには、その部員たちのまわりにいて、 ただその部員についていっているだけの部員が一緒に頑張るようになると、部は活発化してきます。演奏会やコンクールを通して 部が活性化してくるのはその例でしょう。もちろん、「コンクールで優勝する」というような、大きな目標でなくてもいいのです。 何か小さな目標が出来ると、普段の活動にはない、いろいろな事をしなければいけません。その練習以外の活動を支える仕事を、 部員が自分たちの役割として意識し、まわりの部員たちが支えるようになると活動はうまくいきます。

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3.仕事を割り振る

 しかし、どんなことをすればいいのか、部員たちでは思いつかないこともあります。そんな時に、それに気づかせ、 部員たちの動きの足りないところを指示するのは、顧問の出番です。部員は目の前にある問題には対応しようとしますが、 部全体を見ることはなかなかできないことです。それを顧問がサポートしてやればいいのです。その点から言って、 仕事の割り振りがうまくバランスが取れているかを指摘してやることも、顧問の動くところでしょう。さらにもう一つ、 そのようにして振り分けられた仕事を、日ごろは目立たないけど、今回がんばってる部員をちゃんと評価してやることは、 もっと大切になります。部員達が出来ることは部員達に、しかし、顧問にしか出来ないことは、いろいろ出てきます。 「顧問の仕事は自分で作っていくもの」という原点に立って、対応方法を考え作っていけばいいでしょう。

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4.部員の把握

 部員が増えてくると全員を把握するのは、だんだん難しくなってきます。部員の性格や特性までも細かく把握して指導することができるのは、 せいぜい10人が限度だと思います。多くの国の軍隊は、10人の兵隊に小隊長が1人いて、その小隊長10人を部隊長が束ねるという形になっていると 聞きます。これも、直接指導できる人数というのは、10人くらいまでという例でしょう。ですから部員が増えていったら、 中心になる10人くらいの生徒を指導することによって、部全体を動かす方法を採るほうが効果的です。そのためには、 部の組織化が必要になってきます。

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5.毎年、変化するもの

 部を組織化するには、中心なる部長や副部長とそれをサポートする各種係りを作って、それをまとめるために、 各係りの関係をつなげていけばいいわけですが、どんな形にするのかは、部の活動形態・部員の人数などで千差万別です。 特に各種の係りなどは、それぞれの部の実情に合わせて決めていけばいいでしょう。それより問題とすべきことは、その組織を固定化するか、 しないかということです。なぜこのことが問題となるかと言えば、部活動は、毎年部員が変わるからです。これは他の組織にはない特徴です。 構成員にあまり大きな変動のない、学校や会社の一般的な組織は、ある程度、固定化の必要があります。 しかも、そのほうが効果的な組織としての運営が出来ます。 しかし、構成員の人数やその構成員の持つ資質も毎年変わる部活動の組織を、固定化しておく必要があるでしょうか。

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6.組織は作り上げていくもの

 組織を固定化しておく方が効果のあがる場合は、部員の人数が多くなってきた時です。それぞれの係りへの人数配分に余裕があり、 多少の仕事の遅れや失敗などにも、人的パワーで対応できる場合は、大きな目標を持って充実した部活動にするためにも、 組織の形を決めた方が良いでしょう。仕事内容をはっきりさせて、それをやるべき時期が判っていれば、毎年新しく入ってきた部員達は、 戸惑うことなく組織の中で動くことが出来ます。そして、やるべき仕事をこなし、対応を早く済ませることができれば、その分、 練習にも打ち込めるというものです。しかし、人数の少ないうちは、そんな対応は出来ず、部活動のいろいろな仕事を 部員みんなでこなさなければなりません。例えば部員が減少した時、どの仕事を減らしていくのかは、悩ましいところです。 今までの組織ではなく、より効率的な新しい組織に作り直さなければならないかもしれません。組織再編を実行するには時間がかかり、 その分練習が停滞することがあるかもしれません。しかし、この新しい組織を考えたり、それを試してみることに時間をかけるのも、 無駄ではないと思います。それは、部活動には、今までの組織に縛られない新しいメンバーがいるからです。 毎年、部員が入れ替わるという、組織としての短所を長所に置き換えてみましょう。新しいメンバーは、いままでのしがらみなど露知らず 新しい意見を出してくれます。こうした意見と、今までの組織の利点を再構築して新しい組織作りを考えていくことができます。 そして、この実社会に似た活動をとおして、部員たちは自身の自発性や指導力、そして彼らの個性を育てていきます。 このことこそ、課外活動としての部活動で経験できる利点となります。

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7.自信のない部員が変わっていく時

 ある心理学の実験で、テストを受けた子供たちの中から、任意に選び出した子供の担任の先生に 「この子供たちは、将来きっと成績が向上します」と伝えておいて、一年後、もう一度テストを行います。 すると、無作為に選び出したにもかかわらず、選んだ子供たちの成績があがっているという結果がでるそうで、 この現象を「ピグマリオン効果」といいます。いままで自信のなかった部員が、何かのきっかけで、顔つきが変わり、 目標を持って自主的に取り組んで行くようになる瞬間があります。それを引き出したのは、本人が、なんらかのきっかけをつかんだ場合もありますが、 まわりの人間から影響を受けた場合も多く見受けられます。たまに来ていたOBが「うまくなったな」と一言声をかけた、とか、 顧問の「頑張ってるね」の一言とか、ほんの些細なことがその力を引き出しています。顧問はいつも部員の可能性を信じてやってることが大事です。

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