感じて楽しむ部活動

Main > 部活動 > 一緒に楽しむには1

  生徒と一緒に音楽作りを楽しむ、吹奏楽部・合唱部を指導する時の顧問の心構えです。

このページに関するご意見・ご感想は、左側のメニューにある「メール」で、お寄せください。

1.みんなで一つのものを

 合唱部や吹奏楽部の楽しさの一つは、音楽を通してすばらしい感動に出会うことが出来ることです。生徒達は、 まず練習することによって音楽に対する表現力を上げていきます。しかし、うまく音楽できるようになったからといって、それだけで、 すばらしい感動に出会うことは出来ません。そのうまくなった一人一人の力を、こんどは組織として、部全体としての力に変えていくことによって、 大きな感動に出会うことが出来ます。これはあたりまえのことのようですが、部活動以外の学校活動では、あまりそうした機会は多くありません。 文化祭を通したクラス活動などがあると言われるかもしれませんが、その時間数は、年間ではそんなに多くはありません。ほとんどのクラス活動は、 教師から一方的に情報を与えられて動く、授業のような活動がほとんどです。生徒が主体となって同じ目的で活動する、 このような活動は部活動こそが学校生活の中で大きな成果をあげられるものであり、これが部活動としての存在意義となるものです。 今の社会にはこの点が欠けがちではないでしょうか?みんなの力を結集させてひとつのことを成し遂げていく、この大切なことを体験させるために、 顧問はどう準備をして、どうやって部を動かしていけばいいのかを考えてやればいいのです。部全体が組織として、 一つも目標を持って生徒と一緒に動いていく、これが顧問の基本姿勢としてのひとつの大切なポイントでしょう。

このページの最初に戻る

2.説明責任を果たすと、自分が磨ける

 しかし、もちろん音楽系の部活動においては、音楽の面において、部員にうまく音楽を伝えられるということは大事です。 部員に音楽を十分に伝えられるようになるということは、当然のことながら、それだけ自分自身の音楽に対する認識が深まらないと出来ません。 部員が音楽に対する表現力を増していく、つまり、部員が育っていくということは、その育てる事を通して顧問自身が音楽を理解し 成長していくことであり、自分自身の自己啓発にほかならないのです。部の顧問をすると、指導に時間を取られて、 校務や授業に落ち着いて取り組めなくなるというような話を聞きますが、部顧問は自分の時間を犠牲にしてするものではないのです。 部を指導して音楽をより理解する力は、通常の授業で生徒に分かりやすく説明するのに役立ちます。 また、部を一つの目標に向かって動かしていく力は、他の先生と一緒になって公務をこなしたり、行事を進めるときに役立つのです。

このページの最初に戻る

3.部員から顧問は選ばれている

 顧問がどんなスタンス(ワンマン・合議・放任)を取っていても、生徒たちは自分を伸ばしてくれる・自分を変えてくれる顧問についていきます。 例えば、「この顧問は、技術指導はしてくれないけど、自分たちの活動を見守って支えてくれて、自分たちの活動がやりやすくなり、 部活動が楽しくなってきた」とか、「この顧問の指導は、多少厳しいかもしれないけれども、それによってうまくなり、いい演奏ができた」と、 思える顧問についていきます。授業は、決められた時間・場所・内容で行われ、生徒は内容や教師を選べません。 したがって、しかたなく席に座り、教師のやっていることに上の空であっても、授業としては成り立っていきます。 しかし、部活動では、生徒自身が楽しくなければ、そこに座っている必要はないのです。直接、技術指導するかどうかにかかわらず、 顧問の生徒に対する姿勢で、生徒自身が得るものがあると思うときに顧問を評価します。部活動におけるこの特徴を心得て顧問としてのスタンスを 決めていきましょう。

このページの最初に戻る

4.主従関係ではない

 ただ、生徒からの評価と、日本的な主従関係を誤解している人が多いので注意が必要です。生徒をつき従えているということと、 生徒がついてくることは当然違います。部活動を、顧問の考えで動かそうとするあまり、自分が先頭に立って「後からついて来い」式に走り、 ついてくる者だけを評価して後は切り捨ててしまうやり方に走ってしまうことがあります。最初に、仕事を作るという意味で、 顧問は会社の社長という立場でということを書きました。その社長は会社という集団に対しては、目的の明確化とリーダーシップの発揮をする 必要があります。その上で、その集団を動かすためには、情報の公開や、部員との意思疎通が必要です。しかし、学校の先生は、授業という特性から、 情報は自分が握っていて、必要に応じて生徒に与えるものとしがちです。また、教えるという特性から、一方通行になりがちな授業の方法論を そのまま部活動の手法に押しつけてくる人が多く見受けられます。このような点に注意しないと、主従関係に陥ってしまいます。

このページの最初に戻る

5.個性とまとまり

 吹奏楽部の面白さの一つに、いろいろな楽器が、それぞれ違った音楽を奏でてるにもかかわらず、その異なった音が響きあうと 素晴らしい音楽になる、ということがあります。案外認識されてないんですが、合唱部の場合も、混声合唱では4つの声部だけをまとめれば良い と思われがちです。しかし、人の声は一人一人の声帯が違い、体型が異なるのですから同じ声はないのです。 ですので、十人いれば十の音色が出ています。この場合にも、この声をひとつにまとめると素晴らしいハーモニーが出てくるのです。 部活動の運営もこれに似ています。部員の性格は十人十色です、これらの一つ一つの力が一つにまとまると素晴らしい力を発揮します。 みんなが一つの目的に向かって動いていくことが大切ですが、その前提として、個性を認めあうことをいつも尊重すべきです。

このページの最初に戻る

6.いい指導者はいい演奏家である必要はない

 よく、「私は吹奏楽の楽器が演奏できないから、歌を専門的に歌ったことはないから、吹奏楽や合唱部の顧問は出来ない」と言う話を聞きます。 しかし、例えば、プロ野球の名選手と名監督が同じではないように、プレイすることと、クラブをマネージメントすることは違っていて、 演奏が出来るということと、顧問であることは別の話です。しかも、吹奏楽部・合唱部では部活動の顧問は、生徒に対して自分の演奏を聞かせて 指導するというような専門的な力を発揮する場面は、ほとんどないといっていいでしょう。確かに、吹奏楽や合唱部の顧問という仕事は、 楽器の演奏技術や歌唱法を知っていると、より効果的に指導できます。しかし、そのすべてを知っているというゼネラリストであることが 顧問としての必要条件ではなく、顧問は、顧問をするというスペシャリストの仕事なのです。 もちろん、個々の楽器の演奏法やいろいろな曲の歌唱法を研究していくことも指導に役立ちますが、それより、部活動をまとめて、 ひとつのものにしていく方法を考え、作り出していくこと方が大切です。

このページの最初に戻る

7.情報共有

 一つの目標に向かってみんなで活動していくのですから、顧問と部員も同じ情報を持つのが当然です。しかし、簡単なことさえ、 部の内部で共通の認識になってない場合がほとんどです。基本となる、練習時間・練習日時・練習場所から、部の組織としての役割分担、 そして、顧問の活動方針など、当たり前のことが共通認識になっていないのです。情報は、ただ単に伝達するだけでは、意味を持ちません。 情報の持っている意味は、認識する受け手の生徒の意識が働いて初めて伝わったことになります。つまり、生徒が単なる伝達事項として聞き流すのか、 意味を知って価値ある情報として記憶に留めておくかの違いです。顧問のクラブに対するスタンスが確固たるものになればなるほど、 ちゃんと伝わり情報の共有は進みます。また、部員達の意識があがって、みんなが一生懸命にやろうという意欲が高まれば高まるほど、 情報の共有もしっかりしたものになります。

このページの最初に戻る