山小屋(ハット)

                     (1)ハット
                     @バックカントリーに適したハットとその場所
                     Aハットの施設と持っていくもの
                     B予約と費用
                     Cハットの利用方法
                     DACCメンバーの入会方法
                     (2)山小屋として使えるシェルター

 山小屋の種類はバックカントリー・ロッジとハットとシェルターの3つがある。

・バックカントリー・ロッジ(Backcountry Lodge)
 食事付きでベットがあり、軽いザックでバックカントリーを楽しむことができる。利用していないので、紹介できないが、カナダ・ヤフーで、「Backcountry Lodge」のキーワード で検索すると、そのほとんどを知ることができる。ヘリコプターで行くアシニボインや馬で行くトンキン・バレーなど変化に富んだ小屋泊りが楽しめるようだ。ロッキーエリアでロッジがある場所は10ヶ所前後だと思う。
  ・ハット(Hut)
 カナダ山岳会(The Alpine Club of Canada, 略してACC) が保有管理している。食料と寝袋を持っていく必要がある。詳しく紹介します。

・シェルター(Shelter) 
 国立公園や州立公園などが管理しているようです。ほとんどが避難小屋の類ですが、1ヶ所、バックカントリーに良い所があり予約をしましたが、残念ながら風邪で行くのを中止してしまったので、調べた内容のみを紹介します。
ACC のハット・カタログ
  メンバーになると送ってくる
 


(1)ハット

  関連する リンク先
  カナダ山岳会、クラブハウスとハット(英) 

@バックカントリーに適したハットとその場所

カナダ山岳会(以下ACC)のハットは全部で23あるが、ロッキーエリアにその大部分の20のハットがある。ただ、ほとんどがアルパイン・クライミングやアイス・クライミングの為のハットで、ハットに行くのにもクライミングの技術と経験が無いと辿り着けない所が多い。
そんな中にもバックカントリーに適した所があるので紹介します。

・エリザベス・パーカー・ハット(Elizabeth Parker Hut)
 
 ACCのリンク先(英):Elizabeth Parker Hut  
  当HPのリンクページ:
エリザベス・パーカー・ハット

ヨーホー国立公園のレイク・オハラ(Lake O'Hara) のそばにある。バンク数(ベッド数)24。3000mを越す山に囲まれた所で、変化に富んだ沢山のトレイルがある。近くにバックカントリー・ロッジのレイク・オハラ・ロッジ(Lake O'Hara Lodge) もある。入山の人数が制限されていて、アクセスはヨーホー国立公園が運営するバスに乗る。予約が必要。
ハットへは、バスを下りて15分ほど歩けば着くので、人気が高く、他のハットと違い、決められた期限内に申し込み、申し込み者数がバンク数(ベッド数)を越えていれば抽選となる。

・スタンレー・ミッチェル・ハット(Stanley Mitchell Hut)
   ACCのリンク先(英):Stanley Mitchell Hut

ヨーホー国立公園のアイスライン・トレイル(Iceline Trail)を歩くのにぴったりのハット。バンク数26。 アクセスは、ヨーホー・バレー・ロード(Yoho Valley Road) の一番奥のタカアカウ・フォール(Takakkaw Falls)駐車場より3〜5時間のハイク。アクセス道路が6月末までクローズなのを知らずにその前に計画してしまい、ハットには行けなかったが、後日デイ・ハイクでアイスライン・トレイルの一部を歩いた。滝を眼下に、氷河を間近に見る、展望の良いコース。

・ワッテス・ギブソン・ハット(Wates-Gibson Hut)
  ACCのリンク先(英):Wates-Gibson Hut
  当HPのリンクページ:
ワッテス・ギブソン・ハット

ジャスパー国立公園のトンキン・バレー(Tonquin Valley) の南端にある。バンク数26。アクセスはマウント・エディス・キャベル・ロード(Mt Edith Cavell Road) の Cavell Hostel 前から6〜7時間のハイク。健脚向き。トンキン・バレーは3000m以上の山に囲まれた標高2000mの湖と湿地帯を含む盆地で、広々とした景色を楽しめる。
湖に面してバックカントリー・ロッジのトンキン・アメジスト・レイク・ロッジ(Tonquin-Amethyst Lake Lodge) とトンキン・バレー・バックカントリー・ロッジ(Tonquin Valley Backcountry Lodge) がある。

・アーサー・オー・ウィラー・ハット(Arthur O Wheeler Hut)
  
ACCのリンク先(英):Arthur O Wheeler Hut
  当HPのリンクページ:
アーサー・オー・ウィーラー・ハット

グレーシャー国立公園のロジャース・パス(Rogers Pass) 近くの国道1号線から少し入った所にキャンプ場用の駐車場があり、ここから徒歩数分で行けるので、どんな食料でも運び込める便利なハット。バンク数30。付近に沢山のデイ・ハイクのトレイルがあるが、多くは健脚向き。

・フライアット・ハット(Fryatt Hut)
  ACCのリンク先(英):Sydney Vallance (Fryatt) Hut

ジャスパー国立公園のフライアット・バレー(Fryatt Valley) にあるハット。バンク数12。アサバスカ・フォールス(Athabasca Falls) 近くのジェラルディン・ファイアー・ロード(Geraldine Fire Road) の途中からトレイルが始まる6〜8時間の健脚向けコース。ハットを調べただけで、どんな場所かは知らない。


Aハットの施設と持っていくもの

・施設

ACCのハットは、施設内容でClass A+ からClass B まで4段階に分かれていますが、上記のハットは全てClass A+ のランクです。
部屋はマットレス付きのバンク(ベッド)とダイニングとキッチンに分かれていて、プロパンのガスコンロ、食器や鍋のキッチン用具一式があり、暖房は薪ストーブ。ワッテス・ギブソン・ハットには大きなガス・オーブンまであった。プロパンガスの照明ランプがあるが、夏は寝るまで明るいので使わなかった。トイレ(水洗ではないが、あまり臭わない)は屋外、水は小川か池から汲み煮沸して使用。小屋はログハウスでしっかりした建物、管理人(ウォーデン;Warden)はいないが極めて綺麗。

・持っていくもの

食料、寝袋、トイレットペーパー、ごみ袋、食器の洗剤、布巾、薪ストーブ点火用にマッチと新聞紙など。このハットの特長は、携帯コンロや食器類を持っていかなくて良いこと。
予約完了時に送ってきた予約ナンバーの書かれた受領書とウィルダネス・パスも忘れずに持っていく必要がある。


B予約と費用

上記に紹介したハットについて、予約方法と費用ついて紹介します。

a.予約

 ・エリザベス・パーカー・ハット以外の場合
  予約詳細内容のリンク先(英):Booking for Huts

ハットの予約は先着受付順だが、資格によって申し込みができる期間が決まっている。
 ハット・オプション(アップ・グレード)有りのACCメンバー;1年前から予約可能
 ハット・オプションなしのACCメンバー            ;60日前から
 ノン・メンバー                          :;;30日前から
申し込みは電話、FAXでもOKだが、e-mail でもできます。私はe-mailで申し込みました。予約可能の返事がきたら、クレジット・カードの詳細を連絡する。連絡後、予約番号や予約の日、引き落とし金額や小屋のキーナンバーなどが書かれた左のような予約確認書が送られてくる。この用紙をハットに泊るときに忘れずに持っていく必要がある。
  カナダではハットも少なく、予約も早くから受け付けるので、とれなかったら困ると思い、ACCメンバーになり、泊る日を平日にして8ヶ月前に申し込んだ。行ってみると7月7日・8日というのに、ワッテス・ギブソン・ハットは2日間とも我々夫婦2人のみだったし、ウィラー・ハットは7月16日・17日のハイク最盛期というのに、2日間とも我々を含めて3パーティーの9人しか宿泊者はいなかった。綺麗な小屋で設備も良いのに何故だろうと、帰ってきてからもずーと不思議に思っている。あまり知られていないためだろうか。

 ・エリザベス・パーカー・ハットの場合
  
予約詳細のリンク先(英):Elizabeth Parker summer booking policies

  このハットは人気のハットで、他のハットと違い手続きも面倒だし、なかなか予約がとれない。6月第3週末から10月第1週末までの期間は、ACCメンバーに限り、前年の11月1日までに、希望日を申請をすることができる。申請はe-mailでOK(上記リンク先に申し込みフォーマット/Elizabeth Parker Hut Lottery Formがあります)。申請には第1から第3までの希望日とバス乗車の希望時刻を記入する。ACCは11月30日までに希望者を集計し、多数の場合は抽選をして、結果を連絡してくる(下の表)。 
選定された人は12月15日までに予約を入れ、ここで始めて手続きが完了する。予約の確認書が送られてくるので、ハットに泊る時には必ずこれを持っていく必要がある。
選外者は送られてきた予約状況の表から、空きの日を見て再申請ができる。私は6月30日と7月1日の2日間申し込んだが、幸い希望通りの日がとれた。7月中旬から8月にかけては、ほとんどの日がACC主催のハイキングやクライミングなどでハットが独占され(Exclusive になる)ているので、予約はかなり難しいと思う。
 
  申し込みの日が12月16日以降は、他のハットと同じシステムになり、空いていれば、先着順に受け付ける。このハットで一緒になったシンガポールから来たノン・メンバーの若い3人連れは、6月29日と30日の2日間を30日前に申し込んで、予約がとれたと言っていた。いっしょにいたカナダの人もびっくりしていたが、うまく隙間に入ると、直前でも取れる場合があるようだ。

b. 費用(2004年時点)

*ハット費用(一泊)   
*:エリザベス・パーカー・ハット以外
・ハット・オプション有りのACCメンバー;C$19.50
・その他(ハット・オプション無しのACCメンバー及びノン・メンバー) ;C$26.00
 *エリザベス・パーカー・ハット
・ハット・オプション有りのACCメンバー;C$21.00
・その他(ハット・オプション無しのACCメンバー及びノン・メンバー) ;C$27.00 
 
*バックカントリー・ウィルダネス・パス(Backcountry Wilderness Pass)

ACCハットに泊るには、ウィルダネス・パスが必要。2003年に比べ30%近い大幅なアップになっている。ACCメンバーの場合、ACCハットの予約時に申し込むと年間パスが若干安くなる。              
・年間ウィルダネス・パス ACCメンバー;C$52.00 ノン・メンバー;C$56.00
・1泊ウィルダネス・パス    〃     ;C$8.00     〃    ;C$8.00 


Cハットの利用方法
 
 ・ハットに出発する前に必ずACCに確認すること

 送られてきた予約確認書に書いてあるハット名と宿泊日の横に Comb;---- と4桁の番号が書いてある。これはハットの入口の数字合わせ錠(Lock Combination )番号で、重要な番号です。実は、ハットに着くまでは、小屋にはだれかいるだろうと軽く考えていたのですが、ワッテス・ギブソン・ハットのように我々2人以外だれも来ないという場合もありますし、朝最後に出発する人は戸締りをして鍵を閉めますから、次に来る人は必ず鍵を開けなければ小屋には入れないということで、行ってみてこれは大変な番号だと思い知らされました。
 送られてきた予約確認書に書かれた錠番号が正しいとはかぎりません。間違っていればどうにもなりません。予約確認書の裏面に書いてあることですが、
    ハットに行く2〜3日前には必ずACCのオフィースに電話をし、Lock Combination
   の番号に変更がないか確認すること。
 とあります。この時に一緒に道路やトレイルの状況も教えてくれます。もちろん道路やトレイルの状況はビジター・センターでも聞けますが、鍵の番号はACCしか教えてもらえません。
 
  ・ハットで注意すること
 
 一般的に守らなければならない基本ルールはどこでも一緒ですが、

@ちょっと気をつけたいのが、近くの小川や池(湖)では洗いものをしてはいけないことになっている。歯磨きも、ハットの洗い場ですることになっている。
 
A誰もハットに居らず、鍵を開けて入った場合、雨戸を開け、小屋の中の説明書きを良く読んでから行動する必要がある。ガスの元栓の場所や、薪ストーブの使用方法や、水の場所などが、きちっと書いてあるので、良く読めば始めてでも問題はないと思う。ただ、プロパンのパイプが天井を這ったガスの照明ランプは、どうも怖い感じがして、一度も使わなかった。

B小屋を出る時に他に誰もいない場合は、全ての戸締りをして出る必要がある。またキッチンの水入れのバケツは満タンにしておくことが要求されている。

C薪ストーブの灰は取りだし、専用のバケツに入れることになっている。ワッテス、ギブソン・ハットでは、出発の朝、周りの山に雪が積り、かなり寒かったが、薪を焚いたときの火だねの処置に困るので、朝、ストーブを使わず我慢したが、ストーブの中に火だねは残したままハットを出ても問題ないのかも知れない。 


DACCメンバーの入会方法

  関連するリンク先
  カナダ山岳会メンバーシップ(英) The Alpine Club of Canada, Membership

 ACCメンバーにならなくても、ハットに泊まることができるが、予約を確実にする為にはACCメンバーに入るのが得策と思う。少し高いが年会費約 6000円を出せば何の条件も無しにメンバーになれる。ただハットを利用しないのであれば、ハイカーにとっては入るメリットは無いと思う。

2004年の年会費の内訳は
 ・基本料 C$31.00
 ・地域加入料 カナディアン・ロッキーの場合 C$10.00 (地域によって料金が違う)
 ・海外郵送料 C$7.00
 ・ハット・オプション C$22.00 (早くハットの予約ができ、料金が一部安くなる特典)
合計はC$70.00です。詳細はリンク先を見てください。

申し込みはオンラインのフオーマットがリンク先を開くとあります。質問に答えていくと申請が完了するようになっている。ハットの予約前にメンバーになっていないと意味がないので、かなり前から計画を立て始める必要がある。


(2)シェルター(Shelter)
 
 関連するリンク先
  バンフ国立公園、バックパッキング(英) Banff National Park-Activities-Backpacking

ヨーホーのスタンレー・ミッチェル・ハットがアクセス道路のクローズで行けなくなったので、替わりが無いか、捜したところ、バンフ国立公園に避難小屋ではなく山小屋として利用できるシェルターが2つあることが分かった。
バイラント・クリーク・シェルター(Byrant Creek Shelter)とエジプト・レイク・シェルター(Egypt Lake Shelter)です。バイラントのほうは、場所も良く分かりませんが、エジプト・レイクの方は、有名なサンシャイン・ビレッジ(Sunshine Village)からヒーリー・パス・トレイル(Healy Pass Trail)を通って行けるので、予約を電話で入れた。予約方法はバックカントリー・キャンピングと同じです。
入山する前に、許可書をインフォメーション・センターでもらったのが、左の用紙です。泊る日、シェルター名、費用(シェルター費、1人C$7.00、予約費C$12.00)等が書かれている。残念ながら女房共々風邪をひき、大事を取って当日の朝、行くのを中止したので、詳しいことを紹介できません。
マットレス無しの寝室2部屋、薪のストーブがあり、ガスコンロや食器無しとなっているので、寝袋と携帯コンロと食器を持参する必要がる。