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37.オカヤドカリの繁殖2009 ― 繁殖のツボ ― |
![]() 2009.10.3撮影 孵化後2か月、上陸後1か月 グラウコトエから稚ヤドカリに変態して間もない個体 10年以上生きるナキオカヤドカリだが、この一瞬が最も愛らしい |
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ブログが広まりはじめたのは、2004年から2005年頃、奇しくも例の玩具屋や花屋の愚行に端を発したオカヤドカリ騒動とほぼ同時期だったと、記憶している。 それまで、オカヤドカリ(類)は(露店で買ってきてひと夏で死なせるという一時的な畜養を除けば)、ごく少数の愛好家がひっそりと楽しんでいるマイナーな飼育動物であり、当然オカヤドカリに関するサイトも数えるほどしか存在しなかったのだが、それはそれでそれなりに平和でのんびりとした時代だった。 それが2004年の夏を境に一変する。 大手玩具メーカーの残酷な販売戦略に乗せられてオカヤドカリを飼う(買う)人が急増したことに加えて、専用ツールで簡単にホームページが公開できるブログの普及で、オカヤドカリをテーマにしたサイト(ブログ)がWeb上に乱立することになる。 当初は悪趣味なペイント貝を着せた画像を掲載したり、既存のサイトから盗用した情報をアフィリエイトにしたりと、低レベルで低モラルなブログばかりが目に付いて正直うんざりしたものだが、やがて純粋にオカヤドカリの飼育を楽しんでいる飼い主さんによる良心的なブログも登場しはじめる。 業者の思惑に反するであろう記事をアップするたびに、おびただしい件数の嫌がらせメールが送られてくる殺伐とした状況の中、そんな良心的な飼い主さんたちの存在にはずいぶんと励まされたものだ。 ― 2004年に株式会社トミー(現株式会社タカラトミー)が発売した生体玩具「ハーミーズクラブ」と、それに追従する無知で無責任な新規参入業者による、あまりにも酷 いオカヤドカリの扱いに愛好家たちが声をあげたのは当然の成り行きで、(是非はともかく)業者を糾弾することを主目的にしたサイトやブログもいくつか公開された。 そんな流れの中、当サイトは業者が発信するいい加減な飼育情報によって無為に命を落とすオカヤドカリを少しでも減らす一助になればと、自身の知識と経験を元にオカヤドカ リを「飼育」するための情報をまとめたページを作成し公開した。 これが現在公開中のコンテンツ「オカヤドカリを飼う!」のベースになっている。 つまり「オカヤドカリを飼う!」は、[売らんがための嘘情報」を垂れ流す業者やその取り巻きを牽制するために立ち上げたコンテンツだから、当然その内容は「みんなで楽しくオカヤ ドカリを飼いましょう」的なアプローチではなく、どちらかといえば「気軽にオカヤドカリを飼うな!」という色合いが強くなっている。 だから読み物としては面白くもなんともないし、業者寄りの飼い主にはさぞかし不快な内容だろう。 さらに、これは普遍的な飼育情報ではなく、あくまで管理人個人の経験に基づく情報に過ぎないから、不完全で偏った情報であることは、書いた本人が一番良く認識している。 ― |
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そんな時期に重なるように、多くのオカヤドカリ・ブログが登場し、その簡便性から凄まじい勢いで日々更新される情報を見るにつけ、数多のオカヤド飼いさん達が活発に情報を提示、交換し合うことによって、オカヤドカリの飼育技術がどんどん進歩する事を大いに期待したのだが・・。 現在、検索でヒットするブログをみると、飼育環境や飼育技術は充分な水準にあるし、非常に美しい水槽レイアウトに感心させられることが多い。 ただ残念なことに、内容はオカヤドカリを擬人化した漫画的なアプローチに終始するか、Web上で集めた古い情報を二次発信している記事がほとんどで、(皆無ではないが)新鮮な「オカヤドカリ情報」を見つけることは非常に難しいのが現状。 コメント欄にしても、ほとんどが記事に対する肯定的な短い文章であり、それに管理人が無難な内容で個々に返信するというパターンに終始していて、かつてのヤド研のように、何人もの飼い主が意見を出し合い建設的な議論を交わしながら、個人的な飼育経験を普遍的な飼育情報に変換していく・・といった、例はまったく見ることができない。 たまに記事に対して否定的なコメントや疑問を投げかけるコメントが投稿されても、何の返信もなく一方的に削除されていたりするから、ブログ管理人が議論を求めていないことは判るのだが、ヤド研やハートミットクラブの全盛期を知る一人としては、貴重な情報源であるコメント欄に言論統制を掛けるのは何とももったいない気がする。 もちろん日記サイトである「ブログ」に、恒常的な情報掲示を求めるのは筋が違うと思うのだが、せっかくこれだけ多くの飼い主がブログを立ち上げて情報を発信しているのだから、(コメントも含む)数多の記事に埋もれた砂金の如き情報を多くの飼い主が共有し意見を交換できる環境が整えば、オカヤドカリの飼育技術は大いに向上するはずである。 「ヤド研」や「ハートミットクラブ」が、オカヤドカリ飼育方法の基盤を確立してよりすでに十余年。 それ以降に発表された研究成果やWeb上で発信されたオカヤドカリ関連の情報は膨大な量になるだろう。 そんな新しい情報を吸収消化した新世代のオカヤド飼いさんによる「決定版!オカヤドカリの飼い方サイト」の登場を期待しているのは私だけではないと思うのだが・・。 |
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それはともかくとして・・。 現状、オカヤドカリ飼育に対して愛好家が目標とするのは、「長期飼育」と「繁殖」の2点に集約されると言っていいだろう。 長期飼育の事例は現存のブログの10年、20年先の報告を待つしかないが、繁殖については今年(2009年)あたり多くの情報が集まるのではないかと期待して、こまめにオカヤドカリ関係のブログを回っていたのだが、残念ながら期待はずれの感は否めない。 ゾエアを確保した例は何件かあるようだが、記事を読む限りではあまり前向きに取り組んでいるように思えないし、当然結果も出ていない。 どうも必要以上に「オカヤドカリの幼生飼育は難しい」という思い込みが強くて、飼い主の腰が引けているような感じがする。 オカヤドカリの人工繁殖事例が少ないのは、今まで誰もそんなことをやらなかったからで、シオミズツボワムシやクロレラの培養から始まる海水魚や甲殻類のブリーディングに成功しているアクアリストはいくらでもいるし、彼らに言わせれば「最初からブライン?楽でいいねぇ」といった程度の難易度だろう。 そんなわけで、今回はせん越ながら管理人が6年間にわたる繁殖挑戦経験から得た「誰にでもできるオカヤドカリ人工繁殖のツボ」を交えつつ、2009年の記録を紹介して行くことにする。 この記事が「オカヤドカリの人工繁殖」のハードルを少し下げて、多くの愛好家が繁殖に取り組む一助になれば、ちょっと嬉しい。 |
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2009.11.8 |
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