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「氷河期」は正しいか?


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「氷河期」は正しいか?

ブライアン・フェイガン著「古代文明と気候大変動」という本の中にチョイト気になる訳注がありました。

「一般に最終の氷河時代は200万年から1万年前までの更新世を指すが、本書では1万5000年前頃を氷河時代の終わりとしている。なお、氷河時代(ice age)と氷期(glacial period)の双方を意味する言葉として「氷河期」という言葉がよく使われるが、紛らわしいので本書では使用を避けた。」

というものなのです。そこでさあ、作業開始です。先ず国語辞書から・・・


大辞林(第3版)

【 氷河時代 】

@ 世界的に気候が寒冷で,氷河が中緯度地方までも拡大した時代。先カンブリア時代の後期,古生代の後期,新生代の第四紀にあった。
A 新生代の第四紀の更新世の称。北半球の高緯度地方や山岳地帯を中心にして,間欠的に何回も大規模な氷河が発達・拡大した。 → 氷期 ・ 間氷期

【 氷期 】

氷河時代のうち,特に気候が寒冷で氷河が発達・拡大し,世界的に海面低下が生じた時期。氷河期。 ⇔ 間氷期

【 氷河期 】

@ 氷期のこと。氷河時代のうち,特に気候が寒冷で氷河が発達した時期。 → 氷期
A 転じて,何らかの分野において困難な状況が続く時期のこと。


広辞苑(第6版)

【氷河時代】

地球上の気候が非常に寒冷となる氷期と、現在のような温暖な間氷期とが何万年かの周期で繰り返される時代。先カンブリア時代には八億年前〜六億年前に全地球凍結があり、古生代後期にはゴンドワナ大陸に氷河が発達した。最近の氷河時代は寒暖の変化がはっきりとなった二六〇万年前以降。大陸上に氷床が急速に発達したり急速に衰退したりするのが特徴。

【 氷期 】

氷河時代の中で、地球上の気候が寒冷で、大陸の広範囲に氷床が拡大・前進した時期。最近の氷河時代である第四紀には数十回の氷期があった。→間氷期

【 氷河期 】

通常は氷期のこと。時には氷期と間氷期の繰り返された氷河時代を指すこともある。


大辞泉

【氷河時代】

地球上の気候が寒冷となり、広範囲に氷床(大陸氷河)が発達した時代。先カンブリア時代末期・古生代二畳紀・新生代第四紀などにあったことが知られている。特に、最も新しくて大規模な氷河の発達した第四紀更新世をさす。

【氷期】

氷河時代のうち、特に寒冷で、氷床が拡大して発達した時期。氷河期。→間氷期

【氷河期】

⇒氷期


新明解国語辞典(第6版)

【氷河時代】

地質時代の区分の一つ。地球が寒冷で、地表が広く氷河におおわれた非常に古い時代。六億年〜二百万年前まで三次にわたる。〔普通には、最新の洪積世のそれを指す〕

【 氷期 】【 氷河期 】は無し。


では、百科事典はどうでしょう。


世界大百科事典これです。


万有百科大事典は少し長いですが・・・

【氷河時代】ice age

いくつかの地質学的な証拠から,過去において世界的に寒冷気候となって高緯度地方や山岳地域に広く氷河が発達したことが認められる場合,この時代のことを氷河時代という。地質時代の中て明らかに氷河時代と認められるものは,第四紀洪積世と古生代末の二畳紀にある。そのほかデボン紀や先カンブリア時代にも、氷河によって形成されたと考えられる堆積物があって,この時代に氷河が発達したともいわれている。とくに第四紀洪積世は時代が新しいこともあって残されている証拠も多く,はっきりしているので,一般に氷河時代といえば洪積世のことをさす場介が多い。

 過去において,気候が寒冷となり,また氷河が発達したことは,次のようないくつかの証拠から推定することができる。すなわち、現在は氷河がない温暖な地方にも、カールやU字谷などの氷河による浸食地形,モレーンのような氷河が運搬してきた堆積物がつくる地形など,氷河によって形成された独特の地形が残されている。また氷河擦痕といわれる氷河の移動によって生じた岩石表面のすりきずが残されていたり,温暖な地方に寒冷気候を示す動物化石や植物化石が残されていたりする。このほか氷河時代には,地球上の水分が氷河として陸上に固定されたために,海水が減って海面が下がり,その後気候の温暖化に伴って海面が上昇してきたため,海底に陸上で形成されたはずの谷や段丘の地形が残っていることも、氷河時代の証拠といえる。氷河の発達によって,海面は100〜13om以上も低下したといわれる。
 第四紀洪積世には,数回の氷河の拡大期すなわち氷期と,氷河が後退した時期すなわち間氷期がくり返し訪れたとされている。これらの氷期は,ヨーロッパのアルプス地方において,古いほうからバイバー寒冷期,ドナウ寒冷期,ギュンツ氷期,ミンデル氷期,リス氷期,ビュルム(ウルム)氷期とよばれている。ただしこれらのうち明瞭な氷期として多くの人によって認められているものはギュンツ氷期からビュルム氷期までのものである。また,人によってはミンデル氷期の次にパール氷期をおく場合もある。いずれにせよ,とくに顕著な氷期は,北アメリカ大陸や南半球においても,同じ時期に氷期があったことが明らかにされている。また,遠隔地の氷期の対比は,年代測定の結果からも裏づけられているが,近年の深海底堆積物の研究では,堆積物中の化石の中に海水の冷・温のくり返しが認められ,これと氷期との対比がなされるようになってきている。


 
このような氷河時代がなぜ訪れたかという原因については,わからないことが多く,まだ定説といわれるものはない。原因として考えられているものには,大きく分けて地球の外に原因を求めるものと,地球自体に原因を求めるものとがある。前者の考え方には,おもなものに日射量変動説がある。これは太陽に対する地球の運動の周期的な変動が原因で日射量が増減し,氷期,間氷期のくり返しが生ずると考えるもので,おもにミランコビッチM. Milankovitch により提唱されている。この説によれば,洪積世における間氷期の周期性と海面上昇の周期性との対応をよく説明できるが,氷河時代のない長い時期を説明することはできない。

 一方,地球の内部に原因を求める考え方はボーリグH.Bauligに代表されるが,これは造山運動の発達によって陸地が上昇し,雪線高度以上の地域が増加することによって,氷河時代の原因を説明しようとするものである。この考えは地質時代に起こったいくつかの氷河時代が,大きい造山運動の発展期と関連していることをよく説明している。このようなことから,氷河時代の原因としてはおもに地球内部の造山運動により説明し,氷河時代の中に見られる氷期,間氷期のくり返しを太陽の日射量の変動に原因を求めるというのが,最も可能性のある説といえる。→氷河                <菊地隆男〉

【 氷期 】glacial epoch

氷河時代(地質時代の第四紀洪積世)のうち,世界的に気候が寒冷となった期間。氷期には,高緯度地方や高い山岳地域の氷河が発達し,広がった。氷期はくり返し訪れたが,氷期と氷期の間の温暖期を間氷期という。一氷河時代        〈菊地隆男〉

【 氷河期 】索引にも無し。


世界考古学事典(平凡社・1979年)では

【氷河時代=ice age】【 氷期=glacial epoch 】は立項されていますが【 氷河期 】は索引にも無し。


これで結論が出せると思うのですが如何でしょう?三つの代表的国語中辞典が「氷河期」は「氷期」のことであるとしています。百科事典や考古学事典では「氷河期」の項が立項されていません。わずかに「世界百科大事典」のみが46項目の中で使用しています。

ここで気付いてウィキペディアを・・・何と「氷河時代」も「氷期」も「氷河期」のところへ連れて行かれてしまいました!!!これは重大な間違いではないでしょうか。こんな投稿(一番下の方)をしておきましたが・・・。