結局、英国人は自然を愛している。そういって具合が悪ければこうもいえる、自然に惹かれる人がかなり多い。
そう明言するには無論それなりのわけがあり、ナショナル・トラストもそうであるが、パブリック・フットパス、
そのほかにも彼らは実に真面目にきめ細かに自然を保護育成している。それについやす費用、エネルギーは
正直尊敬にあたいするもので、どこぞの国の地方自治体のごとく、固定資産税ほしさに自然破壊を奨励し、
竹林や雑木林を伐採した跡地にガソリンスタンド、パチンコ屋ができていたという話は絶えてなく、まして、
税金を湯水のごとく無駄づかいするといったことも聞かない。視察と称して税金で豪華旅行などもってのほか。
彼らには自分たちの遺産は自分たちが守るという意識が根付いているから、名所旧跡でも幾ばくかの入場料
をとり、そのお金をもとに旧跡の修復費用などに充当している。それをまことに地味に、地道にやっている。
少ない予算では多くのことをまかなえない、だから施設の装備が十分とはいえない場合もないわけではない。
だからそれが何だというわけのものでもあるまい、周囲の自然、景観、彼らの真摯な姿勢が不十分さを補って
なお余りあるからである。それもこれもすべて彼らが自然を愛しているということに帰着するのではないだろうか。