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南部ではハナミズキが散ってしまったが、ここではようやく水仙が咲きそろった。
くれなずむ春の日を惜しんで旅立ちはや十日、観光目的の旅ではないのが幸いしたと
いうべきか。
ちいさな観光案内所の前で車を停め、旅人をあたたかく迎える、静かで快適なカントリーハウス
をといったら、ここをすすめてくれた。
いまはシーズンオフとかで、宿泊料金はびっくりするほど安かった。
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一泊のつもりが、なんのてらいもない温かみのあるもてなしが気にいって延泊を重ねた。
気づいたらもう一週間にもなっていて、客は私たちともう一組で、かれらも思うところは同じ、
連泊するうちに何となく立ち去りがたいものが心に宿ったのだろう。
夕食はここの女主人の紹介で数キロ離れたレストランやパブへも行ってとったが、
朝食はいつもここ。こういう時の常として、きまって同じ窓際のテーブルを用意してくれた。
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バスルームは改装仕立て。バスタブは風変わりで、見たこともないような高床式だった。
ヴィクトリア時代のものだがアール・デコ調のホーロー製、縁の厚いわりには底が薄い
感じで、肥満体が入ったら底が抜けるのではと入浴のたびに思ったことであった。
足の短い人はたいへんと思われようが、さにあらず。踏み台付きなのです。
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必要なモノしかおいていないシンプルな寝室。それでいて充分なくつろぎ感があるのは、
調度品と道具の配色と照明のせいかもしれない。クラシックな外観との対比が面白い。
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