訴状

提訴する、つまり裁判所に訴状を提出することから始まります。

まず、ここに誘導しましたのは事件の内容を把握していただくには
「訴状」を読んで貰うのが一番だと思うからです。
事件と書くと庶民感覚には大げさに映るかも知れませんが
「訴状」には事件名を記載しなければなりません。

欧米と日本の違いを「罪の文化」「恥の文化」で比較することがあります。
もともと日本人は「恥の文化」の上に建った道徳観を共有し
近隣トラブルなどは道徳観に基づいて解決してきました。
訴訟に至ることは「恥」との認識もありました。
しかし昨今、その道徳観の共有が崩壊し
原因は、バブル経済・その崩壊・グローバルスタンダード・ゆとり教育
と幾つか考えられますが、昭和30年代生まれの道徳教育を受けた
原告ここからは男自身の事は「原告」と書きます。の倫理観と相容れない人達も増えてきました。
嘆かわしいことですが、
日本も訴訟社会に向かうのは致し方ないことなのかも知れません。
現実、1998年に少額訴訟と言う制度が創設されました。

訴状の書き方

裁判所のサイトから書式をダウンロードして作成出来れば良いのですが
残念ながら、エコキュート騒音訴訟に当てはまる雛形がありません。
取立てて書式通りな訴状でなければならない決りは無く
本人訴状の場合は要点さえ押さえておけば、作文的なものでも構いませし、
その方が 陳情書 具体的な事柄について実情を述べて
適切な措置をとるよう要望すること
も兼ねていて裁判官に心情が伝わるんじゃないかと思います。
提出時、事務員の方が大きな間違いは指摘してくれますので
そこで加筆しても良いですし持ち帰り出直すことも出来ます。
また、本人訴訟であれば法廷で裁判官が積極的に「釈明権の行使」とかで
足りない所の補足を問いかけてくれます。
つまり、口頭で答えることができるならその場で、
出来ないなら次回期日に準備書面原告・被告が法廷に置いて堤出しようとする攻撃防御方法や相手方の主張に対する反論を予め記載したもの。として堤出すると答えれば良いわけです。
訴状及び証拠は全て2組必要です。

諸費用

ここで原告は素人故の間違いをします。

民事訴訟費用等に関する法律
第2章 裁判所に納める費用
第1節 手数料
第5条(手数料を納めたものとみなす場合)

条文は難解なので、簡単に言うと民事調停で不成立に終わり
2週間以内に提訴すれば、前の調停の申立てについて
納めた手数料の額に相当する額は、納めたものとみなすと言う事です。
原告はそのつもりで13日目に訴状を提出したのですが
民事調停 調停申立書の「申立の趣旨」に記載した金員(金額)は
調停だからと大雑把に多めに計算していました。
今度は訴訟だからと認められるだろうと思う金員に書き換えたのですが
それが民事調停とは別の訴えとなるらしくて
余計に収入印紙が要りました。
もう一つの騒音に関しては
民事調停 調停申立書 申立の趣旨: 騒音の停止
訴訟 訴状 請求の趣旨: 機器の移設
は同じ訴えと認められました。

貼用印紙額(収入印紙)4,000円訴額の額で変わります
予納郵券(切手)4,800円


訴 状
  申立年月日平成 24年   2 月    27日
  X    X    簡 易 裁 判 所訴額が140万円以下が簡易裁判所
訴額が140万円を超えると地方裁判所
  御 中
                                原告  Don Quixote    印

  当事者表示 〒000-0000 (送達場所)
XX県XXX市XXX123-3
TEL 000-000-0000
原告  Don Quixote
   〒000-0000
XX県XXX市XXX123-2
被告  XX XX

  事件名 エコキュート機器の移設及び損害賠償請求の訴
  
訴額原告が訴えで主張する利益を金銭に見積もった額38万6,400円
貼用印紙額  
予納郵券  
   請 求 の 趣 旨

被告は、現在設置されているエコ給湯器の移設と
原告に対して、金 386,400円を支払え
訴訟費用 印紙代、
裁判所が使用した切手代、
訴状や準備書面・証拠の提出費用(確か一回1000円程度)、
裁判所に出廷した日当(一回4000円弱・遠隔地だと2日分)、
交通費(直線距離で算出)、
証拠(医師の診断書とか)の取得費用(実費+160円)、
宿泊費(遠隔地の場合)など
弁護士費用は訴訟費用になりません。
は、被告の負担とする

との判決並びに仮執行宣言判決確定前であっても
仮に強制執行をすることができる
を求める。

   請 求 の 原 因

原告の居住する肩書き住所の南側に平成22年12月から1月にかけて
被告が新築転居されて以来、被告宅地北東角に設置されたエコ給湯器が
発する駆動音が、冬季深夜早朝不連続に発生。
平成23年4月に入り機器の駆動音は止まったが、
それ以降も深夜早朝の生活音(洗濯機、他)が続き、
平成23年8月には原告が寝不足とストレスによって目眩で倒れる。
 *病状について 添付書類 参照
原告は実母(認知症 要介護5)の在宅介護に専任(平成18年から)しており
原告の異変が直ちに非介護者にも重大な影響を及ぼす事態も予想され
我慢も限界を超え、文書(甲第1号証)にて騒音停止をお願いする。
 *文書でのお願いをした理由 添付書類 参照
夜間早朝の生活音は治まり、安堵の日々を過ごしていたが、
平成23年11月23日から再度、エコ給湯器の駆動音が発生。
再度、文書(甲第2号証)にてお願いをするが今回は対処されることが無く、
内容証明郵便で通知書を送付、以後も駆動音は止まらず。
民事調停を申し立て平成24年2月15日に調停を受けるが
不成立に終わり提訴に至る。

このエコ給湯器の騒音問題は平成22年夏にNHKが番組で取り上げ、
業界では話題になり環境庁が業界団体、
社団法人日本冷凍空調工業会に実験を要請。
隣の家との距離が近い場所に設置した場合は、
隣の家の中でも騒音レベル32dBと、人によってはうるさいと
感じる程度になるとの結果が出る。
これを受けて日本冷凍空調工業会は平成23年4月をめどに
据付ガイドラインの作成に入り平成23年4月に
家庭用ヒートポンプ給湯機の据付ガイドブック(甲第3号証)」を
ホームページ上に公開しました。
そこには据付け場所の設定ポイントとして第一項に
「お客様および隣接するご近所様の寝室の側は避ける。」とあります。
また、被告の設置されているエコ給湯器はXXXXXXX(株)の製品
ABC-12345(貯湯ユニット) XYZ-67890(ヒートポンプユニット)であり、
その仕様書(甲第4号証メーカー総合カタログ2012.2)にも小さい字ではありますが
同じような内容が書かれています。
*設置場所の相関関係は簡易地図 (甲第5号証 参照)


エコ給湯器の騒音問題は今までの騒音基準を当てはめるのには
難があり(甲第6号証 参照)、現在前橋地裁、盛岡地裁、横浜地裁でも
訴訟(甲第7号証朝日新聞
2011年11月17日の夕刊切抜き記事
訴状の証拠としての堤出は
個人利用として朝日新聞社から
了承を得ています。
参照)が係争中です。
前橋地裁ではメーカーに対する製造物責任、施工業者に対する施工上の
配慮義務違反を争点にしていますが、
裁判例が認める「人格権に基づく差止め請求」の視点から、
人が、他者から自己の欲しない剌激によって心を乱されないで
日常生活を送る利益、いわば平穏な生活を送る利益は,
差止請求権の根拠となる人格権ないし人格的利益の一内容として
位置づけられるべきであり、例え落ち度がなくとも、
エコキュートの利用者は、「自らの支配下にある事情によって」
被害者の人格権の行使を妨げていることを根拠として差止め請求を受ける。
例えれば、有害物を排出する物件を所有利用する人は、
それによって被害を受ける人がいる以上、落ち度があろうとなかろうと
その排出を止めなければならないと考えます。
被告には上記に記載しているように被害を訴えていますが、
駆動音は止まらず生活のリズムも狂い病状の再発に内服薬の服用を強いられ
精神的苦痛も甚大です。

よって、2度目の文書でのお願いをしてから駆動音の記録(甲第8号証)を始めた
平成23年12月20日から平成24年3月20日(騒音停止予測日)までの日数に
自動車 自賠責保険の1日の慰謝料の金額4、200円の割合による金員が
訴額 38万6,400円で精神的苦痛に対する慰謝料です。

民事調停の際に被告から頂いた「エコキュート 運転音調査結果ご報告の件」
XXXXXXX(株)XXXXXXX技術部の書類(甲第9号証計量法に定められた
計量証明書ではありません。
)にある調査結果では
日中昼間、A特性音圧レベル 暗騒音が38.8dB
ヒートポンプユニット運転時 42.9dBと記載されています。
これは防音処置後の測定値かどうかは記載されておらず
測定点もカタログ値の測定条件と違いがあり偏った見方をすれば
カタログ値に合わせるように測定したと疑いたくもなります。
また、ヒートポンプユニット運転時とは追い焚きポンプの運転音も
加算されている測定値なのでしょうか?
原告住所は、指定では市街化調整区域でありますが
一戸建ての住宅団地で夜間の暗騒音ある音を対象とするとき、
その対象音が停止したときにも、
その場所に存在する騒音。
は30dB近い静けさです。
メーカー公表カタログ値の運転音最大値は43dBと記載せれており、
この数値と比べても夜間の暗騒音の差が約10dBあります。
音の大小 デシベル(dB)は音を扱うときの物差しとして使われ、
10倍ごとに10デシベル増加します。
したがって10デシベルと20デシベルの「差」とは2倍ではなく10倍を意味し、
20デシベルの音の増加とは100倍の増加となります。
エコ給湯器の騒音はこの音圧レベルや低周波音も有り
被害が同一地域に広がるのではなく
影響を受けるのは隣家だけとの事例が殆どで問題を複雑にしている要因です。
しかしこの音圧の差は十分睡眠妨害になり現実に原告の請求の原因です。
また被告の設置されているエコキュートの運転音(甲第10号証)の音色は
2段階に周波数が高まる運転音で最初の音は1分間、
続けて音圧が少し上がり2分間の計3分、その後エアコンの室外機と同じ運転音
(この音は3分間の間も発しし続けますがこの音だけでは睡眠妨害になりません。)
が15分続き、また3分と繰り返しが朝まで続きます。
始まりはその日によって違い運転音の無い日もあります。
これについてはメーカーのサポートに電話問い合わせおし
「凍結防止運転」じゃないかとの回答を得ています。

1月中旬の被告調査時、パッキンによる防音処置を施工されたそうですが
原告には何の通知も無く、睡眠妨害も未だ続いています。
過敏すぎると言われるかもしれませんが、この駆動音に数ヶ月曝されると
感覚も敏感になり健康時とは違います。
それに原告は被介護者のベッドの下に寝ています。
理由は非介護者の異変に気づくためであり元々眠りも深く有りません。
また、認知症の母に低周波音がどのような影響があるのかも解らず
不安は増すばかりです。
対処療法的な処置をして頂きましたが、
機器の宿命として劣化による騒音の増加は疑いの余地もなく
原告としてはエコ給湯器騒音被害の問題解決に
一番効果があると言われている移設を主張します。
移設場所に付いては被告宅の東隣住居は地盤が目測2m低くなっており又、
住居も境界線から目測2m強離れていますし、
そこにはエコキュートらしき機器も設置されています。
南隣住居は境界線から1m強離れた建築ですが北東の角部屋は台所です。
よって被告宅地南東の角にできるだけ寄せて睡眠妨害音を発生する機器を
移設 移設費用に付いて
簡単な見積書の堤出を求められる。
理由は事物管轄、簡裁か地裁か
どちらの扱いになるかの算定に必要。
施工業社に電話で5mの移動条件で
大雑把でいいからと見積り金額を聞き
3社の見積りを文書にて翌日、堤出。
するよう求めます。

移設については民事調停時、被告の主張として委員の方から伺っており、
被告の方はそれなりの対処をしているが原告は何もしていなから
移設には応じないと聞かされています。
これについては受忍限度論の「先住性」の観点から理解できません。

よって、原告は、被告に現在設置されているエコ給湯器の移設と
原告に対して、金 386,400円の支払いを求めます。



   証拠方法原告が提出する証拠が甲号証、
被告が提出する証拠が乙号証です
1.甲第1号証  お願い文書1
2.甲第2号証  お願い文書2
3.甲第3号証  家庭用ヒートポンプ給湯機の据付ガイドブックコピー
4.甲第4号証  エコ給湯器仕様書一部抜粋コピー
5.甲第5号証  簡易地図
6.甲第6号証  住宅情報ナビ サイトの転記
7.甲第7号証  新聞切り抜きコピー
8.甲第8号証  日記(騒音記録)コピー
9.甲第9号証  エコキュート 運転音調査結果ご報告の件
10.甲第10号証  DVD-R (ICレコーダー録音データ)

   添付書類甲第11号証と甲第12号証は
堤出窓口で事務員の方のアドバイスで
加筆しました。
1.文書でのお願いをした理由  甲第11号証
2.病状について  甲第12号証