石井建具製作所

住まいのあれこれ

平成18年5月号に掲載


障子には、「熟練の技」と「繊細な心」が生きています。

今月はちょっと格好つけた題名を付けてみました。

ところで、あまり知られていないことかも知れませんが、障子に用いられる木材は、国産材、外国産材を問わず良質であることが条件です。
そして、その中からさらに、木目、色、ねじれ、そりなどがチェックされて、障子の材料が選ばれます。この作業を「木取り」と呼び、永い経験と木の個性を知り尽くした熟練者の目が欠かせません。
「木取り」が終わると、組子のデザインに従って墨付け、加工、組立ての順に工程がすすめられます。この作業には、修業を積んだ技能者の技と道具類とが、文字通り一体となって行われます。
また、障子は建具の中でも最も細く、薄く木材を加工するので取扱いには慎重さを極め、道具類の手入れについても行き届いていなければなりません。
自然の素材を最もシンプルな形にした障子だからこそ、木と紙という天然素材をどう生かすか、がつくる者の腕にかかってくるといえます。
一流の技術と繊細な心くばりが優雅な障子の中に息づいているのです。