石井建具製作所

住まいのあれこれ

平成18年10月号に掲載


プライバシーと障子

今月からは、再度障子について書いて行きたいと思います。

障子には人目をさえぎって、プライバシーを保つ役割もあります。
外界とのつながりを残し、閉めきった時の心理的圧迫感をやわらげながら、プライバシーを保つのが大きな特徴です。精神統一の場であるあの小さな空間-茶室に多くの窓に障子が使われているのもこのためです。
直接的な視線はさえぎりますが、障子に映る庭の樹木や飛びたつ鳥の影、室内の人の気配などが、詩心や想像力をかきたてるというわけです。

さらに障子の一部が上げ下げできてガラス戸になる「雪見(ゆきみ)障子」に代表されるようなユニークな使用方法もあります。視線をさえぎってプライバシーをまもる事もできる一方、外を楽しみ、室内にドラマチックな効果をもたらすこともできる雪見障子はまさに建具の傑作といえます。
このように、採光・開放・遮へいを同時にできるのは障子だけなのではないでしょうか。