●words from SAYOKO
●第一章 女性の太鼓奏者として
●第二章 ドラムを叩くため、のはずが
●第三章 佐渡での研修生活
●第四章 世界を広げた坂東玉三郎との共演
●第五章 和太鼓が持つエネルギーを引き出す
堀つばさ●Hori Tsubasa
1976年京都市生まれ。佐渡を拠点に新しい和太鼓の表現を創り続ける「鼓童」の和太鼓奏者。堀川音楽学校でパーカッションを専攻し、在学中にバンドのドラマーとしても活躍。ドラム留学を考えて下見に行ったイギリスでカルチャーショックを受けて壁にぶつかり、そんなときに目にしたパンフレットがきっかけで鼓童の研修生となる。その後、99年から舞台メンバーとなり、当時、男性だけであった鼓童の太鼓の打ち手に初めて女性プレイヤーとして参加。以来10年近く、日本はもとより世界各地を巡る公演に加わりながら、和太鼓の音を響かせ続けている。鼓童結成25周年にあたる06年の今年、5月と6月には歌舞伎役者・坂東玉三郎との競演による舞台「アマテラス」の公演が行われる。公演情報の詳細はサイト上でチェックを。
http://www.kodo.or.jp/

 鼓童の前身にあたる「佐渡の國 鬼太鼓座」の公演を始めて見たのはNYでのこと。70年代後半に行われたその公演は、NYでも大絶賛されていました。そこで出会った林英哲さんとは、その後何度かパフォーマンスで共演したり、和太鼓とは私も不思議にご縁があります。
 その後林英哲さんは、1981年に結成された和太鼓集団「鼓童」の名付け親となり、ご自身は独立されてさらに独自の和太鼓表現を貫かれ、「鼓童」は受け継いだものを新たに発展させた表現で、それぞれ世界に発信していくことになります。
 ところで日本の伝統的な楽器である和太鼓を使い、芸術の域にまで高めたこうした表現は、実は新しいものなのです。和太鼓そのものは祭り囃子の中で叩かれてきましたが、和太鼓を主にしたこうした表現は、トラディショナルでありながらとてもコンテンポラリー。
 「鼓童」では当初、太鼓を叩くのは男性、女性は唄や踊り、と役割が分かれていました。そんな中でつばささんは、鼓童の女性としては初めて、演奏者としての自分が依って立つ所を太鼓に定めた方です。今でこそ女性の太鼓奏者も増えましたが、その嚆矢となった方です。舞台の上で和太鼓に向き合われる姿を垣間見て、女性が和太鼓を叩くということについてお話を伺いしたいと思っていました。
 これまで世界中のパーカッションと共演してきた中で、じつは私の中には太鼓は男性のものだ、というような感覚がしばらくありました。もちろん韓国の五面太鼓や長杖鼓のように、女性が舞いながら叩く、優美で美しい打ち方もありますが、男性的な力強さを持って女性が太鼓を叩くリリシズムや美学が確立されたのは、特にここ10年くらいのことではないかと思います。
 叩きたい、伝えたい、自らを楽器に重ねて音を響かせたい、というつばささんの強い意志がその道を切り開いたのでしょう。
 そんな彼女の姿を見ていると、女性や男性という性別にわけられるものではなく、そこに向かう強い精神があれば、未来へと向かおうとする意志があれば、どんなことにでも挑戦していけるし、どんなことでも昇華していけるのだと、思います。



    
 

MOKOHAN INFORMATION

鼓童結成25周年記念
坂東玉三郎、鼓童 共演「アマテラス」
http://www.kodo.or.jp/amaterasu/
鼓童結成25周年を迎える2006年、歌舞伎界の立女形・坂東玉三郎氏との初共演による舞台「アマテラス」公演を計画しております。この公演は、2003年11月に開催した坂東玉三郎舞台演出による鼓童単独公演「鼓童ワン・アース・ツアースペシャル」までの2年間の取り組みの末、新たなる構想として企画されたものです。東京において23回、京都において16回の連続公演は、鼓童にとって初めての長期連続公演となります。
 高天原でスサノオの行為に怒り、天の岩屋戸に身を隠した太陽神アマテラス。この世は暗闇に包まれてしまいます。群神(八百万の神々)が囃し、謡い、アメノウズメが舞い踊り、捧げ物をし、歓喜の祝祭を行ったことにより、ようやく岩屋戸から姿を現したアマテラスによってこの世に光が甦ったという日本神話をテーマに、破壊と創造、そして調和へ、新たな創造の道をひらく舞台を目指します。これまで全く別のアプローチで「世界の中の日本」「古典と現代」の表現に取り組んできた二組のアーティストによる新たな舞台創造への取り組みにご期待ください。

【東京公演】
日程:2006年5月11日(木)〜6月4日(日)全23公演 会場:世田谷パブリックシアター
主催:鼓童 提携:世田谷パブリックシアター
【京都公演】
日程:2006年6月9日(金)〜6月25日(日)全16公演
会場:京都四條 南座
主催:京都四條 南座



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