電気回路編 その2

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  未熟な左手が作った第2種MEの電気回路に関するノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。



直流と交流

直流(DC;Direct Current)

 時間の変化に対して大きさと方向が一定の電気を直流と呼びます。
乾電池が代表的で、乾電池は、1.5(V)の一定な電圧を出します。


交流(AC;Alternating Current)

 時間に対して、大きさと方向が変化する電気を交流と呼びます。
コンセントからの電気は、交流が流れています。



正弦波交流

  家庭に送られてくる電気は、正弦波交流です。なので交流といえば通常正弦波を意味します。
正弦波(sin関数あるいはcos関数)とは波の形の種類のことです。

正弦波電圧と正弦波電流

正弦波交流

≪正弦波交流≫

正弦波交流を通常sin関数で表現され以下のようになります。

  正弦波交流=A sin(ωt±θ)
    A : 最大値  ω : 角周波数  t : 時間  θ : 位相差

≪正弦波電圧≫

正弦波電圧では次式で表されます。

  v(t)=Vm sin(ωt±θ)

≪正弦波電流≫

正弦波電流では次式で表されます。

  i(t)=Im sin(ωt±θ)

このように表された正弦波電圧又は電流は、任意の時刻tにおける電圧又は電流を時々刻々と表されるので交流電圧又は電流の瞬時値と呼ばれます。

周波数 f

1秒間に繰り返される波のサイクル数。

≪単位と記号≫

  周波数の記号は" f "、単位は" Hz(ヘルツ) "で表されます。


周期 T

繰り返される波1サイクルに要する時間です。

≪単位と記号≫

  周期の記号は" T "、単位は" s(秒) "で表されます。


周期Tと周波数fの関係

周波数と周期の関係は逆数の関係にあります。
  周期[T]と周波数[f]の関係


角周波数 ω角周波数

1秒間に円周上を進む角度。
交流は、0〜2π[rad](0〜360[°])の円運動で表すことができ、
円運動の1周を正弦波の1周期として表すことができます。

≪単位と記号≫

  角周波数の記号は" ω(オメガ) "、単位は" rad/s(ラジアン毎秒) "で表されます。


≪周波数と角周波数の関係≫

  1秒間に回転数を表す周波数fと1回転の角度が2π[rad]より、
  角周波数ω=2πf   で表されます。
(参考)

孤度法
  円周360°を2π[rad]として表します。
  角度と孤度法との関係は、
   孤度法  となります。
  0°=0[rad]、90°=π/2[rad]、180°=π[rad]、270°=3π/2[rad]、360°=2π[rad]


振幅(最大値) Vm

基準となる0[V]から一番大きい値を最大値といいます。
最大値は交流の振れ幅を表しているので振幅ともいわれます。

≪単位と記号≫

  電圧の最大値の記号は" Vm "、電流の最大値の記号は" Im "で表されます。
ちなみに、mはMaxのmです。


尖頭値 p-p

正の最大値から負の最大値までを尖頭値または、ピークピーク値といいます。

≪尖頭値と最大値の関係≫

  尖頭値は正弦交流の場合、電圧又は電流の最大値の2倍となります。
   尖頭値=2×最大値


実効値

電力を計算する時に直流と同じ計算で求められるよう定めたものです。
交流は時間的に値が変化するので最大値をそのまま交流が行った電力(仕事)とすることはできません。
そのため、時間的に値が変化しない直流と同じ計算で表現できるように定めたものです。
交流で計算を行う場合には、実効値で考えようにしてください。

≪実効値と最大値の関係≫

  実効値は、電圧又は電流の最大値に1/√2をかけて表されます。
   実効値


平均値

交流の場合、正の半サイクルと負の半サイクルの面積は等しいため平均は0となってしまいます。
そのため、正又は、負の半サイクルのどちらかの面積を平均化しその高さを平均値としています。
  平均値


位相差 θ

位相2つの交流波形の間に時間的なズレがあるとき、そのズレを位相差と呼びます。
位相差は、交流を電源とした回路にコイルやコンデサが入ると電圧と電流との間に生じることが有名です。

≪単位と記号≫

  位相差の記号は" θ(シータ) "、単位は" rad又は° "で表されます。



インピーダンス Z

インピーダンス Z

  交流電流での電荷(電流)の流れにくさ(抵抗)を“ インピーダンス ”といいます。
素子によっては、交流の周波数によって流れにくさが変化します。

≪単位と記号≫

  記号は“ Z ”、単位は“ Ω(オーム) ”で表されます。


リアクタンス X

  交流電流での電荷(電流)の流れを妨げるものを“リアクタンス”といい、記号は“ X ”で表されます。
コイルのリアクタンスである誘導リアクタンスを“ XL ”と表し、コンデンサのリアクタンスである容量リアクタンスを“ XC ”と表します。


抵抗 R

≪周波数特性≫

  直流、交流関係無く一定に電流が流れます。→インピーダンスZは一定です。


抵抗位相

≪位相≫

  電圧と電流の位相は同じ(同相)です。


コイル L

  コイルとは、電線を巻いたもので周波数が小さいほどよく電流を流し、逆に周波数が大きくなると電流を流さないような素子です。コイルの持っている電気的特性を“インダクタンス”といいます。

≪単位と記号≫

  記号は“ L ”、単位は“ H (ヘンリー) ”で表されます。
回路図記号は、 コイル で表記されます。


≪誘導リアクタンス≫

  誘導リアクタンスは、以下の式が成り立ちます。
    XL(Ω)=ωL=2πfL


≪周波数特性≫

  直流(周波数0[Hz])では電流を良く通します →インピーダンスZは小さくなります。
  周波数が増すほど電流を通し難くなります  →インピーダンスZは大きくなります。

コイル位相

≪位相≫

  電流は電圧よりπ/2遅れます
=電圧は電流よりπ/2進みます


コンデンサ C

  コンデンサとは、2枚の金属を平行に並べた電荷を蓄えられるもので、コンデンサにどれだけ電荷を蓄えられるかを表したものを“静電容量(あるいは容量)”といいます。
  又、コンデンサは蓄えた電荷を放電することができます(逆方向に)。

≪単位と記号≫

  記号は“ C ”、単位は“ F(ファラッド) ”で表します。
回路図記号は、 コンデンサ で表記されます。


≪電荷と静電容量と電圧の関係≫

  電荷と静電容量と電圧には以下の式が成り立ちます。
   Q(C)=C(F )×V(V)  (覚え方:Qちゃん渋い)


≪容量リアクタンス≫

  容量リアクタンスは、以下の式が成り立ちます。
  容量リアクタンス

≪周波数特性≫

  直流(周波数0)では電流を通し難くなります →インピーダンスZは大きくなります
  周波数が増すほど電流を良く通します     →インピーダンスZは小さくなります。

コンデンサー位相

≪位相≫

  電流は電圧よりπ/2進みます
=電圧は電流よりπ/2遅れます



周波数による各素子の関係

R(抵抗)L(コイル)C(コンデンサ)
直流(低周波)一定電流通しやすい(|Z|=小)電流通し難い(|Z|=大)
交流(高周波)一定電流通し難い(|Z|=大)電流通しやすい(|Z|=小)
位相(電圧と比較)同相電流は90°遅れる電流は90°進む

周波数による各素子の関係


RL直列回路

RL直列回路

ベクトル関係と回路全体の電圧

 回路全体の電圧
 ★直列回路のため電流を基準とします。
  (∵直列回路内では、抵抗とコイルに流れる電流は等しいため)
   回路全体の電圧(ベクトル)
   回路全体の電圧

回路全体のインピーダンス(Z)

 回路全体のインピーダンス(Z)

電流

 電流
LR直列回路とCR直列回路
LR並列回路とCR並列回路


RC直列回路

RC直列回路

ベクトル関係と回路全体の電圧

 回路全体の電圧
 ★直列回路のため電流を基準とします。
  (∵直列回路内では、抵抗とコンデンサに流れる電流は等しいため)
   回路全体の電圧(ベクトル)
   回路全体の電圧

回路全体のインピーダンス(Z)

 回路全体のインピーダンス(Z)

電流

 電流
LR直列回路とCR直列回路
LR並列回路とCR並列回路



RLC直列回路

RLC直列回路

ベクトル関係と回路全体の電圧

 回路全体の電圧

回路全体のインピーダンス(Z)

 回路全体のインピーダンス(Z)

電流

 電流

共振周波数

 共振周波数の状態を特別に共振と呼びます。
直列回路の共振は、インピーダンスがRだけとなりインピーダンスが小さくなるため、一番電流を多く流している回路となります。
 共振周波数
 共振周波数
LCR直列回路
LCR並列回路



周波数変化によるインピーダンス(電圧)・電流波形

インピーダンス波形の描き方

@各素子(抵抗・コイル・コンデンサ)のインピーダンス波形を描きます。
Aインピーダンス波形を重ね合わせます。
B直列回路 : 上側の波形をたどります。
          コイルとコンデンサ波形が交わる共振周波数では、下に凸とします。
 並列回路 : 下側の波形をたどる
          コイルとコンデンサ波形が交わる共振周波数では、上に凸とします。
※電圧波形もR=V/Iのオームの法則より、抵抗(インピーダンス)と電圧は、比例するため似た波形となります。
※抵抗、、コイル、コンデンサのインピーダンスによって波形は変わるため、正確には描けません。
  ただ、これによって問題の波形から一番似た波形を選べば正解は導き出せます。


電流波形の描き方@

@各素子(抵抗・コイル・コンデンサ)の電流波形を描きます。
A電流波形を重ね合わせます。
B直列回路 : 下側の波形をたどります。
          コイルとコンデンサ波形が交わる共振周波数では、上に凸とします。
 並列回路 : 上側の波形をたどります
         コイルとコンデンサ波形が交わる共振周波数では、下に凸とします。
※ややこしいので、電流波形の描き方Aがおすすめ
※正確な波形は、描けません。
  ただ、これによって問題の波形から一番似た波形を選べば正解は導き出せます。


電流波形の描き方A

インピーダンス波形を反転させた波形
※正確な波形は、描けません。
  ただ、これによって問題の波形から一番似た波形を選べば正解は導き出せます。


周波数変化によるインピーダンス(電圧)波形(実践)

例)端子 a−b 間のインピーダンス(|Z|)が周波数によってどのように変化するか

≪RL直列回路≫

RL直列回路
@抵抗、コイルのインピーダンス波形を描きます。
  周波数と抵抗波形  周波数とコイル波形
Aインピーダンス波形を重ね合わせます。
   周波数と抵抗・コイル波形
B直列回路であるため、上側の波形をたどります。
   周波数と抵抗・コイル波形
  ☆出来上がり!!


≪LC直列回路≫

LC直列回路
@コイル、コンデンサーのインピーダンス波形を描きます。
  周波数とコイル波形  周波数とコンデンサー波形
Aインピーダンス波形を重ね合わせます。
   周波数とコイル・コンデンサー波形
B直列回路コイルとコンデンサの直列回路であるため、上側の波形をたどり、
  コイルとコンデンサ波形が交わる共振周波数では、下に凸とします。
   周波数とコイル・コンデンサー波形
  ☆出来上がり!!

≪RL並列回路≫

  RL並列回路
@抵抗、コイルのインピーダンス波形を描きます。
  周波数と抵抗波形  周波数とコイル波形
Aインピーダンス波形を重ね合わせます。
   周波数と抵抗・コイル波形
B並列回路であるため、下側の波形をたどります。
   周波数と抵抗・コイル波形
  ☆出来上がり!!


≪LC並列回路≫

  LC並列回路
@コイル、コンデンサーのインピーダンス波形を描きます。
  周波数とコイル波形  周波数とコンデンサー波形
Aインピーダンス波形を重ね合わせます。
   周波数とコイル・コンデンサー波形
B直列回路コイルとコンデンサの並列回路であるため、下側の波形をたどり、
  コイルとコンデンサ波形が交わる共振周波数では、上に凸とします。
   周波数とコイル・コンデンサー波形
  ☆出来上がり!!



周波数変化によるインピーダンス(電圧)波形(まとめ)

周波数と抵抗・コイル・コンデンサー波形

周波数と抵抗・コイル・コンデンサー波形
※電圧波形もR=V/Iのオームの法則より、抵抗(インピーダンス)と電圧は、比例するため似た波形となります。
※抵抗、、コイル、コンデンサのインピーダンスによって波形は変わるため、正確には描いていません。



周波数変化による電流波形(実践)

例)端子 a−b 間の電流(|I|)が周波数によってどのように変化するか

≪RL直列回路≫

RL直列回路
インピーダンス波形を反転
周波数と抵抗・コイル波形
  ☆出来上がり!!


≪LC並列回路≫

  LC並列回路
インピーダンス波形を反転
周波数とコイル・コンデンサー波形
  ☆出来上がり!!



周波数変化による電流波形(まとめ)

周波数と抵抗・コイル・コンデンサー波形

周波数と抵抗・コイル・コンデンサー波形
※抵抗、、コイル、コンデンサのインピーダンスによって波形は変わるため、正確には描いていません。








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