血液浄化装置学 その2

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の血液浄化装置に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。


透析の原理

拡散

拡散

  溶質濃度の異なる2つの水溶液を半透膜を介しておいた時、半透膜の細孔を通過できる溶質は、濃度の高い方から低い方へ濃度が等しくなるまで移動し続ける。
推進力 : 濃度差


限外濾過

限外濾過

  組成の等しい2つの溶液が、半透膜を介して存在しているとき、一方の溶液を押す(陽圧)、もしくは、もう一方の溶液を引っ張る(陰圧)によって、溶液の一部(溶媒と細孔を通れる溶質)が移動する。
推進力 : 圧力差(TMP)

圧力差(TMP)

限外濾過



透析器

膜素材

≪セルロース系≫

素材親和性
 再生セルロース(クプロアンモニウムレーヨン)親水性膜
 セルロースアセテート親水/疎水性膜

≪合成高分子膜≫

素材親和性
 PS(ポリスンフォン)疎水性膜
 PAN(ポリアクリルニトリル)共重合体疎水性膜
 PMMA(ポリメチルメタクリレート)立体規則性疎水性膜
 EVAL(エチレンビニルアルコール)共重合体親水/疎水性膜
 PEPA(ポリエステルポリマーアロイ)ブレンドアロイ疎水性膜

ダイアライザの形状

積層(平板)型平膜(シート)状の透析膜を何枚か重ね合わせたもの
コイル型封筒状の透析膜をコイル状に巻きつけた形態
中空糸型中空糸状の透析膜の内側に患者血液、外側に透析液を反対方向(対向流)に流す
現在の主流

中空糸ダイアライザの仕様

内  径200μm
本  数約1万本
膜 面 積0.5〜2.5u
ハウジング長さ十数cm、外形5cm程度の円筒形
血液充填量70〜120ml程度
滅 菌 法高圧蒸気、ガンマ線滅菌が多い

透析器の性能

  透析器の性能を表す指標としては、以下のものがある。

溶質透過性クリアランス、ダイアリザンス、総括物質移動面積係数
透  水  性濾過係数、限外濾過率
溶質分離特性ふるい係数

≪溶質透過性能≫

@ クリアランス

定義 : ダイアライザ内の透析液に含まれない溶質の移動を表す指標。単位はml/min

  限外濾過=0の場合

 クリアランス

  限外濾過≠0の場合

 クリアランス

A ダイアリザンス

定義 : ダイアライザ内の透析液に含まれる溶質の移動を表す指標。単位はml/min

 ダイアリザンス
     (透析側で見た場合を省略)


≪透水性≫

@ 濾過係数

定義 : ダイアライザの透水性を表す指標。
     単位膜面積、単位膜間圧力差、単位時間あたりに濾過される濾液の量を求めるときに使用
     臨床データから評価する場合ECUM法が適用される

 濾過係数

A 限外濾過率(UFRP)

定義 : ダイアライザの透水性を表す指標。
     単位膜面積を換算にいれない濾過係数

 限外濾過率(UFRP)


≪溶質分離特性≫

@ ふるい係数

定義 : 限外濾過による溶質の膜透過効率を表す。
     1に近づくほど限外濾過によりその溶質が濾過されたことを示す。

 ふるい係数

  SC=1 その溶質は水分とともに完全に濾過される。低分子量物質
  SC=0 その溶質は水分とともに全く濾過されない。大分子量物質


血液透析における溶質コントロールの指標(至適透析)

@ 週間平均BUN (TACBUN : Time Averaged Concentration of BUN)

定義 : 透析による濃度低下と非透析時の尿素産生による濃度上昇を繰り返すBUN値の平均。
     単位はmg/dl

 週間平均BUN

コントロールの基準 : <6.5mg/dl

A 蛋白異化率 (PCR : Protein Catabolic Rate)

  蛋白異化率 PCR

但し、栄養状態安定(正味の組織蛋白崩壊量=0)なら、PCR=蛋白摂取量となる。
コントロール基準 : 0.8g/kg/日 < PCR
∵ PCRとは、正味としてどれだけ蛋白が分解されたかを示す量であり、尿素の産生量を直接反映

B KT/V 標準化透析量

透析の治療量を数学的に表現したもの

KT/V標準化透析量(無単位)透析過程で総体液量の何倍の血液量を浄化したかを示す値
KT/V=1の場合、総体液量分の血液が一回浄化されたといえる。
Kダイアライザの尿素クリアランス(ml/min)
T透析時間
V尿素の分布スペース(ml)総体液量≒体重の60%
KT透析量(ml)一回の透析でどれだけの血液量から尿素を完全に浄化されたかを示す値

コントロール基準 : 1<KT/V (1.0〜1.6を目安)

≪尿素クリアランス影響因子≫

 ダイアライザ膜透過性、膜面積、濃度差、血液流量、透析液流量、透析液流量、温度、限外濾過量(限外濾過圧)などの影響を受ける
但し、尿素のふるい係数は1で、ふるい係数がクリアランスに影響することはない







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