医療ガス
医療ガスの種類と性質
ガスの種類 | 比重 (対空気) ※1 | ボンベ内の状態 (液化臨界温度) | 燃焼性 | 用途 |
酸素 | 重い | 気体 (0℃より低い) | 支燃性 | 呼吸療法、麻酔 |
亜酸化窒素 (笑気) | 重い | 気体と液体 (0℃より高い) | 支燃性 | 麻酔 |
空気 ※2 | ― | 気体 (0℃より低い) | 支燃性 | 呼吸療法 |
窒素 | 軽い | 気体 (0℃より低い) | なし | 機器の駆動源 |
炭酸ガス | 重い | 気体と液体 (0℃より高い) | なし | 内視鏡下手術 |
酸化エチレン | 重い | 気体 (0℃より低い) | 爆発性 | EOG滅菌 |
他に、ヘリウム、ホルマリン、吸引なども医療ガスに含まれる。
※1 比重 : 笑気>炭酸ガス>酸素>空気>窒素
※2 合成空気は酸素22%、窒素78%の混合ガスです。 |
医療ガス配管システム
@ 定置式超低温液化ガス(CEシステム)
低温(液化酸素−183℃)の状態で液化したガスを大量かつ安全に貯蔵、又はそれを気化させるシステム。 通常液化酸素、窒素で使用
A マニフォールド
可搬式容器による医療ガス供給設備。複数のボンベを連結し左右中央に切換え装置があり、片方がなくなるともう一方から自動的にガスを供給。
B 遮断弁(シャットオフバルブ)
医療ガス配管に設けられているバルブで、医療ガスの保守点検や災害時などに医療ガスの供給を遮断させるバルブ
C 配管末端器(アウトレット)
アウトレットに麻酔器や人工呼吸器のホースアセンブリのアダプタプラグを接続しガスを取り出す。
アウトレットにはフィルタが組み込まれている。
≪種類(形状)≫
壁取付式とホース取付式
≪配管末端器での標準圧力≫
| 酸素 | 亜酸化窒素 | 治療用空気 | 圧縮空気 |
標準圧力 | 392±49kPa(約4.0±0.5kgf/cm2)
※ 酸素は約29.4kPa(約0.3kgf/cm2)高くし異種ガスの混入防止 | 883±249kPa (約9.0±3.5kgf/cm2) |
≪誤接続防止機構≫
ピン方式 | : | ピンの数と方向によってガスの誤接続を防止 (下記 ピン方式配管端末器参照)。 |
シュレーダ方式 | : | 接続部の口径の違いによってガスの誤接続を防止 |
≪ピン方式配管端末器≫
| 酸素 | 亜酸化窒素 | 医療用空気 | 吸引 |
角度 | 180° | 135° | 120° | 90° |
ピン数 | 2 | 2 | 3 | 2 |
図 |  |  |  |  |
高圧ガス容器(ボンベ)
≪内圧(最高充填圧)≫
酸素ボンベ | : | 約15MPa(約150kgf/cu) |
亜酸化窒素ボンベ | : | 約5MPa(約50kgf/cu) |
≪残量≫
気体ガス充填 | : | 内圧から算出 |
液体ガス充填 | : | ボンベ重量から算出。笑気、炭酸ガス ∵ 内圧はその温度の蒸気圧を示し、ガス残量に関係なく一定のため不可 |
酸素ボンベ残量・使用可能時間の計算
≪誤接続防止機構≫
ヨーク締付方式又は、おねじ
≪容器(ボンベ)の取扱≫
@ 容器は、直射日光を避け、通風換気の良い所に貯属し、常に40℃以下に保つ
A 容器は立てて転倒、転落しないように鎖又は、ロープなどで固定しておく
B 支燃性ガスや爆発性ガスには石油類、油脂類(グリースなど)は使用しない。
C 喫煙及び火気の使用を禁じ、かつ引火性、発火性のものは置かない。
医療ガス容器と配管末端器の塗色区分
配管端末器(アウトレット) | | 高圧ガス容器(ボンベ) |
医療用ガスの種類 | 塗色区分 | | 高圧ガスの種類 | 塗色区分 |
酸素ガス | 緑色 | | 酸素 | 黒色 |
炭酸ガス | 橙色 | | 液化炭酸ガス | 緑色 |
亜酸化窒素(笑気) | 青色 | | 液化塩素 | 黄色 |
治療用空気 | 黄色 | | その他高圧ガス | ねずみ色 |
吸引 | 黒色 | | | |
窒素 | 灰色 | | | |
ガス設備の保安管理
医療施設には安全管理のための組織(医療ガス安全・管理委員会)の設置が義務づけられている。
◎ 医療ガス安全・管理委員会
≪目的≫
委員会は定期的(年1回)及び必要時に開催し、医療ガスの保守点検指針に基づいて、監督責任者は実施責任者に保守点検業務を行わせる。又、医療ガス設備の新設、増設、部分改造、修理などの際には、医療施設内の臨床各部門にその旨周知徹底を図り、終了後は使用に先立って厳正な試験、検査を行い安全を確認する。
≪構成員≫
@ 医療施設の長又はその命を受けたもの A 医師又は歯科医師 B 薬剤師 C 看護師
D 事務職員 E その他(臨床工学技士など)
≪保守点検業務≫
定期点検 | : | 3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に分けて実施する。 |
記録保存期間 | : | 2年間 |
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