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2004年11月20日 発行
全港湾神戸支部本四海峡バス分会
http://www.hm.h555.net/~h4kaikyoubus/
zkw.h4kaikyoubus@hm.h555.net
ふざけるな!本四海峡バス!

本四海峡バス(株)と西日本ジェイアールバス(株)は、本年12月17日から「大塚国際美術館前(鳴門)⇔大阪駅」間を1日12便(6往復)で結ぶ新路線の運行を開始する。本四海峡バスは、この新路線の1日6便(3往復)を運行するところとなり、運行要員を確保するため、2004年10月27日からハローワーク神戸で5名の運転士を一般募集していることが発覚した。
 現在、会社は「解雇無効」が確定した全港湾組合員3名を「出社に及ばず」として、就労を拒否し続けている。最高裁において「解雇無効」が確定したのは、2003年2月27日であり、会社自身も3名の社員としての地位を認め、賃金(基準内賃金のみ)および一時金の支払を続けている。全港湾は、この組合員3名に対する会社の措置は不当であり、働いて得られる賃金の全額支払と慰謝料を求め神戸地裁に提訴すると同時に、「就労拒否は明らかな不当労働行為である」として、兵庫地労委に3名の原職復帰を求める申立をおこなっている。会社は、この両争いにおいて「運転士が余剰で経営上の判断である」などと主張してきた。
 しかし、この新路線の開業により「運転士の増員」が不可欠となったため、全港湾は10月7日会社に対し3名の就労を求めた。ところが、11月5日の旧本社(中突堤)における折衝において、会社玉城常務は、この「申入れ」に対し「3名の扱いも含め本紛争を全て海員組合(筆頭株主)に移譲しているので、『判断できない』『判断しない』」などと、裁判や労働委員会での主張とまったく違った返答に終始した。
 このことは会社自らが、3名は全港湾組合員であり分会の中心的人物であることを理由に、就労を拒否していると認めたに等しく、全港湾を嫌悪しての不当労働行為であることを明確に表明するところとなった。今回の運転士募集は、「解雇無効」が確定してから初めてのことである。会社は、全港湾組合員である社員3名を「出社に及ばず」として、職場から排除するという不当な扱いを続けたまま5〜6名の運転士の採用を強行しようとしている。
 この3名の解雇問題は、全港湾の団交権問題とともに本紛争の根幹にかかわる問題で、放置することはできません。全港湾本四海峡バス分会は、3名に対する不当措置をそのままに、会社が運転士の採用を強行した場合は、ストライキを含むあらゆる対抗手段をとることを通告した。

― 全港湾組合員3名を働かさないまま5名を一般募集 ―

今回、会社は新路線(前述)の開業にあたり、運転士を増員しなければならなくなった。しかし、すでに「解雇無効」が確定した全港湾組合員3名を職場に戻さないまま、新たに5名の運転士を一般募集して5〜6名の採用を強行しようとしている。これは労働組合として到底看過することはできないことである。このような事が罷り通れば、労働組合に結集した労働者が、労働組合を嫌悪する経営者から不当な解雇を強いられ、長く厳しい闘いを戦い抜き「解雇無効」を勝取ったとしても、会社が経営上の措置として就労を拒めば、事実上職場復帰への道が閉ざされることになる。そればかりか、経営者に服属しない労働者や労働組合員を排除する有効な手段となり、その矛先は労働者と労働組合に向けられるようになる。
 しかし、労働組合である海員組合が株式総数の過半数を所有する本四海峡バス株式会社において、「解雇無効」の確定判決を手にした社員3名を、職場から排除するという卑劣な不当労働行為が公然とおこなわれている。会社は、それを「海員組合の意向」であるという。これまで海員組合は、会社の数々の不当労働行為を容認してきたばかりか、それを会社と一体となっておこなってきた。このことは裁判においても明らかになっている。はたして、海員組合は労働組合として何を求めてこの闘争を継続しているのだろうか。海員組合幹部役員は「闘いに勝てないことは最初から判っていた、だから最初から会社を潰せと言っている」と放言する。そこにどんな正義があるというのだろうか。
 私たちは、全港湾全国の仲間と支援する会をはじめとする地域の仲間の支援を受けて、会社の正常化を求めて闘っている。それは、労働組合として、労働者として、人としての正義を実現さす闘いである。正義が正義であるために、全港湾本四海峡バス分会は、さらなる決意と団結をもって前進しようとしている。
もういちど前へ!

正義が正義であるために!

「あなた方、全港湾にも社会的責任があるんだよ」
 裁判判決や労働委員会命令に従わないで、違法を続けるあなた方会社に言われる筋合いはありません!
 玉城常務のいう社会的責任には、遵法や倫理という言葉があるのかな〜?
「そんなことは考えなくても行いでわかるだろう!」・・・まったくごもっとも。

玉城常務 語
 兵庫県地労委「原職復帰命令」
原職に復帰させよ!
 2004年11月11日、「3名を原職に復帰させなければならない」とする兵庫県地労委の「命令書」が送達されてきた。この兵庫県地労委平成15年(不)第5号事件本四海峡バス不当労働行為救済申立事件は、最高裁決定(2003年2月27日付)により「解雇無効」が確定した全港湾組合員3名に、会社が「出社に及ばず」と就労を拒否したうえ、働かないのだからと基準内賃金のみの支払を続けている事に対し、全港湾が、この会社の行為は、明らかな不当労働行為であり3名の原職復帰と未払い賃金(仕事に従事していれば得られる賃金と基準内賃金との差額)および、平成15年3月3日に申し入れた3名の原職復帰の条件などを議題とする団交の速やかな開催、実質「使用者」にあたる海員組合と会社の全港湾神戸支部の活動に対する支配介入の禁止、これらの行為に対する陳謝・誓約文の手交を求めた救済申立事件である。

主     文

  1.  被申立人本四海峡バス株式会社は、申立人中田良治、同日野隆文及び同板谷節雄に対して行った平成15年3月14日付け各自宅待機処置を取り消し、同人らを原職に復帰させるとともに、同人らに対し、同年2月28日から原職に復帰させるまでの間、同人らの解雇前3か月間の平均賃金を基準に算定した本来支払われるべき賃金と既に支払われた賃金の額との差額を算定し、その差額に年5分の割合による金員を加算して、各人に支払わなければならない。

  2.  被申立人本四海峡バス株式会社は、申立人全日本港湾労働組合関西地方神戸支部が平成15年3月3日に申し入れた申立人中田良治、同日野隆文及び同板谷節雄の原職への復帰の条件を議題とする団体交渉について、誠意をもって応じなければならない。

  3.  申立人らの被申立人本四海峡バス株式会社に対するその余の申立てを棄却する。

  4.  申立人らの被申立人全日本海員組合に対する申立てを却下する。
 この争いにおいて会社は、運行便数の減少により、「運転士は余剰状態」であるため3名を勤務させる業務上の必要性がない。また賃金についても基準内賃金以外の賃金は、労務に服することによって生じる賃金であり、労働契約にも基づく賃金は支払っている。したがって、会社は何らの差別待遇もおこなっておらず、「出社に及ばす」とする3名への措置は、不当労働行為には当たらない。また「団体交渉拒否」については、何度も全港湾神戸支部と団体交渉をおこなっているが、双方の主張の隔たりが大きく平行線のまま推移しているだけであって、団体交渉にはその都度応じている。などと主張した。
 他方、海員組合は、就労は従業員と会社間の契約上の義務履行の問題であって、海員組合は会社従業員の就労に何ら関係を有しないなどとした。
 兵庫県地労委は、本紛争について「会社が全港湾神戸支部との労使関係の確立を頑なに認めないことに起因する」と指弾したうえで、全港湾組合員3名に対する会社の「出社に及ばず」とする自宅待機措置とそれに伴う賃金減額措置は、「全港湾神戸支部本四海峡バス分会の結成及び組合活動を嫌悪しておこなった不利益扱いであるとともに、分会の弱体化を意図してなされた全港湾神戸支部に対する支配介入に当たる」とした。さらに、団体交渉拒否についても「全港湾の存在を認め、団体交渉を行うとしながらも、会社と全港湾神戸支部の間には労使関係が確立していないとして、実質的に全港湾神戸支部を団体交渉の相手方として認めず、合意が成立したとしても協定書の作成については拒否するとの立場をとっているのであるから、このような姿勢で臨んでいる折衝を団体交渉と認めることはできない」と明断し、会社に対する全港湾側の主張を全て認める判断を下した。
 しかし、兵庫県地労委は、海員組合の「使用者性」について、兵庫県地労委平成12年(不)第15号事件と同じ内容で却下した。この兵庫県地労委の却下した海員組合の「使用者性」については、すでに神戸地裁および大阪高裁において、「海員組合は労組法上の『使用者』にあたる」と明快に判示されている。現在、海員組合・会社・兵庫県地労委が最高裁へ上告している。この「海員組合の使用者性」については、確定判決とはなっていないが、地裁・高裁で取り消された命令と同趣旨の命令を下した兵庫県地労委の姿勢にも、大いに問題を残すところである。
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 会社は、2003年2月27日に3名に対する「解雇無効」の最高裁決定が下され、3名を不本意にも社員として認めた。しかし、「出社に及ばず」として、3名を職場から排除するという不当労働行為を続けている。さらに、その決定と同時に「全港湾は団体交渉の地位にある」とする最高裁決定も下され、翌2004年2月26日には、兵庫県地労委の「団交応諾命令」が最高裁において支持され完全に確定するにいたった。しかし、会社は全港湾神戸支部との団交を頑なに拒み続けている。全港湾神戸支部は、会社の団交拒否を放置することは違法の放置であり、あまりにも社会正義に反することであると判断して、労組法違反で会社社長らを刑事告発した。会社は、事ここに至っても全港湾を認めず、3名を職場に戻さないという悪あがきを続けている。そして、これらの行為は「筆頭株主の意向である」と会社は言う。
 本四海峡バス闘争において、海員組合が会社の株式総数の過半数を所有する筆頭株主として少なからぬ影響力を発揮し、会社の労組法違反にいたる脱法行為をおこなわせて来たであろうことは、誰もが承知するところであろう。間もなく最高裁において「海員組合は労組法上の『使用者』にあたる」とする決定が下されるであろう。はたして、座礁した巨大船「全日海」は、離脱できるのであろうか。

貨物船コープ・ベンチャー
(約3万6000トン)

シフトダウン
 さる10月20日、台風23号が近畿地方を直撃した。各地に甚大な被害をもたらした台風の猛威に、人々は震撼した。全国で死者80人、行方不明者12人(10月23日19:25現在:共同通信)をだし、過去10年間で最悪の人的被害となった(総務省消防庁)。兵庫県内だけでも全半壊や床上浸水などは24,000棟を数え、土砂災害などを含めた被害総額は約2,600億円にものぼるという。台風23号は、淡路島にも猛威をふるった。洲本市でかつてない大水害を引き起こし、土砂崩れは淡路島の道路をそこかしこで寸断、その被害は過去最大級となった。
 その土砂災害で本四海峡バスは運行不能に陥った。そればかりかJRバス1台と本四海峡バス2台が国道28号線(津名〜洲本)において、わずか数分の差でかろうじて土砂崩れを免れるという、あわや大惨事という事態が発生した。もし土砂崩れに巻き込まれていたらと想像すると、背筋が凍る思いです。
 会社は、今回の事態を重く受け止め、共同運行のJRバスと早急に協議をはじめ、台風などの異常気象時における運行中止基準の作成に取り掛からなければなりません。そして、その運行中止基準は形だけのものではなく、安全かつ実効性のあるものにしなくてはなりません。営業所長などは、「乗客の利便性やサービスを考えると橋が通行可能なうちは・・・・・・・」などと言葉を濁しますが、はたしてそうであろうか。最大のサービスは「安全」であり、それが公共バス事業の責任ではなかろうか。
 また、運行中止の判断は、ほとんどの場合、暴風雨などを予測して判断するものであるため、運行中止の判断を下しても「雨や風などがそれほどでもなかった」という場合もありえる。その場合でも会社は「なにもなくて助かった」と、賛辞するぐらいの器量をもたなければ、現場責任者を萎縮させ判断の時期を逸しることを、会社は熟知していなければならない。全港湾本四海峡バス分会は、台風23号による「あわや大惨事」という事態を重大な警告と受け止め、2004年11月5日会社に対し、当組合と協議のうえ安全かつ実効性のある「異常気象時における運行中止基準」を早急に確立するよう申し入れている。しかし、会社は安全問題においても全港湾との協議に応じないという愚行におよんでいる。
台風23号を教訓に!
洲本市三熊山 小茂江から上物部に抜けるバイパスです
淡路縦貫道室津PA
― 運行を中止する勇気を ―      洲本営業所  小原 恭裕
 
 台風23号が直撃した10月20日、私は1行路(洲本⇔新神戸間2往復)に乗務しておりました。大型で強い勢力の台風が淡路島に接近していたので、午前中から点呼、乗務員ともども台風情報を収集し、その動きを注視していました。台風が接近するにつれ、各乗務員や券売所、お客様などから運行中止の時期や運行状況などに関する問合せが増えてきました。そういったなか、運行管理者の「明石大橋が通行できるからまだ大丈夫」との判断で、そのまま運行が続けられました。
 予定通り新神戸14:00発で洲本へ向かうよう指示が出されました。出発直後からだんだん雨が強まり、明石大橋を渡る頃には大雨になっていました。津名一宮から津名港間の交差点では川のように水が流れ、津名港につく頃にはブレーキも効き難くなっていました。15:10頃に津名港を発車し、スピードを落とし車間距離をとりながら洲本へ向かいました。国道28号線の安乎を走行中、対向車がパッシングしてくるので、「何かな?」と思いスピードダウンしたところ、前方で土砂崩れが起こっていて道路をふさいでいました。直ちに洲本の点呼に電話したところ、しばらく現場で待機するよう指示がありました。その間にも前方で土砂崩れが起こりました。危険を感じた私は、津名港で待機する事を伝えUターンして津名港へ向かいました。ところが、今走ってきたばかりの道でも土砂崩れが起こっていて道路をふさいでいました。幸い「おのころアイランド」(埋立地)へ通じる道が、その手前にあり「おのころアイランド」を通り津名港へたどり着きました。津名港には後続の乗務員も待機していました。洲本営業所から高速も通行止めになっており、山手線か西浦線で洲本へ向かうよう指示がありましたが、それは危険だと判断し、お客様と津名港で待機する事にしました。
 幸いなことに津名港バスターミナルは、津名町の災害避難所に指定されていて、町職員らの協力で待合所で安全に待機する事ができました。毛布なども手配していただき大変お世話になりました。また、同僚の乗務員と券売所員みんなで協力して、お客様に飲物と軽食を手渡しました。「どうなっとるんや!」「他の道は無いのか!」「こんなんやったら三ノ宮に泊った方がよかった!」などと、缶詰状態が長引きイライラしたお客様が声を荒げる場面もありました。また、家族の方と連絡をとり家族の無事や家の状況等を確認するお客様もおられました。いろいろ不安もあるなかお客様も次第に落ち着き、ニュースで台風情報を見ながら高速が開通するのを待ちました。そして、翌21日00:30に、ようやく高速が開通して洲本に無事到着したのは01:30でした。お客様は、心身ともに疲れた表情で下車されていきました。
 今回、台風のなか運行を続け、お客様を危険な目にあわせるという結果になりました。私の運行するバスが、もし数分前後していたら土砂崩れに巻き込まれていたと思うと、今でも身が縮みます。私は、この度の台風直下で運行を続けたことは、判断ミスであったと思っています。この判断ミスを誘発した原因は、これまで台風による事故がなかった事から「今回も大丈夫」という過信と、会社の安全に対する姿勢にあったことは否めません。事故は、「不安全状態」と「不安全行動」に、「原因」がタイミングよく重なったときに起こります。今回は、たまたま運良く、タイミングが少しずれていただけの事です。
 私は今回のことで、船員のときに「荒波を乗り越える技術をもった人よりも、運航を中止する勇気をもった人が優秀な船長である」と、教えられたことを思い出しました。
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