敏満寺 清涼山不動院

1400年の伝統を持つ寺院です
宗旨宗派を全く問わない、どなたでもお参りしていただけるお寺です。
1400年の伝統を持つ寺院ですが、葬儀・法事は言うに及ばず、人々のお悩みにお応えするため、様々な宗教活動を行っております。

お知らせ

28日には初ご命日がやってきます。
新年になっての初めてのご命日で、本尊のお不動様のお姿を拝める、最初の日となります。
古来より霊験あらたかな秘仏でありますので、皆様ぜひお参りください。

過去の「ともしび」は​ ​

不動院機関誌「ともしび」

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ともしび                 

 

第百四十九号

一月二八日発行


適性とは何か 続き


先月号で「適性」についてお話ししました。旺文社初代社長の赤尾氏の原稿を紹介し、「90パーセントの人は適性のある仕事についていない」という話を紹介しました。先月はそれについての解説を長々と述べましたが、今月は私自身のことについて少々お話ししようと思います。
私自身の経験から言いますと、かなり極端な意見ですが、適性のある仕事につく必要など全くないと思います。私自身理系の出身で、本当にやりたかったのは海洋生物学でした。でもそれでは絶対ご飯が食べられませんから、早々と希望進路からは消え、理系在籍のまま入試を受けたら、日大の歯学部に合格しました。しかし、今後は歯医者さんは過当競争で食べていけなくなるだろうと断念。この選択は非常に的確でした。
次は料理の道で、小さい頃から料理がとても得意だったので、大学に受からなかったら、辻調理師専門学校に行くつもりでしたが、幸いに大学に受かったので、コックの道もなくなりました。
合格したのが滋賀大教育学部だったので、仕方なく教師になったんです。これは理系出身者には本当に多いパターンで、機械とかデータとつきあっているほうが圧倒的に楽しく、人間相手なんて面倒くさくて仕方ないんです。当然のごとく理科の教師を目指しましたが、現職の教師の人から、理科は採用が非常に少なく、転勤もしにくいからやめた方がいいと言われ(これは本当のことでした)、家が寺だし、理科じゃなかったら何でもいいやと思って国語教師になってしまったのです。
そういう事情なので、私は数学の免許も持っているし、英語や社会や書道も持っているのですが、もともと理系出身だから、一般の国語の授業はさっぱり理解できません。だいたいの場合、国語の授業では、芥川龍之介の作品をやる前には、一時間くらい芥川龍之介の人生について長々と先生が解説して、そのあとも先生が自分の感想を延々と話すのです。定期テストですと、先生か話した内容を覚えておけば点数は取れますが、実力テストや入試じゃ、横に先生がついてくれて解説してくれるわけじゃありませんから、手も足も出ません。困って現代文の先生に相談に行って、
「どうしたら現代文が出来るようになるんですか。」
って聞いたら、
「それはな、佐々木、本を読め。たくさん本を読んだら出来るようになる。」
と言われて、じゃあ、何のために授業してるんだと。こんな授業受けるだけ無駄で、その時間に図書館行って本読んでる方がはるかにましなわけです。国語教師になってからも、なんで国語には解法ってやつが全くないのかと疑問で仕方ないわけです。数学で公式も何もなくて問題解くなんてありえないし、理科でテキトーに薬品混ぜましょうなんてやったら、爆発するとか有毒ガス発生するとかで命に関わります。
国語教師になって分かったのですが、他の国語の先生には、高校あたりで影響を受けた恩師がいるんです。その先生が語る文学論に感化されて、自分も国語教師をめざそうと思ったという動機が非常に多いのですが、理系出身の私にとっては全く縁もゆかりもない世界です。恩師がウンチクを延々と語るスタイルの授業をやっていたので、それを自分の代でも再生産しているようなものです。だいたいのパーセントで言うと、全体の5%くらいの生徒が目を輝かせて国語の先生のウンチクと文学論に聞き入り、それが次の国語の先生になっていくという繰り返しです。40人のクラスだと2人か3人しかおらず、あとの生徒はドッチラケてるか寝ているか「内職」しているんです。私はこれを「5%内の国語教員再生産システム」と呼んでいます。
こんな感じで、明らかに残り95%の、畑違いの分野出身の私にとっては、非常識極まりないのが国語の世界で、じゃあ自分で解法作ろうと思って作ったら、出版社8社と契約することになり、参考書は50冊近く執筆、教科書まで書くはめになりました。この内容を国語の先生向けに講演会で話したら、助言者として来ていた文部科学省の担当の人が、
「佐々木先生の言うことは全面的に正しいです。国語の問題を的確についています。これからの国語教育は先生のようなやり方でないといけません。」
と言ったのにはたまげました。少し前まで異端者扱いだったのに、いつの間にか時代の方が私に追いついてきました。今やまさかの、文部科学省お墨付きになってしまったのです。
こんなことは、畑違いの出身でない限り思いつけません。適性にあってないから仕事ができないと思っている人がめちゃくちゃ多いのですが、適性なんて合致するほうが珍しいし、既成の枠をぶち破るという発想は恐らく生まれません。適性なんて、仕事とあってないのが当たり前でありまして、だからこそ道が開けるのだと思います。 

 

合掌



                          合掌
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高野山真言宗清涼山不動院