eoさんの旅ノート
スイスアルプスの旅 ゴールデンパス・ライン サース・フェー3泊 グルンデルワルト5泊 サン・モリッツ3泊 ここ クラン・モンタナ2泊
 
top画像

早朝、ホテル裏の展望台に上がる。

 7月14日  サン・モリッツ → ゴルナーグラート

 今日は鉄道を乗り継いで、サン・モリッツからゴルナーグラートまで移動する。
 サン・モリッツ→ライヒェナウ Reichenau → タミンス Tamins → ディセンティス Discentis → アンデルマット Andermatt → ブリグ Brig → ツェルマット Zermatt → ゴルナーグラート Gornergrat というコース
 これは"氷河急行"のコースと重なるが、氷河急行を使えばゴルナーグラート到着が遅くなるので、私達は鉄道を乗り継いで移動した。
 サン・モリッツ発は朝7時頃、ゴルナーグラートには午後4時過ぎに到着。

 サン・モリッツを出た時から、雨こそ降ってはいなかったが、ずっと、どんよりとした天気だった。

 翌朝はゴルナーグラートからリッフェルアルプまで歩いて降りる予定なので、大きな荷物はツェルマット駅で預けた。

 登山電車で着いたゴルナーグラートは、完全に霧につつまれている。マッターホルンの夕陽を楽しみにしてやって来たゴルナーグラートなのだが、夕陽どころか、1メートル先にある表示板さえ、霧のために、かすんで見えない状態だった。

 ぼんやりと霞んだ中にぼおっとたたずむ建物らしいものに近づくと、それがゴルナーグラート・クルムホテル Kulm Hotel Gornergrat だった。

 入口を入ると、先ず、ブランド・ショップが目についた。私達の記憶にある15年前のクルムホテルとは変わっているだろうとは想像していたが、これほど変わっているとは。15年前は、ちょっと高級ではあるが、要するにただの山小屋だったのだ。それが、今、ブランド・ショップまであるとは。
 しかし、ホテルのチェックイン・フロントに行って、ひどく懐かしかった。
 このホテルのフロントには、学生の勉強机程度の大きさのテーブルが一つだけあり・・・それだけのスぺースの場所だ・・・そのテーブルの直ぐ後ろの階段を上がると客室がある。
 今では、エレベーターがあるので、客室に上がるにはエレベーターを使うが、当時は、客室に上がるにはその階段を使ったのだ。
 全体に綺麗にはなっている。だが、レイアウトは昔のままだ。15年前、私達はこのフロントのテーブルの前に立って「マッターホルン側に空き室があるか?」ときき、「Yes」の返事が非常に嬉しく、手続きを済ませると、その後ろの階段をいそいそと上がっていったのだった。そのままだ。これは変わっていない。このホテルは改築したのではない。内部をリフォームしただけなのだ。

 私達の客室は今回もマッターホルン側。窓からはマッターホルンが正面に見える・・・はずである。しかし今は、霧が見えるだけ。

 夕食のレストランで、私は妙な気分になった。

 私達は、1年前にここゴルナーグラート・クルムホテルへの予約をトライしたが満室でキャンセル待ちとなり、この旅行の日本出発間際になってやっと予約OKとなって、今、ここにいるのだ。
 予約を依頼したグリンデルワルト日本語観光案内所の話によると、クルムホテルの予約受付開始は2年前だが、予約受付開始と同時に旅行社がパックツアーのために全室を予約でおさえている。つまり、2年前に既に満室となっている。そして、キャンセル料金が発生することになる1ヶ月前に、全室を予約で確保していた旅行社が要らない室数をキャンセルするはず。だから・・・キャンセル料金が発生する1ヶ月前に、予約がとれる可能性はある、、、と。
 ということで、クルムホテルに宿泊予定の1ヶ月前、私達にとっては日本出発間際になって予約OKの知らせを受け取ったのだった。それまでは、当然、予約がとれない場合を想定してのコースや宿泊先を考えていた。クルムホテルの予約確保がもう少し早く分かっていたら、旅行プランは、もっとすっきりとした計画をたてることができたろう、と思う。

 旅行社が全室をおさえていたというのだから、今日宿泊している、パックツアー客ではない、個人客は、全員、キャンセル待ちだったということになる。だから、私達は、今日の宿泊客のうちで、個人客は私達だけか、せいぜい他に2,3組と思っていたが、実際はそうではなかった。
 夕食のレストランに行ってみると、大勢のパックツアー客は2グループあって、どちらも日本人グループで、それぞれ20人足らず。で、アレ? 個人客が7,8組はいる。予想外に多い。
 旅行社が2年前から予約で全室をおさえた後に1ヶ月前にキャンセルした室数がそんなに多かったのかと考えると、急に、妙な気分になった。

 私達の場合は、日本出発がもう少し早ければ、"クルムホテル予約可"の知らせを受取れなかっただろうし、そうなれば、クルムホテルまで来ることもなかっただろう。また、私達は「キャンセル待ちであれば可能性あり」という日本語観光案内所を信じて待ち続けたが、こんな案内所を通じないで、個人として予約を試みた客は、"満室"と聞いて初めから諦めたケースがほとんどだろう。

 ゴルナーグラート・クルムホテルの客室を独占しようという旅行社のこのやり方は、勿論、法律違反ではない。"マナー"がどうというのなら、個人客を優先しなければならない理由があるのか、という反論もあろう。旅行社も企業である以上"企業論理"最優先で行動するのは、給料で生活したことのある者には非難できない。
 しかし、それにしても、クルムホテルの全客室をおさえていたのが2つとも日本の旅行会社だというのは、何というか、、、、。日本のツーリズムには何か歪みがあるような気がしませんか、と言いたくなるのは、無力な個人客のひがみか。

 7月15日
マッターホルン
 朝、起きてすぐ窓の外を見ると、なんと、
 一面の雲から抜け出してマッターホルンが美しい姿を見せている。いい位置に月もでていて、絵画を見るように美しい。
 客室の窓から、午前5時半頃に撮影。

 厚着をしてホテル裏の 展望台に上ってみると、もう大勢の人が出て、朝陽に輝くマッターホルンを眺めている。
マッターホルン2
 まだ空模様は不安定でかなりの雲や霧があり
 マッターホルンも何度か霧に隠れたりしたが、
 霧が薄くなる度に、皆んな、カメラのシャッターを押す。

 ここで初めて会った人とも、顔を合わせると
 「素晴らしいですね!」と声をかけ合うのは、
 旅の中での、何気ないけれど、楽しい一瞬だ。
  手前の建物は ゴルナーグラート・クルムホテル→
モンテローザ  

 

 

 モンテローザにも朝陽があたる。

 ゴルナーグラート → リッフェルアルプ → クラン・モンタナ Crans-Montana

 今日は先ず、ゴルナーグラートからローテンボーデンでリッフェルゼー(湖)に寄って、リッフェルアルプまで歩いて降りる。

 ホテルで朝食を済ませ、歩き始めたのは9時前。
 歩き始めからずっと、素晴らしい景観が続く。なんとも晴れやかな気分だ。

 天気は晴天というわけではないが、しばしば明るい陽射しもさす。

 霧の動きが激しく、景観も見えたり隠れたりを繰り返す。
 ゴルナー氷河だけは最後まで見えなかった。霧の切れ間に、一瞬、チラリと見えたか見えなかったか。

 それでも、素晴らしい展望に感激。

(3枚の写真を 張り合わせたものです)

モンテローザ
左から モンテローザ 次はリスカム  モンテローザとリスカムの間にゴルナー氷河の先端だけ見えている  中央右の大きな山塊はブライトホルン 右端はマッターホルン  (表示されていなければ、右にスクロールして下さい)

モンテローザ
モンテローザとリスカム

山頂部分が池に映っている。

これはまだゴルナーグラートの近く

このあたりず〜っと 美しい景観が続く。


マッターホルン  

 

 贅 沢 な 気 分
マッターホルン

 ローテンボーデン駅を横にみて下ると、
 リッフェルゼーはもうそこ

 逆さマッターホルン

   自然が作り上げた宝石を見ているようだ。

 そこらあたり、
 グループツアーの大勢の日本人で
 埋め尽くされているのには驚いた。


 リッフェルゼーを過ぎてリッフェルベルグまでは、丘陵地帯のようになだらかで広々として、見通しが良いトレイルを行く。
 リッフェルベルグ駅の手前にリッフェルベルグ・ホテルがあり、このホテルの横から、リッフェルアルプへのトレイルが始まる。
 「40分の歩きやすいコース」とガイドブックに書いてあるのを素直に信じて、トレイルを降り始めた。リッフェルベルグからは下り一方のコースなのだ。

 いつの間にか天候は下り坂。気が付くと、雲が空を覆っている。
 天気が良ければ、このコースはマッターホルンを眺めながら下るコースなのだが、今は、マッターホルンは霧にすっぽり覆われている。この様子だと、ゴルナーグラートからもマッターホルンの姿は見えていないだろう。

 コースは急坂で、しかもゴロゴロした岩の道。私は、ゆっくりゆっくりでしか降りれない。
 下からは、ハイカーがぞろぞろと上がってくる。それも、途切れることなく、延々と。若者はほとんどいない。ほぼ全員が中年。クラブか何かのグループなのだろう。「ボンジュール」と挨拶するので、フランス人だ。人数は数十人?
 その彼等、ほぼ全員が、ハアハア、ぜーぜーという調子で、辛そうに這い上がってくるのだ。彼等にしてみれば、本当なら、青空に聳えるマッターホルンを眺めながらのコースのはずが、今日は、何も見えない。しかも、上り一方、それも急な上りが続く道だ。私にも辛い道だが、彼等に「お疲れさま!」と言いたくなる。

 「40分の歩きやすいコース」と書いてあったガイドブックに悪罵をたれながら、リッフェルアルプに2時間近くかかって下りた。

eoさんの旅ノート
スイスアルプスの旅 ゴールデンパス・ライン サース・フェー3泊 グルンデルワルト5泊 サン・モリッツ3泊 ここ クラン・モンタナ2泊