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2011年夏、スイスアルプスの旅をした。私達自身でコースを決め、利用する交通手段の運行時間を調べ、宿を予約する、個人旅行である。”私達”とは、この私と私のツレアイとの2人である。
スイスアルプスは、言わずと知れた超有名観光地。だから、このWebページでは、どのガイドブックにも書いてあるようなことは、特に説明していません。ご了承を。
準備を始めたのは1年ほど前から。せっかくスイスアルプスに行くなら、花の美しい時期に行きたい。 しかし、観光地としては、このような時期はピークシーズンになる。宿は混むので予約がとりにくい。おまけに宿賃は高い。だが、私たちは、あえてこの時期を選んだのだ。
私達のスイス旅行はこれで3度目になる。最初のスイス旅行は、30年近く前になるが、
JTBのパックツアー。それは夏の時期で、ハイキング中心のツアーで内容もなかなか良かったが、特に、
花々がとても美しかったことが記憶に残った。
2度目のスイス旅行は15年ほど前、この時は個人旅行だった。時期は9月、秋。宿は予約なしでも泊れたが、ただし、最初のスイス旅行で見たような、美しい花の群生は見られなかった。
だから、今回は、花の美しい時期を選んだ。そして、ピークシーズンなので、早めに準備を始めたのだ。
コースは、チューリッヒからスイスに入り、サース・フェー3泊→グリンデルワルト5泊→ サンモリッツ3泊→ゴルナーグラート1泊→クラン・モンタナ2泊、そして、ジュネーヴからスイスを出る。
宿の予約は全部インターネットで依頼。そのうち、サース・フェー、グリンデルワルト、
サンモリッツ、ゴルナーグラート(クルムホテル)はグリンデルワルト日本語観光案内所を通して予約。ただし、ゴルナーグラートは、1年前だというのに既に満室、キャンセル待ちとなった。日本語観光案内所によれば、ピークシーズンは2年先まで予約が埋まっているということで、ちょっと驚いた。実は、1昨年、私達はスイス旅行を計画していた。やはり夏、ピークシーズンに。その時はゴルナーグラート・クルムホテルは難なく予約できたのだ。
(1昨年のスイス旅行は、ナント!出発2日前に! ツレアイが足を骨折。どうしようもなく、予約していた全部をキャンセル。キャンセル料もそれなりのものだった、、、。)
それが、今は、2年先まで予約が埋まっている?? グリンデルワルト日本語観光案内所に よれば、旅行会社がゴルナーグラート・クルムホテルの全室を2年先までおさえているのだ、と。キャンセル料が発生するギリギリ1ヶ月前になって、旅行社がキャンセルを出す可能性はある、ということで、一応、キャンセル待ちにしてあった。そして、、、日本語観光案内所が言った通りに、キャンセル料が発生する1日前にキャンセルが出て、私達の予約がとれた。私達の日本出発の、ホンの数日前だった。
実は、私達には、ゴルナーグラート・クルムホテルでの宿泊には思い入れがあったのだ。
15年前のスイス旅行で私達はこのホテルに宿泊。そこで夕陽のマッターホルンを見たのだった。夕陽はマッターホルンの頂上からそのまま真後ろに落ちていったが、背面に夕陽を浴びて逆光となった壮大なゴルナー氷河と巨大なマッターホルンの光景は忘れられない。あれは、このホテルに宿泊していなければ絶対に見ることができない光景だった。
あの光景をもう一度、の思いで、私達はゴルナーグラート・クルムホテルに泊りたかった。だから、予約がとれた時は嬉しかった。
今回、私達は、ホテルを予約する際に、できるだけ展望の良い客室を予約した。バスタブはあっても無くてもよい。部屋がデラックスである必要もない。ただ、展望の良い部屋を。バルコニーがあればその部屋を、と。
通常は、そんな客室は宿泊料が少し高いが、それでも精々、10%程度の違いだ。だが、海外旅行での経験や思い出の中で、そのうち、泊まった部屋の満足度が占める割合は、部屋代の違い以上のものがある。
だから、基本的には、私達は、宿賃はあまりケチらないことにしている。
移動の交通手段の大半は鉄道となるので、スイスパスをインターネットで購入。日本⇔スイスの航空機は、貯まったマイルで特典無料航空券を利用。
2011年7月2日、関空からパリを経由してチューリッヒに。空港ホテルに宿泊。
翌朝、7月3日、鉄道のチューリッヒ空港駅の案内所で、スイスパスに「7月3日から使用開始」のマークを入れてもらう。
今日は、鉄道を乗り継いでフィスプ Visp へ。フィスプからはバスでサース・フェー Saas-Fee に行く。
鉄道は勿論、バスに乗るのも、スイスパスが使える。
ゴールデンパス・ライン
鉄道で、チューリッヒ空港駅を7時43分発、ベルン Bern で乗り換え、更に シュピーツ Spiezで乗り換え、ツヴァイジンメン Zweisimmen に10時19分に着いた。ここツヴァイジンメンからはゴールデンパス・ラインを利用。ゴールデンパス・パノラマカーに乗ってモントルー Montreux へ。
レマン湖が見えてくると、モントルーは近い。
サース・フェーに着く
フィスプからバスでサース・フェーへ。サース・フェーには鉄道が通っていないので、バスで行くのが唯一の方法となる。
サース・フェー着はほぼ午後3時。ここサース・フェーへは、15年前にも来た。どれくらい変わったかな、という興味も少しある。
バスターミナル周辺が小奇麗に整備されていて、
目の前には観光案内所がある。
最初に目に入るのが、サース・フェーの街に覆いかぶさるような迫力でせまる、
言うまでもなく、フェー氷河
この景観は、15年前もこうだったし、これからもずっと変わらないだろう。
ここサース・フェーで3泊の予約をしているパークホテル Park Hotel が、バスターミナルの前の坂道を数メートル下った場所にあるのは、15年前と同じだ。
見て直ぐに同じホテルだと分かるが、なんとなく綺麗になっている。改装などしたのだろう。しかし、石の階段を数段上がってエントランスに入るのは、昔と変わらない。
15年前、私達がバスでサース・フェーに着いた時、宿泊の予約はしていなかった。だから、先ずホテルを決めなければならなかった。
バス停の前の坂道を少し下りたところにホテルがあった。坂道を下りた、といっても、そこはまだサース・フェーの中心部を見下ろす高台であることは、そこに立って見れば分かる。
そのホテルは3階建てで、サース・フェーの大きな氷河を正面にして客室の窓が大きく開いており、バルコニーもある。ここにしよう。最初に見つけたホテルだったが、気に入った。
「氷河側の部屋、空いてますか?」と聞いて、Yes。 2階の氷河側の、真ん中の部屋に案内された。窓を開け、バルコニーに出ると、お〜、氷河がのしかかってくるような迫力だった。
この時も、ここで3泊したのだった。
今、エントランスに入ると男性が奥から出てきた。15年前の若主人だとすぐに分かったが、今は、いい中年のおじさんだ。「15年前にも来たのだ」と言うと驚いていたが、私達のことは覚えていない様子。当たり前だが。
今回は、4階の氷河側の、真ん中の部屋に案内された。15年前は山小屋に毛が生えた程度だった室内が、今は、綺麗。堂々たるホテルになっている。窓の大きさやバルコニーの感じは同じ。バルコニーに出て、大氷河と雪山の景観も昔と変わらない。
だが、大きく変わったものが2つある。
このパークホテルは3階建てだと先に書いたが、実際は4階建てである。地面と同じフロアに食堂があり、それは「地下」として扱われている。だから、2階や3階の客室は実際には3階や4階の高さになる。そして、このホテルの立地そのものが高台にあるので、バルコニーからの景観は、氷河と雪山はほぼ正面に見え、見下ろすと、サース・フェーの街や家並みが広がっている。
変わったのは2つ。バルコニーから見下ろしたサース・フェーの家並みが15年前とは明らかに違っていることだ。15年前は、まばらで数える程だったが、今は、建物がびっしり。そのほとんどがホテルのようだ。
まあ、客が増え、観光地として栄えることは喜ばしいと思わなければ。
もう一つの変わったものは、パークホテルの主人が使う言語だ。15年前は日本語を全く理解しなかったのに、今は、なんと、カタコトの日本語を話すのだ。
ツレアイが言うには、15年前、このホテルに泊まったことを『地球の歩き方』に投稿した。日本の旅行情報誌にこのホテルの名が初めて載ったんだ。大変良かったと書いたよ。あれ以来、このホテルに日本人客が増えたんだと思うよ。オレの功績、、、、だそうである。今も、このホテルには数組の日本人客が宿泊している。
パークホテルには2連泊以上の宿泊の場合はサース・フェー地区のロープウェー・ゴンドラ全線の乗り放題無料パスのサービスがある。(サース・フェーのいくつかのホテルがこのサービスを行っている。)
これが、タダで使えるものは最大限使わなきゃ損、できればロープウェー・ゴンドラは全部乗りたい、というケチなツレアイの願いをかきたてることになった。
観光案内所に行って、この地域の案内図、ロープウェーの路線図・運行時間の表などを入手。日本語版があったので貰い、ドイツ語で書かれた版もついでに貰った。
職員に尋ねて、ロープウェーなどは運行時間表の通りに全て問題なく動いている、ハイキングコースも特に荒れたコースは無い、等を確認。
15年前よりもずいぶん賑やかになったサース・フェーの街中も歩いてみた。観光客向けの土産物屋、入りやすそうな雰囲気のレストランやアイスクリーム屋など。
宿泊は朝・夕の食事付なので、当然、夕食はホテルのレストランで。15年前もそうだったが、ここの食事は美味しい。ワインも注文して、いい気分になる。
寝る時、部屋のカーテンは開けたままにしておいた。
正面に見えるフェー氷河と雪山が、暗闇の中に、ほの白く見える。ほかには何も見えない。ネオンを出しているホテルは全くない。
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