100603 ODA留文(1)

夜風が涼しく、しんと静まりかえった亥の刻。
相部屋に同室の伊作はおらず、留三郎はひとり黙々と机に向かって課題をしている。着物はすでに夜着で、今しているものが済めば就寝するつもりだ。
伊作は夕食後に保健委員の集まりがあると言って部屋を出たっきり、風呂でも顔を見なかった。また何か不運な目に遭っているのかもしれないが、いつものことなのでそれほど心配していない。
(これを書き終わる頃には戻ってくるか、こなかったら様子を見に――)
そう思いながら筆を進めていた時だった。
ヒュッ 突然、廊下側から留三郎の方へ一直線に、何か鋭いものが飛んできた。
「うわっ!?」
とっさに飛び退けば、机にカッと刺さったものは小さな矢だ。
(敵襲!?)と留三郎は一瞬疑ったが、矢文が結んであるのを見て(なんだ?)と思い、恐る恐る手を伸ばした。
ガサガサと紙を開けば、自分へ短い言葉が宛ててあった。

明日の件、用事が入った。約束は破る。 潮江文次郎

文次郎からの連絡だった。相変わらず、顔に似合わず流暢な字だなとぼんやり思う。
(……いや、これくらい、口で言えよ!)
次にそう思った。文次郎とは先の食堂でも風呂場でも見かけている。相手もこちらに気づいて目があったこともあった。視線はすぐにそらされたが。
その時にでも呼び止めて一言かけてくれればいいのに。矢は小さなものとはいえ、背中の真ん中に狙われていた。一体何のつもりだ。
留三郎はまだ近くにいるだろう矢を射た本人をさがそうかと思ったが、十中八九けんか腰になるのでやめておいた。
(だが、しかし、直接言いにくいことではあるな)
明日は休日であり、自分らは町に出る約束をしていた。
この時点で人に聞かれれば驚かれるだろう。6年い組の潮江文次郎と6年は組の食満留三郎といえば誰もが認める犬猿の仲である。つまり恐ろしく仲が悪い。
ふたりが一緒にいればにらみ合い、口をきけば言い争いに発展し、肩がぶつかろうものならその場で大乱闘になる。下級生はもとより同輩の者も匙を投げる水と油っぷりである。
そんな2人が共に町へ行く約束をしていた。しかも、その理由がまた信じられない。
話せば長くなるが、文次郎と留三郎は一度ひょんなことで関係を持った。その時、留三郎は文次郎に好意を告げた。
突然の告白。自分でも、文次郎に惚れることなど想像もしなかったが、決して気の迷いではなかった。本気だった。
それなのに、文次郎は断固として信じない。『嘘つけ!』『嘘じゃねぇよ!』『一夜の過ちを本気にすんじゃねぇよバカタレ!』『じゃあ一夜じゃなかったら本気ってことだな?』『ああ!?』
留三郎は勢いに任せてひとつ約束を取り付けた。
『次の休みに町で宿を取ってでも、もう一度同じことができれば、お前も俺の本気を信じるだろうが!』
「……」
留三郎はその時のことを思い出して、やや赤くなった頬ごと顔を覆った。我ながら、なんて酔狂な約束だ。
その時は文次郎も了解してくれた。売り言葉に買い言葉、やってやろうじゃねぇか!と噛みつかんばかりに合意した。
しかし、やはり考え直したのかもしれない。できた用事が何かは知らないが(予算会議が近いから、おそらく委員会だろう。)なんとなく逃げられた気分だ。
けれど、矢文の文字をなぞりながら、彼がどんな気分でこの短文をつづったのかと考えれば、悪い気はしなかった。
面と向かって言えず、とうとう夜更けになって、結局矢文にしたってところか。
約束を取り付けた日から今日まで、互いに接点はなく、目があったとしてもそらされるばかりで、あの時のことはまさか夢かと内心不安だったが、相手も相当葛藤していたらしい。
約束を断られたのはやや残念だが、仕方がない、町には1人で行って、買い物ついでに甘味処でも寄ろうかと思う。
留三郎は矢文をたたみ直すと、矢に括り直して机の中にしまった。

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留文その後。こっから071216の「食満と伊作」に続く。

2月の文次郎受けオンリーにて、声をかけていただいた方がOD留文好きですって言ってくれて、直接の感想が本当に有り難かったです。いつになるかわからずもはや自己満足ですが、OD+ODAはゆっくり完成させます。


100330 カンニングその2

■ODルート直通
選択肢の小説は読み直すのがめんどくさいなぁということで、ルート直通のリンクをはっときます。よかったら使ってください。


100212 OD履歴

060829 ネーム放置
061025 相手決定まで
061229 文次郎SIDE
070117 ぼちぼち
070208 仙/鉢
070221 前書き/長/団
070224 魔
070227 小
070619 留追加
080901 留
091018 綾

さぼりすぎだろ08年09年。反対に07年前半の早漏っぷりは異常。
残りはあと利吉さんといさっくん。多分利吉さんを先に仕上げて、不運委員長は最後になります。お約束に乗っ取ったわけじゃないのに…さすが不運!
070314を完成目標にしていたので、一応100314を完成目標に。ネームから数えると3年半くらいまたいでるシリーズですが、今年こそ完成させたいです。


091016 OD綾文

■OD綾文(1)
毎度おなじみ、書けるうちに書いて書いたところまで晒す作戦。
今のところ1/3くらいです。まだちゃんとしたエロないので、中途半端が嫌な人はスルーしてくださいませ。
綾文、さわり書いてたログupが080208だった…どんだけ前だ…orz

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091017

加筆修正。半分くらいまでいったか。すでに長さが他ルートの量を超えている。のおおっorz
一応みんな同じくらいの長さで統一させたかったけど、綾部に限り限定解除。というか、前の(といっても一年前の)留文もエロ以外の部分で時間を食ってた。もうこれは、あとで全部を長くする形の調整をする方がいいか。

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091018

加筆修正。朝更新。夜には完成させたい…な!
(追記/夜)完成できたー!修正・微調整は明日以降に。以下感想。ネタバレ注意。

>綾文
文次郎が、綾部の性格がよくわからないと言ってますが、書いてる私もよくわかりませんでした。原作もアニメも、性格というか感情的な台詞というか、人間味溢れてるところがまだ少なくないですか。彼は一体どんな性格をしてるんだ…不思議ちゃん…?と悩みつつ、独断と偏見の綾部で挑みました。後輩にたじろぐ文次郎は綾文だけ☆ それでも最初は綾文でエロってできるんだろうかと思ってましたが、途中綾部がノリノリになってくれたのでなんとかイケました。綾部、委員長の仙蔵より鬼畜だった(笑)残念なのは、ヒモで縛るプレイが魔文とかぶったこと。気付いてショックだった。自分…エロレパートリー少ないんだなぁと、実感。もっと本格的に尿道責めとかしたかっtげぼお■綾部の「文次郎先輩」呼びはフラグでしょう。他の先輩も名前呼びかもしれませんが、それなら全員フラグ成立です(どんだけ乱交)文次郎先輩だけ特別ならこの2人過去に何かあってもおかしくない!と、1年綾部、3年文次郎のエピソードを捏造しました。制服の色は持ち上がりという公式裏設定があるんですが、わかりやすさのために今回は固定制で表現しました。■こんな綾文もイイジャナイカと思っていただけるなら幸いです。


090722 ODA長文

■ODA長文(1) 途中の2シーン
overdose長文ルートのその後ネタ。長文は本編ムリヤリ終わらせたのでアフターが異様に長いと思います。少なくともOD<ODA。だいたい戸惑い→自暴自棄→妥協の流れで。あげたのは自暴自棄あたりなのでなんだかシリアス。


090718 ODA団文

■ODA団文(1)
overdose団文ルートのその後ネタ。ぼちぼち書いてたのが一段落したので途中までup。
続きでエロ書こうか迷ってる(最近こんな悩みばっかだ!) 成長後なら思いきりエロできるよ。ああはやく団蔵を男前に成長させたい〜!!ダンダンッ(発作中

改めてOD設定として表記したいことは、ODの文次郎・留三郎は留文ルートに行かない限りお互いのことを名字で呼びます。これは留三郎のキャラがよくわからなかった(+先入観があった)時期に話を書いたせいです。仙vs文もだけど、本気で険悪。なんてこった/(^0^)\ もし気になっても大目に見てもらえると助かります。

追記090719:修正+加筆(仙+文)


081116 ODA=overdose after

OD完成できたらODAに移る前に全部さらっと見て修正したい。2年前の文章…!!orz や、今とそうたいして変わりませんが、やっぱり気になるところがぼろぼろあるので。拍手で感想などいただいてなかったら、とっくの昔にひっさげてたなぁと思います。本当に有り難い。

もしかしたら近々フライングでODA団文あげるかもしれません。地味に団文ブーム中。
できるならODAA(アフターアフター。数年後の話的な。)で六年団蔵×プロ忍者文次郎と、番外編で団兵を書けたらなぁと思ってたり。個人的に、団兵って文仙と似てて、すごくイイ。でもきり団は長文と似てなくて少ししょんぼり… ※私きり団好きですよー!あ、でも団きりのが萌えるかも。若旦那総攻め☆(そして3ヶ月後にリバの法則)

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団兵(団文前提。5年設定)

※2人とも酔ってる。なだれ込み。
「ん…はやく動けよ、ヘタクソだなぁ。そんなんじゃセンパイに嫌われちゃうよ?」
別にそう下手でもないし、自分も結構きついけど、兵太夫はわざと小馬鹿にした態度で団蔵を挑発する。
「……なんで、今、そんなこと言うんだよ!」
言い過ぎたと思ったのは、団蔵と目が合ってから。酔っていてぼんやりしていた目は、今は鋭く兵太夫を睨んでいる。
「ははっ…、動揺してる。かーわい」
兵太夫は笑うが、団蔵は苦い顔をしたままだ。酔いが吐き気に変わったのかと思うほど、苦しそうだった。怒ってるのと困ってるのが半々の表情。
「団蔵?」
「そりゃ、俺らは、好きとか、そんなんじゃないよ。でも、俺は今ヤってるのが兵太夫だってわかってるし、覚悟もしてる」
「……」
覚悟って何だよ。こんなのただの暇潰しだろ。バカじゃないの。
「兵太夫こそ」
「……何」
「今、してるのは俺と兵太夫だ。だから、ちゃんと俺に抱かれてよ!」
酔いが回りに回った団蔵の本音。受け止めた兵太夫は悲しそうに笑った。すっと団蔵に手を伸ばす。
「わがままなやつ」
「……なんでさ」
「どうせこんなの、ただの代わりじゃんか。意味なんてないよ。遊び、遊び」
「そんなんじゃ…」
「そんなだよ。無理すんな、酔っぱらいめ。余計なものまで背負おうとしちゃってさ、まったく真面目なんだから」
「……」
団蔵は納得してない、不服そうな顔だった。兵太夫は顔をくしゃっとさせて笑う。
「そんな重く考えるなって…つーかさ、そろそろ慣れたから、いい加減動いてよ。…はやく」
首に手を回して、しがみついて、耳元でそっと囁く。
団蔵の体温は自分よりよっぽど熱かった。
(人肌の熱。他人の体臭。安心する。難しいことなんてくそくらえ。全部吹っ飛べ。何も考えたくない。真っ白になる快感が欲しい。)
荒い息づかいと生々しい音。体が悲鳴を上げているのをあえて無視して行為を続ける。
「あっ……だんぞっ」
「……へいだゆ、ぅ」
持続的な、短い絶頂。
兵太夫から団蔵に口付ける。怒るかと思ったが、すんなり受け入れてくれた。
唇を離して、第一声。
「あー…そうだ、僕が団蔵を犯せばよかったんだ」
「なんで!?よくないよ!」
寝耳に水を注がれたような心地で団蔵は正気に戻る。
「だってそれなら潮江先輩への罪悪感ないでしょ?」
無茶な提案は兵太夫なりのフォローだったらしい。もちろん団蔵は丁重に断る。
「罪悪感って、悪いことしたらでしょ。兵太夫とのことは悪いことじゃない。罪悪感はないよ」
「潮江先輩が、許してくれなかったら?」
「……謝る。けど、したことを否定はしない」
それに多分、あの人は俺に嫉妬しないよ…
なんで?
……俺がすんごい年下の後輩だから(泣)
……よしよし(かわいそうに…)

+++
上級生になった団蔵の一人称は「俺」希望。
兵太夫にもいろいろ前後妄想をひろげてみたりして。作法はついつい耽美系にしてしまう。
潮江先輩は後輩にもOBにも嫉妬しない(というかできない)「しょうがねぇよな」と困った笑顔になる。多分その時自分も潔白じゃない。お互いただの浮気じゃない深みがあれば許せる。


081115 それにしても

ODは魔界之先生が報われない話です。火付け役というか、恋のキューピット?だから仕方ないんですが。なんだかそっちが不完全燃焼なので、同じ次元で達魔の18禁とか書きたいです。これも番外編ということで。そういえばこの2人の(声で)BLCDあるらしいんだよなー うおお聴きてぇぇぇ
魔界之先生は落乱の中でもかなりの手練れ(忍者として)なんじゃないかと邪推してます。アニメでも滝夜叉丸の背後に回って一瞬で気絶さしてたし。いつも飄々としてるキャラほど「能ある鷹は爪を隠す」タイプだと思ってしまう。あああまかいのてんてーすきだあああ!!


080901 OD食満文ルート貫通/感想

8月中にと宣言してたOD食満文ルートがギリギリアウトで貫通しました。以下感想です。

>食満文
ややけま視点の文章にしました。ヘタレ攻めがあたふたするのが好きなんです。食満文は他のCPよりスタートが遅いので、魔文の冒頭に食い込む形になってます。薬の効果も進んでます(ゲヘヘイヒヒ)まさかの文次郎襲い受け。書き始めて放置したせいで、話が考えてたものと全然違う内容になりました。こへ文と同じ呪いです… 原案はもっとコミカルな雰囲気だったんですが、完成したら暗くなっていたというorz コミカルは伊文でリベンジしたいです。けまもんは途中から増設したルートでしたが、一番要望や反応があった気がします。さすがケンカップル。私も大好きです。似たもの同士だからつっかかるんでしょうかね、この2人は。一度くだけると結構気が合うくせに、意地はってケンカしちゃう。お互いいろいろ勘違いしてそう。両片思いの状態とかやたら長そう。余談ですが、最初の方で文次郎が甘味処の詳細を聞いてきたのは、嫌がらせもあるけど、半分は自分も甘味が好きだから純粋に知りたいってのもあります。素直に聞けばいいものを、嫌味つけるのが対食満の文次郎です。ある意味、自然体? 食満は気苦労するけどまんざらでもない感じ。

あそうだ、CPの表記を食満文か食文か留文か悩んだ末、食満文に固定してみることにしました。読み方的にはこへ文と同じです。出回っているのなら食文、名前で統一するなら留文なんですが、鉢文も綾文も名字だし。食文だと読み方わからないかもってことで、食満文に。
(後日追記)最終的に留文にしました。6年はみんな名前呼びに統一。

シーソーゲームみたいな留文(未満?)が好きだ。
文次郎は食満が相手なら仙蔵みたいになりそう。少なくともかなり影響されてると思う。それじゃ虐待とかいじめの原理だー


080328 忍たま OD利文(1)

■OD利文(1)
1/3くらいならずいぶん前(一年前だ…orz)に書いてたんですが、こっから先が難産でして、ずっと放置プレイかましてました。
利吉さんってば紳士なイメージがあるから、どうにもやりにくいぜーと思ってたら、つどいにて裏話とか聞くうち、あれ?利吉さんってそんなに紳士じゃないのかな?もしかして変態という名の紳士かな?と思い直しました。クマ吉君タイプならなんとかなりそう!大きい三角定規はぁはぁ!


071216 食満と伊作(食満文前提)

「留、どこ行くの?」
呼び止めたのは伊作だ。
自分と同じように私服の出で立ちでいる。
「町に、ちょっとな」
「あ、わかった。甘味処に行くんでしょう」
「……」
どいつもこいつも、なんでわかるんだ?俺の顔に「甘味処へ行くぜー!」とか書いてあるのか?
「僕もおつかい頼まれたからさ、道中一緒しない?」
「おう、いいぜ」
あぜ道を歩きながら、とりとめのない会話。
「誰か誘わなかったの?」
「……いや、まぁ、うん」
食満は歯切れの悪い返事をするが、伊作は別段気にしなかった。
「留って一匹狼っぽいよねー。別に人付き合い悪いわけじゃないのにさ。ほら、頼まれたら断れないタイプでしょ?もし用具委員長やってなかったら学級委員長に推薦されてたんじゃないかなぁ」
「いや、それはないだろう」
「謙遜しないしない、この無自覚色男。くの一たちも狙ってる子結構いるんだよー。え、なんで知ってるかって?それは保健委員の特権。でさ、恋文とかもらわない?校庭の桜の木の下で告白〜とか」
「おいおい…」
伊作は、大人数でいる時は黙ってニコニコしてるだけなのが多いくせ、2人きりになると途端に饒舌になる。
沈黙が怖いタイプなんだろうな、別に不快でもないから指摘はしない。
ただ矢継ぎ早にしゃべってくるので、相づちを打つ暇もない。後輩が戸惑っているのをよく見る。少々かわいそうだ。
「くの一に人気なのはい組の立花だろう」
「ああ、仙蔵ね。うん、ファンクラブもあるしね。でも仙蔵を好きな子らは遠くから眺めてるだけだよ。目の保養って感じ?」
「実際の性格を薄々わかってるんじゃないのか…?」
「あーそれもあるねぇ」
仙蔵と付き合うとか、チャレンジャーにもほどがある。
「でも仙蔵って、自分が好きになった子には態度一変すると思うよ。愛されるより愛したいタイプっていうか。無理して付き合うってのが長続きしそうにないんだね、うん。あと人気なのは小平太かなぁ」
「七松!?」
思わず酔狂な声をあげる。
食満にとって小平太は備品をバレーボールや鉄球で壊しまくる暴君にしか映ってない。
「それが意外に天然プレイボーイでさ、さりげない優しさとかあるんだよ。重い荷物ひょいって持ってあげたり。あといつも自然体だから気兼ねないし、豪快だから包容力あるし」
「俺には破壊力しか見えんよ…」
げっそりする食満に伊作が笑う。
「包容力といえば長次かな。無口で無表情だけど心はすっごく優しいよ。意外と小動物好きだし、猫とじゃれてるとことか見てみ?かわいいよ〜」
「かわいいって…無言で縄標飛ばしまくる図書委員長だぞ?変なタイミングで大笑いするし…よくわからん」
食満はアニメ版の長次のイメージが強いようだ。
「ああ、でもしんべヱの妹は中在家を好いてるな」
「福富屋のカメ子ちゃんね。うん、あの子見る目あるよー」
えーっと、
「あとは誰がいるかな」
「残ってるのは文次郎じゃないか?」
食満が提案すると、伊作がびっくりした顔で食満を見た。
「な…なんだよ」
「留、文次郎は名前で呼ぶんだ」
「……え」
「いや、他はみんな名字だから。妙に驚いちゃった」
「あ、」
口を押さえかけて、やめる。それはあからさますぎる。忍者として。
「た、たまたま言い間違えただけだ。いつもは潮江って呼んでる」
「うん、そうだよね。逆に予算会議の時とか、食満だけ潮江呼びだから変な感じだよ。このまま文次郎って呼んでいいんじゃない?」
「…別に、そんな仲がいいわけじゃないし…」
歯切れの悪い食満に、伊作は少し変な顔をしたが、それ以上は突っ込まなかった。
先ほどの話に戻る。
「文次郎は、う〜ん、性格にデリカシーがないからなぁ、くの一にはあんまり評判良くないね。でも外に出たら結構モテるかも。遊女を本気にさせちゃったりして」
「あー…なんかわかる。女泣かせっぽい」
「でしょでしょ^^」

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ODの食満文ルートのその後の話の一部。
いい加減OD完成させたい。せめて来年の夏には(モラトリアム長ッ)
ネタ考えてから2年の放置プレイorz 残りは食満と伊作と綾部と利吉さん。


070619 overdose/ルート追加

→近道して森に戻る
他のと比べるとやたら長くなった…orz やっぱ時間あけるといかんな。
そしてけまの性格が…いや、もう何も言うまい。
タイトルの略ODにしようかなー


070517 overdose/CP感想(というか反省文)

>仙文
一番最初にできたルートです。初々しいというか、比較的ソフトな仕上がり(当社比)になりました。仙蔵には負けたくないというか弱い自分を見せたくない相手ってことで、文次郎が最後までギリギリ正気のままでいます。媚薬ネタ的おいしさが半減な上、せっかくのSMカップルだというのに甘甘になったことに心残りがあるっちゃーあるんですが、仙文は仙蔵が文次郎をいじめつつ実は大好きってのがよいところです。愛情表現間違ってるの管理人の大好物なんで。この後のラブラブ(やや仙→文一方通行)学園生活を考えるとよだれが止まりません。食堂で仙蔵が文次郎に「はい、あーんv」ってしてみんなにさーっとひかれて(気温マイナス)文次郎が一番死にそうに恥ずかしくなる、とか。クールビューティー仙蔵は色メガネなラブフィルターをつけたらすんごい乙女攻めになりそう。もうお前しか見えないよハニー!みたいな。それにしてもギンギン文次郎に一途とは…ゲテモノグルメというか、あばたもえくぼというか、タデ食う虫も好き好き?(散々言ってる)仙文の結婚式はチャペルでやってほしい。ウエディングもんじとタキシード仙蔵。リンゴーン♪

>こへ文
作成途中に一度180度方向転換をしたために、エロへの道のりが最も遠くなったCPです。はじめはこへ←文のち困惑をふっきった小平太のいけいけどんどんピュアエロだったんですが、そしたらどうにも難産で、私の描きやすいこへ文でいこうと思ったら、こんなんできました…(ずーん)途中いきなり山賊×文次郎ですいません。グロとか流血とかひかえたつもりですが、何より小平太キレさせてすいません(人格破壊…)小平太はキレるとすんげー怖いかなと思ったんです。魔界之にいなされて行き場のない怒りが全部山賊に向いたってのもあります。キレたまま(さらに血で興奮して)文次郎との行為が残虐なものになったり〜も考えたけど、バッドエンドはいやなので却下。(ちなみに山賊のなまりはぐちゃぐちゃです。雰囲気だけくみとってもらえれば、あとは読み流していただきたく…ごにょごにょ)でも小平太ほどストレートにもんじすきすき言うCPなかったんで、書く方とても楽しかったです。終盤は簡素にセリフだけにしてみたら、これマコK@ポップンと似たノリになったなと、自分だけが意外だったり。

>長文
総受け化するにあたり色々と設定変えてますが、もとはoverdoseは長文のみの話でした。魔界之先生も出演されず、山賊に輪姦される文次郎を発見してポーカーフェイス長次が内心ムラッとする話……って最低だな!(私が) 文次郎って対長次だと強く出れない感じが大変良いです。やたら戸惑ったり、ちょっと遠慮したり、一瞬躊躇したり。長文の特権ですね。他CPでは事後も書いたんですが、長文は中途半端に終わってしまいました。長次、出してない… 原作&管理人の主食なので(ひいき!)事後まで書くとやたらめったら長くなってしまい、苦渋の策のオチ削り発動。そのせいでバッドエンドみたくなりました。しかもヤマなしオチなしイミなしの801三拍子までそろって…ぁぁ…orz いつか続きのようなものを書ければいいです。ていうかそれ言ったら各CPおまけ小話とか書きたい。数日後チックなの。

>伊文

>鉢文
下剋上じゃー!鬼畜じゃー!と気合い入れて書き出したんですが、途中から勢いがなくなって結局甘めになってしまいました。ぱちもん。私的見解ですが、鉢屋は今まで自分を隠すために変装いっぱいして、でもその行為にはむなしさがつきまとってて、実は苦しかった。ぱちもんで初めて重い飾りを捨てて、小さな自分を好きな人の前に出して、これから徐々に大きくして、やっとで本当に同じくらいになるんだ という感じで…え、よくわかんない?すいませ…説明下手な自分がはがゆい。ここで鉢雷にならないのは鉢屋が雷蔵に完全依存して元に戻せない状態まできてる、親子のような精神状態だから。ということでどうかひとつ(何)ところで私は鉢屋の変装をどこか如月左右衛門@バジリスクのように瞬時に変えたり元に戻したりできる妖術みたいなものだと誤解しています。実際顔パックみたいなのつけたりはがしたりしてるんだろうけど、なんか、気を抜いたら元に戻っちゃうと思ってます。作中でもそんな感じにしました。この話、文次郎が鉢屋の素顔に一目惚れしたってオチなんですが…わかりませんよね。うわ〜も〜説明(というか技量)不足で本当にごめんなさい。団文みたくかなりの年の差カップルも好きですが、鉢文のような「あとちょっと」カップルも好きです。小さな境界線に逆にぎこちなくなるというか、飛ぼうと思えば飛び越えられるからどっちでもいける、一粒で二度おいしい2人。

>綾文

>団文
文団っぽいのはご愛嬌です。団蔵は悲しいことに年齢制限にひっかかったので、他CPのように本番はなし。ご奉仕のみで。管理人、尺八好きなんですね…よくわかりますよ?欲望世界まる見えですよ?はい、ごもっともで。一生懸命で純真無垢な団蔵にたじたじする文次郎。楽しんで書きました。自慰も好きです(お前もう黙れ)団蔵は文次郎が好き。もちろん文次郎も団蔵が好きです。それが恋愛感情に当てはまるかはビミョ〜ですが。でもこれからは文次郎、団蔵をおかずにして抜くくらいにはなってると思います。自慰…ほんと大好きです(何度だって言うぞ!私は!)(はいはい)これから清いお付き合いをする最上級生と最下級生。休日には町へ出て一緒に団子食べに行ったり。当の本人達はデートのつもりだけど全然そう見えない。兄弟、下手すりゃ親子です。ほのぼの〜+* 団蔵が3・4年くらいになって、文次郎が利吉さんみたく時々学園に顔みせにくる関係になったら、やっとで初夜です。年下攻めめっちゃ好きや…!敬語で、遠慮しながらも若い欲望を抑えきれない一途攻め。ギャース!もうだめだよーッ///(管理人の頭が) 好きづくしの団文でした。

>利文

>魔文
魔文、好きです…(まだ言ってるよ)本筋のどこに入れようかと思ったら入れる場所がなかったので、必然的に隠しイベントとなりました。まーもん。いわゆるバッドエンドってやつです。コンセプトは笑顔で鬼畜。他CPより少しえげつなめにしてみましたが、努力は明らかに空回りしている。当初魔文は「羞恥ポーズで放置プレイ」オチにするつもりでしたが、萌えなかったんで…訂正、それはあんまりだろうということで、没。そのくせ代わりのオチがないので、このあとどうなったかはご想像におまかせという、なんとも不親切な話となりました。しゅん… 他サイトさんが「魔界之先生と文次郎がはじめて出会ったシーン」とおっしゃってたのを「あ、そうか!」と気付いて、40巻ネタ入れてみました。茶目っ気☆ 文次郎サイドに修正加筆しましたが、今回魔界之先生は普通の忍装束です。通販に失敗してたらなんか、シリアスに欠けるというか…(視覚的に) overdoseは全体的に、魔界之先生スキーさんには頭下げっぱなしです。本当にもう…すいませ…!orz ほら、でも、魔界之先生、ある意味恋のキューピットみたいな役割じゃないですか?(フォロー?)

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あとがき先走ってみました。
まだ3人未完だってのに、食満ルートを入れたくてたまらなくなってます…うおお…
余裕があれば…ぜひとも…(いっぱいいっぱいのくせに)


070420 overdose利文(没)

カン カン カン
ヘムヘムの鐘の合図と共に、移動教室の授業が終わった。
文次郎はクラスメイトの仙蔵と渡り廊下を歩いていて、ふとがやがやとにぎやかいものを見つけた。小さくて、水色○#柄の忍装束を着た集団。メンツは1年は組。委員会が一緒の団蔵もいる。
彼らはたしかここ数日何かの騒動に巻き込まれていたはずだ。
こちらに駆け寄ってくるのは笹山兵太夫。文次郎の横にいる仙蔵が委員長の作法委員だ。
 立花先輩!
 兵太夫、帰ってきたのか。
 はい、ただいまです。
 怪我はないか?
 大丈夫です。今回もは組のみんな大活躍でしたよ!
 それはまた、忍者としての経験をためたな。えらいぞ。
仙蔵は上から兵太夫の頭をぽんぽんと叩いてやる。
兵太夫は興奮冷めやらぬといった様子で、今回の事件を大まかに語った。
一体何度目だ、兵庫水軍の船を奪おうとしたドクタケは、今回も野望果たせず逃げ帰ったらしい。
それでも何度か命危ない状況になったようだが、1年は組独特のチームワークというか実力というか強運というか、その他もろもろで乗り越えた。
仙蔵と文次郎は話を聞きながら、内心この子たちは行く末が恐ろしいと思った。一体どのような6年になるのだろう。プロの忍者になるのだろう。
2人の親心のようなものを尻目に、兵太夫のおしゃべりは続く。
 一番のピンチは、団蔵がドジ踏んで八方斎に見つかった時かなぁ。
それを聞いて仙蔵はくすりと笑い、横で苦い顔をしている文次郎を見やった。
団蔵は会計委員だ。委員長の文次郎として、後輩がドジをすることはまるで自分のことのように恥ずかしい。
 でも、別の依頼を受けてた利吉さんがさっそーと現れて、助けてくれたんです。タダ働きで!
 利吉さん?
 それってあの、
そこで横からの声がわりこむ。「別にタダ働きは報告することじゃないだろう(汗)」
声の方に振り向けば、そこには噂をすればの人物がいた。
 あ、利吉さん。ダメですよ、ちゃんと医務室で足の手当てしてください。
利吉を見つけた兵太夫が心配そうに駆け寄る。
見ればなるほど、利吉の右足には応急処置らしい布が巻かれている。
大丈夫だよこれくらいかすり傷だからと、利吉は兵太夫をなだめる。
山田利吉。
忍術学園屈指の実技教師・山田先生のひとり息子で、売れっ子のフリー忍者。学園の者なら誰でも知っている存在だ。
それでも、1年は組以外の生徒は、利吉とあまり面識がない。
落乱40巻で伝七が言ったように、利吉は現役プロ忍者。その肩書きは忍たまにはどこか近寄りがたい空気をまとっているのだ。
仙蔵と兵太夫が何か委員会的なことを話している間、文次郎は利吉と対面した。
利吉がにこと穏やかに微笑む。彼自身は近寄りがたいという雰囲気はなく、むしろ誰からも好かれそうな人柄である。
文次郎は改めるように姿勢を正して、利吉に礼をした。
 6年い組の潮江文次郎といいます。学園では会計委員長を務めていて、団蔵も会計委員です。今回ずいぶんお世話になったようで、どうもありがとうございました。
頭を下げる文次郎に、利吉は恐縮した声を出す。
 いやそんな、私は別にたいしたことはしてないよ。1年は組のよい子たちが全部解決してくれた。私の仕事も手助けされたようなものだから。
 …その傷は?
文次郎の目線は利吉の怪我した足に注がれている。
 ああ、これは…
利吉は言いよどんだ。誰かをかばって負った傷だろうか。もしかしたら団蔵を助けた時にできたのかもしれない。
 かすり傷でも大事になるかもしれません。今の時間なら、医務室には新野校医か保健委員長がいます。どうぞ治療を受けてください。
文次郎が強い口調で言うと、利吉は困った顔をしつつも、じゃあとそれを承諾した。
その時、ずしっと文次郎の肩にのったは仙蔵の片ひじ。
 よくもまぁ自分のことを棚に上げて、偉そうなことを言えるな。
 ぁあ?んだとコラ。
仙蔵の上から見下すような物言いに、文次郎の表情・態度・声色が一変する。こちらが地だろうが、変貌ぶりは180度回転並み。利吉も少し驚く。
 良い機会ではないか、文次郎。現役プロ忍者の利吉さんにお前の勲章を見せてやれ。
 な!?
勲章?首をかしげる利吉が見たものは、仙蔵に無理やり腕まくりをされて現れた文次郎の、包帯に巻かれた腕だった。
それはい組の課外実習中に負ったもので、ペアを組んでいた仙蔵や保健委員長の伊作からはこっぴどく叱られた、よくある文次郎の「やりすぎ」た結果だった。
文次郎は仙蔵をふりほどいて、すぐに腕を隠した。いらんことをするな!と仙蔵に怒鳴る。
そして、ばつが悪そうに利吉の方を見た。なんとなく、叱られるのを怖がる子供のような印象を受ける。
後輩・同輩になら我流を押し通す文次郎だが、教師や年上の者には相応に礼儀正しく、従順に接する一面もある。
その性質が今現れて、自分の非(一応自覚している)をさらしたことに萎縮しているらしい。

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りもん過去話。ここまで書いたのが2月下旬。3月のバイトで放置してたら続きが書けなくなってしまった。予定ではこの後利吉さんが文次郎に説教を…
自分は「ちょっと休憩〜(ゴロン)」ってして次の日の昼まで寝こけるタイプだよ、ホントにもう、まったく。


061012 長文

抱きしめられた。抵抗できない。何も考えられない。体がほてって熱い。たまらない。
「お前が、好きだ」
また、胸にじわりとした熱がひろがる。
「長次…っ、ちょっと待てよ」
いきなり何をするのかと、本当は怒鳴ってやりたい。
どうして、なんで、どうして、俺が好き?そんなの嘘じゃないのか。


060809 長文

いつも通りに接しようとする彼の、その後ろ姿。
装束からかすかにのぞくうなじに自然と目がいってしまう。
あの時、自分はそこに強く口付けをほどこした。
無意識の思考が引きずってきた記憶は残酷なくらい鮮明だ。
「……」
知っているのに。
あの体がどんなに乱れたか。
息の荒さや、紅潮する頬のいやらしさ。
潤んだ瞳が自分を映して、震える唇で自分の名を紡ぐ。
その時の満足感はたとえようもない。
知っているのに。
知っているのに、もう何もできない。
もう、何も――

手を伸ばしたのはもう欲望としか言えなかった。
背後から抱きしめると、文次郎の体がびくっと大きく揺れたのがよくわかった。
その拍子に、そろばんが机からこぼれて床に落ちた。重たい音が部屋に響く。
「な、何、すんだよ。暑苦しい」
いつも通りにしようと必死な、震える声。
答えてやらないと、首を回してこちらをうかがう、文次郎の不安げな瞳と視線がぶつかる。
その目に無表情な自分が見えた。
「長次……?」
そうだ、あの時もそんな風に、不安な声で自分を呼んだ。

ODの元になったネタメモ。