ゲーテの言葉を引用するまでもなく、ゴッホは、実体を描写しようとした。

 しかしゴッホ(観察者)が、三次元に生活している以上、ゴッホの描いた世界は、三次元世界の表現であるといわざる得ない。
 過去においては、絵画を使って表現しようとした芸術家たちは、三次元の世界を二次元に表現しようと、最善の努力したと言っても過言ではない。しかしながら、ゴッホについて言えば、ゴッホは、三次元を表現する十分な能力を持ちながら、それに逆らうことが芸術の表現と考えているふしが作品に見受けられる。
 今回、私は、ゴッホが三次元をあらわした二次元の作品を三次元に戻すことによって、「ゴッホが意図するところ」、「絵画が意図するところ」、「芸術が意図するところ」の一端を、明らかにします。
 ここで、ゴッホの作品が実体の写生によって描かれているなら、また、ゴッホが遠近法等用いて作品を制作したなら、実物どおり三次元に復元できると考えられます。しかし、ゴッホの目に映った映像を、ゴッホの脳裏の中でその芸術家としての感性によって加工し(前記ゲーテの言葉に依れば、―― 一段と高い魂に達した芸術家は、一枚の絵を本当の絵にする方法を心得ているから、もっと自由に描く事が出来る――)絵画として表現している場合は、三次元に復元することが困難を伴うと考えられます。

 私は、あえて、絵画を、立体復元化することによって
ゴッホの意図することを顕在化させ、もって芸術の本質を、世界に知らしめたいと思います。

なお、この作品は、大手前大学 久木助教授の御指導により制作いたしました。
以下、作品ごとについて簡単に記します

cover 表紙  Assertion テーマ  Postscript 後書き
La Chambre de Vincent à Arles
Terrasse de café
L'Eglise d'Auvers-sur-Oise
Le Café de la Gare
Chaise à la pipe ,Le fauteuil de Paul Gauguin
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