【仕事の観察】
日常私たちは「仕事」をして疲れたといいます.
物理の「仕事」も同じ意味なのか学習します.
次の条件でボールを移動させ,
@ 仕事の大きさがどのように変化するか.
A いくらの力でボールが動き始めるか.
を観察して下さい.
動かす方向 |
摩擦力や重力の大きさ |
【参考】
ボールの質量は0.5[Kg]とします.
この場合ボールに加わる重力の大きさは
質量×重力加速度で0.5×9.8=4.9[N]になります.
なお力の単位[N]は,ニュートンと読みます. |
水平移動 |
0.0[N]の摩擦力 |
水平移動 |
2.0[N]の摩擦力 |
水平移動 |
4.0[N]の摩擦力 |
鉛直移動 |
4.9[N]の重力 |
|
【考察1】下図は摩擦力が0[N]の,摩擦が働かない床の上のボールが,ゆっくり右向きに水平移動しているところです.
摩擦力がないので,ボールを動かす力は0[N]ですが,ボールはゆっくり右に動き続けます.
ボールが動いても力が働いていない場合,ボールに働く「仕事」の大きさは0[J]で変化しません.
([J]は仕事の単位でジュールと読みます)
【参考】日常の仕事と物理の仕事の違いについて
日常では物体を移動させると疲れて「仕事をした」と感じますが,
物理では物体を移動しても,物体に力が働かなければ「仕事をしていない」と判断します.
【考察2】下図は摩擦力が2.0[N]の床の上にあるボールに,1.9[N]の力を加えているところです.
2.0[N]の摩擦力に逆らって,ボールを動かそうと1.9[N]の力を加えていますが,ボールは移動しません.
力を加えてもボールが動かない場合,ボールに働く「仕事」の大きさは0[J]で変化しません.
【参考】日常の仕事と物理の仕事の違いについて
日常では物体が動かなくても,物体に力を加え続けると疲れて「仕事をした」と感じますが,
物理では物体に力を加えても,物体が移動しなければ「仕事をしていない」と判断します.
【考察3】下図は摩擦力が2.0[N]の床の上にあるボールに,2.0[N]よりほんの少し大きな力を加えているところです.
2.0[N]の摩擦力がに逆らって,ボールを動かそうと2.0[N]よりほんの少し大きな力を加えると,
ボールがゆっくり右向きに動き続けます.
ボールが右に動くにつれて,仕事の大きさが増加しています.
【物理の仕事とは】
物理では,@物体に力を加える A物体が移動する の2つの条件が満たされたとき「仕事」をしたといいます.
【考察4】下の3つの図を見比べて,仕事の大きさを計算する公式を求めて下さい.
[図1]
[図2]
[図3]
【考察5】下の図4は摩擦力が2.0[N]の床の上にあるボールに,摩擦力より大きな2.2[N]の力を加えて5.0[m]水平移動させたところです.
図1のように摩擦力に逆らって,摩擦力よりほんの少し大きな2[N]の力を加え,
ボールをゆっくり5[m]動かす仕事の大きさwは,W=fx=2×5=10[J]でした.
図4のように摩擦力に逆らって,摩擦力より大きな2.2[N]の力を加え,
ボールを5[m]動かす仕事の大きさwは,W=fx=2.2×5=11[J]です.
比較すると図4の方が,11−10=1[J]の余分な仕事をしています.
この余分な仕事が,ボールにどんな変化を起こしているか考えて下さい.
[図1]
[図4]
【考察6】下図は質量0.5[kg]のボールが,ゆっくり上向きに鉛直移動しているところです.
鉛直移動の場合はボールに摩擦力が働きませんが,0.5×9.8=4.9[N]の重力が働きます.
重力に逆らって,ボールをゆっくり上向きに動かすには,4.9[N]よりほんの少し大きな力が必要です.
ボールを5mの高さまで鉛直移動させる仕事の大きさwは,W=fx=4.9×5=24.5[J]と計算します.
【練習問題】次の問題の仕事の大きさを,下の語群から選び記号で答えて下さい.
【語群】@12.0[J] A14.0[J] B24.0[J] C38.4[J] D137.2[J] E235.2[J]