弾性エネルギー
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2008.12.22〜更新2009.02.12

仕事
位置エネルギー
運動エネルギー
エネルギー保存則
弾性エネルギー
【弾性エネルギーについて】
 伸び縮みするバネ(ゼンマイ)やゴムを弾性体と呼びます.
変形した弾性体が,もとの状態へ戻る時に仕事をします.
例えば,巻かれたゼンマイがほどける時,オモチャの車が動いたり,
巻かれたゴムがほどける間,ゴム動力の飛行機が飛びます.
 このように変形した弾性体が持つ,仕事をする能力の大きさを
弾性エネルギー」と言います.
【参考】多くの本では,弾性体が持つエネルギーを
   「弾性力による位置エネルギー」と呼んでいますが,
    ここでは短縮して弾性エネルギーと呼ぶことにします.

【弾性エネルギーの大きさ】
 弾性体は初めから変形していて,弾性エネルギーを持っているわけでは
ありません.以前に誰かが,弾性体を変形させる仕事をしたはずです.
例えば動いているオモチャの車は,以前に人がゼンマイを巻く仕事をしています.
 このように変形した弾性体は,その弾性体を変形させる仕事の大きさと
等しい弾性エネルギーを持つと考えます.

では弾性エネルギーの公式を学習して下さい.
【考察1】弾性エネルギーを調べる前に ボタンでバネの伸び方を調べ,フックの法則の公式を導きます.

左図のように,バネを伸ばす力を次第に大きくしていくと,右上がりの直線のグラフが描かれます.
このグラフを式で表せば,フックの法則の公式になります.次のことを考えて下さい.

@ 数学では,縦軸をy 横軸をx グラフの傾きをとすると,
 右図のような直線のグラフの式は( )と表します.
A 同様に考えて,縦軸をf 横軸をx グラフの傾きをKとすると,
 左図のグラフの式は( )と表されます.
B ところでグラフの傾きKは(バネの長さ バネの強さ)を表します.
@ 左図のようにグラフの分割数を次第に増やし,バネを多数の小さな区間に分けて伸ばすと考えると,
 1区間でバネを伸ばす力の変化は次第に(大きく小さく)なる.
 これはバネの伸びが小さな区間では,バネを伸ばす力がほぼ
一定になり,(一定にする工夫ができた)
 この小さな区間で仕事の公式 W=fx が使えることになる.
A そこで W=fxの右辺を計算すると,縦が f で横が x の掛け算は,小さな(長方形 三角形)の面積を計算したことになる.
B その小さな面積を合計すると(長方形 三角形)の面積になり,その面積がバネを伸ばす全仕事量になる.
【考察2】ボタンを押して,弾性エネルギーの公式を導いて下さい.
【重要】まとめを確認して下さい.    

左図は強さ100[N/m]のバネに10[N]の力を加えたところ,0.1[m]伸びたことを表しています.
このグラフから人がバネを伸ばす仕事の大きさを求めると,それが弾性エネルギーの公式になります.
@ 人がバネを,10[N]の力で0.1[m]伸ばす仕事の大きさは,
 仕事の公式 W=fx より,単純にW=10x0.1=1[J]と計算できると思いませんか?
 しかし弾性エネルギーは0.5[J]と表示されており,一致していません.
A この原因はバネを0.1[m]伸ばす間に,バネを伸ばす力の大きさが0〜10[N]に変化し
一定ではないのに,
 公式 W=fx を使って計算しているからです.
 【参考】W=fx 公式は,fの大きさが一定でなければ使えません.
B そこでバネを伸ばす力の大きさを
一定にする工夫をします.
 画面右上の のスクロールバーを操作し,分割数を2個に設定してグラフを見て下さい.

【参考】別の考え方で,人がバネを伸ばす仕事の大きさを求める.
左図ではバネを伸ばす力の大きさが,0[N]からf[N]まで
一様に大きくなっています.
そこで力を平均したf/2の大きさで,バネを初めから終わりまでxの長さ伸ばすと考えます.
このときバネを伸ばす仕事の大きさは となり,上問@と同じ結果が得られます.
この考え方の方が,簡単に公式が求められて良さそうに思いますが, 
右図のグラフのように,バネを伸ばす力が一様に大きくならない場合,
平均の力が計算できないので,公式を作ることができません.

バネの伸びを分割していない上図では,バネを0〜0.1[m]まで一気に伸ばすので,バネを伸ばす力の変化は10[N]です.
バネの伸びを赤線で2分割している左図では,バネを0.05[m]ずつ2区間に分けて伸ばすと考えるので,
1区間でバネを伸ばす力の変化は5[N]です.
【注目】バネの伸びを2区間に分けて考えると,バネを伸ばす力の変化が10[N]から5[N]に減少し,
    
fの大きさが一定という条件に少し近づきました.
【参考】各区間で人がバネを伸ばす仕事の大きさを W=fx で計算すると,
@ 1区間目はバネを5[N]の力で0.05[m]伸ばすので,バネを伸ばす仕事は, W=5x0.05=0.25[J]です.
A 2区間目はバネを10[N]の力で0.05[m]伸ばすので,バネを伸ばす仕事は,W=10x0.05=0.5[J]です.
 ですからバネを0〜0.1[m]まで伸ばす仕事の大きさは,2区間を合計して 0.25+0.5=0.75[J]になります.
 バネの伸びを分割しないで計算した仕事の大きさは1[J]でしたが,2区間に分けて計算した仕事の大きさは0.75[J]となり,
 弾性エネルギーの値0.5[J]に少し近づきました.
バネの伸びを赤線で4分割している左図では,バネを0.025[m]ずつ4区間に分けて伸ばすと考えるので,
1区間でのバネを伸ばす力の変化は2.5[N]です.
【注目】バネの伸びを4区間に分けて考えると,バネを伸ばす力の変化が5[N]から2.5[N]に減少し,
    
fの大きさが一定という条件にさらに近づきました.

【参考】各区間で人がバネを伸ばす仕事の大きさを W=fx で計算すると,
@ 1区間目はバネを2.5[N]の力で0.025[m]伸ばすので,バネを伸ばす仕事は W=2.5x0.025=0.0625[J]です.
A 2区間目はバネを5[N]の力で0.025[m]伸ばすので,バネを伸ばす仕事は,W=5x0.025=0.125[J]です.
B 3区間目はバネを7.5[N]の力で0.025[m]伸ばすので,バネを伸ばす仕事は,W=7.5x0.025=0.1875[J]です.
C 4区間目はバネを10[N]の力で0.025[m]伸ばすので,バネを伸ばす仕事は,W=10x0.025=0.25[J]です.
 ですからバネを0〜0.1[m]まで伸ばす仕事の大きさは,4区間を合計して 0.0625+0.125+0.1875+0.25=0.625[J]になります.
 2区間に分けて計算した仕事の大きさは0.75[J]でしたが,4区間に分けると仕事の大きさが0.625[J]となり,
 弾性エネルギーの値0.5[J]にさらに近づきました.

以上のことから,グラフの分割数を大きくしていくとどうなるか考えて下さい.
【考察3】次の問題の答を下の語群から数字で選びながら,弾性エネルギーの公式を求めて下さい.
左図はバネに大きさfの力を加え,自然長からxの長さ伸ばしたことを表すグラフです.
@ 人がバネを長さxだけ伸ばす仕事の大きさは,どう表されますか?

A 求めた公式に,フックの法則f=kxを代入してfを消去すると,どう表されますか?
B 以上のことから,自然長から長さxだけ伸びた,強さkのバネが持つ弾性エネルギーは,どう表されますか?