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(11)行動主義・新行動主義


 意識を対象とし、意識の自己観察という主観的方法をとっていた従来の意識主義心理学に対し、20世紀初頭アメリカのワトソンは、心理学を自然科学の一分野とするために、行動対象とし、客観的観察を方法とする過激な行動主義心理学を提唱した。
 しかし1920年代の後半、科学観そのものが変化することによって、より柔らかな行動主として新行動主義か提唱された。
            今日も客観的アプローチを重んずる点で、心理学は行動主義的である。
     11.1) ワトソンの行動主義
           ・20世紀 初期までの心理学
             …意識を対象とし、意識の自己観察をその方法とする意識主義(mentalism)の心理学
           
           ・ジョン・ボガーダス・ワトソン(Watson、J.B. 1878-1958:アメリカ)
  …論文「行動主義者からみた心理学」(1913)で従来の心理学の目的・方法を激しく批判。             意識主義に対して行動主義(behaviorism)を唱えた。
           
           ・ワトソンの主張
@心理学が自己観察法によって意識を観察している限り、それは私的データを主観的に観察し ているに過ぎない。科学にとって必要なことは公共データの客観的観察でなければならない。              → 観察されたものについて観察者間の一致が必要
A心理学が先進諸自然科学と同様の発展をするためには、意識を対象とするべきではなく、             客観的観察あるいは測定が可能なものを対象としなければならない。
           B心理学は、対象としては意識ではなくて行動(筋と腺の動き)を、
            方法としては自己観察法ではなくて客観的観察法をとるべきである。
           
           ・心理学の目的…行動の予測とコントロール
  刺激S(stimulus)と反応R(response)の間の法則関係(S−R法則)を明らかにすること  行動とは、反射で代表されるような、刺激によって受動的に決定される筋肉と腺の動き                 ↓
            「いかなる意識的な概念も心理学には必要ではない」
           
           ・条件反射の研究の重要視
             行動はどれほど複雑なものであっても最終的には単純なS一R結合(条件反射)の連鎖
             あるいは束として考えることができる。
           刺激S → 微視的反応R → 刺激S*
S*は餌のような生物にとって重要な刺激(強化子)、
矢印はS*によってSとRの連合が強められることを示す
           
     11.3) 行動主義心理学 おわりに
 これまで心理学の研究史を眺めてきた。
 現代では「こころ」とは、「行動」の原因、また原因となる仕組みの総称と言っていいかもしれない。
「こころ」の現れである「行動」を研究対象として、なぜその「行動」を行ったかを分析して、「こころ」の仕組みを知ろうとしている。その意味で、行動を分析の対象とする行動主義心理学が現在でも主流なのである。
 今では「行動」は、測定機器の発展に伴い、目に見える動きだけではなく、もっと広く”動き”を捉えるようになってきている。人が起こす行動だけではなく、人の中で起こることも見ることができるようになり、分析の対象となっている。たとえば、何かを見て心臓の鼓動がまってドキドキするといった、生理的反応に近いものや、嬉しい、腹が立つなどの感情の変化は、目に見えるものではないが、脳波や脈拍、血中のアドレナリン量などを測定することにって誰にでも見えるようになってきた。