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山彩湖ものがたり

 むかし昔、山を超えたそのまた向こうに、小さな村があったとさ。それはそれは、不便なところにある村なんだが、住んでいる村人たちは、ほんとうに心豊かな人たちばかりだった。
 村のそのまた奥には、池があり、豊かな水をたたえていた。その水は、水路を流れて田畑をうるおし、日ごろの暮らしに使う水となっていた。
 朝日や夕日、春や秋には水の色が変わって見えるので、村の人たちはその七色の水を湛える池を「彩湖」と呼んでいた。
 この村は不思議なことに、大声を出す人がいない。そればかりか、よく働くのに、いつも笑顔を絶やさない。いつも笑顔でいられるほど、たくさんの作物が取れるわけでも、たくさんのお金があるわけでもないのに。
 そんな心穏やかに暮らせる不思議を、村一番の長生きさんに問うてみた。
 「なぁんも、不思議なことはありゃぁせんが。親の親から代々教えられたサイコさまのおかげかもしれんのう。」
 「神さまでも、仏さまでもないさ。だから、拝むことも祈ることもない。サイコさまっていうのは誰もがここに持っているもんよ。」
 そういってじいさまは、胸に手をあてた。
 どうやら、この村の人たちは、この長老から幼い子どもたちまでもが、それぞれの胸の中に心おだやかに暮らすスイッチを持ち合わせているらしい。
 七色の水を村人たちの心に注ぎつづけているサイコ。そんなウエブサイトがあるといいのにな、それが「山彩湖」の願いです。  
 → つづく