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★ 第6日目7/10(金) エーゲ海ミニクルーズ ★


ギリシアとトルコの間に広がる青く澄んだエーゲ海には大小3000もの島々が点在している。そのほとんどがギリシャの領土で、エーゲ海領域を我が物顔で占拠している。
複雑で歴史的な両国の経緯でこのような形に落ち着いているが、それはさておき紺碧の美しいエーゲ海の島々を巡るクルーズには1日から10日間以上までさまざまある。一年中毎日いくつかの船会社がクルーズを運航している。

今日は、エーゲ海の雰囲気をちょっとだ゛け味わう日帰りのエーゲ海ミニクルーズ
本当のエーゲ海の魅力を満喫するには10日間以上かけてミコノス島、クレタ島、サントリーニ島、ロードス島などを回るのが一番だが、日程や予算の関係上日帰りしか余裕がない。

エーゲ海ミニクルーズとは言うものの、正確にはエーゲ海ではなくサロニコス湾内のエギナ島、ポロス島、イドラ島の三島を巡る一日コースだが、日本人(勿論私も含めて)は“エーゲ海”という言葉のなんとも心地良い響きには弱いようだ。
“サロニコス湾ミニクルーズ”よりも“エーゲ海ミニクルーズ”の方が響きは良く、お客も集めやすい。旅行会社の誇大広告だ羊頭狗肉だと言う人もいるが、サロニコス湾の海もエーゲ海に混ざり合って続いているのだからそれほど目くじらを立てることでもないと思う。

朝7時15分、ホテルからバスにてアテネの南西にあるピレウス港へ。エーゲ海方面の船はほとんどがこのピレウス港から出航している。午前8時15分クルーズ船・ペガサス号、三島の内一番遠いイドラ島を目指して出航。
             エーゲ海ミニクルーズのコースは次の通り
ピレウス港 → イドラ島 → ポロス島 → エギナ島 → ピレウス港
入港  ー 10.40 13.50 15.50 19.25 帰港 
出港 08.15 12.50 昼食   14.50 17.55  ー

このコースが一般的な三島巡りのコースであるが、船会社の都合で観光客の混み具合や、天候によっては訪問順序を変えて一島に集中しないように適宜分散しているようだ。
今日は団体の貸切があったとかで、いつもの観光船ではなく、ちょっと小さいが高速船での三島巡りとなった。と船会社の日本人スタッフでギリシャ在住のヨーコさんという日本人離れした風貌、活発な話し方の女性が言っていた。

午前10時40分イドラ島到着。この島は東西20km、南北5kmの細長い島。
イドラ島への船が着くイドラ・タウンは、この島の中心。周りの丘陵地の斜面には、輝くばかりの白壁と赤い屋根の家々が階段状に広がり、典型的なギリシヤの島々の風景を写し出している。
この白壁は、太陽の光を反射させ暑い夏を快適に過ごせるように、毎年白く塗り直すらしい。
ガイドの話では法律で塗り直しが義務付けられているとか、白壁は青い海や空と対比して美しい。


イドラ島・イドラタウン


イドラ島の交通はロバのタクシー、遮る物がない炎天下に繋がれている姿は動物愛護の精神に反する?

このイドラ島はかってソフィア・ローレン、アラン・ラッド主演の映画、「島の女」(英語名Boy on a Dolphin イルカに乗った少年)1957年米制作のロケ地になった所。海女姿の濡れた服を体にピッタリまとった野性味溢れるソフィア・ローレンの豊満な肢体にクラクラ来たものだ、若かったなぁ〜あのころは。映画の中でも風光明媚な美しいイドラ島と周辺の紺碧の海が描写されていた。今でもこの付近の海の透明度はピカ一らしい。
イドラ島の商人達は昔、貿易で財を成した者が多かったため豪壮な邸宅や個性的な家々が丘の斜面に並んでいる。またこの島は「芸術家の島」とも呼ばれ、昔から多くのアーティストたちが住んでいる。彼らが制作する絵画、彫金、装飾品、工芸品を売る店が港の周辺に点在していた。船会社の日本人スタッフのヨーコさんは今度は宝飾店の店員になって売り込みをしていた。

この島では自動車やバイクの乗り入れは一切禁止されていて、交通手段はロバや子馬のタクシーとなっていた。港にはロバが繋がれていたが島民が乗るとも思えず、観光客用のロバと思えた。試しに家内と乗ってみたが、炎天下の下、入り組んだ路地の歩きにくい石畳を首をうな垂れてパカパカと歩く姿は可哀想で早々に降りた。10〜15分ぐらい乗って2人で15ユーロ、ヨーコさんに言ったら1人で6ユーロ、2人だったら10ユーロぐらいが相場と言われたが…。


白壁に架けられた真っ赤なブーゲンビリアの花が美しい

白壁の美しいイドラ島の家々

ロバ?子馬?に乗って港周辺を散策

イドラ・ブルーと言われる美しい海の色

イドラ島からポロス島へは約1時間、船内で昼食を取りながら向かう。
ポロス島は東西10Km、人口4000人の車も水もない小さな島。サロニコス諸島の中でペロポネソス半島に最も接近(400mしか離れていない)した位置にある。

山の斜面に白壁と赤色の屋根の家々が建っているのは、イドラ島と同じだ。
島への上陸時間はわずか1時間だったから、あまりウロウロとは出来なかったが、少し高台にある時計台に上ったところから見下ろす景観がきれいだ。後は港のお土産店を少し回ったらもう乗船時間。


船上から写したポロス島の家々と時計台


時計台への案内板、日本人が多いのか?

時計台

時計台から見た湾の景色

ポロス島(左)とペロポネソス半島(右)の狭い海峡

ポロス島から最後の訪問地エギナ島を目指す。
エギナ島はサロニコス湾で最大の島。人口約12000人。今までのイドラ島やポロス島と違って港にはタクシーや観光馬車が客待ちをしている。
この島での滞在時間は2時間、ここの観光のメインは、島の北部の丘の上にある女神アフェアを祭る「アフェア神殿」へのオプショナル・ツアーか、それともツアーに参加せず港近くのタベルナやカフェ、お土産品店やショップを巡ってのんびりと自由時間を過ごすかだが、我々はツアーを選択。
港に着くとアフェア神殿行きの観光バスが止まっていて、乗り込むとすぐに出発。一台のバスに日本人ばかり20人ほど、ヨーコさんは今度はバスガイドに変身して独特の口調でしゃべりまくっている。
説明によればエギナ島には350を超える教会と7つの修道院があるとのこと。教会といっても村の鎮守さんのようなミニ教会も多いらしい。15分ほどでアフェア神殿に到着。

アフェア神殿はアテネのパルテノン神殿より早い紀元前5世紀ごろに建てられたアルカイック期の代表的なドリス式神殿。写真の神殿は、5、600年前に再建されたもので列柱も大理石ではなく石灰岩の柱、中には杉の木に石灰石を塗りつけたものもあるという。また神殿が建つ丘から湾を見下ろす景観は素晴らしい眺めだ。
エギナ島の名産はピスタチオ、アフェア神殿入口前の売店では、ヨーコさんお薦めの抹茶色したピスタチオ入りアイスクリームを食べたが、これはコクがあって本当に美味しかった、食べてみる価値は充分にある。一つ4か5ユーロだったと思うが、量も多くて一つを家内と2人で分けて食べた。


エギナ島のアフェア神殿

エギナ島のアフェア神殿

エギナ島のアフェア神殿
その後、アギオス・ネクタリオス修道院へ、ここはギリシャで最も最近の聖人ネクタリオスを祭るビザンチン様式の教会と修道院。ネクタリオスはここに22年住み、1920年に亡くなり1961年に正式に聖人に列聖された。 「歩けなかった少年の足に触れて治癒した」という話から“治癒の聖人”として崇拝されているようだ。

エギナ島のアギオス・ネクタリオス修道院

アギオス・ネクタリオス修道院の内部

ギリシャ最後の聖人と言われるネクタリオス

聖人の遺骨を納めた銀製の棺、これに触ると病気が治るという

エギナ港まで戻ってきたらもう乗船時間、オプショナルツアーに参加すれば港での自由時間はないが、それなりに見学できて楽しい。
午後7時25分ピレウス港に帰港。バスでレストランへ、魚料理の夕食。夕食後ホテルへ。

抜けるような青空と波静かな紺碧のエーゲ海、今日はまさにギリシャのキャッチコピーとなるような天候に恵まれたエーゲ海ミニクルーズの一日だつた。



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