損傷した筋肉が筋幹細胞を活性化させることを発見!?からの私なりの考察
損傷した筋肉が筋幹細胞を活性化させることを発見!?その1、その2、その3、その4と私なりに論文の検索をもとに考えを投稿してきましたが、それらを踏まえて、わかりやすくまとめてみました(生成AIの力を借りて!(^^)!、便利な時代になったものです)
鍼刺激が誘発する筋再生メカニズム:京都市西京区在住の、いち開業鍼灸師の個人的視点
1. 考察の前提:筋再生のメカニズム 【熊本大学 発生医学研究所の研究より】 骨格筋は、打撲や肉離れなどの損傷を受けると、筋幹細胞であるサテライト細胞によって再生されます。この再生プロセスは、以下の3つのステップを踏んで進行します。 活性化: 休止状態のサテライト細胞が、損傷した筋線維から漏出する成分などの刺激により活性化し、細胞準備期(G1期)に入る。 増殖: 活性化した細胞が増える。 筋分化: 最終的に損傷部位に融合し、筋線維を修復・再生する。
2. 核心的な問いと科学的検証 【核心的な問い】 私たち鍼灸師が用いる毫鍼(ごうしん・一般的に鍼施術で使用する鍼)による刺激は、この筋再生のトリガーとなる「物理的損傷」を筋線維に与えることができるのか?
【検証結果】 複数の先行研究により、この問いは肯定されています。 「微小組織損傷としての鍼刺激」:鍼刺激は、針の径に比例した明らかな微小組織傷害を生じさせることが確認されており、鍼刺激が微小な物理的損傷であることを証明しています。 「鍼治療に於ける手技の意義」:鍼刺激の方法(手技)によっては、骨格筋に組織損傷を認めることが報告されており、特に単刺(針を単回、深く刺す手技)でその可能性が示されています。
結論: 鍼刺激の方法を適切に選択することで、筋再生のトリガーとなる微小な物理的損傷を骨格筋に与えることは可能です。
3. 仮説:「収縮サルコメア」への選択的アプローチ 【ターゲット部位の特定】 患者さんが凝り(筋硬結部)として感じる部分は、ミクロ的視点で見ると、収縮サルコメアやその集まりである収縮結節である可能性が高いと考えられます。 【収縮サルコメアの状態】 収縮サルコメアとは、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが過度に重なり合うなど、至適長(最も張力を発揮できる長さ)から外れて短縮した状態を指します。 この状態では、筋力が発揮できず、持続的な緊張状態に陥っています。 【再生を促す仮説】 この機能不全に陥った収縮サルコメアへ鍼で選択的に微細な損傷を与えることで、以下のプロセスを期待します。 損傷によりサテライト細胞を活性化させる。 活性化されたサテライト細胞の増殖・筋分化を促す。 最終的に、損傷したサルコメアが健康な筋線維へと再構築され、至適長の状態に戻る。
4. 現時点での未解決の疑問 鍼刺激が筋緊張を改善するメカニズムについて、現時点では以下の点が未解明です。
疑問点 説明 緩和機序 鍼刺激が、サルコメアの収縮状態を即座に緩和させる(筋弛緩反応)のか? 再生機序 鍼刺激が、物理的損傷を通じてサテライト細胞による再構築を促し、時間をかけて至適長を回復させるのか?
現時点の結論: 鍼刺激の作用は、即時的な「緩和機序」と、遅延的な「再生機序」のどちらか、あるいは両方の作用を併せ持っている可能性があるのではと考えます。