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Recettes de base de la pâtisserie;製菓のキホン!レシピ編 記事登録日:2012/07/17
最終更新日:2015/08/09
 
お菓子作りのベースになるソースやクリーム。
基本的なことなので、これらを紹介するサイトや書籍はたくさんありますが、一度にできる量が多すぎたり、家庭にある道具ではうまくいかなかったりで、不便を感じたことはありませんか?
ある程度の量で仕込むほうが素材の温度や状態が安定するので作りやすいという利点はありますが、大量にできてしまうと家庭では消費しきれなかったり保存に困ったり・・・それで、ついつい便利な既製品で代用、なんてことに・・・。
せっかくの手作りお菓子、それではもったいないですよね。
このページでは、ちょっとだけ必要なあれやこれやを、既製品に頼らず失敗なく作る方法を試行錯誤してみました。




  ボーメ30°のシロップ   バター・クリーム
  バニラシュガー   プレーン/プラリネ/チョコレート/フレーズ/フランボワーズ
  自家製バニラエッセンス   カフェ
  カラメル   ガナッシュ・クリーム
  バタースコッチ・ソース   プラリネ・パウダー&ペースト
  自家製オレンジ・ペースト   プララン






ボーメ30°のシロップ   出来上がり量/約600ml
材 料
 グラニュー糖 405g     
 水 300g   
     
     
   


ちょっと敷居の高そうなタイトルになりましたが、平たく言うと「砂糖水」。
上記分量でつくると「ボーメ30°」という濃度の砂糖水になる、という意味です。
 ボーメ単位についてはこちらをどうぞ → コトバンク ボーメ度

「ボーメ」は本格的な製菓レシピでは糖度の単位としてしばしば登場します。
一般のレシピでも、わざわざ「ボーメ○○°」とは書かれていなくてもこの単位を基準とした配合になっていることがよくあります。

例えば、ガムシロップ代わりに使われる砂糖水のレシピは水と砂糖が1:1とされていることが多いのですが、製菓でのレシピ(焼き菓子の仕上げ用シロップなど)では糖分の量が水よりも多めになっているものが大半です。
計算してみるとパーセント濃度で約57.4%程度、水:砂糖が1:1.35くらい。
これが「ボーメ30°」です。

この「ボーメ30°のシロップ」は製菓において非常に基本的かつ理にかなった砂糖水の濃度なのだそう。
焼き菓子のツヤ出しに最適な濃さであり、水分または酒を同割で加えるとボーメ18°のスポンジ用シロップにもなる。
ある程度の期間は常温で保存することができるので、とっても便利!なパティシエの常備品らしいです。
  ↑この部分については「ベーシックは美味しい―オーボンヴュータン河田勝彦の菓子」を参考にさせていただきました。
  「シロップや菓子の甘さ」と「ボーメ糖度の関係」について、更に詳しくは上記書籍のP35「基本のシロップ」「菓子の甘さにも基本がある」をご覧ください。


家庭向きの製菓レシピに登場することはあまりないので、無ければ無いで困ることはありませんが、使い慣れてくると結構便利な副材料になります。
アイスコーヒーなどのガムシロップ代わりにも使えますし、日常の製菓でもちょっとしたアクセントに大活躍!

とりあえずは少量から、常備されてみてはいかがですか?


 作り方 
 
材料はグラニュー糖と水

ガムシロップ代わりとしてだけなら上白糖でも作れますが、焼き菓子のツヤ出しに使う予定であれば上白糖よりも純度の高いグラニュー糖のほうがオススメです



小鍋にグラニュー糖を入れ、ゆっくりと水を注ぎます

入れる順番は、グラニュー糖→水
鍋のフチに砂糖粒がつかないようにするのがポイントです
砂糖粒が鍋ふちにつくとそこから焦げてシロップに色が付いてしまいます



鍋ふちに火が回らない程度の火力で加熱を始めます

この火加減も鍋ふちを焦げ付かせないためのポイントです



加熱中は無駄に水分が蒸発しないように、蓋をしておきます



鍋中が煮立ってきました
吹きこぼれない程度にくつくつと煮えている状態を保つ火加減に落とします

鍋の中は特に混ぜたりせず、このまま加熱を続けます



湧いてきたら鍋蓋は少し開けておくほうが吹きこぼれ防止になりますね

このくつくつ沸かしているときに、「出てくるアクを取りましょう」という指示のあるレシピも見かけますが、純度の高いグラニュー糖であればアクが出ることはあまりないと思うので、私はノータッチで仕上げています



鍋の中の砂糖は、混ぜなくても温度が上がってくれば自然に溶けます

沸騰してのち、しばらく加熱を続けるとだんだんとシロップの濁りがとれて透明になってきます



火を消して鍋中を確認し、溶け残りの砂糖が無くなっていたら出来上がりです

もしもまだ溶け残りがあるようなら、再び火にかけもう少し加熱、砂糖の粒が無くなるまで煮ていきます



出来上がったシロップには蓋をして、粗熱がとれるまで放置します

季節にもよりますが、このまま2時間くらい置いておくとさわれるくらいの温度になります

粗熱が取れてから、保存容器に移し替え、常温で保存します
個人的には1年くらいは余裕で持つと思っていますが、一般的には「常温で1カ月保存が可能」とされています



製菓におけるシロップの基本的な使い方としては焼き菓子のツヤ出しが一般的
このサイトではガレット・デ・ロワの仕上げに使っています

クロワッサンの表面に塗って艶やかでカリッとした甘い表層を作るのにも使われるそうです



我が家でこのシロップが一番多用されているのがフレンチトースト

普通のフレンチトーストを作る要領で両面を焼いた後、仕上げにシロップを塗って再度両面を焼きます
表面が薄い飴状になることで食感に変化が付き、焦げたシロップにカラメルの風味も加わって、ひと味違う仕上がりに



この他、サンドイッチで余ったパンの耳をフライパンで焼いたなんちゃってラスク作りにも・・・

砂糖をそのまま振りかける方法もありますが、火にかけたシロップの中に乾燥焼きしたパンを投入することで簡単に飴掛けすることが出来ます





シロップの作り方はいたって簡単!
分量のグラニュー糖を水に煮溶かすだけ。
悩みどころとしては、粗熱を取っている間に結構な量の水蒸気が蓋につくので、これをどうするか、くらいでしょうか?
(ちなみに私は蓋についた水蒸気はなるべく鍋に戻さないように処理しています。ただ、戻したところで仕上がりは大差ないと思いますが。)

このシロップはご紹介した使い方以外に、洋酒と合わせてスポンジケーキに打つシロップにすることもできます。
スポンジ用のシロップはボーメ18°(くらいがちょうどよいらしい)。
ボーメ30°シロップと水分を同量づつあわせると、おおよそボーメ18°(になるのだそうです)。
洋酒にはグランマルニエ(原料;オレンジ)、キルシュ(原料;さくらんぼ)、ラム(原料;さとうきび)などを、素材との相性を考えて・またはお好みで選択。
基本はシロップ:洋酒が1:1ですが、お好みで洋酒の量を減らすこともできます。
洋酒を減らした際には減らした分の水を足してやればOK。
18cmのスポンジケーキ一台でだいたい60mlのシロップを使うようですのでその際のレシピは以下のようになります。

  スポンジケーキ用のシロップ約60mlの分量 ・・・ ボーメ30°シロップ30ml(大さじ2)/お好みの洋酒30ml(大さじ2)

以上を混ぜあわせて出来上がり。
洋酒の風味を存分に生かしたい場合は非加熱で使いますが、これらのお酒はアルコール度数が高めなので、普通のスポンジケーキのシロップとして使うには、いったん沸騰させてアルコール分を飛ばしたものを使用するほうが無難かと思います。


さて、今回ご紹介しているレシピ、水300mlで作るシロップの出来上がり量は約600ml。
タイトル写真の目盛りつき660mlサイズの調味料びんにちょうど良い量のシロップができます。
(調味料びんは現在500mlサイズ以下のものしか取り扱いが無いようです。)
容器の容量により出来上がり量を変えたい場合は以下の分量を目安にしてみてください。

  出来上がり量約100ml ・・・ 水50g/グラニュー糖68g
  出来上がり量約300ml ・・・ 水150g/グラニュー糖203g
  出来上がり量約500ml ・・・ 水250g/グラニュー糖338g


また、こちらのシロップについてアイスコーヒー用のガムシロップにも、と書きはしましたが、実は量販されているガムシロップとは成分が違います。
アイスコーヒー用として販売されているガムシロップは果糖ぶどう糖液糖などが主な材料で、砂糖を使って作るシロップよりも低温で甘みを感じやすく作られています。
 こちらにとても詳しい説明がありました → Yahoo!知恵袋 ガムシロップ1個は、砂糖でいうと何グラム? 
ただ、果糖ぶどう糖液糖が原料として使われるのは砂糖に比べて原価が安いからだそうで、量さえ入れれば甘さの調節は自在なので、こちらのシロップでも十分に代用が可能です。
(むしろ、グラニュー糖などで作られる純糖100%のガムシロップは高級品のようです)

アイス飲料のみに使用する場合で、市販品とは違うこだわりの手作りシロップを目指すとしてはカソナードなどのブラウンシュガーを使ったレシピもあります。




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バニラシュガー  出来上がり量/約20g
材 料
 使い終わったバニラのさや 1本分/約1g     
 グラニュー糖 20g   
     
     
   


最近ではスーパーでもサヤごとのバニラが店頭に並ぶようになりましたね。
合成香料のバニラエッセンスなどと比べれば非常に高価な品ではありますが、ネット通販を利用すればかなりお安く入手できるようにもなりました。
ちょっと気合を入れてお菓子を作る時には本物のバニラを使う、という方も多いのでは?

ホールのバニラを使用する場合、どちらかというとしごき出した黒い粒(バニラビーンズ)のほう主役ですよね。
サヤのほうは工程によって卵に漬けたり、牛乳で煮出したり、一応の役目はあるものの、使用後は取り出して「用無し」になるのが一般的です。

「出がらし」扱いのサヤではありますが、結構強いバニラの香りが残っていたりして、捨てるのはもったいないなぁと思ったことはありませんか?

バニラの香りの元である「バニリン」、実はバニラビーンズよりもサヤのほうにたくさん含まれているという話もあるくらいで、簡単には香りは抜けません。
使用済みとは言え、このサヤを捨ててしまう、というのはとってももったいないことなんですよ!!!

ということで、バニラのサヤの再利用に「バニラシュガー」をオススメします!

一番簡単なバニラシュガーの作り方は、乾かしたサヤをお砂糖に漬けておくという方法。
ただ、これだけでは香りの移りが弱く製菓には向かないので、サヤを砕いて粉末状にしてしまう方法のご紹介です。

出来上がるお菓子はちょっと見かけが悪いので、おもてなし用には向きませんが、ご家庭向けのおやつ作りには活躍すること間違いなし!
サヤがもつ新鮮なバニラ香にちょっと驚かれるかもしれませんよ♪


また、ホールバニラを使用した本格的なバニラシュガーの作り方もクックパッドに投稿していますのでぜひご覧ください。

Cpicon ホールバニラで贅沢バニラシュガー



 作り方 
 
使い終わったバニラのサヤを用意
まずはこのサヤをカリカリに乾燥させます

写真の量で1本分
さやの中の黒い粒(バニラビーンズ)をしごき出した後の「使用済みサヤ」
卵液や牛乳に漬けた場合には水洗いをしておきます

写真ではアルミトレイにシリコンオーブンシートを敷き、バニラのサヤを載せています
(シリコンオーブンシートはクッキングペーパーで代用可)



焼き菓子などを作った後の、スイッチを切った状態のオーブンに入れ、さやを乾燥させます

この他に、天気の良い日に天日干しする、または電子レンジで何回かに分けて加熱し水分を飛ばす、などの方法もあります

(電子レンジを使用する場合は、陶器か耐熱ガラスの上にさやを置いて加熱してください)



スイッチを切ったオーブンの中で2時間程度放置しておきました

写真のように指で挟んでみると、クニャッと折れ曲がる状態
まだ、湿気ているのがわかります

この時はこのまま放置し、次にオーブンを使った日の使用後にもう一度、残り熱乾燥をしました



カラカラに乾燥すると、写真のようにパキッと真っ二つに割れるようになります

さやを試しに折ってみて、簡単に割れるようになったら乾燥終了!



バニラの質にもよると思いますが、今回のさやはカリカリに乾燥した状態で1g強でした

バニラシュガーにするには乾燥バニラのさや1gにつきグラニュー糖を20gくらいで使い勝手の良いものが出来ます

バニラの香りが濃ゆいのがお好きな方は、使用する際の量を増やすか、この時点で砂糖の量を減らしても・・・



写真はお茶ミル容器です
分量のグラニュー糖とバニラのさやが入っています
カッター刃に負担をかけないように、バニラのさやは約5mm長さに切りました

今回使用したのはパナソニックのファイバーミキサーのミル機能

お茶ミル容器は、より細かい粉末にできるミキサーに付属の容器です
普通のミル容器でもある程度の粉末状にはなりますが、お茶ミル容器で粉砕するとより細かくなります



ミルサーにセットして粉砕していきます



スイッチを入れたり切ったりしながら回していきます
回転中に「ガガガッ」という引っかかり音が無くなるまで回していきます
ミルサーの機種により定格時間が違いますので、そのあたりは様子を見ながら、必要に応じて一時中断しつつ、細かい粉末にしていきます



出来上がりました!
グラニュー糖は粉砂糖状に、バニラのサヤも同様に微細な粉末に粉砕されたように見えます
が、こう見えてバニラのサヤについては結構大きな粒が残っていたりします

気になる方はこの時点で目の細かい茶漉しかフルイで取り除いておくとよいでしょう



サヤのカスを取り除くにはなるべく目の細かいフルイにかけます
写真は漉し餡を作る際に使用している60メッシュの絹フルイ
フルイに白く残っている塊がバニラのサヤ

普通の家庭にある道具なら、茶漉しが一番目が細かいと思います

絹フルイは、家庭用の漉し器等に比べればかなり目は細かいですが、粉砂糖と同等の微粉末にするには100メッシュよりも目の細かいフルイにかける必要があります



フルイにかけたバニラシュガーですが、実際に使用してプリンを作るとこのように木くずのようなカスが浮いたような仕上がりになってしまいます
食感にはそれほど影響はありませんが、やはり見た目が良くないのでおもてなしお菓子に使うには用途を選びますね・・・

香りのほうは言わずもがな!
安価なバニラエッセンスでは絶対に得られない濃いバニラ香で、同じ材料でもリッチな味わいに!



出来上がったバニラシュガーをフルイにかけずに使ってみた状態がこちら
プリンを作る際に、プリン液を漉した時のものですが、網目に砕かれたバニラのサヤが結構残ってます

プリンの場合は「プリン液を漉す」工程がありますので出来上がったバニラシュガーをわざわざフルイにかけなくても使い勝手に変化はあまりありません



こちらはフルイにかけていないバニラシュガーでつくったプリン
上のフルイにかけたバニラシュガー使用のプリンと比べて、仕上がりにはさほど違いはありませんね
(写真写りは随分違うんですが・・・)

これらのプリンを作る際には砂糖の全量の2割程度をバニラシュガーに置き換えて作っています



ダコワーズを作る際、粉砂糖の一部をバニラシュガーに置き換えてみました

生地の構成によってはバニラビーンズやバニラオイルだと、加えるタイミングに悩むことがありますが、バニラシュガーなら砂糖との置き換えで済むので手順はそのままにバニラの風味を加えることができます
また、合成香料よりも嫌みなく力強い香りを得ることができました



今回使用したバニラのサヤは、自家製バニラエッセンスを作った後のものを使用しました
丁寧にしごき出したようでも結構バニラビーンズが残っているので、バニラシュガーにすることでそれを無駄にせずに済む、というのも利点です

自家製バニラエッセンスについてはまた後日UP予定です





バニラシュガーの使い方ですが、前述のとおり、私はレシピにある砂糖分の1割~2割程度を置き換えて使っています。
ただし、バニラの質や作った際の分量により、香りの強さは変わりますし、個々人の好みによっても加減は必要だと思います。

また、こちらのレシピのバニラシュガーはサヤがメインなので、特にプリンなどに使用した場合には仕上がりの見かけはあまりよろしくありません。
(ただ、しつこいですが香りは抜群です!)
目の細かいふるいにかけて大きな塊を取り除けば、焼き菓子などにはよいかもしれませんが、使用の際にはこの点に注意してください。


ところで、フランスの家庭用製菓レシピには「1 sachet de sucre vanillé」(バニラシュガー 一袋)というのがよく出てきます。
どうもフランスでは日本で量販されているような合成香料のバニラエッセンスよりも、バニラシュガーのほうが一般的で入手も簡単なようです。
(ただし、このバニラシュガーにつけてある香料が、本物のバニラなのか・合成香料なのか、については原料の記述がネット上に公開されていないため確認できませんでした)

今回は「使用後のバニラのサヤの再利用」を目的としたバニラシュガーの作り方をご紹介しましたが、フランスにおける「Sucre vanillé maison」(自家製バニラシュガー)は、バニラビーンズをしごく前のホールのままのバニラをグラニュー糖とともにフードプロセッサーにかけて作るのが普通です。
例えば、こちらのサイト「Cuisine-facile.com」のバニラシュガーがそうですね。
(フランス語のページですが、ページ下のほうに画像付きで解説があり工程の雰囲気はわかると思います)

そこで、上記サイトを参考に、ホールバニラのバニラシュガーを作ってみました。
その様子をクックパッドに投稿しています。
実際に作るのは初めてのことだったので、レシピと言うよりは体験記のようになってしまいましたが・・・・・。

Cpicon ホールバニラで贅沢バニラシュガー


調べてみたところ、ホールバニラとグラニュー糖の割合はレシピによりまちまちだったのですが、「バニラ1本につき100gのグラニュー糖」というのが主流のようでしたので、上記レシピではこの分量を参考にしています。

出来上がったバニラシュガーの香りは「超濃厚!!!」
「再利用」のバニラシュガーは普通にバニラを感じる甘い「良い香り」なんですが、「ホール」を使用した方はむせるほどに強い香り。
甘いというよりは薬臭さすら連想させる「濃さ」があります。
ただ、実際の製菓で使用するのは少量ですので、この「濃さ」が素材の中で薄まり、「厚みのあるバニラ香」に変化するんですね。
これは、非常にクセになる使用感です。
私は主にダックワーズを作る際に使っていますが、メレンゲを傷めることなく、ほんの少量で力強い香りを付けられるので、かなり気に入って使っています。


サヤには本当に強いバニラ香があります。
バニラビーンズだけではどうも思うようにバニラの香りがつかないなぁ、とお悩みの方は、バニラまるまる一本を使った贅沢バニラシュガーをオススメします。





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自家製バニラエッセンス  出来上がり量/約100ml
材 料
 ホールバニラ 5本程度     
 洋酒 約100ml   ラム酒・ブランデーなど
     
     (左の写真は上記分量の2倍量・バニラ棒10本で作ったものです)
   


バニラシュガーに続き、ぜひ手作りをオススメしたいのがこちらの「自家製バニラエッセンス」。

いや、ホントは順番が逆です。
バニラエッセンスを作った際に残るバニラのサヤをリサイクルして作るのが前項のバニラシュガーなわけです。

「バニラエッセンスを手作り」と言ってもバニラのサヤをしごいて種を取り出し、サヤごと洋酒に漬けこむだけですから、カンタン・カンタン。

正確には「バニラの洋酒漬け」と言うべきシロモノですが、お手軽な使用感は市販のバニラエッセンス同様。
しかも本物のバニラを使用していますので香りの質はお墨付きです。


上に挙げた量ですが、「作りがいのある分量」として「5本程度」と書きました。
が、別に1本でも1/2本でも、手元に余っているお好きな量で作れます。
少量のバニラで作る場合は、その分小さめの容器にして加える洋酒を減らせばOK!
これで「奮発してバニラを購入したものの、少ししか使用せずに冷蔵庫の肥やしにしてしまった!」なんてことも、無くなります!

一度作っておけば、プリンやフレンチトースト、ホットケーキなど、普段なら合成香料で済ましてしまうような日常のおやつを作る場面でもささっと手軽に使えて超便利!

日々のお菓子作りの強い味方!自家製バニラエッセンス♪
ぜひお試しを!


 作り方 
 
バニラは丸々一本、包丁の先で縦半分に割くように二分割します



バニラ棒は豆のサヤのような感じです
二つに裂くと内側にびっしりとバニラビーンズが詰まっています

これを包丁の背を使ってしごき取ります



しごき取ったバニラビーンズは一か所に集めておくか、直接瓶に入れていきます

ビーンズはちいさーい粒粒です
周囲は少し粘ついていて、手際が悪いとあちこちにくっつき、どんどん減っていくので要注意!



種をしごき取った残りのサヤですが、こちらも一緒に洋酒に漬けこみます

瓶の高さに合わせてまとめて切りそろえておきます



適当な大きさの便にしごき取った種とサヤを入れ、適量の洋酒を加えて完成

出来るだけ長い間寝かせるほうが洋酒に移る香りが強くなりエッセンスとしての効果は高まるように思いますが、浸かっているビーンズのみを取り出して適宜使う事ももちろんできます

うちではサヤを取り除き洋酒とビーンズをラー油の瓶に詰め替えて使っています



今回はスイートキッチンさんで購入したマダガスカル産バニラビーンズを使用

写真のビーンズは5本分をしごきだしたもので5.3gありました

こちらのバニラはサヤが太く適度な潤い(?)があって、種の周りの粘りも多く、なかなか高品質な印象でした





保存食品を作る際、気を付けるべきは瓶などについている雑菌の処理ですが、今回の場合はアルコール度数の高い洋酒を使う事もあり、特にそのあたりの処理は行っていません。
普通に洗って自然乾燥させた容器を使用しています。
ただ、これが推奨される方法かどうかはわかりませんので、気になる方には煮沸消毒等をおすすめします。


出来上がった「バニラの洋酒漬け」ですが、冷暗所での常温保存でかなり長い間置いておくことができます。
私見で具体的にどの位とは断定しがたいものがありますが・・・・・。
参考までに書いておきますと、我が家には3年前に作ったものがあり、今でも普通に使っています。
漬けこんだ洋酒は古いものほど深く濃い色になります。
香りはもしかしたら少しは飛んでいるのかもしれませんが、新しいものとの差がはっきりわかるほどの違いはありません。




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カラメル   出来上がり量/約85cc~110cc
材 料
 グラニュー糖 100g     
 水① 大さじ2   
 水②(またはお湯) 25g~50g   
 レモン汁 3滴~8滴   添加の有無、量はお好みで
   


砂糖のおこげ、カラメルです。
カラメルって、プリンくらいしか使い道が思い浮かばない・・・、と言う事無かれ。
甘い中にもパンチの効いたソースとして、アイスにかけたりパンに塗ったり結構いろいろ使えるんですよ。
料理でも、茶色くて甘い味付けのもの、たとえば牛丼のたれとかカレーなどの隠し味に、ひと匙加えるだけで奥行きを出せる、かなり使える調味料なんです。

市販品では温めて使うソースタイプのカラメルプリン作りに便利なタブレット状のもの、そのまま使える濃厚本格派フランス生まれのソースタイプカラメルなどなど、用途や使い勝手で多様な商品がありますが、基本的には砂糖を煮詰めただけのものなので、出来るものなら手作りするのが安上がり♪しかも安心・安全です。

材料は砂糖と水、道具はお鍋だけ、と非常にシンプル。
一見簡単そうなのですが・・・、
一般のカラメル作りでは焦げが進んでいる最中の高温のカラメルシロップに水(またはお湯)を直接投入するため、蒸気が上がったりシロップが飛び散ったりで、結構怖いというか、作るのに勇気のいる一品だったりします・・・。

そこで、
蒸気や飛び散りで怖い思いをしなくて済む方法(笑)を考えました。
カラメルが程良く色づいたときに、氷水で冷やして色止めを行い、そこに水を追加することで過度な飛び散りを防ぎます。
この方法のデメリットは、せっかく作ったカラメルが冷えて固まり鍋底にくっついてしまうこと。
しかし、失敗として起こりがちなカラメルの焦がしすぎは防ぐことができます。
しかも安全、怖くない。
問題の底に張り付いた塊も、ゆっくりと再加熱することできれいに溶けて、ダマのないちゃんとしたカラメルソースに仕上がります。

カラメル作りは鍋が焦げ付いて洗うのが大変、と思われるかもしれませんが、厚手の鍋できちんと作れば焦げ付きなどは起こりません。
鍋や道具に冷えてこびりついたカラメルも、水に漬け置くことで簡単に洗い流せます。

プロは一度に大量を仕込みますが、家庭で消費するには上記量くらいが良い加減ではないでしょうか。
作業効率よりも、確実な仕上がりと安全性を優先した、家庭向けの少量レシピ。
上記量で200gのケーキシロップ容器7分目くらいの量が出来上がります。
常温で長期保存が可能(公式には常温保存で約1カ月、でもそれ以上持ちます)ですので是非チャレンジしてみてください!

 作り方 
 
グラニュー糖100gに水①大さじ2を入れて火にかけます

カラメルが程良く色づいたらすぐに加熱を止められるように、そばに氷水を用意しておくと便利です


火加減は鍋底の大きさに合わせます
火が鍋のフチに回らない程度で、かつ、強めの火、がベスト
強すぎるて火が鍋のフチに回るとフチ周りの砂糖が焦げついてしまいます
が、逆に弱すぎても綺麗に色づきません




加熱をはじめても、鍋中を混ぜたり等はしません
砂糖の量が少ない場合は全体が溶けるのも速く、また、砂糖が溶けきらないうちはカラメルにはならないので基本的には放置で大丈夫です


シロップの温度が150度を超えてくると、鍋のフチあたりから色づき始め、うっすらと煙も出始めます




火加減にもよりますが、カラメル色になるまでの色づきスピードはわりとゆっくりです


だんだんと茶色の範囲が広く濃くなってきました


どこまで色づけるかは個人の好みによります
わたしはこのくらいのちょっと明るめの茶色で止めています
煙に焦げたにおいが混じり始めたころを目安にしています


火を消しても鍋やシロップ自身の熱でどんどん色づきが進みます
色づきを止めるためには、「ここだ」と思う瞬間に氷水につけるのが手っ取り早く確実です

氷水に付けると鍋が「じゅー!!」と音を立てます
しばらくすると止みますが、音が止まっても氷水からは出さないこと。
鍋が冷えても中のシロップは熱いままなので注意!シロップ自身の熱で焦げが進んでしまいます




氷水につけたまま水②(今回は25g)を加えます
カラメルの沸騰が止まり冷めたように見えても、水を入れた瞬間「じゅ~!!!!」と激しく音がするかもしれません
火にかけたまま行う方法よりもカラメルの飛び散りや水蒸気の上がりは控えめなはずですが、一応の用心はして作業してください

水を入れ終えたら、鍋を氷水から出し、再び火にかけます


この方法で作ると、冷やされたカラメルがなべ底にダマになってたまってしまいます
水②を加えたのち、今度は弱火にかけてゆっくりと加熱し、ダマを溶かしてやる必要があります

小鍋で行う細かい作業にはミニスパチュラが便利
写真はブランシェ・アソシエのシリコンスパチュラ、ミニサイズ
弱火で加熱しつつ、全体をよくかき混ぜカラメルを溶かします
軽く沸騰するころにはダマはなくなっているはずです

ダマが完全になくなったら出来上がり
荒熱を取ってから、保存の容器に移し替えます




ちなみに、大量のカラメルを作る場合には、鍋に裏ごしを乗せてその上から水を入れるようにすれば蒸気の上がりによる熱を軽減できカラメルの飛び散りもいくらか防げます
レシピ本の受け売りですが・・・



グラニュー糖の量に対し25%の水(今回の場合は25gの水)で溶いたカラメル

常温では粘度が高く、滴もたれてこないほどに硬い
プリンなどに敷く用途では使いやすいが、容器から出す際には硬い・糸をひく等扱いづらい点も・・・

こちらのカラメルは使うたびに湯煎などで温めてやわらかくしてから作業します


グラニュー糖の量に対し50%の水(今回の場合は50gの水)で溶いたカラメル

常温でも粘りはあるが液体状
プリンの底に敷く場合には、常温ではプリン液と混ざってしまうくらいゆるいので注意が必要
ソース状で扱いやすいので、デコレーションや風味づけに便利


ゆるいほうのカラメルを大福生地に入れてカラメル大福を作りました
大福生地を牛乳で練って「キャラメル風味」を狙ったものですが、砂糖を煮ただけのカラメルではあの甘~いキャラメルの匂いは出せないようです

キャラメルの香りにもこだわりたい方はキャラメルパウダーキャラメルフレーバーを添加するのがオススメです




ルノートル氏のカラメルレシピでは、砂糖が溶けきったころにレモン汁を数滴添加する指示がありました
調べてみたところ、レモン汁を入れるとカラメルの味に深みが出るのだとか

食べ比べでは味的なものは良く分かりませんでしたが、添加したものの方が上品な香りがついて風味がUPした気はします
ほんの少量なのでレモンの酸味は出ませんが、風味としても好みは分かれるところだと思います
試される場合、量は少なめ(砂糖100gにつき3滴)からがおススメです

※レモン汁の添加については下記の補足もご参照ください
レモン汁を入れるといくらかアクが出て若干ソースが濁るのが難点
気になる方はアク取りをする必要があります

ルノートル・レシピでは加熱時に添加するようになっていましたが、出来上がったカラメルにレモン汁を加えるレシピもあるようです
個人的には煮詰める際に加えるほうが、レモン汁がカラメルと一体になって風味を増す気がしました

カラメル作りには銅鍋が断然便利です。
銅鍋を使うとシロップの温度が均一に上がるのでフチだけ焦げたりする失敗がありません
鉄製の厚手の鍋も火のあたりが柔らかいので焦げ付きの心配は無いですが、蓄熱性が高いので、ここだと思った焦げ色で加熱をストップするのが難しくなります

そこでおススメなのが銅のプチパン
内側がスズメッキで素材の色づきがわかりやすいのもポイントです
家庭の製菓では直径9cm(容量280cc)または10cm(容量380cc)のものが使いやすいと思います
(写真は9cmの口付きのもの/商品には口付きと注ぎ口無しのものがあるので注意!!)






作業自体はごく単純なカラメルですが、どのくらいまで焦がすか、どのくらいの水分で緩めるか、によって風味と使い勝手が変わってきます。

「焦がし具合(風味)」については少々経験がものをいう部分がありますが、個人の好みでも変わってくるところです。
茶色が深く、黒色に近づくほど苦みが増していきますが、いわゆるキャラメルらしい風味も強くなり、
黄金色に近い明るい茶色程度で止めておけば苦味は付きませんが、風味やコクには欠け物足りない印象になります。
ということで、求める味に近づくには、何度か作ってみるのが一番です。

カラメルの緩め具合については前述のとおりです。
本格的なレシピでは砂糖の量に対し25%の水で作る硬めのカラメルが一般的ですが、用途により使い分けるのが◎、だと思います。

今回の分量での出来上がり量は25gの水を加えた場合で約115g/85cc、50gの水で約140g/110ccになりました。


ところで、カラメル作り自体はノンスティック加工(こびりつき防止加工)のフライパンなどでも可能です。
焦げ付きの心配がなく後片付けが楽なのは便利ですが、フッ素樹脂加工などの色の濃いフライパンではカラメルの色づき具合の見極めが難しくなりますのでご用心ください。


※レモン汁の添加について
このレシピを公開した当時は、単純に風味問題と思っていたレモン汁の添加ですが、本当の目的は砂糖分の再結晶防止のためらしいです。
製菓関連本からの情報によると、「グラニュー糖にレモン汁や食酢などの酸を加えて煮込むとブドウ糖と果糖に分解される(転化糖に変わる)」とのこと。
この転化糖はショ糖の結晶化を阻害するため、グラニュー糖が再結晶せずスムーズにカラメルになるのを助けたり、出来上がったカラメルソースが飴状に硬くなるのを防ぐ役割があるようです。
黒砂糖から黒蜜を作る際にも少量の食酢を加えたりしますが、これも同じ目的によるものだそうです。



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バタースコッチ・ソース   出来上がり量/約250g
材 料
 グラニュー糖 90g     
 水 大さじ1   
 バター 50g   今回は有塩バターを使用、無塩バターの場合は最後に添加する塩の量を増やす
 モラセス 3g~6g   お好みで量を加減・小さじ1/2弱で約3g、小さじ1弱で約5gが目安です
 生クリーム 100ml 
 バニラエキストラクト 小さじ1   ソースなのでバニラビーンズの入っていないエキストラクトを使用
 自然塩 小さじ1/10   塩の量も味見をした上で、お好みで量を加減


あの、「チェルシーの味」でおなじみ、「バタースコッチ・ソース」、です。

先日、BS日テレの「パリで会いましょう」という番組を見ていたら、ローズベーカリーと言うお店の「バタースコッチ・チーズケーキ」なるものが紹介されていまして、急に「バタースコッチ」に興味がわき、このレシピに至りました。

「バタースコッチ(butterscotch)」とは、主に赤砂糖とバターを材料とするイギリス生まれの菓子の一種。
「スコッチ」の名の由来には諸説あるようですが、「焦がす」という意味の「scorch」にその理由があるとする説が有力なようです。

キャラメルに限りなく近い風味ではありますが、最大の違いは赤砂糖(ブラウンシュガー)が使われるという点。
また、バターを”先に”加える、という点も特徴になるかと思います。

ネットで作り方を調べてみたところ、本格的なレシピはいくつかあるものの、実際に作ってみるとなかなか理想的なソース状にならないんですね。
温かいうちはトロトロなのですが、冷めると砂糖分が再結晶してしまいザラザラとした舌ざわりになったり・・・・・。
分離したバターの油分が浮いてしまったり、全体が水あめ状の硬い塊になってしまったり・・・・・。

同じ材料で作っているのに、ちょっとした手順の違いで全然違うものが出来上がってしまう!

口触り良くなめらかで、風味豊かなソースを求めて試行錯誤した結果、完成したのがこちらのレシピ。
上手に作るためのコツやポイントはつかめたと思います。
散々失敗したので。
おかげで、只今我が家はバタースコッチソースだらけですが・・・・・。


こちらのレシピはクックパッドにも投稿しています。
レシピの印刷にはこちらのサイトが便利です。

Cpicon バタースコッチ・ソース


キャラメル・クリーム同様、パンに塗ったりアイスクリームにかけたり、また、生地への風味付けやクリームのアレンジなど、応用範囲の広い「バタースコッチ・ソース」!
ぜひ、お試しを!!!



 作り方 
 
今回の材料

なめらかなクリームを作るコツは「温度変化を最小限にする」ことと「混ぜすぎない」こと

ですので、材料はすべて室温程度に生温かいのが理想です



バターは1cm角程度に切って、室温においておきます


今回は有塩バターを使用して作っています
無塩バターを使う場合は最後に加える塩で味を調節します



生クリームは600wの電子レンジに30秒程度かけておきます

アツアツに加熱する必要はありません
容器に触れた時にほんのり温いくらいで十分です
あまり熱くし過ぎると膜を張ってしまうので注意!



グラニュー糖を鍋に入れ、大さじ1杯の水を加えます

鍋を傾けたりゆすったりして、砂糖全体を湿らせます

写真のようになったら、中火にかけ、加熱開始



熱が良く通るところから沸騰してシロップ化してきますので、鍋をゆすって全体が均一なシロップに変化するよう助けてやります


この時加える水の量ですが、ぶっちゃけ、適当でOKです

少なければ速くカラメル化し、多ければ時間がかかる、というだけです

鍋の種類によっては水の量を増やした方がうまくいく場合もあります



鍋の形状によっては加熱ムラが出るのは避けられません、が、この時、ヘラ等を使わないように注意してください!
加熱ムラは鍋をゆすったり回したりして無くします

ヘラで衝撃を与えると、砂糖が再結晶してザラザラの砂糖の塊に戻ってしまいます


この作業で私が使用しているのは錫引きがしてある18cmの銅ボーズ鍋
カラメルやカスタードなど、火加減が命の作業に超オススメ!



加熱が進んでいくと、ほんのりと煙が立ち始め、透明だったシロップが茶色に色づいてきます

煙が立ち始めたら火を極弱火に落とし、鍋をゆすりつつ様子を見ます

煙の勢いが強まり全体が明るい茶色に変わってきたら、バターを少しずつ投入し始めます



全体の温度が急激に下がるのを避けるため、バターは4、5回に分けて加えていきます

バターを加えたら、完全に溶けるのを待ち、次を加えます

この時もヘラ等は使いません
鍋をゆすってなじませます



バターをすべて加えたら、モラセスを加えます

こちらは少量なので一度に加えて構いません

加熱が進み過ぎないように、バターを加え始めたら手際よく作業します



バターとモラセスを加え終えたら、極弱火のまま軽い沸騰状態を維持し、バターとカラメルが乳化するのを待ちます

ヘラで混ぜたくなる気持ちはじっと我慢です
モラセスやバターの片寄りは鍋をゆすってなじませます



しばらくすると(1~2分くらい?)泡が少し大きくなり、鍋をゆすると全体がペースト状にまとまって動くようになってきます

スパチュラで軽く”一度だけ”全体を混ぜ合わせ、ソースをすくうようにゆっくりと持ち上げてみます
透明なカラメルが写真のように不透明でなめらかなキャラメル状になっていたら生クリームを加えます



生クリームも4、5回に分けて少しずつ加えていきます

この時もヘラ等は使わず、鍋をゆすって全体になじませていきます

火加減は極弱火のままです



生クリームをすべて加え終えたら、極弱火のまま加熱を続けます

全体がふつふつし始めてから1分程度沸騰状態を維持し、泡立つ力で生クリームをソースと一体化させます

仕上がりのソースの硬さはこの後の煮詰め具合で調節します
タイトル写真は沸騰後1分煮詰めただけのもの
このくらいがソースとしては一番使いやすい堅さだと思います



火を切る直前にでバニラエキストラクトと塩を加えます

バニラは加熱で香りが飛びすぎないようにするため、塩は煮詰め具合で塩味が変わるため、それぞれ加熱最後の仕上げで加えています


写真では撮影のため火を切った状態で加えていますが、実際には極弱火で軽く沸騰した状態のまま加えています
また、スパチュラも写っていますがこの時点でもヘラ等を使わず、沸騰の泡で素材を混ぜ合わせるのがベストです



塩も同様
軽く沸騰している状態で加え、鍋をゆすって合わせます

その後すぐに火を切り、塩味がなじんで粗熱が取れるまで置いておきます

味見をして、必要であればお好みで塩を足し、味を調節します

最後に加える塩には、塩味がマイルドな自然塩を使用しましたが、海藻などの不純物混合のものは避けるほうが仕上がりがきれいになります

また、化学塩の場合は一つまみから、様子を見て加えます


バニラも同様に、バニラビーンズの粒粒が無いこちらのエキストラクトを使用しました
エッセンスの場合は数滴を添加します



温かいうちはかなりしゃばしゃばな印象ですが、完全に冷めるとかなり硬くなります

ただし、堅めがお好みでも、一度は基本通りのソース状で作ってみるのがおすすめ



出来上がったソースは粗熱が取れた後、目の細かい茶漉しなどで漉しておくとワンランク上の仕上がりに

鍋のフチで堅くなってしまった部分や塩の溶け残りが取り除けるので、よりなめらかな仕上がりになります



上が成功したもの
下の二つが失敗例

左はカラメル化がうまくできていなくて冷めた時に砂糖が再結晶してしまったもの

右は加熱の際混ぜすぎて油分が分離してしまったもの
油分が分離するとソース自体も硬くなりキャラメル飴のようになります



バタースコッチ・ソースをアップで撮ってみました

舌には感じませんが、良く見ると茶色の粒粒があるのがわかります

おそらくこれはバターの乳成分が焦げたもの
このことについて詳しくは下記を参照してください



モラセスの種類

左からフルドフレーバーマイルドフレーバー、この他ゴールデンシロップもよく使われるそうです

モラセスのフルとマイルドですが、正直味の違いは私にはわかりませんでした
成分上はフルの方が”濃い”ようですが、味的にはそれほど違いは無いように思います



おまけ

出来上がったバタースコッチを使って簡単にフロランタン風ラスクが作れます

軽くローストしたアーモンドスライスに、適量のソースをからめます
どちらも量はお好みで・・・

ちなみにアーモンドのロースト、私はオーブントースターでやっています
「食パン2枚焼き、焼き色薄めモード」で様子を見つつ適当に・・・



薄切りして乾かしておいたフランスパンに適量を置いていきます

その後、オーブン150度で15分程度
ソースがぷくぷく泡立って、パンに適度な焼き色が付いたら出来上がり



このレシピは特にソース作りを失敗してしまった時にオススメな消費方法・・・

出来上がったラスクは市販品よりも甘さ控えめです
もう少し甘みを強くしたい場合はグラニュー糖を追加で混ぜ合わせるとよろしいかと・・・
ただ、すでにカロリー高めな一品ですので・・・・、ほどほどに♪





材料は少なく、作業も単純なのですが、なめらかなソース状に仕上げるにはいくつかのコツがあります。

まずは「カラメル化」。
”冷めてもザラつかない「ソース」”にするには、砂糖分をきちんとカラメル化させて再結晶しない状態にしておくことが重要になります。

今回バタースコッチにチャレンジするにあたり参考にしたレシピのほとんどは、ブラウンシュガーとバターを煮詰める工程から始まっていました。
ところが、、ブラウンシュガー自体がすでにカラメル色をしているので加熱具合の見極めが非常に難しいんですね。
更にバターとともに煮詰めてカラメル化させるとなると、上手に作れるようになるまでにはかなりの慣れが必要そうです。

参考にしていたレシピはアメリカのサイトのものでしたが、調べてみると、米国で流通しているブラウンシュガーはグラニュー糖にモラセスを添加したものなのだそう。
 (参考にさせていただいたのはこちらのページ →New York 食&栄養教育 2009 どの砂糖を使う?

ということは、まずはグラニュー糖でカラメルを作った後、モラセスを加えて風味をプラスするのでいいんじゃない?と思ったわけです。
この方法ならシロップが茶色に変色する「カラメル化」が確実に確認できるため、砂糖分が再結晶してソースがざらついてしまう失敗が無くなります。
更にカラメルの焦げ具合の調節も思いのままなのでバターの風味が強く出る浅めのカラメル仕立てから香ばしさ全開の濃いカラメル風味バージョンまでソースのオリジナル化も自由自在になります。
(ただ、濃いカラメルは酸味も出てくるため個人的には浅めの仕上がりがオススメです)

砂糖分の再結晶を防ぐには、砂糖分を減らして糖度を下げたり転化糖など再結晶を阻害する添加物を加えるなどの解決策があるようですが、砂糖分をきちんとカラメル化させることができれば添加物などを加えなくても十分になめらかなソースに仕上げることが可能になります。


また、出来るだけ生地に衝撃を与えずに仕上げること(混ぜないようにすること)・作業中の温度変化を最小限にとどめること、も重要です。
これらは、冷めると硬くなる・油分が分離してしまう・食感が悪い(ざらつきがある、なめらかさが足りない)、等の問題を無くすためのポイントになります。

実は、バタースコッチと同じ材料を140度前後まで煮詰めるとトフィー(タフィーとも呼ばれる)というサクサクの飴菓子が出来上がるのですが、このトフィーを上手に作るコツとして紹介されていたのが、「混ぜすぎない」ことでした。
 (参考にさせていただいたのはこちらのページ →「カリフォルニアばあさんの料理帳」ANYRECIPE アーモンドトフィー

生キャラメル作りでも同様のポイントを指摘されている方がいらっしゃいますね。

ヘラ使いは最小限に。
沸騰の泡だけでも十分に混ざります。

ただ、そのためには適切な鍋選びも重要になります。
私は銅ボーズ鍋を使いましたが、厚手で熱のあたりのやわらかいもの、また火加減のコントロールがしやすいものが「このソース作りに適切な鍋」になります。
一般の家庭によくある調理器具の中ではフッ素樹脂加工のフライパンなどがこの作業にはオススメだと思います。
(ただ、カラメルの色づき具合がわかりにくいので、煙の出方で変化を確認することになります)


「温度変化を最小限にしてなめらかに乳化させる方法」についてはキャラメル・ソース作りを参考にしました。
色々参考にし過ぎて、こちらの確実な情報の出典は忘れてしまったのですが、バターを室温に戻したり、小さく切って少しずつ加えたり、生クリームをレンジにかけて人肌にしておく、などの作業はこの点を踏まえたもの。
私自身、そうする理由はよくわかっていないのですが、確かにこれらの点に注意して作ると非常に良い状態のソースに仕上がります。
混ぜすぎないこととともに、注意するのとしないのとでは仕上がりに格段の差がつきますので、重要なポイントとして挙げておきました。


ところでこの「キャラメル・ソース」はバタースコッチともほぼ同じ材料を使って作ることができます。

一番の違いは使われる砂糖の違い、ブラウンシュガーで作るか、グラニュー糖で作るか。
ですので、今回の材料の場合、モラセスを加えなければ「キャラメル」ということになるでしょうか。

あと、個人的には、砂糖の焦がし具合がだいぶ違う気がします。
キャラメルの茶色は砂糖分がカラメル化したものですが、バタースコッチの茶色はブラウンシュガーが持つ茶色とバターや生クリームが焦げた色が合わさったもの。
見た目はバタースコッチの方が濃い茶色をしていますが、焦げた砂糖の風味(カラメルの苦み)はキャラメルの方が強く感じます。

そしてもうひとつ、作り方の違い。
バターを先に加えるか、生クリームを先に加えるか、と言う点。

カラメルに先にバターを加えるとバター中の乳成分は焦げてしまいます。
茶色く変色し始めたシロップは140度超、ここに油脂が主成分のバターを加えていくわけですから。
上にバタースコッチ・ソースの拡大写真を載せましたが、そこに写っている茶色い粒粒がそれです。(だと思います・・・。)

それに対し、キャラメルは普通、生クリームを先に加えて作ります。(レシピによってはバターを加えないものもあります)
一般的な生クリームは脂肪分よりも水分の方が多いので乳成分の焦げもバターほどは進まないと思います。

この乳成分の焦げた風味もバタースコッチの特徴であり、大きな魅力だと、強く感じています。
(が、バターを先に加えて香ばしい風味をプラスしたキャラメル・ソースのレシピも存在します、、、こうなると両者の区別は難しくなりますが、、、)




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自家製オレンジ・ペースト   出来上がり量/約130g
材 料
 オレンジの皮 2個分   約25g ;目の細かいおろし金で、皮の表面をすりおろす
 オレンジ果汁 2/3個分   約45g ;実際にはオレンジの皮がひたる量を使います
 グラニュー糖 約70g   実際にはオレンジの皮と果汁を合わせた分量を加えます
     
   
     
     


おうちパティシエの皆様、オレンジの風味づけには、何をお使いですか?

レシピに従って作る場合には、「オレンジの皮のすりおろし1個分」を加える、というのが定番でしょうか。
ただ、急に思い立ってお菓子作りに挑む時、「オレンジがないから、他のレシピで」ってこと、ないですか?
ほかには、輸入物のオレンジしか手に入らず、防カビ剤等々が気になって皮のすりおろしを加えるのを躊躇してしまう、とか。

私は上記の理由から、つい最近までオレンジピールのみじん切りを、代用として使っていました。
オレンジピールは、その存在感を生かした荒みじんで副材料として利用する方が、価値があるような気もするのですが、私はあの、中途半端に固くてねっとりとしたピールの食感が苦手なので、生地中でその存在がわからないほどのみじん切りで加える方法をとっていたのです。

ところが、オレンジピール(オレンジの皮の砂糖煮)というものは、それ自体が「食べておいしい、完成されたお菓子」とでもいいますか、他を圧倒するほどの風味は持っていない素材なんですね、意外にも(特に、安物は・・・)。
オレンジピールを作る際には、皮の苦みをとるために、念入りに煮こぼしたり水にさらしたりしますが、その際にオレンジの香りも風味も飛んでしまうんじゃないかと思います。
手作り品ならいざ知らず、ふつうに市販されているオレンジピールには、生のオレンジで感じるようなハッとするような独特の香りは、もう、ほとんど残っていません。
ですので、みじん切りにして姿を隠すと、何を加えたのかわからないくらいぼやけた存在になってしまって、せっかく加えてもまったく意味を成さない、という結果になるのです。

そこでいろいろ調べたところ、世の中には「コンパウンドオレンジ」や「オレンジクリーミーペースト」なるものが存在することを発見しました!
いずれも焼き菓子等にオレンジの風味づけをすることを目的としたペースト状の商品です。

ただ・・・・・お高いっ!!

と、いうことでこれらの原材料を参考にして作ってみたのが今回のレシピです。
なにしろ上記商品を使ったことがないので、使用感の比較はできないのですが、「生地またはクリーム等へのオレンジの風味づけ」という目的については、かなりいい仕事をしてくれるペーストが出来上がりました。

作業工程では「Fatimato-Cuisine」さんの「jus d'orange concentre(濃縮オレンジジュース)」を参考にしています。

注意点として、このオレンジペーストは製菓への風味付けに、少量使用することを目的とした副材料としてのレシピです。
使用する際には主素材(小麦粉やクリームなど)の重量の約10%を加えます。
ビジュアル的にはわりと美味しそうなフルーツソースっぽい見た目をしていますが、そのままで食べても決しておいしいものではありません
オレンジの品種によってはしゃべれなくなるくらい舌がしびれることもあるほどに、手加減ナシのパンチの利いたペーストです。(←経験者談)
味見をする際にはその点について覚悟を決めて、お願いします。

こちらのレシピはクックパッドにも投稿しています。
レシピの保存・印刷にはこちらのページが便利です。
Cpicon 自家製オレンジペースト


オレンジペーストは、作りなれたレシピを気分転換させるのに非常に便利な素材です。
オレンジの皮を加えるレシピにおいても、毎回新しいオレンジを用意せずに済む点では経済的!
ぜひ、お試しを!!!



 作り方 
 
今回の材料

今回はOisixさんで取り扱いの減農薬バレンシアオレンジを使用

見た目に多少傷がありましたが、ペーストとして使用するには全く問題ナシ!



熱湯をオレンジに回しかけます

輸入オレンジに使われる防カビ剤は、煮沸でずいぶんと減らせるらしい
→参考;福岡市 食品衛生検査所レポート

と、いうことで、今回は減農薬オレンジではありましたが安心のためにお湯洗いしました



本当は鍋でぐらぐらと煮る方が、農薬軽減には効果があるのでしょうが、やりすぎるとオレンジの香りが抜けてしまうので熱湯風呂につける程度で・・・

菜箸で転がして、全体を湯洗い
適当なところで(約1分?)切り上げます



湯から引き上げたら、すぐさま水洗い

特にヘタのあたりを丁寧に



キッチンペーパーなどで丁寧に水けをふき取ります

これで下準備が完了




皮をすりおろしていきます

一番外側の色の濃い部分のみを削っていきます

この作業におススメなのは何と言ってもマイクロプレインのゼスター
軽いすり心地で、表面のみを的確に削り取れます



削り終わった状態

部分的にはもう少し削れたかな?と思わなくもないですが・・・
とにかく、一番香りの強い部分のみを使うようにします



すりおろした皮が、ひたるくらいの果汁を加えます

果汁が多いと仕上がりが水っぽくなりますので入れすぎないようにします



清潔な容器に移し替えると同時に、皮+果汁の重量を量ります

今回は約70gでした



皮と果汁を合わせた重量と同量のグラニュー糖を加えます

今回は皮+果汁が70gでしたので、グラニュー糖は70gで

果汁に蓋をするような感じで、容器全体にグラニュー糖を振りかけます



蓋をして一晩放置します

オレンジの皮に含まれるエキスを砂糖で引き出すイメージです

「一晩」というのは目安です
翌日の都合のよい時に次の作業に進みます



一晩置くと全体が馴染んで、ジャムっぽい色に変わります



一晩おいたペーストの素を小さめの鍋に移し、火を入れます

有る程度しっかりと火を通すことで①殺菌を行う、②砂糖分を完全に溶かして糖度を上げ腐りにくくする、③皮を柔らかくして素材となじみやすい状態にする、等のメリットを得ます

ただし、煮立てすぎるとオレンジの香りが飛んでしまうので加減が必要です



一度ぐらぐらと煮たてたら、ごくごく弱火に落として10分程度煮込みます

こういった少量の煮込みに便利なのが銅製のプチパン

サイズがいろいろありますが、写真は12cmサイズのもの
お揃いでフタもそろえておくと何かと便利



火を止めたら粗熱がとれるまでフタをして置いておきます

フタをしないと揮発性のオレンジの香りはどんどん抜けてしまいます

また水分が蒸発しすぎるとペーストの粘度が高まることで固いジャム状になり、副素材として使用する際に生地と混ざりにくくなってしまいます



粗熱が取れたら出来上がり

完全に冷めきる前に清潔な保存容器に移します
長期保存する場合は容器を煮沸消毒するなどして殺菌しておきます

なべのフタについた水分は、ペーストの状態を見て、固いようなら鍋にかえし、ゆるいようなら鍋に落ちないように除く、ようにしています

保存期間は冷蔵庫で約1カ月・・・ということにしておきます



いくらかでもなめらかなペースト状がお望みの場合は、加熱後ミルミキサーにかけるという方法もあります

一応私は毎回ミルにかけいているのですが、オレンジの皮は結構固いので、期待するほどの滑らかなペーストにはなりません



ビジュアル的にはとても美味しそうな仕上がりですが、このスプーンを口に入れるとしゃべれなくなる程のシビレに襲われますので要注意

味見はほんの少量がおすすめ

このままですと結構舌にざらつきを感じる仕上がりなんですが、生地やクリームに入れるとほとんど(まったく?)気になりません



ペーストを使用する際は、生地やクリーム作りのメイン素材の10%程度を加えます

香りの強さや苦みの残り具合は、使用したオレンジやペーストの出来具合に左右されますのでお好みで加減が必要かと思いますが、例えばこちらのレシピのダックワーズの場合、アーモンドパウダーの約10%の11gを加えていい感じの出来でした
作る際にはメレンゲ作りの最後の30秒で投入しましたが、プレーンに比べると泡が消えやすくなるので注意です

この生地に合わせるバタークリームにも100gにつき10gのペーストを加え、オレンジの風味を強調しました



王様パイのフィリング;アーモンドクリームのアレンジに使ってもなかなか良かったです
この場合もアーモンドクリーム総量の約10%を出来上がったクリームに練りこみます

このほか、オレンジ風味のスポンジケーキなどもお勧めです
私の持っているレシピでは、粉90gに対しペースト15gを入れることでちょうどよく香りがつきました
レシピは共立てで、全卵の泡だてラスト30秒の時点、バターを入れる前の段階で加えました
これもダックワーズと同じく泡が消えやすくなるのでその後の作業には要注意です



そもそもこのレシピを考えたのは、昨年作ったシュトレンにもう少しオレンジの香りを効かせたいな、と思ったことが発端でした

参考にしたレシピに従い、みじん切りのオレンジピールを加えたのですが、全くオレンジの香りがしなかったので・・・

今年はこのオレンジ・ペーストでリベンジです!!
あー、今から楽しみっ!





出来上がったペーストの保存期間は冷蔵庫で約1カ月、と一応書いてみましたが、実際にはもっと、それ以上、結構、持ちます。
「じゃあ、どのくらい?」と聞かれると困るほど、持ちます。
糖度がかなり高いので、ジャムと同じくらい、と考えていただければよろしいかと。
ただまあ、風味付けのためのペーストですので、ぱっと見腐っていないからといっても、以前と同じくらい良い仕事をしてくれるかどうかは別問題です。
この辺りは使用する側の五感で判断していただければ、と思います。

長期保存をする方法、ということでは”冷凍”という手段もありますが、冷凍庫内臭のにおい移りはこのペーストにとっては命取りです。
冷凍保存に際しては、においや霜がつかないように念入りに密封した方がよいでしょう。

個人的には、「少量作ってこまめに更新」がおススメです。

今回は作りやすい量、ということで、2個分のオレンジを使って作りましたが、毎回2個使って作る必要はありません。
私は、初回につくったペーストが少なくなってきたら、オレンジ1個分でペーストの下ごしらえを行い、加熱する時点で前回の残りと合わせて火にかけ、ペーストを更新しています。

また、今回はオーソドックスにバレンシアオレンジを素材として選んでみましたが、かんきつ類ならば種類を問わずペーストを作ることができます。
その際の選び方や向き不向きですが、オレンジ・ペーストは味ではなく風味を楽しむものですから、とにかく香りの強い品種を選べばいいものができるように思います。
実の味は微妙でも、とても香りのよい国産のかんきつ類は結構ありますので、店頭で手にとって香り重視で選べばOK。(はたから見るとちょっとアヤシイですが・・・)
国産であれば、少なくとも防かび剤は使用されていませんのでいくらか安心して使用できますしね。
かく言う私も、今回レポートしたオレンジの後、店頭で皮の香りに惹かれた国産のかんきつ類2種のペーストを追加したハイブリッド・オレンジ・ペースト(?)を愛用しています。
(一つは甘夏で・・・もう一つは忘れました・・・九州産のナントカです)
個人的にはバレンシアオレンジ一種類よりも、数種類のかんきつ類をミックスしたペーストの方が、それぞれの風味を補完し合って、より「オレンジを感じさせる香り」を放つような気がします。


さて、かんきつ類の皮を製菓に使用する際に一番気になるのは「農薬について」ですよね。
無農薬の商品が安価で手軽に入手出来れば問題はないですが、皮の消費が前提でないオレンジなどのかんきつ類においては特に、完全無農薬の品を手に入れるのは至難の業です。
そこで少し商品を選ぶ際の目安を考えておきたいと思います。

例えばオレンジの場合、使用される薬剤の立ち位置は二種類。
生育の際に使われるものと、収穫後に使われるもの、です。

私が耳にした話では、かんきつ類をある程度価値のある商品に育てるためには農薬の使用はどうしても必要なのだそうです。
ですので、育成初期に必要最低限の農薬を使って育てられる「減農薬商品」が、身近に販売されているものの中では「まあ安心」と言えるでしょう。

問題なのは収穫後に使用される「ポスト・ハーベスト農薬」です。
ポスト・ハーベストとは、文字通り「収穫(ハーベスト)」「後(ポスト)」という意味で、主に米国からの輸入品に使用されています。
オレンジの場合「防かび剤」などがこれに当たり、輸送中に商品が傷まないように、との配慮から大多数の輸入かんきつ類に、当たり前のように使用されているようです。
が、この「防かび剤」、日本国内で収穫され流通するかんきつ類には使用が禁止されているんですね。
じゃあ、国内で禁止されている農薬が、どうして輸入品には使われているの?という素朴な疑問が・・・わきますよねぇ。
この辺は大人の事情でイロイロと有るようです。
(関心のある方は、「オレンジ 防かび剤」で検索してみてください)
店頭でオレンジやレモンを購入するとき、「防かび剤使用」の注意書きが目につきますが、あれは生育中に使用される農薬としてでなく、収穫後に使用された「食品添加物」として表示義務が発生しているからなんだそうです。

逆に言うと、防かび剤の使用が禁止されている国産品は、もうそれだけで輸入品よりはマシである、といえるでしょう。
もちろん生育過程で使用される薬剤も無視はできませんので、減農薬商品が手に入ればその方が更に安心です。
と、いうことで、お湯洗いである程度残留農薬を軽減できるとはいえ、このペーストを作る際には国産のかんきつ類を使用されることをお勧めいたします。





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バター・クリーム (パータ・ボンブベース)  出来上がり量/約200g
材 料
 卵黄 2個分  約40g/MまたはLサイズの卵を使っています/なるべく新鮮なものを!
 グラニュー糖 50g   
 水 30g  お好みで1/3を洋酒に変えてもOK
 バター 130g  基本的には食塩不使用のものを使っています
   


「バタークリーム」と聞いて、「おいしそう!」と思う方は、あまり多くは無いかもしれませんね。
特に、年齢的に私とご同輩の方々(笑)。

ひと昔前は「ケーキと言えば、バタークリーム」でした。
私の子供時代(1970年代)が微妙にこの時代とかぶっています。
思い出に残るのは、良くも悪くも雑味の無い味と舌に絡みつくように残る脂っこさ・・・。
よく語られることですが、この時代のバタークリームには「本物のバター」ではなく、「ショートニング」が使われていたんですね。
ショートニングは無味無臭が売りの合成油脂ですから、雑味が無いと感じたのは当然のこと。
でも、「本当の」バタークリームは脂っこさなどみじんも感じない、とってもおいしいクリームなんですよ!!!!!
それ自体が豊かな風味を持つ「本物のバター」を使うバタークリームと、ショートニング製のそれとはまったくの別物です。

丁寧に、正直に作ったバタークリームは、個性的でガッツのある味わい。
添えものではない、それ自体が「生地」として成り立つほどの存在感があります。
私は今、ダックワーズ作りにハマっているのですが、間に挟むのはバタークリーム以外に有り得無いと思います。
その他のクリームではやはり役不足、物足りないです。

また、お菓子作りの段取りを考える時にも、バタークリームはとても便利なアイテムです。
その他のクリームに比べ日持ちがききますし、冷凍保存もOK。
前日などに前もって準備することができますし、生クリームやカスタードクリームのように「すぐに消費しなきゃ!」という強迫観念も抱かなくて済みます。

おうちパティシエの強い味方!
丁寧に作る本物のバタークリームを、ぜひどうぞ♪


こちらのレシピはクックパッドにも投稿しています。
レシピの印刷にはこちらのサイトが便利です。

Cpicon 少量で作る!卵黄ベースのバタークリーム


 作り方 
 
パータ・ボンブ パータ・ボンブ
今回の材料
バターは事前に冷蔵庫から出して室温に置き、柔らかくしておきます

レシピにある「水」の部分は1/3程度を洋酒に置き換えることができます
今回のレシピでは水の総量が30mlですので、洋酒10mlと水20mlに置き換えます
洋酒はコアントローやキルシュ、グランマルニエなど、透明で香りが強いものがしばしば使われるようですが、個人的にはダーク・ラムやブランデーでもおいしいと思います



ボウルに卵黄・砂糖・水の全量を入れます

ボウルは金属製を使うほうが加熱作業が速く済みますが、ボウルに触れる部分の卵黄が煮えてしまう、という欠点もあります
耐熱ガラス製ボウルを使えば煮えてしまう恐れは軽減しますし、卵黄への金属臭の臭い移りも防げますが、半煮えになるまでかなり時間がかかります
蒸発する水分も多くなるので、初めに加える水分量をいくらか増やしておく必要があるでしょう



ボウルの中身を混ぜ合わせ、均一な黄卵液を作ります

この黄卵液を83度まで熱し、半煮えの状態にした後、一気に泡立てたものをパータ・ボンブと呼びます



パータ・ボンブ パータ・ボンブ パータ・ボンブ
ボウルよりも少し小さめの鍋を用意し、そこに沸騰したお湯を入れます
お湯の量は、ボウルが少し浮くくらい
耐熱ガラスの場合は、卵液と水面が同じくらいの高さになるくらい、です

鍋で直接湯を沸かさないのは、鍋自体が熱くなりすぎ、この後に入れる金属ボウルが必要以上に熱くなるのを避けるためです



ボウルには温度計をセットしておきます

鍋にボウルを浮かせ、湯煎を始めます
まだ、火はつけていません

スパチュラでフチについた卵黄液をぬぐいつつ、全体の温度が均一に上がっていくようにかき混ぜます

とりあえずこの状態で50度くらいまで、様子を見つつ混ぜ合わせます



50度から60度くらいになったら、温度の上がり方がゆるやかになってきます
温度が上がらなくなってきたら鍋を弱火にかけさらに加熱をしていきます

写真右手奥、温度計の裏側あたりのボウルのフチに黄卵液がついたままになっていますが、こういうのを放置しておくとこの部分だけ火が入り過ぎてこびり付き、ダマになってしまいますので要注意!



パータ・ボンブ パータ・ボンブ パータ・ボンブ
棒温度計を使用する場合、80度を指したあたりで加熱を止めます
本来は「83度まで加熱する」ものなのですが、棒温度計は反応が鈍いので83度を指すまで加熱してると半煮えを通り越してしまいます

上の写真がだいたい半煮えの状態
卵黄液がトロッとしているのがわかります
温度計が無い場合はこの状態を目指しますが、出来れば用意したほうが失敗がありません



火からおろした卵黄液を、なるべく目の細かいストレーナー等で裏ごしします

裏ごしなしで次の作業に進むこともできますが、裏ごしておけば少々のダマは取り除けますので安心です



裏ごし完了
この後、高速で一気に泡立て、パータ・ボンブを作ります

この、「半煮え」の作業にかかった時間は約20分
それぞれの環境により変わってくるとは思いますが、思いのほか時間のかかる作業です
ただし、焦りは禁物!
ゆっくりと、時間をかけて温度を上げていくのが大事なポイントです



パータ・ボンブ パータ・ボンブ
卵黄2個分という、少量の泡立てになりますので、ハンドミキサーは片羽にし、ボウルを傾けて最高速で泡立てていきます

また、ボウルも量に見合ったものを使うほうが効率よくできます
写真のボウルは直径14cmの手付きボール

これらの方法は弓田亨先生の著書一人で学べるとびきりのおいしさのババロアズから学びました



卵黄液が白っぽくもったりと泡だったら、パータ・ボンブの出来上がり

シロップで作るパータ・ボンブの場合、「生地がリボン状に垂れる」というのが仕上がりの目安になりますが、湯煎の場合は生地に粘りがあるのでいわゆる「リボン状」にはなりません

私はハンドミキサーの羽を持ち上げて、垂れた生地の跡が時間をかけて消えていくようになるくらいを出来上がりの目安としています



室温に戻しておいたバターは、硬いところが無いようによく練って、均一に柔らかくしておきます

これからパータ・ボンブとあわせていきますので、同じくらいの硬さであることが理想ですが、柔らかすぎて油がにじむのはNGですので、夏場などは加減に注意しましょう



バターの1/4程度をパータ・ボンブに入れます

この時、パータ・ボンブは室温程度(20度前後;ボウルをさわって少し冷たさを感じる程度→バターを加えた際に液状にならない温度)になっていることが重要です

上記の作業手順を踏めばおそらくそのくらいの温度に下がっているはずですが、一応ボウルに触れて確認しておきます
熱いようなら水を張ったボウルに浮かせて温度を下げておきます



パータ・ボンブとバターを片羽のハンドミキサーで併せていきます
最低速でゆっくりと、羽根の回転とは反対に回転させつつ混ぜ合わせていきます

写真では羽を左側につけて反時計回りで混ぜています
こうすることで泡立てすぎずにバターとパータ・ボンブを併せることができます
この方法は弓田亨先生の著書弓田亨のフランス菓子を参考にしています

ちなみにハンドミキサーのウィスクは卵黄の泡立てから継続使用しています



その後、数回に分けてバターを加え、すべてを混ぜ合わせていきます
一度まわりのクリームをヘラではらい、もう一度全体を軽く混ぜ合わせたらプレーンバタークリームの完成です
プレーンのまま使う場合にはお好みでバニラエッセンスを加えます

バターを混ぜ合わせる際にはあまりしつこく泡立てず、なるべく手早く混ぜ合わせるのがポイントです
泡立ち過ぎるとホイップバターになってしまいます
(それはそれでアリですが・・・)



 バタークリームのアレンジⅠ ; プラリネ・バタークリームの作り方 
 
バタークリームをプラリネ風味にする場合、バタークリーム100gにつき25g(バタークリームの1/4量)のプラリネ・ペーストを用意します
(もちろんお好みにより加減可)

プラリネにはアーモンドのものヘーゼルナッツのものがあり、プラリネ・マッセとも呼ばれます
市販のものは高価で量も多いですが、案外簡単に自作できます
写真は自家製のアーモンド・プラリネ・ペースト → レシピはこちら



プレーン・バタークリームを少量とり、プラリネペーストと混ぜ合わせます

スパチュラで均一に混ぜ合わせます

プラリネペーストは練りゴマと似ています
均一な柔らかいペーストにように見えても、意外に下の方はカタイです

少量のバターと合わせて、練っておくことで均一なペースト状になり、その後の混ぜ合わせが手早くできるようになります



バタークリームのボウルに、プラリネと混ぜ合わせたクリームを戻します


バタークリームを作った時と同様、最低速で羽根の回転とは反対向きに動かしつつ全体を混ぜ合わせていきます

ここでもハンドミキサーの片羽は先ほどからの継続使用です



ボウルのフチについたクリームをヘラではらい、再度ハンドミキサーで全体を軽く混ぜ合わせたら、プラリネバタークリームの完成



 バタークリームのアレンジⅡ ; チョコレート・バタークリーム作り方 
 
バタークリームをチョコレート風味にする場合、バタークリーム100gにつき50g(バタークリームの1/2量)のチョコレートを用意します
(もちろんお好みにより加減可)

ぬるめのお湯で湯煎にかけるか、電子レンジにかけてチョコレートを溶かします
(電子レンジ使用の場合はレンジ使用可能な容器で、600w10秒を溶けるまで、途中こまめに全体をかき混ぜながら行います)



チョコレートの一部をとりわけ、先に作ったバタークリームの一部と併せます

この時チョコレートの温度は30度くらい(手で触れた時に冷たさを感じるくらい)にしておきます
チョコレートの温度が高いとバタークリームのバターが分離してしまいますので注意が必要です

チョコレートを溶かすには35度近くまで温める必要がありますが、一度溶けると27度以下になるまで固まりません
溶かしたチョコレートのボウルを水につけるなどして、「冷たいけど固まっていない」状態にしておきます



チョコレートとバタークリームを均一に混ぜ合わせ、これをバタークリームのボウルに返します

今回は先に作ったプラリネ・バタークリームにチョコレートを加え、プラリネ風味のチョコレート・バタークリームにしました

私が参考にしたレシピでは、プレーンのバタークリーム同様、すでにプラリネが入っている場合も、チョコレートの量は(プレーンな状態の)バタークリームの1/2量を加えるように指示されていましたが、もちろんお好みで加減が可能です



バタークリームのボウル(今回はプラリネ・バタークリーム)にチョコレートと混ぜたクリームを戻します

今回は途中で必要分をとりわけつつ、立て続けに3種類のバタークリームを作ったのでボウルの状態が非常に汚いです・・・



これまで同様、最低速で軽く混ぜ合わせます

この作業を3~4回繰り返し、すべてのチョコレートとバタークリームを混ぜ合わせます



一度ボウルの周りをヘラではらい、全体を混ぜ合わせたらチョコレート・バタークリームの完成

チョコレートが入っている分、冷めるとプレーンより硬くなりますが、室温に戻せばプレーン同様に柔らかくなります



 バタークリームのその他のアレンジ 
 
準備中
イチゴのバタークリーム

プレーンバタークリーム100gに
フリーズドライフレーズ5gを加える
(乾燥いちごパウダー)


パウダーの量は参考資料を元に5gとしましたが、出来上がったクリームは味も香りも若干薄い印象でした
いちごらしいピンク色はそこそこきれいに出ましたが、フリーズドライパウダーの粒粒が目立つ仕上がりに・・・

今回使用したのはこちらの商品
使用材料での違いもあるかもしれませんが、次回作るときには7gに増やしてみる予定



ラズベリーバタークリーム

プレーンバタークリーム100gに
フランボワーズピューレ40gを加える
(ラズベリーピューレ)


加えるピューレの量は参考資料を元に40gとしました
ラズベリーのピューレは結構社バシャバした水っぽいジュース状
ヘラではクリームに入っていかなかったためハンドミキサーの低速で混ぜ合わせました
色は薄めでイチゴと比べると暗く感じますが、単体で見るとそれほど悪い色では無かったです
また、見た目の薄さとは裏腹に、ちゃんとラズベリーを感じられるおいしいクリームに仕上がりました



コーヒーバタークリーム

プレーンバタークリーム100gに
インスタントコーヒー5~10g
(インスタントコーヒーは同量の湯で溶きバタークリームに加える)


近々作る予定なので、覚書として・・・




今回は卵黄で作るバタークリームをご紹介しましたが、パティスリーの現場における「バタークリーム」はその用途によって数種類が使い分けられています。
私が知っているのは、卵白で作るもの、卵黄で作るもの、卵黄と牛乳を入れるもの、全卵で作るもの、の4種類。
材料が異なるのでもちろん味わいも違うのですが、それぞれに製菓上の特性もあり使い分けられているようです。
  
詳しい説明はこちらのページが参考になります(ただし、全卵使用のバタークリームの説明はありません) → CUOCA 基本のバタークリームレシピ

卵黄で作るバタークリームはクレーム・オ・ブール・ア・ラ・パータ・ボンブ(Crème au beurre à la pâte à bombe)と言いますが、この「パータ・ボンブ」を今回は湯煎で作りました。
「パータ・ボンブ(la pâte à bombe)」はこの他に、煮立たせたシロップを加えて作る方法もあります。
私の個人的な意見としては、大量に作る場合にはシロップで作る方が失敗が少なく手早くできるため便利ですが、少量を作る際には湯煎で作る方が逆に失敗なく無駄なくできると思っています。
更に、温度計を使えば卵黄に確実に火を通せるので家庭での製菓にとっては衛生的に安心・安全でオススメの方法です。

この時使用する温度計は100度の棒温度計がベストです。
料理用のデジタル温度計は検温部分の故障につながりますので、今回のような加熱中のボウル等にさしっぱなしでの作業には絶対にお勧めできません。

湯煎でパータ・ボンブを作る際、卵黄には糖分の他に水も加えます。
実は、この水分が結構大事で、卵黄1個につき最低でも15gの水分を入れないと卵黄液の温度が具合よく83度になりません。(←失敗経験済みデス)
洋酒はともかく、水などを加えると卵黄液が薄まりそうで、その後の泡立てがうまくできなさそうに感じるかもしれません。(私はそう感じたので水分を減らしてみました)
しかし、本来卵黄は65度で凝固が始まり70度で完全に固まってしまう性質がありますので、卵黄だけの状態だと湯煎といえども80度を前にしてスクランブルエッグになってしまいます。
糖分を加えることでも凝固温度は上がるのですが、さらに水分を加えることで凝固させること無く高温での「半煮え」状態に持っていくことができるわけです。
実際作業されるとわかると思いますが、半煮え状態になるまでにかなりの水分が蒸発しますので、出来上がった卵黄液はそれほど薄いものではありません。


レシピ内のバターの量ですが、実はかなりの量を減らすことができます。
「卵黄(約20g)1個につきバター65g」というのが私のレシピで、これは色々な製菓レシピ本を参考にして自分なりに割り出した値ですが、フランスでは卵黄1個につきバター30g前後というのが割とよくある割合です。(正確には卵黄8個にバター250g)
私のレシピの半分以下ですね・・・。
ただ、一度フランス式のレシピで作ってみましたが、仕上がりがかなりやわらかいのでちょっと用途が限られる印象でした。
使用されているレシピを見ると、ビュッシュ・ド・ノエルやオペラの間のクリームのように薄く塗り広げたり、逆にたっぷりと盛り付け(日本人にとっての)生クリーム感覚でいただいたり、といったもの。
出来上がったバタークリームを使って口金でデコレーションをしたり、仕上がったお菓子にいくらかの保形力を求めるなら、卵黄1個につき、やはり最低でも50gくらいのバターは必要かと思います。
が、バターもどんどん値上がりしていますし、カロリー面においても「減らせるものなら減らしたい」と言う方には省バターレシピもオススメですね。
ちなみに、ルノートル氏のレシピは「卵黄1個/水10g/グラニュー糖25g/バター31.25g」;グラニュー糖と水を120度まで煮詰めたシロップでパータボンブを作る方法。
アレンジする場合には、バターの量を減らした分、糖分を減らすことを考慮してください。


バタークリームの保存期間ですが、経験から申し上げますと、結構持ちます。
余裕で一週間以上もちます。
特にこのレシピは卵黄をしっかりと半煮えにしてありますので、保存による風味の劣化はあっても、少々の日数では腐ったりカビたりしません。
一般的なバタークリームの消費の目安は、レシピ本によっては「その日のうちに使い切る」と書いてあったりするんですが、別の本には「冷蔵庫で8日保存可」となっていたりしますので、結局は個々人の判断でしょうか。(「常温で1週間もつ」という説もあるほど・・・さすがに私はしませんが)
このクリームは冷凍保存ができますので、日にちをまたぐ保存が心配な方は冷凍庫で保存されるとよいと思います。





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ガナッシュ・クリーム   出来上がり量/約200g
材 料
 ブラックチョコレート 50g  お好みで、ブラックチョコレートのみ、
 ミルクチョコレート 50g  またはミルクチョコレートのみ等アレンジ自在です
 生クリーム① 50g   
 生クリーム② 50g   
   


ガナッシュはトリュフのセンターなどに使われるクリーミーなチョコレート。
沸騰させた生クリームに刻みチョコレートを溶かして作るのが一般的です。
 ガナッシュの一般的な作り方はこちらが参考になります
  - 辻調理師専門学校 基本技法・製菓・基本クリーム・ガナッシュ

用途によりレシピは若干異なり、生クリームの量はチョコレートの半量から85%程度、バターや洋酒が加えられることもあります。
生クリームの量が少なめのものは生チョコに仕立てられることも。

今回は生チョコ大福の餡に使うため「冷蔵庫から出したての時点で、大福餅と同じくらいの硬さ」を目指した、生クリーム多めのレシピをご紹介。
生クリームの量が多めでやわらかい、というのもありますが、半量を泡立てて加えることでやわらかいだけでなく、よりふんわりとしたクリームになっています。
チョコレートクリームとしてケーキのデコレーションなどにも使える、軽い食感のガナッシュです。

 作り方 
 
今回はスーパーで簡単に手に入る明治のミルクチョコレートブラックチョコレートを使用
それぞれ一枚58gなので最後の一列分くらいを除いた量が50gになります

もちろん、こだわりの製菓用チョコレートを使って作れば仕上がりもグレードアップしますが、日常使いでは市販の板チョコで十分な気がします



板チョコを細かく削ります

写真の状態ではまだまだ粗いですね

細かく削るのは、なるべく最小限の手数で溶けるようにするため
削り方が粗いと、溶かす為にかき混ぜる回数が増えるのでクリームに空気が入ったり硬くなったりします


電子レンジ加熱可能なボウルに刻んだチョコレートと生クリーム①を入れます

今回のボウルはマトファーの耐熱キッチンボウル(190mm)を使用



600wの電子レンジに30秒かけて全体を温め、チョコレートを溶かします

もちろん湯煎でもOK
蒸気をボウルの底にあてるような気持でゆっくりと熱を加えます
その際には水蒸気がチョコレートのボウルに入らないように注意!



レンジ加熱後はしばらくレンジ内で放置
全体に熱が回り、自然にチョコレートが溶けてくるぐらいが理想

その後スパチュラ等で生クリームと併せていきますが、かき混ぜすぎないようにするのがポイントです


なるべく空気が入らないように、最小限の手数でチョコレートと生クリームを併せていきます
ゆっくりとスパチュラを動かしムラなく混ぜ合わせます

混ざりきったらそのまま室温に置いておきます

生クリーム②は8分立てにしてチョコレートと合わせます

こちらは温度の下がりやすい金属のボウルで作業
ボウルの下には氷水が張ってあります

少量の生クリームの泡立てはハンドミキサーを出すほどではないですが・・・
オススメなのがカプチーノミルク用のクリーマー
泡立てはじめにコレを使うと粘りのある硬いホイップになります



クリーマーで1分程度泡立てると写真のように全体にうねりが出てきます
このあたりでホイッパーに持ち替え続きを泡立てます

この時点ではまだまだ液体の生クリームですが、初めにキメの細かい泡立てをすると仕上がりに大きな差が出る気がします

クリーマーでの泡立ては商品の定格時間内で無理のない程度で行ってください



私は写真の程度まで、角の先のほうがテロンと垂れるくらいまで泡立てています

前述のクリーマーですがミルク用なので生クリームにはパワー不足
残念ながら最後まで泡立てることはできません


室温に置いておいたチョコレートのボウルに、ホイップをひとすくいほど入れて、泡立てないように混ぜ合わせます
ここでもなるべく最小限の手数で全体がむらなく混ぜ合わさるように、ゆっくりと丁寧に合わせます



ムラなく混ざったら、残りのホイップをすべて入れます

同様に空気が入らないように注意しながら効率よく全体を混ぜ合わせます


全体が混ざりました

出来たガナッシュ・クリームですが、この時点では、先ほどホイップした生クリーム程度の硬さです


冷蔵庫で冷やすとこの程度の硬さに

夏場だと、冷蔵庫から出して10分もすれば生クリームくらいの硬さに戻ります


今回は直径4cmのシリコン半球型に詰めて、生チョコ大福の餡にしました

出来上がってすぐの柔らかいうちに型に流せば作業も楽々



冷凍庫で凍らせてシリコン型から抜くとこんな感じになります

このガナッシュ・クリームは冷蔵保存でも硬くはなりますが、手の温度ですぐに溶けだしてくるので、型から抜いたりという作業を加える場合は冷凍したほうがきれいにできます

写真はダコワーズとの組み合わせ



ガナッシュ×ダコワーズ餡はキャラメル求肥の生チョコ大福に使用しました

シリコン型に詰めたガナッシュをダコワーズで蓋をする感じで作っています

ガナッシュのみでは単調になりがちな中餡に香ばしさとさっくり食感をプラスしてみました



ガナッシュ・クリーム自体に混ぜものをして変化を付けることも・・・

こちらはプララン(アーモンド・クランチ)を混ぜて・・・
やわらかいクリームとガリガリとしたクランチは好相性
クリームの湿気で食感が長持ちしないのが残念


もっとお手軽なアレンジ
ブルボンのプチシリーズ・チョコチップクッキーを砕いたものを加えてクッキー・ガナッシュに

作ってしばらく置いておくと、クッキーが生クリームの水分を吸ってしっとりと、ガナッシュは水分が抜けて濃厚な感じに変化します





チョコレートを使った製菓というのは温度管理や湿度対策など、非常に高度な技術や知識を求められる難易度の高い分野です。
ガナッシュも本格的に作るには温度をはかりつつ次の作業に進むタイミングを見極めるなど、本来は言うほど単純なものではありません。

それに対し、上でご紹介しているレシピは、普段着のチョコレート菓子に使えるやわらかめのガナッシュ・クリーム。
材料はスーパーで入手可能な量販品、作り方も温度管理など無しで気軽に作れます。

ただ、それでもいくつか注意したい点があります。

まず、レンジ加熱の際に温度を上げすぎないこと。
チョコレートをきちんと細かく刻んでおけば、溶かすには600w30秒程度で十分です。
速く溶かそうと温め過ぎると、泡立てた冷たい生クリームと合わせたときに油が浮いてくるように思います。

そして、混ぜすぎないこと。
振動を与えた分だけ硬くなります。
ですので、混ぜる際には泡立て気でなくスパチュラで合わせるほうが良いと思っています。

また、冷たい生クリーム②とチョコレートを併せる際の手順も大切です。
チョコレートのボウルに冷たい生クリームを一気に入れてしまうと、混ぜ合わせるまでの間にチョコレートが部分的に冷えて固まり、ザラザラした舌触りのクリームが出来てしまいます。

今回のレシピはなめらかでざらつきがなく、やわらかくて口どけの良いクリームを目指したものですが、逆に、冷やしながら少し泡立てを加えることで少し硬めのホイップ・ガナッシュ・クリームに仕立てることも可能です。




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プラリネ・パウダー&ペースト   出来上がり量/約80g
材 料
 スライスアーモンド 50g  皮付き皮なし、の選択はお好みで
 グラニュー糖 40g 
 水 10g   
     
   


「プラリネ」とは焙煎したナッツ類(主にアーモンド、本来はホールの状態で作られます)をカラメル掛けしたお菓子です。
そのプラリネを細かく砕いたものがプラリネ・パウダー、プラリネをローラーでひきペースト状にしたものがプラリネ・ペーストになります。

プラリネもプラリネ・パウダーも、湿気やすいからか製菓材料としてよく登場する割にはあまり市販されていませんね。
プラリネ・ペーストは製菓材料専門店での購入が可能ですが、たいていは量が多く、高価。
ちょっとお菓子作りをたしなむ程度だと、なかなか手を出しづらい商品です。

しかし!
このプラリネ・ペースト、意外に簡単に手作り出来るって、ご存知ですか?
ペーストにするためのミルサーは必要になりますが、それさえあれば市販品に負けない風味豊かな作りたてが味わえます♪
鮮度が命のナッツ類。
使いきれる量を手軽に作ることで、無駄がなく、常に新鮮。
また、材料費も大してかかりませんから気兼ねなく使えます。

手作りスイーツの出来をワンランクアップしてくれる、「プラリネ」。
五感を目覚めさせる香ばしいかおりを、ぜひ、どうぞ。


 作り方 
 
今回の材料は、アーモンドスライス、グラニュー糖そして水
材料はこれだけ



分量のアーモンドスライスをローストします
今回はオーブントースターで
アルミ箔を敷いた上に、アーモンドスライスをなるべく重ならないように平らにひろげ、焼き色薄めのパン一枚焼きを2回行いました

この他、アーモンドスライスのロースト方法は、180度余熱なしのオーブンで焼き色がつくまで(約10分)、や、電子レンジ600wで3分加熱などのやり方があります



うちのトースターは今はなきSANYOのもの
多機能で器用な子です

このような細かい機能の無いトースターをローストに使用する場合は、弱めの加熱で様子を見ながら少しずつローストしていく方が失敗がありません

ところで、上の写真、トースターの窓、きたなすぎですね・・・お恥ずかしい・・・



「焼き色薄めでパン一枚焼き」を1回かけたところ

端の方には焼き色がつきはじめています


加熱ムラをなくすため、一度全体をかき混ぜます

この時、すでに濃い茶色にローストされているものがあったら、これ以上やると焦げてしまうので取り出しておきます
(取り出したものは、全体のローストが完了した時点で戻します)



1回目と同様に、「焼き色薄めでパン一枚焼き」をかけました
均一の焼き色にはなりませんが、全体的に茶色みが増し、アーモンドの香ばしい香りがしてきたら、ローストの完了

この時、もし焦げたものがあったら取り除きます(焦げたものは苦みが出るため使用しません)



ローストが完了したアーモンドスライスを次の作業場に移動しておきます

ロースト後、少し置いておくとアルミホイルは手で触れるくらいの温度になっていると思います
(ただし、よく確認して行ってください)



アーモンドスライスをローストしたら、今度はカラメルと絡めていきます

グラニュー糖を火にかけ、焦げてカラメルになったらすぐにアーモンドスライスを加えますので、作業が手際よく進むよう、必要なものはすべてそろえてから、鍋を火にかけるようにします



また、出来上がったカラメル掛けアーモンドスライスを取り出すためのオーブンペーパーと、それを均す為のめん棒も用意しておきます



鍋にグラニュー糖と水を入れ、火にかけます
火加減は中火くらい

今回はカラメルの色がわかりやすいように錫引きの銅ボーズ鍋で行っていますが、ノンスティック加工のフライパンでも手軽にできます



砂糖水の色が変わってきました

好みのカラメル色になったら、すぐにアーモンドスライスを投入します

カラメルは色づき具合で味や香りが変わります
色が濃いとカラメル風味は強くなりますが苦みが出て、色が薄いと苦みはありませんが風味は弱くなります
どのぐらいが良いかは好みの問題なので何度か作ってベストポイントを見つけてください



カラメルが出来上がったらアーモンドスライスを一度に投入し、素早く全体を混ぜ合わせます
この時、火は点けたままにしています

コンロの火は、消してしまうと途端にカラメルが冷えて硬い飴状になってしまうので、ぎりぎりまで点けておいた方が作業はしやすいです
が、焦げる心配もあるので加減が重要です



耐熱スパチュラでなべ底のカラメルをすくい上げるような感じで混ぜ合わせます

アーモンドスライスの表面をまんべんなくカラメルでおおうように絡めていきます



全体にカラメルが絡みました
プラリネの出来上がりです

今回はこの時点で火を消しましたが、作業中、カラメルの焦げが気になったら前述の通り火を早めに消すのもアリです



出来上がったプラリネは冷えないうちにすぐにオーブンペーパーに取り出します

用途にもよりますが、パウダーやペーストにする場合は以下の方法で下準備を進めておきます



まずは、プラリネが温かいうちにオーブンペーパーを二つに折りたたみ・・・



めん棒でプラリネをのし、出来るだけ平らなシートにしておきます

このまま完全に冷えるまで置いておきます



オーブンペーパーを開いたところ

めん棒でのすとスライスアーモンドが割れてしまいますが、この後カッターにかけるので問題ありません



薄いシートになったプラリネは、簡単に割ることができます



粗目のプラリネパウダーが必要な時は、オーブンペーパーの上からめん棒で叩いて砕きます



目の細かいプラリネパウダーを作るには、フードカッターが便利です
写真は少量の下ごしらえに便利なクイジナートのミニプレップ



ガッガッガー、と撹拌すること数十秒
あっというまにプラリネパウダーの出来上がりです



フードカッターで作るプラリネパウダーはこんな感じ
さらに撹拌を続ければ、フードカッターでもペーストを作ることは可能ですが、キメの細かさはミルミキサーにはかないません



プラリネパウダーはアイスや製菓のトッピングに重宝します
ただ、非常に湿気やすいので作った後の管理には気を使います
湿気ると、カラメルが溶けて全体がくっつき、カリカリ感は無くなります



少しでもキメの細かいペーストにしたいときは、やはりミルミキサーが便利です

写真はパナソニック・ファイバーミキサーのミル容器
イワタニなどのミル専門の製品ミルサーには負けるかもしれませんが、私的には十分満足な仕上がりを得られています



ある程度細かく砕いたプラリネをミル容器に入れスイッチを入れたり切ったりしながら撹拌していきます

写真のように全体が細かい粉末状になったら一度容器をはずして側面についている内容物を振り落とします



再び容器をセットしたら今度は高速で一気に粉砕します

刃が空回りしているようなら、その都度周りのプラリネを振り落とします




そのうちだんだんと粉っ気がなくなってまとまってきます



粘度のように硬さのある塊だったプラリネはだんだんとツヤを帯びてきて、ペースト状になったことがわかるようになります



容器を上から見たところ

約3分くらいは撹拌したでしょうか
容器は撹拌時の摩擦熱でかなり熱くなっています

ミルサーのモーターへの負担を考え、ここでいったん作業を中止し、休ませます



1時間程度休ませた後、もういちど撹拌しました

私の出来上がり目安としては、撹拌する際のカッター音に「ガリガリ」という音が無くなったら終了、としています



プラリネペーストの出来上がり

アーモンドスライスから油が出てくるので、追加の水分等を加えなくてもこのようなトロトロのペーストになります



出来たてのプラリネペーストはこのくらいなめらかです

とは言え、家庭用のミルサーなので市販品のキメの細かさにはかなわないかもしれません
キメにこだわるなら、100メッシュくらいの漉し器で一度漉し取るとよいでしょう



作業後の鍋とスパチュラ

「砂糖を火にかける」と聞くと、鍋の後処理が大変そうに思われるかもしれませんが、意外にそうでもないです
こびり付いた分も、水につけておけば難なくキレイになります



今回はスライスアーモンドを使って作りましたが、本来のプラリネはホールのナッツで作ります

写真はアーモンドとヘーゼルナッツでプラリネを作っているところ
ヘーゼルナッツのペーストはなかなか売っていませんが、自分で作ればこういったアレンジも自由自在です



カラメル掛けせず、焙煎したナッツのみをペーストにすることも可能です

写真はローストアーモンドのペースト
市販品ではこちらの商品になります

プラリネにするとカラメルの香ばしい風味が加わる半面、余計な甘さがついてしまいます
甘さを抑えてナッツの風味を加えたい場合にはこちらの方がオススメです





今回はミルサー(フードカッター)でペースト作りをしましたが、商品としてのプラリネ・ペーストはローラーでひいて作られるそうです。
カッターとローラーの大きな違いは、摩擦熱の有無でしょう。
実際作ってみるとおわかりになると思いますが、ペーストにしている最中のミル容器はカッター作業の摩擦熱で非常に熱くなります。
素材に余計な熱が加わることは、いくらか風味を損なう結果になっているかもしれません。
ただ、家庭でローラー引きしてペーストを作ることはまず不可能なので、ここでは「新鮮さ」を売りにすることにします。


また、上の写真でも書いたとおり、本来プラリネはホール状のナッツを使って作ります。
手順は今回ご紹介したようなカラメルに焙煎したナッツを加えるやり方と、加熱中のシロップに焙煎したナッツを加え、一旦再結晶させたものを再び加熱しカラメル化させる方法とがあります。
ホールのナッツで作ったプラリネ・ペーストはナッツの風味が濃い仕上がりになり、スライスアーモンドのものはナッツよりもカラメルの味を強く感じる気がします。
プラリネ・ペースト自体の味では、どちらが良いかは好みの分かれるところですが、バタークリームに混ぜるなど、製菓の副材料として使う場合にはやはりホールのナッツで作る本格的なプラリネ・ペーストの方が風味良く仕上がると思います。
ホールのナッツを使って作る本格的なプラリネ・ペーストの作り方は河田勝彦氏の著書「ベーシックは美味しい―オーボンヴュータン河田勝彦の菓子」に詳しく載っていますので、興味のある方は是非参考にしていただきたいと思います。
が、手順が本格的になればなるほど、実際作るには腰が重くなるのも事実ですので、思い立ったらすぐできるスライスアーモンドのプラリネはやっぱりオススメです。





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プララン   出来上がり量/約100g
材 料
 グラニュー糖 100g 
 水 大さじ2 
 アーモンドパウダー 50g   
     
   


あまり一般的ではないですが、製菓のアレンジ材料としてはかなり使えるアーモンド・クランチ「プララン」
パティスリーではケーキの側面デコレーションに使われたりしますが、それのみを単体で目にする機会がないので若干イメージしづらい物体(?)かもしれません。

ケーキ側面のデコレーションというとスライスアーモンドやアーモンドダイスを軽く炒ったものものもよく使われますが、湿気て食感が変わりやすいという欠点があります。
それに比べてプラランは飴掛けされている分、カリカリ食感が幾分長持ちするのが特徴。
仮に湿気てもアーモンドパウダーと砂糖に戻るだけなので、湿気たナッツのなんとも言えないグニュッとした食感に比べるとパティスリーの劣化感(?)を軽減できます。

カリカリ食感をプラスするクランチ系の市販品はいろいろありますが、アーモンドパウダーとグラニュー糖を使って意外に簡単に手作りすることも出来るのです。

金平糖にも似たガリッとした食感と甘み、そして鼻に抜けるアーモンドの香ばしさ。
デコレーションの他、アイスやパンに振りかけるなど日常使いでも応用の効くアイテムです。

 作り方 
 
アーモンドパウダー、グラニュー糖そして水
材料はこれだけ




フライパンに分量のグラニュー糖と水を入れて火にかけます
火加減は中火くらい?
弱火すぎると時間がかかり、強すぎると焦げてしまいます

今回はウー・ウェンパンを使用しましたが、ノンスティック加工のものを使用する場合にはいくらか注意したい点があります
詳しくは下記を参照してください



鍋を揺らしてグラニュー糖を溶かしていきます

この時点でヘラ等は使いません
なるべく鍋の中身をさわらずに砂糖を溶かしてくのがポイント

このままシロップを煮詰めて130度まで温度を上げます



細かかった泡がだんだんと大きくなってきます



温度計できちんと計るのが一番正確で安心確実

ですが、シロップのフチが若干茶色に色づき始めた??くらいを目安にすることもできます
この場合、色づいた?と思った瞬間に、すぐにアーモンドパウダーを投入すること!!


鍋を傾けてシロップの粘りを見てみることでも煮詰まり具合はなんとなくわかります

ただ、ぼやぼやしているとカラメル(150度以上)になってしまうので要注意!!
写真では全体がうっすら茶色になっているのがわかります
このシロップは写真撮影をしているうちに焦げが進み失敗しました
この後の顛末は下記にて・・・



シロップが130度になったら、アーモンドパウダーを一度にどさっと投入します

投入したらすぐにヘラで全体をかき混ぜ、アーモンドパウダーとシロップを均等に混ぜ合わせます

アーモンドパウダーを一度に入れることでグラニュー糖をの再結晶をすすめ、液体状のシロップから粉っぽい砂糖に戻します



シロップとアーモンドパウダーが馴染んだ初めのうちはねっとりとした粗いペースト状です
これが少しずつ硬くなっていきますので、ペーストを切り離して細かい粒になるようにヘラで全体を切り混ぜていきます

今回、火は点けたままの状態で作業していますが、アーモンドパウダーの投入と同時に切ってしまう方法もあります
ただ、火を消した時点から硬くなり始めますのである程度は塊をほぐしてから火を消すのがオススメ



切り混ぜ続けるうちにパラパラの粒状になってきます

火を点けたまま作業すると煎りが進み、写真のように若干焦げた感じの仕上がりになります

色づきの薄いうちに加熱を止めると色の薄いプラランになります
火を止めて硬くなった塊は再加熱をしてもなかなか色づきませんので、希望する焼き加減で火を止めるのがよいでしょう



とりあえず、出来上がり!

火を消すと、これらは非常に硬い塊になります
今回のようにフッ素加工のフライパンを使用して作る場合、細かく砕くために無理にヘラでつついたりするとフッ素加工を痛めることになりますので要注意です!!!



出来上がったプラランは粒が不ぞろいで、上手くできても大きいもので1cmくらい、小さいものはアーモンドパウダーの粉末くらいとばらつきがあります

これをデコレーションで使うには粒の大きさをある程度そろえたほうが食感も均一で見た目もきれいになりますので、フルイにかけて大きすぎるもの、小さすぎるものを除いていきます



手順としては、まず目の粗いフルイにかけて大きい粒をはじき、次に目の細かいフルイにかけては細かい粒を取り除きます

今回は初めに4メッシュ(ひとマス約5mm角)のフルイにかけました
写真は「板前さんの 油きり名人」
一般の安価なフルイではなかなか4メッシュのものは見つからなかったので超お買い得!



大きすぎる粒はすり鉢等で細かく砕きます

これが結構カタイので、傷がついて困るような器具は使わないよう注意してください!!!



すべての塊が5mm以下になりました


次に細かいほうのフルイにかけます

写真のものは16メッシュ(ひとマス約1mm角)程度の湯で上げザル



こちらはフルイで取り除かれたプラランの細かい粒

これをもう一段目の細かいフルイにかけて粉末状のものを取り除けば1mm程度の細かいクランチを作ることもできます
粒の大きさの違うプラランを使い分けるというのもアリですね

最後まで残った粉末は、次回のプララン作りで再投入する予定



こちらがプラランの拡大写真

形は悪いですが、金平糖状態なのがおわかりいただけますでしょうか?

5mm大のものは、正直結構かみごたえがあります
ケーキの側面デコレーションに使うなら、もう少しサイズの細かいものを選別したほうが良いかもしれません・・・



こちらは以前作ったもの
手際良く作るとこうなります

色づきは薄いですが、カリカリ具合は変わりません
香ばしさには欠けますが、デコレーションの用途によってはこちらのほうが合う場合もあると思います



写真準備中
市販のバニラアイスクリームにキャラメルソースをかけてプラランを散らしてみました

カリカリ食感とナッツの香ばしさが、アイスクリームと絶妙にマッチング♪



前述のガナッシュクリームにプラランを混ぜ込んで、食感をプラス

ガナッシュの水分を吸ってしまうのでいずれは湿気てしまいますが、ナッツよりはカリカリ感と香ばしさが長持ちします

この他ケーキのデコレーションに便利な副材料です




こちらは失敗例

写真を撮っているうち、シロップの温度が上がり過ぎて完全にカラメル状態に・・・
カラメル化したシロップにアーモンドパウダーを投入すると、砂糖が再結晶できず粒々状態になりません



出来上がったのは得体のしれない物体・・・

とりあえずテフロンオーブンシートに取り出し、荒熱を取ってみることに・・・

食べてみると、タフィーになってました・・・
これはこれで、何と言いますか、食べれます
硬いきな粉飴?みたいな感じで

ここまで割るのにかなり苦労しました
同じ失敗をされた場合は、塊が温かいうちにある程度切り分けておくか、手でも割れる程度に薄く延ばしておくのがオススメです





このレシピはお菓子の基本大図鑑P28ガトー・モカのデコレーションで使われていたプラランのレシピを参考に、作りやすい分量にアレンジしたものです。
今回はアーモンドパウダー50gで作りましたが、手元に余っているアーモンドパウダーの量を基準に、その倍量のグラニュー糖と少量の水で、いかようにもアレンジして作ることができます。
(ただし、最低でも今回くらいの量はあったほうが作りやすいと思います)

作り方については上記のとおりですが、使用するフライパンについて一言。

写真ではフッ素加工フライパンを使用していますが、プラランを作る工程の最後のほうは非常に高温になり空煎り状態に近くなります。
こびりつき防止加工が施してあるフライパンは、一般に高温に弱く、このような空煎りをすることで加工を傷めてしまう可能性がありますので、この点には注意が必要です。
プロはこの作業を錫引きのしていない銅ボウルで行うようですが、家庭で作る際には空煎り状態にならないように加熱具合を加減する、もしくは空煎りOKな器具(鉄のフライパンなどが無難)又は傷んでもよいものを選んで作業される、のがオススメです。


ところで、この「プララン」という名前ですが、これは必ずしも今回ご紹介した「カリカリ」を指すものではないようです。
焙煎したナッツ類(主にヘーゼルナッツやアーモンド)に加熱した砂糖を和えてカラメル化(カラメリゼ)したもの(以上Wikipediaより引用)を「プラリネ」と言いますが、このプラリネを使用したケーキなどにもよく「プララン」という名前が付けられます。



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