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ガレット・デ・ロワ その壱 アーモンドクリームを学ぶ 記事登録日:2011/02/13
最終更新日:2012/09/26
 
ガレット・デ・ロワの魅力というと、まずはその遊び心♪王冠を載せた見た目の美しさ♪
パイの濃い焼き色とサクサク感♪etc etc ・・・
そしてアーモンドクリームのなんともいえない香りと味も、はずせない魅力のひとつです♪
わかりやすくアーモンドクリームと書きましたが、これをフランス語ではクレーム・ダマンド(crème d'amandes)と言いまして、
まあ、そのまんまアーモンドクリームということなんですが、
王様パイにはこれにカスタードクリームを加えたクレーム・フランジパーヌというものが入ることになっています。
さて、今回はこのクレーム・ダマンドとフランジパーヌについて試行錯誤していきます!!





  ルノートル氏のクレーム・ダマンドレシピ   アーモンド・クリームとクレーム・フランジパーヌについてのウンチク
  フードプロセッサーで作る、お手軽!アーモンド・クリーム   基本の分量 / 分量のアレンジ / バターについて
  アーモンド・クリームのアレンジ   アーモンド・パウダーについて / 砂糖について / 卵について / ラム酒について
  チョコレートとホワイトチョコレート / マロンペースト他   小麦粉を入れるか入れないか / クレーム・ダマンドか、クレーム・フランジパーヌか
  ちょっとだけ残ったアーモンド・クリームの消費法   「Fraugipane」と「Frangipane」 / 
  アップルパイに散らす /    ポイント&雑感
      ルノートル氏のレシピについて / 混ぜる順番
      アーモンドクリームの保存期間 / カスタードクリームについて





◎◎◎ Crème d'amandes de Gaston Lenôtre ◎◎◎
ガストン・ルノートル氏のアーモンド・クリーム 出典はこちらの書籍です



Crème d'amandes クレーム・ダマンド 総量約480g/直径20cm程度のガレット・デ・ロワ約2台分
材料    
  バター 125g    
  アーモンド・パウダー 125g    
  粉砂糖 125g    
  90g    
  コーンスターチ 12g    
  ラム酒 12g    




作り方
1.バターをやわらかくしておきます
 
まずは、バターを室温に戻してやわらかくしておきます。
やわらかくなったバターをクリーム状に練って崩しておきます。

作業はホイッパーまたはヘラの使いやすい方で行いますが、泡立てず、ねり混ぜるように作っていきます。




2.バターにアーモンド・パウダーと粉砂糖を混ぜていきます
 
バターにアーモンド・パウダーを加えて混ぜ合わせ、次に粉砂糖を加えます。

どちらも一度に入れると混ぜにくいので2、3回に分けて入れていきます。




3.卵を入れます
 
分量の卵はしっかりとほぐしておきます。

2.の中にほぐした卵を3、4回に分けて少しずつ入れていきます。
初めのうちは混ざりにくいですが次第にバターと卵がなじんでポマード状になってくるはずです。
「ある程度混ざったら卵を少量入れる」作業を繰り返し、全体を混ぜ合わせていきます。




4.ラム酒を入れます
 
全ての卵が混ざり全体が軽い感じでなめらかにまとまったら、コーンスターチを加え、好みでラム酒も入れます。
ラム酒は香り付けに入れるもので、この後焼き込みに入るのでアルコール分はほとんど残りませんが、子供が食べる場合などは量を加減してください。
あくまで香り付けなので、好みによっては入れなくてもかまいません。

以上で出来上がりです。

冷蔵庫で1時間程度休ませてから使用しますが、アーモンドクリームの状態(カスタードクリームを混ぜ合わせる前)であれば冷蔵庫で一週間は日持ちするので、前もって作っておくようにするとよいでしょう。

ル・ノートル氏のレシピでは、クレーム・フランジパーヌにする場合、使う前に187g(アーモンドクリーム総量489gの約38%)の冷めたカスタードクリームを加えるように指示されています。
(現在の一般的なレシピでは、アーモンドクリーム総量の30%(約145g)以下のカスタードクリームを加える程度だと思います)






◎◎◎ フードプロセッサーで作る、お手軽!アーモンド・クリーム ◎◎◎



  Crème d'amandes クレーム・ダマンド 総量約800g/直径20cm程度のガレット・デ・ロワ約4台分
材料   我が家で使用している材料詳細
  食塩不使用バター 200g   可能であれば発酵バター
  アーモンド・パウダー 200g   スペイン産マルコナ種他を50%とアメリカ産を50%でミックス
  粉砂糖 200g   カップ印の粉糖
  160g   一般的なMサイズ卵/量に半端が出たときには、白身を減らして調節する
  ラム酒 40g   フランス・ルゴル社のダーク・ラム
  (薄力粉) 20g   ※ 加える場合にはこの分量で




作り方
 
1.アーモンド・クリームの材料
バターは室温に戻して柔らかくしておきます。
卵は分量を計量した後、泡立てないように混ぜてほぐし、室温に戻しておきます。
この分量で作ると結構な量のラム酒が入ることになりますが、あくまで香り付けなので好みで減らすことも可能です。
材料にあるバターに発酵バターを使用すると焼き上がりの香りがワンランクアップします!
ただ、普通のバターですら手に入れ難い今日この頃、クリームに発酵バターを使う、なんてのは贅沢な話になってしまいましたね・・・。
ちょっと前まではもっと気軽に使えてて、パイ生地も発酵バターで仕込んでいたんですけども・・・。
でも、バターがないからといってマーガリンで作るのはおすすめできません。
見た目は問題なく出来るでしょうが、味はケーキやクッキー以上に別物になるはずです。

さて、このレシピで出来上がるアーモンドクリームの量は800g!
私はシーズン中には10台近くの王様パイを焼くので十分消費できる量なんですが、というか、毎年この量を2回とか3回とかに分けて作っているんですが、まあちょっと王様パイを焼いてみようかという時の量ではないかもしれませね・・・。

「こんなにいらないわ」という場合には上に書いたル・ノートル氏のレシピを参考にしていただくか、全てを半量又は1/4にして作られるのもオススメです。
ただ、フードプロセッサーで作る場合、ある程度は容器の大きさに合わせて作るほうが作業しやすく、例えば今回使用したクイジナートのDLC-10PLUSでは上記レシピくらいがちょうど良い分量になります。

今回の材料
相当たくさん出来ますが
クイジナートのフードプロセッサー
で作るには
ちょうど良い量です

ちなみに、
今年は発酵バターが手に入らず
よつ葉の食塩不使用バターを使用

チョコレートなど
風味の強い混ぜ物をする場合
発酵バターを使うのはもったいないので
普通の食塩不使用バターで十分かも






2.フードプロセッサーで混ぜていきます
レシピにある材料の順にフードプロセッサーに加え混ぜ合わせていきます。
まずは室温に戻したバター。
次にアーモンドパウダー。
粉砂糖、溶き卵、ラム酒。
材料全てを切り混ぜたら出来上がりです。
それぞれ、粉が飛び散りそうな場合などには2〜3回に分けて加えるなどしますが、基本的にどんどん上からかぶせる感じで混ぜ合わせています。
容器のフチに付いた「混ざり残り」を時々ヘラで掃いつつ、それぞれの材料がなじんだら次、という感じで、それぞれガーッと連続して攪拌して全て混ぜ合わせたら出来上がりです。

室温に戻したバターを
フードプロセッサーにかけます


こんな感じで全体がポマード状に
やわらかくなっていることを確認!!
バターの硬いところが残っていると
最後までバターの塊で残ってしまうことがあります


アーモンドパウダーを
一度に加えます


スイッチを入れて混ぜ合わせます
一度回りの混ざり残りを掃ってもう一度攪拌
全体が混ざったら、次に行きます


粉砂糖を一気に投入
粉砂糖はかなり飛び散るので
場合によっては2回程度に分けて入れます


スイッチを入れてきり混ぜ
同様に一度回りを掃ったら
もう一度攪拌してから次に行きます


卵を入れます
手で混ぜる時にはここが一番の難関!
というか、一番手間が掛かるところですが
フードプロセッサーならラクラクです♪
攪拌→回りを掃う→攪拌で次に行きます


全体がなめらかに混ざり合いました
攪拌もしすぎるのはよくないみたいなので
ホドホドに・・・


ラム酒を入れます


 
攪拌して出来あがり!
攪拌の摩擦熱で温まって
若干バターも溶け気味な上
ラム酒も入ってちょっとどろどろの仕上がりですが
冷蔵庫で冷やせばちゃんと締まります


この量で容器全体の半量くらいです

薄力粉を加える場合は
この時点でダマにならないようにふるい入れ
軽く攪拌して仕上げます


 
「クレーム・フランジパーヌ」にするには、この後適量のカスタードクリームを加えます。
(一般的なレシピである「総量の30%」とすると240gのカスタードクリームを加えることになりますが、私は15%程度;120gを加えています→理由はこちら
アーモンドクリームのままであれば1週間程度は日持ちしますが、カスタードクリームを加えたら長時間の保存は出来なくなります。
「クレーム・フランジパーヌ」に仕立てたら、なるべくその日のうちに使い切るようにしましょう。
私が知る限り「クレーム・ダマンドは少し寝かせたほうがおいしくなる」とされているので、すぐにフランジパーヌにはせず、一度保存容器に移し替え、冷蔵庫で休ませてから使うのがオススメです。
下にも記したとおり、冷蔵庫で1週間は持ちます。

一方カスタードクリーム(クレーム・パティシエール)は作った当日中に消費するのがベストとされています。
(個人的には余裕で2〜3日保存したものを使っていたりしますが・・・・)
ですのでカスタードクリームは出来るだけ使う直前に併せるようにします。

また、アーモンドクリームは冷凍保存が出来ますが、一般にはクレーム・フランジパーヌの冷凍保存は勧められていません。
そうは言いつつ私などは、残ったフランジパーヌを冷凍保存して後日使ったりしていますが、特に問題なく使えています。
ただ、私が気付かないだけで風味の点では劣っているのかもしれません。
家庭での製菓レベルでは問題ないのでは?と思っています。






◎◎◎ アーモンド・クリームのアレンジ ◎◎◎

チョコレートとホワイトチョコレート
アーモンドクリームをチョコレートバージョンにするには「材料に出てくるアーモンドパウダーと同量程度のチョコレートを加える」というのがよくあるレシピです。
アーモンドクリームは「各材料が同量」というのが基本になるレシピですので「バター:アーモンドパウダー:粉砂糖:卵:チョコレートが1:1:1:1:1」ということになりますね。
実際のレシピではいくらか材料に加減がしてあることが多いので、自分でレシピをアレンジする場合はアーモンドパウダーを基準としてチョコレートの量を決めると良いと思います。
実際問題、チョコレート量の少々の加減ではそれほど味に違いはない気がします。
むしろ「使用するチョコレートの質」のほうが味への影響は大きいです。

出来上がったアーモンドクリーム又はフランジパーヌを基準にして、混ぜるチョコレートの量を考える場合、「用意したクリーム量の1/4」で考えればよいと思います。
例えば、アーモンドクリームが200gある場合、チョコレートの量は50gです。

作り方はアーモンドクリームに、湯煎して溶かしたチョコレートを混ぜ合わせる方法や、細かく刻んだものを混ぜ合わせる方法などがあります。
焼き上げ後はどちらも同じような仕上がりですが、風味は刻みチョコレートのほうが良かった気がします。
ここでは簡単にできる刻みチョコレートを混ぜ込む方法をご紹介します。
私は2011年度、湯煎したチョコレートを加える方法で作ってみましたが、チョコレートの熱でバターが溶け出さないよう温度に気をつける必要があり、これがかなりな手間でした。
そこで2012年度は刻みチョコレートをアーモンド・クリームに混ぜ込む方法でやってみることに。
チョコレートを細かく刻む手間は掛かりますが、こちらの方が混ぜ合わせるのが簡単でチョコレートの風味がよく残っていた印象があります。

チョコレート・アーモンドクリームのレシピには、チョコレートで作る以外にココアを入れるレシピもあります。
「チョコレート・アーモンドクリームのみを少量作りたい」という方はこちらをどうぞ!
20cm程度のパイ1台分にあたる量のレシピです。
Cpicon チョコレート・アーモンドクリーム

チョコレートを細かく刻みます
どのみち焼くと溶けますし
塊があってもそれはそれでいいのですが
クリームの仕上がりがムラになるのと
絞り出す時に口金に詰まる
可能性があることには要注意です


出来上がったアーモンドクリームに
刻みチョコレートを混ぜ込みます
今回は出来上がったアーモンドクリームの
一部をチョコレートにしたため
ボウルで混ぜ合わせていますが
全量をチョコレートにする場合には
フードプロセッサーで攪拌することができます


焼き上げたところ
パイの端生地に乗せて焼いたものなので
微妙な見てくれですが・・・
溶け残った刻みチョコレートが見えていますが
王様パイのような包み焼きにすると
もう少しクリームとなじみます


横着をして
アーモンドクリームを作った後に
フードプロセッサーでホワイトチョコを刻んだら
バターで滑ってちゃんと細かくならなかったという
失敗例です・・・
素直に手刻みしたチョコレートを混ぜるべきでした


その後
アーモンドクリームを加えて
ホワイトチョコアーモンドクリームに・・・
ちょっと大きな塊が残ってしまいましたが
焼いてしまえば案外気にならなかったです


出来たアーモンドクリームは
タッパーに入れて冷蔵庫保存
後にカスタードクリームと合わせて
フランジパーヌにして使用しました


ホワイトチョコのアーモンドクリームは
抹茶のパイ生地似合わせると◎!!


丸口金で敷いたアーモンドクリームは
ヘラで平らにして
パイ生地をかぶせていきます


抹茶とホワイトチョコの王様パイ
いつもの味に飽きたら
是非どうぞ♪


ホワイトチョコレートのアーモンドクリームは抹茶のパイ生地とよく合います。
逆折込パイに抹茶を加えた「抹茶の逆折込パイ生地」のレシピはこちら!
Cpicon 抹茶の逆折込パイ生地





マロンペースト他
最近ではマロンペーストを混ぜたものなどもありますが、JHCお菓子のレシピ・マロンのガレットデロワを参考にしてみると、だいたいアーモンドパウダーと同量の副材料を入れればよさそうな感じです。
この他のアーモンドクリームのアレンジについてはまた後日チャレンジしてみようと思っています。






◎◎◎ ちょっとだけ残ったアーモンド・クリームの消費法 ◎◎◎


残ったアーモンドクリームはミニタルトなどに仕立てることも出来ますが
それ以外にも、案外いろんなところで隠し味として活躍します



アップルパイに散らす
リンゴとバター、そしてアーモンドの香ばしさはとても良く合います。
少しだけ余ったアーモンドクリームは、王様パイを作って余った二番生地と共にアップルパイに仕立てるのはいかがですか?
リンゴの甘煮の下に敷きこむと油っぽくなるばかりなので、上に散らすように乗せておくと焼成と共に全体になじんで良い隠し味になります。
カロリーは上がる一方ですが・・・。

リンゴの甘煮の上に
少量残ったアーモンドクリームを
テキトーに散らして焼き上げます


私はアップルパイも王様ケーキ風にデコしてます
これだと少ない生地で豪華に見せられるので・・・
おすすめの方法♪


王様パイを作った残りの端生地で
アップルパイを作るのが毎年のお楽しみ
その際にはアーモンドクリームも
縁の下の力持ちです












◎◎◎ Crème d'amandes et Crème frangipane ◎◎◎
アーモンド・クリームとクレーム・フランジパーヌについてのウンチク



  • 基本の分量

    アーモンドクリームの基本の分量はバター:アーモンドパウダー:粉砂糖:卵が1:1:1:1が基本です。
    クレーム・フランジパーヌはアーモンドクリームに、その総量の30%程度のカスタードクリームを入れたものです。


  • 分量のアレンジ

    アーモンドクリームはレシピによって材料の量が加減してあります。
    例えばフランスの家庭用のレシピでは、0.5:1.5:1:1.2、とかいうのもあります。
    バター50gに対しアーモンド・プードル150gということですが、こうなると焼成後の食感はひよこ饅頭の中身の白餡のような感じですかね。
    その分卵の量を1.2や1.5など多めにしてあるようです。
    ですが、卵の分量が多いとゆるいクリームになるので組立て時の扱いが難しいと思うんですけどね・・・。
    ちなみに日本で見るレシピでは卵の量が0.8くらいまで減らしてあるケースが多いです。

    今回私がご紹介しているレシピも卵の量が少なめになっていますが、これは「ラム酒と合わせて200g」となっています。


  • バターについて

    バターは無塩のものを使いますが、欲を言えば発酵バターが望ましいです。
    なんというか、バターの香りが違います。

    ところで、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」の弓田亨氏が書かれた「弓田亨のフランス菓子」の中にある「ガレット・デ・ロワ」では、無塩バターを発酵バターの香りに近づけるためだと思うんですが、アーモンドクリームにサワークリームやスキムミルクを入れたレシピを考案されています。


  • プードル・ダマンド(アーモンド・パウダー)について

    アーモンド・パウダーに限らず、ナッツ類を粉末にしてあるものは風味が劣化しやすいので注意が必要です。
    購入するときには出来れば商品を冷蔵保存してあるお店で購入した方がよく、家庭でも冷蔵庫(または冷凍庫)で保存をします。

    パティシエにはスペイン産マルコナ種のアーモンド・パウダーが人気のようで、私もちょっと試しに買って使ってみましたが、正直違いは分かりませんでした。
    カリフォルニア産に比べ、スペイン産はずいぶんと値段がお高いです。
    お高い分きっとおいしいんだろうと思いますが、私はアーモンド・パウダーに関しては、品種による味の違いよりも、鮮度低下による風味の劣化の方が味への影響が大きいと思っています。
    新鮮なパウダーを使えばカリフォルニア産でも十分においしいアーモンドクリームが出来ます。

    フランスのレシピでは「まずはアーモンドをコーヒーミルで挽きます」と、自家製でアーモンド・パウダーを作るところから入るものもありました。
    ただし、日本で一般に市販されているアーモンドは焙煎されているので粉にしても「アーモンド・パウダー」と同じ風味にはなりません。
    どうしても、ということであれば、アーモンドスライスは生アーモンドなのでこれをミルサーなどにかければアーモンドパウダーを作ることは出来ると思います。(生アーモンドに比べれば風味は劣ると思いますが・・・)

    フランス人にはアーモンドの風味が濃いほうが好まれているようで、クリームの仕上げにはたいていアーモンドエッセンスを加える指示がありますが、日本のレシピではバニラエッセンスを入れることはあってもアーモンドエッセンスを入れるものはありません。
    アーモンドの風味というのは杏仁豆腐の香りに似ていますが、きついものはあまり日本人の好みではないようです。

    ところで、アーモンド・パウダーの「呼び名」ですが、レシピやお店によっては「アーモンド・プードル」とされていることがありますね。
    プードルはフランス語で「パウダー(粉)」を表す言葉ですが、アーモンド・パウダーをフランス語にするとプードル・ダマンド(poudre d'amande)となりますのでアーモンド・プードルというのは和製仏語なんだろうと思います。


  • 砂糖について

    ここでは粉砂糖を使っています。
    これは粉砂糖のほうがバターにすぐなじむからで、こだわらなければ普通の白砂糖もしくはグラニュー糖でも作れます。


  • 卵について

    卵は個数ではなくグラムで分量分を用意しますが、例えば80gなどで2個割って100gになった場合は白身だけを20g減らして80gに合わせるようにします。
    L玉だと白身が多くなるので、私はM玉を使っています。


  • 風味付けのラム酒について

    今回は基本の分量にラム酒を入れるレシピをご紹介しています。
    ラム酒はお好みでなくしていただいてもかまわないものですが、入れると断然香りがよくなります。
    ダーク・ラム、特に今回使用したフランス・ルゴル社のダーク・ラムはもーホントにびっくりするくらい風味がよかったです。
    お値段も高くてビックリなんですが、少量しか使わないのでここはよいものを選びたいですね。

    レシピではラム酒を指示されることが多いですが、リキュールなら好みのもので良いようです。
    ラム酒を入れないレシピではバニラシュガーを入れたりバニラエッセンスを加えて香りを出します。


  • 小麦粉を入れるか、入れないか

    アーモンドクリームのレシピには小麦粉が入っているものと入っていないものがあります。
    小麦粉を入れるとクリームの焼き縮みが少なくなるとのこと。
    アーモンドクリームは焼いている最中結構膨らむのですが、冷めてくるとしぼんでしまいます。
    パイの層が大きく立ち上がった場合、クリームがしぼむことでパイの真ん中部分だけがへこんでしまうことがあるのですが、小麦粉を入れておくとクリームの焼き縮みが押さえられへこんでしまうのを防ぐことが出来るのです。

    1986年に出版されている安井寿一という方の「ケーキ作りは基本が決めて」という本には、ガトー・ピティヴィエ(いわゆる王様ケーキ)に入れるクレーム・ダマンドの作り方として、アーモンド・プードル50gに対し小麦粉を60gも入れる配合が書かれています。

    ただ本来の王様パイというものは、焼くときにパイの上に重石をしたりしてあまり層を浮かさず焼き上げ、よってクリームの焼き縮みも気にしないもののようです。
    きっとそれで小麦粉が入っていないレシピがあるんでしょうね。
    小麦粉を入れる場合でも全体の5%程度ですから、入れても入れなくても味への影響はあまり無いと思います。


  • クレーム・ダマンドか、クレーム・フランジパーヌか

    とどのつまりが王様パイに入っているクリームのことをフランジパーヌと呼ぶ傾向があります。
    アーモンドクリームのみのものも、王様パイに入ってしまえばフランジパーヌということです。

    こちらのサイトによると、「アーモンドクリームが2/3とカスタードクリームが1/3の割合で作られたクリームをフランジパーヌと呼ぶ」「フランジパーヌはアーモンドクリームのみの場合に比べカロリーが低いという利点がある」と記述されていますが、味の違いについては言及されていません。
    フランスで出回っているレシピでもその多くはアーモンドクリームのみのもので、特に家庭で作るには二種類のクリームを用意するのは手間なので省略されているというのもあるかもしれませんが、どちらにするかは好みで決めてよさそうです。
    味的なことをいうと、フランジパーヌの方がややまろやかになるでしょうか・・・

    確かにカスタードクリームの量が増えるとカロリーダウンにはつながりますが、焼成時にクリームが激しく膨張し、逆に冷えると収縮するという欠点も出てきます。
    (フランを焼いた経験のある方には容易に想像できることと思います)
    逆折込法でパイ生地を作った場合には周囲のパイ層にかなりのボリュームが出ますので、クリーム部分の焼き縮みが激しくなると、中央のみが極端に凹んでしまうみっともない形に仕上がってしまうことも・・・。
    ということで、私はだいたい15%程度のカスタードクリームを混ぜ込む程度に抑えています。

    また、前述の小麦粉ですが、フランジパーヌとしてカスタードクリームを入れる場合、アーモンドクリームには小麦粉は入れないケースが多いようです。
    これはフランス式のカスタードクリーム(クレーム・パティシエール)はコーンスターチでなく小麦粉で炊き上げるからだと思います。


  • 「Fraugipane」と「Frangipane」

    先日、「オーボンヴュータン河田勝彦フランス伝統菓子―豊かな風土が育んだ素朴な味、郷土の味-語り継がれてきた菓子づくりの醍醐味 (暮しの設計 (No.210))」という本で「Gâteau à là Fraugipane(ガトー・フランジパン)」(スペルと和名は原文のまま引用しました)というお菓子が紹介されているのを見つけました。

    河田氏により解説されている文章によると、この「ガトー・フランジパン」は「ペリゴール地方、サン・アスティエの町に古くから伝わる菓子」なのだそう。
    見かけは王様パイに似ていますが、クリームを包む生地も中のクリームもちょっと独特なものです。
    ここで使われる「クレーム・フランジパン」が現在一般的になっている「クレーム・フランジパン(クレーム・フランジパーヌ)」の元になった、というようなことが書かれていました。

    クレーム・フランジパーヌについてのうんちくを書き連ねているこのページに、是非とも書き加えたい情報!
    ではあったのですが・・・

    ここでちょっと気になったのが、「Gâteau à là Fraugipane」の綴り。
    おそらく、古典フランス語の引用だと思うのですが、「Fraugipane」は「フラジパン」ではなく「フラジパン」と、なるような・・・?
    ネットで「Gâteau Fraugipane」を検索してみましたが、解読不能な(おそらくは古典フランス語の)フランス料理史のページがヒットしたのみで詳しい情報は得られませんでした。

    この二つは同じものか、否か???

    前述のネット検索では、このクリームがカトリーヌ・ド・メディシスに関係するような書き方でしたし、「フランジパン」の語源がローマの名家フランジパニ家に由来するという説もあると河田氏も書かれているので、イタリア語からフランス語に移る際に変化した、ということなのか・・・
    それとも、綴り・発音が似ているだけで、実は別物なのか・・・

    ちなみに、このガトー・フランジパンに使われるクリームは、まず牛乳と小麦粉を煮てペーストを作り、そこに卵黄やアーモンドパウダー、砂糖、塩、細かく刻んだピスタチオを加えて練りこみ、オレンジの花水で香りをつけて作ります。(バターは入らないようです)

    現在ではフランスでもあまり使われなくなったとのことですが、「たいへん美味しい」という河田氏お墨付きのこのクリーム。
    興味のある方はこちらの本の27ページをご参照ください。
    (入手困難な本なので図書館での閲覧がオススメです)












ポイント&雑感

  • ルノートル氏のレシピについて

    ルノートル氏のレシピとしてご紹介しているものはGaston Lenôtre氏の「FAITES VOTRE PATISSERIE」(1975年に初版出版)に載っていたレシピをお借りし、作りやすい分量にアレンジしたものです。
    現在日本で日本語訳のルノートル氏のレシピ本を購入できないことや、この「FAITES VOTRE PATISSERIE」がフランスでも絶版となっていることから転用させていただきましたが、問題があるようでしたらすぐに削除いたします。
    また、作り方においてはミキシングマシーンを使用する作り方でしたので、機械を使わない方法にアレンジして記述しなおしてあります。

    古いレシピ本の作り方ではありますが、オーソドックスなクリームなので基本材料の配合に関しては今と変わらないように思います。


  • 混ぜる順番

    じつは、混ぜる順番はレシピによってさまざまです。
    先のレシピ以外では、タンプータン(アーモンド・パウダーと粉砂糖を混ぜたもの)をはじめに作るやりかたもあります。
    これは「タンプータン」という商品があって、パティシエがそれを使ってアーモンドクリームを作ることからきているものと思われます。
    アーモンド・パウダーも粉砂糖もだまになりやすいので、二つを事前に混ぜておけばダマが解消され、作業がやりやすくなるかもしれません。

    また、バターに対し+粉砂糖、+卵、+アーモンド・パウダー、の順に加えていくレシピも多く見当たります。
    前述の安井寿一シェフのレシピではアーモンド・パウダーに対し+粉砂糖、+卵、+バニラエッセンス、+小麦粉の順に加え最後に溶かしバターを混ぜるという方法が書かれています。

    ちなみに私は「作り方」の順番でフードプロセッサーにかけて一気に混ぜ合わせています。
    クリームの混ぜ方にもあんまりこだわりがないです。


  • アーモンド・クリームの保存期間

    このアーモンドクリームの保存期間は1週間で、密閉容器にて冷蔵庫で保存できます。
    前述の弓田亨氏によれば「出来立ての混ざりすぎた状態よりも少し時間がたってバターがにじんできたくらいのほうがこのクリームはおいしい」というコメントをされています。
    ただし、カスタードクリームと混ぜてフランジパーヌにした場合はなるべく早く使い切るか、冷凍保存をした方がよいでしょう。
    冷凍保存にすると風味は落ちますが、きちんと焼きこめばちゃんとおいしくいただけます。


  • クレーム・パティシエール(カスタード・クリーム)について

    カスタードクリームはお菓子作りの基本になるクリームで、作り方も割りとシンプルなんですが、私には非常にワザを要する難しいクリームに思えます。
    配合はともかく、私の作り方がどうもイマイチなようで、今までに「これはうまい♪」と思えるクリームが出来たことがありません。
    というわけで、レシピについてはこちらのサイトをご参照ください。 お菓子をつ・く・ろ ラ フォンティーヌお菓子教室












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