人事労務トピックス


人事労務トピックス :2019年

ハローワークの求人サービスの変更点(令和2年1月から)(2019.12)

 令和2年1月6日から、企業の求人などで利用できるハローワークのサービスが充実されることになりましたので、その主な変更点について以下に紹介いたします。
 <変更点@>
 ハローワークの求人情報を検索、閲覧できる「ハローワークインターネットサービ ス」のウェブサイトが「スマートフォン」や「タブレット」にも対応します。 それぞれの端末の画面に最適化されるため、いつでも、どこでも閲覧できるようになります。

 <変更点A>
「求人者マイページ」を開設すると、会社のパソコンから求人の申し込みなど、次のサービスを利用することができるようになります。
 ・求人申込み
 ・申し込んだ求人内容の変更、求人の募集停止、事業所情報の変更など
 ・事業所の外観、職場風景、取扱商品などの画像情報の登録・公開
 ・ハローワークから紹介した求職者の紹介状の確認、選考結果を登録
 ・メッセージ機能(ハローワークから紹介した求職者とのやりとり)
 ・求職情報検索

<変更点B>
 新しい求人票で、より詳細な情報を求職者に提供できるようになります。 求人票の様式が変わり、掲載する情報量が増え、求職者に対して求人情報をより詳細に伝えることができるようになります。

従業員退職時の事務手続 (2019.11)

 従業員が退職する際には、社会保険や税金の手続(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、所得税、住民税)など多岐にわたる手続が求められます。手続ミスや漏れ(遅れ)により、退職者とのトラブルが発生することのないよう、今一度、従業員の退職時に求められる手続について確認しておきましょう。

内容 必要な手続 届出先等 提出期限
健康保険
(介護保険)
厚生年金保険
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 年金事務所等(※) 資格喪失日(退職日の翌日)から5日以内
雇用保険 ・雇用保険被保険者資格喪失届
・離職証明書
ハローワーク 資格喪失日(退職日の翌日)から10日以内
住民税 ・給与所得者異動届出書 退職者の住所地の市区町村 退職した月の翌月10日以内
所得税 ・源泉徴収票 退職者 退職日から1か月以内
 (※)健康保険組合や厚生年金基金に加入している企業は、独自の様式等がありますので、各組合・基金へお問い合わせください。
 尚、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を喪失させる手続きには、退職者の健康保険被保険者証を(扶養家族がいる場合は、その家族分も)回収する必要があります。

最低賃金額改定 (2019.10)

 厚生労働省は、諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和元年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、地方最低賃金審議会が答申した地域別最低賃金の改定額を取りまとめ決定・発表しました。
 この数年で最低賃金額も大きく上昇しています。発効年月日とともに、法令違反とならないよう今一度確認しておきましょう。
<都道府県別(関西地域)最低賃金額と発効年月日>

都道府県 最低賃金時間額 発効年月日
滋賀 866円 令和元年10月3日
京都 909円 令和元年10月1日
大阪 964円 令和元年10月1日
兵庫 899円 令和元年10月1日
奈良 837円 令和元年10月5日
和歌山 830円 令和元年10月1日
 尚、地域別最低賃金は、下記の厚生労働省のホームページでも確認することができます。
<必ずチェック最低賃金・使用者も労働者も>
 https://pc.saiteichingin.info/(厚生労働省HP)
<令和元年度 最低賃金改定の概要>
 ・東京、神奈川で全国初の時間額1,000円超え(東京都1,013円、神奈川県1,011円)
 ・改定額の全国加重平均額は901円(昨年度874円)
 ・全国加重平均額27円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額

時間外労働等改善助成金「時間外労働上限設定コース」 (2019.09)

 働き方改革に取り組む企業に支給される助成金の概要について紹介いたします。 この助成金は、「36協定」に規定する限度時間(限度基準)を超える内容の時間外・休日労働に関する協定(特別条項)を平成29年度又は平成30年度に締結している中小企業が利用でき、成果目標の達成状況に応じて、支給対象となる取組みの実施に要した経費の一部が支給されます。
<対象となる主な取組> 
 ・労務管理担当者に対する研修
 ・外部専門家によるコンサルティング
 ・就業規則・労使協定等の作成・変更
 ・労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
 ・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新など
<成果目標>
 事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場で、平成31 年(令和元年)度又は令和2年度に、「36協定」で定める延長する労働時間数を前年度提出の時間数より短縮して、以下のいずれかの上限設定を行い、労働基準監督署へ届出を行うことが要件です。
 @ 時間外労働時間数で月45時間以下かつ、年間360時間以下に設定
 A 時間外労働時間数で月45時間を超え月60時間以下かつ、年間720時間以下に設定
 B 時間外労働時間数で月60時間を超え、時間外労働時間数及び法定休日における労働時間数の合計で月80時間以下かつ、時間外労働時間数で年間720時間以下に設定
<支給額> 以下のいずれか低い額
 T 1企業当たりの上限200万円
 U 上限設定の上限額(50〜150万円)及び休日加算額の合計額(25万〜100万円)
 V 対象経費の合計額×補助率3/4(※内容等により4/5になる場合もあります。)

求人時の受動喫煙対策の明示義務 (2019.08)

 労働者を雇用する際には、労働時間、休日、休暇、賃金等の労働条件を明示しなければなりません(労働条件の明示義務)。 この度、職業安定法施行規則の改正により、従業員の募集や求人の申込みをする際に、企業がどのような受動喫煙対策を講じているかについて、その対策状況についても明示することが義務づけられました。
 具体的な明示例として、「屋内禁煙」「屋内喫煙可(喫煙室内に限る)」「屋内原則禁煙(喫煙室あり)」といった記載方法が考えられます。 また、複数の場所が、労働者の就業場所として特定されている場合は、それぞれの受動喫煙対策の状況を明示する必要があります。  さらに、派遣労働者で就業場所が派遣先となる場合は、派遣先の対策状況も明示することになりますので、関係先に確認することも必要でしょう。
 この受動喫煙対策明示義務の施行日は2020年4月1日となっています。 施行日までに、企業としてどのような受動喫煙対策を行い、どのように明示をするのかを検討していくことが求められます。

産前産後休業期間中の社会保険料免除 (2019.07)

 従業員が妊娠・出産した際、産前産後の期間について申請することにより社会保険料が免除となる制度があることをご存じでしょうか。本制度の概要について以下に紹介いたします。
<制度の概要>
 出産予定日以前(産前)42日(多胎妊娠の場合は98日)、出産後56日のうち、妊娠または出産を理由として休業している期間について、社会保険料(健康保険・厚生年金)は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。
<申請条件等>
 産前産後休業をしている間に「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構へ提出する必要があります。なお、産前産後休業期間中における給与が、有給・無給であるかは問われません。
<免除期間>
 保険料の徴収が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月までとなります。
<その他>
 免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来受け取る年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。
 尚、本年4月から、国民年金(第1号)被保険者の産前産後期間の社会保険料が免除される制度が施行されました。この場合の提出先は住所登録している市町村役場の国民年金担当窓口等となっています。

パワーハラスメント防止対策の法制化(労働施策総合推進法) (2019.06)

 先日(5月29日)に参議院本会議で、企業にパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける関連法が可決・成立しました。(労働施策総合推進法:施行日は、公布日から1年を超えない範囲内、ただし中小企業は3年を超えない範囲内) 企業に求められるパワハラ防止措置の内容としては、相談窓口・調査機関等の設置、パワハラ禁止を盛り込んだ就業規則(懲戒・防止規定等)の整備、プライバシーの保護などが想定されます。また、厚生労働省ではパワハラについて、次の6類型を典型例として定めてきましたが、より具体的な指針を策定して年内にも示す予定としています。
@ 身体的な攻撃
  暴行・傷害
A 精神的な攻撃
  脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
B 人間関係からの切り離し
  隔離・仲間外し・無視
C 過大な要求
  業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
D 過小な要求
  業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
E 個の侵害
  私的なことに過度に立ち入ること
職場において、このような事例がないか再確認し、今後どのようにパワハラ等を防止していくか対応策が求められます。尚、パワハラ防止措置に違反し行政指導をしても改善されない場合には、企業名が公表されます。

年次有給休暇取得時のマナー (2019.05)

 本年4月より年次有給休暇の取得義務(10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、その年次有給休暇の日数のうち5日については、会社が労働者の意見を聴き指定する必要がある)が始まり、年次有給休暇の取得について、今後は取り扱いが増加することが予想されます。
 この年次有給休暇の取得に際して、いつでも自由に取得して良いとして、同じ職場の仲間等にも言わずに、急に取得される方もおられるようです。しかし、そのような認識では、その後の業務取扱や人間関係等で問題が発生する可能性があります。 年次有給休暇の取得は労働者の権利として認められていますが、一方で労働者側でも職場のマナーとして年次有給休暇の取得に際し、以下のようなことに留意する必要があるのではないでしょうか。
<年次有給休暇取得時の留意事項>
 ・取得予定日(希望日)が決まっている場合は、なるべく早く申告・報告する。
 ・業務等の進歩状況を確認し、申請時期を考慮する(スケジュール確認)。
 ・職場仲間への気遣い・コミュニケーション(上司、同僚、取引先等へ連絡する)。
 ・取引先等への対応の為に、パソコン等で有給休暇中のメールの自動応答設定を利用する。
 ・周囲に迷惑をかけないように業務の引継ぎはしておく(自分にしかわからない業務等があるような場合、事前に引き継いでおく)。

36(サブロク)協定 (2019.04)

 36協定(サブロク協定)について、耳にされたことがあるかと思いますが、その内容等について、意外とご理解されてないのではないでしょうか。そこで36協定の概要について、以下にあげさせていただきます。
時間外・休日労働をさせる場合には、使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合等(過半数労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)との間で労使協定を締結し、労働基準監督署に届出なければなりません。 このような定めが労働基準法第36条にあることから、この労使協定をサブロク協定と呼んでいます。 36協定は、時間外・休日労働を必要とする具体的理由、対象業務の種類や労働者の数、法定労働時間を超える労働時間(原則として、1か月45時間、1年間360時間等)、有効期間等を記載した1〜2枚ものの様式(様式第9号等)にて届出します。
また、臨時的・特別な事情がある場合(特別条項)は、下記の通り時間外・休日労働時間を延長して定めることができます。
@ 1か月について労働時間を延長して労働させ、および休日において労働させること ができる時間 → 月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内
A 1年について労働時間を延長して労働させることができる時間 → 720時間以内
B 1か月あたりの限度時間(通常45時間)を超えることができる月数を定めなければならない → 1年について6か月以内
尚、36協定を結ばずに時間外・休日労働をさせた場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる場合がありますのでご留意ください。

年次有給休暇の時季指定義務 (2019.03)

 働き方改革関連法により、本年(2019年)4月1日から、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、その年次有給休暇の日数のうち5日については、使用者が時季を指定して与えなければならないこととなりました。この改正は、中小企業を含め全ての企業が対象となります。そこで年次有給休暇の時季指定義務制度のポイントについて、以下にあげさせていただきます。 
<時季指定義務制度のポイント>
 @使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
 A対象者は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に限ります。
 B労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者が取得時季を指定して与える必要があります。
 C年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。
 D労使協定で取得時季を定めて与えた日数(年次有給休暇の計画的付与)については、5日(時季指定すべきに数)から控除できます。
 E使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

インフルエンザ休業時の保険給付(傷病手当金) (2019.02)

 インフルエンザが流行する時期となり、長期で会社を欠勤することを余儀なくされている方もおられるのではないでしょうか。その際に欠勤分を有給休暇等で補填できる場合は良いですが、入社半年未満で有給休暇がない方や休みが長引き有給休暇の残日数がなくなった場合等は、給与が欠勤控除され減額されることがあります。このように業務外の事由による病気やケガのため会社を休み、十分な給与を受けることができない場合は、健康保険から支給される「傷病手当金」を申請することができます。これはインフルエンザも対象となり、以下の要件に該当することが求められます。
<傷病手当金の受給要件> 
 @業務外の病気やけがのために療養している
 A労務不能(労働できない)
 B休業中、賃金を受けていない
 C4日以上休業した
<支給金額>
  1日あたりの金額(支給開始以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3)×(対象)日数
<支給期間>
  支給開始日から最長で1年6か月
<申請先>
  協会けんぽ

労働条件の明示方法(労働基準法施行規則改正) (2019.01)

 労働基準法第15条では、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない旨を定めています。この労働条件の明示について、従来は書面の交付に限られており、その他の方法による明示は認められていませんでしたが、労働基準法施行規則の改正に伴い、2019年4月より下記の@またはAの方法で明示することも認められることとなりました。
<新たに認められた労働条件の明示方法>
 @ ファクシミリの送信
 A 電子メール等の送信 (ただし、当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

 尚、この@およびAの労働条件明示の方法については、労働者の希望がある場合にのみ認められるため、労働者の意向を確認することが必要となりますのでご留意ください。

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