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Eiji Oue
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Lalo
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Rachmaninov |
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アルベニス作曲 |
カタルーニャ狂詩曲 |
ラロ作曲 |
スペイン交響曲ニ短調作品21 |
ラフマニノフ作曲 |
交響的舞曲作品45 |

シーズン幕開けをスペイン音楽で。
バルセロナに活動の場を広げた大植英次がこういうプログラムを組むのはあらかじめ想像できたこと。
ただ、そこにラフマニノフが入る、しかも普段あまり聴くことのない曲で。
この組み合わせがどういう意味を持つのかはわからない。
まず注目するのは、幸太クンのヴァイオリンによるスペイン交響曲。
スペインのリズムがふんだんに使われるこの曲は、シンフォニーではなくてヴァイオリン協奏曲。
幸太クンのヴァイオリンは、こういう協奏曲にぴったりの音を聴かせてくれる。
音の粒がはっきりしており、リズムに乗ってのびのびと演奏する。
予想では、幸太クンが少し飛び出し過ぎて、前のめりの音楽になってしまうんじゃないかと思っていた。でもそれは杞憂に終わった。
決して羽目を外すことなく丁寧でありながら、決めるべきところは大胆に決める。
美しい音・生き生きしたリズムが明るく展開される。
大植英次の伴奏も、リズムを決めるところはしっかり決まり、優雅なところはあくまでもしなやか。
両者のいいところがうまく噛み合って、聴き応えのある音楽だった。
後半のラフマニノフ、あまり聴くことのない曲で,どちらかといえばラフマニノフらしくない音楽のように思える。
粘っこくまとわり着くようなところとか、濃厚なロマンの伊吹といった要素が少ないようだが、大植英次はこれをどう料理しようというのか?
最近の大植英次の音楽は、一言で言えば“濃い”音楽になってきた。
このラフマニノフの演奏にもその<濃さ>が出ていて、以前に演奏したこの作曲家の第2シンフォニーを髣髴させるような音楽になった。
この曲をよく知りたくて事前に2種類のCDを聴いてみた。
一つはラトル盤、そしてもう一つはロシアのスヴェトラーノフのもの。
大植英次の演奏は、ラトルのような緻密な演奏よりも後者のやや無骨な演奏の方に近いという印象。
昨年位までは、大植英次はきれいな響きにこだわっていたような気がしていたが、今年に入って聴こえてくる音楽は、心の中からわきあがってくるパッションを、エネルギーの塊として表に出そうとでもしてるかのよう。
聴いた後爽やかな疲労感を覚える、そんな演奏だった。
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