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未熟な左手が作った第2種MEの計測原理に関するノートです。
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増幅器 増幅器とは、生体信号などの微弱な信号を検知できる程度まで大きくする装置のことです。 利得(増幅度)入力に対する出力に比を増幅度または利得(ゲイン)といいます。 ≪単位と記号≫ 利得(増幅度)は、倍率を表すため単位はなしか" 倍 "、記号は" A "で表されます。 ≪電力利得≫ 入力信号電力をPi、出力信号電力をP0とすると電力利得(増幅度)Apは、下記式で表されます。 ≪電圧・電流利得≫ 入力信号電圧をVi、入力信号電流をIi、出力信号電圧をV0、出力信号電流をI0とすると電圧利得(増幅度)Av、電流利得(増幅度)Aiは、下記式で表されます。 ≪生体計測機器と増幅器の増幅度≫
入力インピーダンス信号源のインピーダンス(電極・接触インピーダンス)が非常に大きいため、入力インピーダンスの大きな増幅器が必要となります。 ≪入力インピーダンスを大きくする理由≫ 下記図は、生体に電極を装着した時の等価回路です。 ![]() 電極・接触インピーダンス(Zs)と入力インピーダンス(Zi)は直列に接続されているので、生体起電力(E)は両インピーダンスの大きさに比例して分圧されます。 上記の式の分母が非常に大きくなり、増幅器入力電圧(V)は0に近づくため増幅器に入る電圧(信号)は小さくなります。又、電圧(信号)が小さくなるだけでなく、周波数にも影響され波形自体にも歪みが生じてきます。 (2) Zi≫Zsの場合(入力インピーダンスが大きい場合) 上記の式の分母の Zs+Zi≒Zi と考えられるため、Ziの分母分子が消え増幅器入力電圧(V)≒生体起電力(E)となり、生体起電力がそのまま増幅器の入力電圧(信号)となります。 このように、生体内部信号を体表電極を用いて正確に取り出すには、入力インピーダンスの大きな増幅器を用いなければなりません。 ≪生体計測機器と増幅器の入力インピーダンス≫
S/N比増幅器には、生体信号(S;Signal)にともなって、雑音(N;Noize)も入力されます。増幅器には、生体信号と雑音を見分ける能力がないためともに増幅されてしまいます。もし、雑音が大きければ信号は雑音にうもれてしまうことになります。そのため、信号中に含まれる雑音がどの程度あるのかを表す指標が必要となります。 ≪雑音の種類≫ @ 内部雑音 増幅器内部から発生する雑音で抵抗体、真空管およびトランジスタから生じる雑音です。 A 外部雑音 外部から混入される雑音で主なものに商用交流や電気機器から静電誘導及び電磁誘導によって発生するものや漏れ電流によって発生するもなどのがあります。 ≪S/N比≫ 生体信号の大きさ(S;Signal)と雑音の大きさ(N;Noize)の比を信号対雑音比(S/N比)と呼びます。 ≪入力換算雑音≫ 増幅器の入力端子を短絡し外部雑音が入らない状態とし出力の雑音レベルを増幅度で割った値を入力換算雑音と呼びます。 周波数特性増幅器には、どんな場合でもその中にCR回路が組み込まれています。そのため、入力信号の周波数が変化すれば、異なった増幅度を示すこととなります(下記図参照)。このような増幅器の周波数に関する特性を周波数特性と呼びます。 ≪周波数特性の必要性≫ 増幅器の目的は、微弱な生体信号を検知できる程度まで増幅することですが、信号が一様に増幅されなければなりません。 ≪帯域≫ 最大利得から3dB( ≪遮断周波数≫ 最大利得より3dB( ![]() ≪生体信号の周波数範囲≫
※文献によって生体信号の周波数範囲は異なるようです。個人的な見解は、上に書いたものが適切なような? 差動増幅器 差動増幅器は、心電図や脳波計などの生体から発生する微小な信号電圧の増幅に使用される一般的な増幅器で、オペアンプを構成する増幅器として多用されています。 ≪同相信号と逆相信号≫ 差動増幅器には、2つ信号(V1とV2)の入力がされます。下図のような2つの入力信号の違いによって、同相信号、逆相信号と呼ばれます。 ![]() 差動増幅器では、−端子に入力されると反転して出力されます。 ≪CMRR(同相弁別比)≫ 実際、差動増幅を用いても同相信号(雑音)は出力されます。それは、差動増幅器は2つの増幅器の増幅度と周波数特性を全く等しくすることはできないからです。しかも、その差は差動増幅器によって異なります。 ≪生体計測機器と増幅器のCMRR≫
≪差動増幅器の特徴≫ @ 増幅器に入力される外部雑音(商用交流など)を抑え、必要な信号だけを効率良く増幅できます。 負帰還増幅器実際の増幅器では、増幅することによって波形の歪みや雑音の発生、さらには温度の変化によって増幅波形が変化するといったことが生じます。そこでこうしたことを改善するために負帰還増幅器が用いられます。 ≪帰還≫ 増幅した出力信号の一部を入力側に戻すことを帰還といいます。帰還には、出力信号が入力側の信号と同じ位相に帰還する正帰還と逆位相に帰還する負帰還があります。 ≪負帰還増幅器の特性≫ @ 利得(増幅度)が下がります。 負帰還増幅は、一部帰還させた信号が入力信号の逆位相に帰還されるため入力信号を少しだけ打ち消すこととなり、利得(増幅度)は減少します。 濾波器(フィルター)信号そのものに他の周波数成分(雑音)が含まれている場合や得られた波形の分析などのためにある限られた周波数帯域だけを選択的に抽出する必要があります。そのために特定の周波数成分だけを取り出したり、又は取り除く役割をする回路を濾波器又は、フィルターと呼びます。 濾波器の種類≪高域濾波フィルター(低域遮断フィルター)≫ 呼吸などによる上下運動や体動によって低い周波数雑音が発生します。このような低い周波数雑音をカットし、高い周波数信号をそのまま通す濾波器です。 ![]() ≪低域濾波フィルター(高域遮断フィルター)≫ 緊張による筋電図などによって高い周波数雑音が発生します。このような高い周波数雑音をカットし、低い周波数信号をそのまま通す濾波器です。 ![]() ≪帯域濾波フィルター≫ 高域濾波フィルターと低域濾波フィルターを組み合わせたものである範囲の周波数成分のみを通過させる濾波器です。 ![]() ≪帯域除去フィルター(ハムフィルター)≫ ある周波数成分のみをカットする濾波器です。50Hzまたは60Hzの商用交流障害を取り除くハムフィルターが一般的に使用されます。 ![]() 時定数 τ 濾波器(フィルター)の遮断周波数を表す指標として時定数が用いられます。 ≪計測機器の時定数と遮断周波数≫
※ 通常、計測機器の時定数は低域遮断の時定数を指します。 |
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