電荷
電荷とは
電気をもっている物質(原子、電子など)又は、その電気の量を電荷といいます。 分かり易くいうと、電気の荷物あるいは、その荷物の重さを電荷といいます。
≪単位と記号≫
電荷の記号は" Q "、単位は、" C(クーロン) "で表されます。
≪種類≫
電気の荷物には正と負の2種類があり、正の電気の荷物を正電荷と負の電気の荷物を負電荷といいます。 負の電気の荷物の運び屋の代表例が、電子です(イメージ右図)。
≪性質≫
同符号(正電荷と正電荷、負電荷と負電荷)の電荷同士:反発します

異符号(正電荷と負電荷)の電荷同士:引き合います

電流
電流とは
電荷が単位時間(通常一秒)あたりに移動する量を電流といいます。 分かり易くいうと、電荷という荷物(電子)が1秒間にどれだけ運ばれたかを表したのが電流といえます。

イメージで言うと、上記で示した負電荷の運び屋(電子)が、多くの人数で動けば大きな電流が流れる感じです。
≪単位と記号≫
電流の記号は" T "、単位は" A(アンペア) "で表されます。
≪電子と電流の方向≫
正の電荷が移動する方向を電流の正の方向(同じ方向)としているので、負の電荷をもつ電子が移動する方向とは逆向きとなります。
実際は、電子のもつ電荷が解る前に、電流の向きを決めてしまいそれが世界中に広まりすぎていたため、変えることができなかったようです。
少しややこしいですが、電子の移動する方向と電流の向きは逆だと覚えてください。
≪直列回路内での電流≫
@直列回路内では、電流は一定(増えたり、減ったりしません)です。
I= I1= I2
イメージで言うと、負電荷の運び屋(電子)達は、一本道内ではその道以外通る所がないためその人数は変化しません。
≪並列回路内での電流≫
@並列回路内では、抵抗の大きさに反比例して分流します。
→抵抗の小さい方に電荷(電流)が多く流れ、抵抗が大きい方には流れる電荷(電流)は少なくなります。
A並列回路内で分流した電流の合計と分流前の電流値は等しくなります。
 
イメージで言うと、負電荷の運び屋(電子)達は、分かれ道があるとそれぞれの道に分かれて(分流)移動します。
その時、負電荷の運び屋達は、大きな山(抵抗)を登るよりも低い山(抵抗)の方へより多く移動します。
電圧
電圧とは
電荷(電流)を押し出す圧力(力)を電圧といいます。
注射器で例えるなら、注射器を押す力が電圧、注射器から飛び出してくる液体が電流です。
≪単位と記号≫
電圧の記号は" E " " V "で起電力には"E"、その他は" V "が多く使われます。
単位は" V(ボルト) "で表されます。
電源の回路図記号は、
直流電源は 
交流電源は で表記されます。
≪電位≫
電荷(電流)は、高電位(電気的な位置の高い所)から低電位(電気的な位置の低い所)に向かって流れます。
この電位の差を”電位差”と呼び、単に電圧と呼びます。
分かり易くいうと電荷という荷物を、高い位置から低い位置にに運んだ時、その運んだ荷物の高低差が電圧です。
電圧(高低差)が大きいほどより多くの電荷(電流)を流すことができます。

≪電圧の大きさ≫
電圧(電位差)の大きさを考える場合、基準(0[V])となる位置を決め、そこを基準とした電位の差(電圧)が電圧の大きさとなります。
基準(0[V])となる位置から電位の差が大きければ、その分大きな電圧となります。
但し、電圧は、基準となる位置よりも高電位であればプラスの電位で示され、逆に基準点よりも低電位であればマイナスの電位で表されます。
例えば、上記の図であれば、
■B点を基準とした場合
A点は基準となるB点よりも電位が高いためx[V]となります。
■C点を基準とした場合
A点は基準となるC点よりも電位が高く又B点の2倍の電位の差があるため2x[V]となります。
■A点を基準とした場合
B点は基準となるA点よりも電位が低いため−x[V]となります。
このように基準とする点が異なれば、電圧の大きさ、符号は異なります。
≪起電力≫
電荷(電流)を流すためには、高電位に持ち上げる必要があります。高電位に持ち上げる力を起電力といい、起電力を持つ電池や発電機などを電源といいます。
≪電圧降下≫
電荷(電流)が抵抗やコイル、コンデンサなどの素子を流れると 電圧降下(電位が下がる)が起こります。
電荷(電流)が流れていない素子では、電圧降下は起こりません。
(参考)
電流が抵抗などの素子を流れる前は、流れた後に比べて電圧が高いので+
電流が抵抗などの素子を流れる後は、流れる前に比べて電圧が低いので−と表記されたりします。
≪電圧の向き≫
電圧の方向は、電位の低い方から高い方で示されます。
電池などの電源であれば、マイナスからプラスの方向に示されます。
電流が抵抗を通った場合、抵抗を通ることで電位が下がるため、抵抗を通った後から通る前の方向に示されます。
≪直列回路内での電圧≫
@直列回路内では、抵抗の大きさに比例して分配されます。
A電圧降下合計と電源電圧合計は、等しくなります

≪並列回路内での電圧≫
@並列回路内では、電圧は一定。
V1= V2
閉回路での電圧と電流の関係
電流

電圧

抵抗
抵抗とは
電荷(電流)を流さないよう"抵抗"する素子で電流量を決めます。
注射器で例えるなら、針部分の管径が細くなった部分です。
≪単位と記号≫
抵抗の記号は" R "、単位は" Ω(オーム) "で表されます。
回路図記号は、 で表記されます。
≪抵抗と電流、電圧の関係≫
抵抗が大きいほど、電流を流すために大きな電圧が必要となります。
→抵抗は、電圧に比例します。
電圧が一定であれば、抵抗が大きいほど流れる電荷(電流)は少なくなります。
→抵抗は、電流に反比例します。
≪抵抗の性質≫
抵抗は、周波数に関係なく一定の抵抗(インピーダンス)をもちます。
≪合成抵抗≫
@直列接続 : それぞれの抵抗値の足し算


A並列接続 : それぞれの抵抗値の逆数の足し算


オームの法則
電圧は、電流と抵抗に比例します。
→電流又は抵抗に大きくなると、電圧は高くなります。
電流は、電圧に比例し、抵抗に反比例します。
→電圧が大きい又は抵抗が小さくなると、電流は増加します。
抵抗は、電圧に比例し、電流に反比例します。
→電圧が大きい又は電流が少ないほど、抵抗が増加します。

キルヒホッフの法則

キルヒホッフの第一法則(電流則)
ある点に流れ込んだ電流の合計と流れ出た電流の合計は等しい
点A : I2=I3+I4
キルヒホッフの第二法則(電圧則)
閉回路(ループ)内の電圧降下の合計と電源電圧(起電力)の合計は等しい
電流の方向を時計回りと仮定します。
ループ@ : V2+V3=V1 ⇔ (I2・R2)+(I3・R3)=V1
ループA : V3+V4=V5 ⇔ (I3・R3)+(I4・R4)=V5
外周ループ : V1−V5=V2+V4 ⇔ V1−V5=(I2・R2)+(I4・R4)
V5は、仮定した電流の流れる方向とは逆でるため、マイナスの起電力となります。
重ねの理
テブナン定理(鳳の定理)
ホイートストンブリッジ

R1・R4=R2・R3が成り立てば、
電位が同じとなり、電流計には、電流が流れません。
回路図
回路図には、いろいろと表し方があります。簡単な回路を複雑に表すこともできます。
以下に示すのは、回路図をいろいろと変換させた一例です。これで何かを掴んで頂けたらと思います。
回路@
下記の6つの回路は、同一の回路です。
複数の分岐が同一の所から分岐し、そして再び同じ複数の分岐が同一のところで結合している場合、その複数の分岐〜結合間を入れ変えても同じ回路となります。

回路A
下記の6つの回路も同一の回路です。上の3つは回路@と同じ考えの入れ替えです。
下の3つは、真上の回路の折れ曲がる点を変えてわかりやすい形状に変えたものです。
導線は伸ばしたり、縮めたり、折れ曲げたりすることができます。
同じ回路でも左上から右下へ回路を変換すると、回路が簡単に見えませんか?

回路B
非常にややこしくなっていますが、下記の7つの回路も同一の回路です(多分)。
回路@、Aの考えを複雑にしたものであって、導線を丁寧にたどっていくとすべての回路で同じ導線同士が結合又は分岐してるのが分かると思います。
ちなみに、一番下の回路を見てもらえば分かると思いますが、R1・R4=R2・R3が成り立てば、ホイートストンブリッジとなり、電流計には、電流が流れません。
ホイートストンブリッジの変形は、よく出題されるのでこういったのがあると知っておくと便利です。

電力
電力とは
電気が単位時間当たり(通常1秒間)にする仕事を電力といいます。
≪単位と記号≫
電力の記号は" P "、単位は、" W(ワット) "で表されます。
≪電力の公式≫
負荷抵抗に電圧V[V]を加えて電流I[A]が流れている時、負荷の電力P[W]は次式で表されます。
P=V[V]×I[A]
上記の式にオームの法則(V[V]=I[A]×R[Ω])を代入すると以下のように変換できます。

これをまとめますと
となります。
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