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成長させながらの冬越し

overwintering fuchsias

推奨温度

まずBFS のALL ABOUT FUCHSIAS にある、鉢植えを冬越しする場合の推奨温度を紹介しましょう 1)。拙文は原文を要約したものです。また原文は加温温室を想定しています。
  • トリフィラ・タイプ、幼苗ないしバイエニアルで育てている株は5〜7℃を維持する。
  • 上記以外は、1〜3℃を維持することで休眠せず成長もほとんどせずという状態で冬越しできる。
「バイエニアル (biennial method) で育てる」 というのは、ある年に挿し木した苗を翌年に観賞株となるよう育てることです。
つまり、日本の一般地でよく使われるテクニックです。

これは、日本でフクシアを栽培し、「挿し木 → 翌年開花」 というサイクルを確立されているかたは、バイエニアルで育てるときの冬越し方法をすでにマスターされていることを意味します。
その方法に自信をお持ちください。5〜7℃を維持しているわけではなくても、現在うまくいっている気温がベストと考えれば良いと思います。

うまくいかない場合や、初めてのかたは上記の気温を参考にしてみてください。

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拙バルコニーの環境と株の状態

拙バルコニーでは、常時5〜7℃以上は無理ですが、マンションの上階であることから1〜3℃の最低気温はだいたい維持できます。
最低気温はときに0℃まで下がります。しかしそのような日でも最高気温は10℃を超えることがあります (気温はすべて実測値です)。降霜はなく凍害を受ける可能性も低い環境です。

この気候下で、春の挿し木苗はもちろんのこと、トリフィラ・タイプ、秋に挿し木をして作った幼苗も簡単な保護で冬越しします。
またそのような環境で、多くの株は休眠せずジワジワと成長します。
品種によっては開花しながら冬越しします。
ここが面白いところで、適温を維持できない時間帯が少々あっても、それを補える要素があれば、必ずしも休眠に入ったり枯れたりするわけではありません (あたりまえのこと書いてますね)。
上の写真は2009年1月4日です。このときは暖かかったのか、保護のための不織布をかけていませんね。

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落葉する品種もある

「ジワジワと成長する」 と書きましたが、落葉して休眠に入る傾向の強い品種もあります。
拙宅のような酷暑環境 (深夜の気温が30℃) でも、成株が容易に夏越しするエンジェルス・イヤリングの一部の品種は、冬には落葉・休眠しがちです。

これは、生育可能温度が高温側に寄っているためと思われます。

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凍結は避ける

暖地では、初夏が鑑賞期間となる品種の場合 (一般にマゲラニカ・タイプが該当)、3月頃から梅雨に入るまでの短い期間に成長させ、樹形を作り、満開まで持ち込まなければいけません。

管理人の経験では、用土を凍結させると春が来ても成長モードに入るのが遅れがちです。
凍結させず、最低でもスタンバイ状態、できればジワジワと成長させてピンチもし、春の到来と同時に成長のギアをトップに入れたいですね。

短い適温期間をロスなく活用して、立派に開花させるには、冬の間もジワジワと成長させる 「育てながらの冬越し」 が望ましいと思います。

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保護の方法 - 即席の温室

即席の温室は、ポッティングベンチの周囲にエアキャップ (気泡緩衝材) を張って作ります。
サイトトップから開ける 「フクシア12か月」 - 「11月」「12月」「1月」 も参照してください。
寸法的に収まる株はここに入れて保護します。
品種によっては保護をせずバルコニーに出しっぱなしになります。何年もつき合っていれば、保護の必要がある品種、そうでない品種が感覚的にわかります。

耐寒性はH1、H2、H3の順に強くなります。手元の本によると、
H1の品種は耐霜性がなく7℃以上が推奨され、
H2は越冬には保護が必要で、
H3は保護なしでも (庭に) 植えっぱなしで大丈夫、
というかなりアバウトな説明です 2) (イギリス基準)。

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幼苗

晩秋に挿し木をした幼苗には、100円ショップなどで売っているプラスチックケースを使うこともあります。
明るい日陰において終日蓋を閉じたままにします。
日が当たると中の温度が高くなりすぎるので、その場合はケースを開くか場所を変えないといけません。
 

秋に挿し木した苗は、翌春ではなく翌々春に観賞株になるよう育てます。翌春はまだ枝数が不十分です。
秋に作った挿し木苗を翌春に買った場合も、同じ事が言えますね。少なくとも暖地では、1夏越えて初めて鑑賞価値のある株になるはずです。

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大株

右のトリフィラ・タイプは、30cm径の重い縦長テラコッタ鉢に植えているので動かせません。

このような株はその場で保護します。
まず写真のように支柱を数本立てます。
光を通す園芸用の不織布で周囲をグルッと覆ってしまいます。
頂部は、つまむように寄せてホッチキスで適当に止めます。
そして、不織布と支柱を洗濯バサミで挟んで、不織布がずり落ちるのを防ぎます。水やりをするときは不織布の裾を少しめくります。
「推奨気温」の内容に従えば、5〜7℃を維持しなくてはいけませんが、0℃付近まで下がる環境でも、その時間が短ければこのような簡単な保護で開花しながら越冬します。
これを可能にするのは、「日だまり」だと思います。
南向きのバルコニーでは、冬季に長時間日だまりができます。
北風も比較的遮られます。それで、温度が保たれるのです。

短い時間しか日が当たらず、寒風の通り道になる場所では、生育が止まり、蕾も落ちてしまいます。
同じ市内、同じ町内、同じ家ですら置き場所次第で栽培の可否が変わります。

(2013年2月17日)

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参考(数字をクリックするとページ内のリンク先へジャンプします):
  • 1) ALL ABOUT FUCHSIAS、The British Fuchsia Society (2000)、pp.67-68
  • 2) Bartlett, G.、FuchsiasA Colour Guide〜、The Crowood Press (1996)、p.19

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