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>> トリフィラ・タイプ

トリフィラ・タイプの特徴

growth habit of triphylla hybrids

定説と実態

トリフィラ・タイプについて一般的に言われている特徴と、それらが実際の栽培にどのように影響するかをまとめてみました。

耐寒性に劣る

トリフィラ・タイプは、マゲラニカ・タイプよりも耐寒性が低いと言われています。
「トリフィラ・タイプの定義」 でも紹介した P. Heavens は、「安全に休眠できる温度は2℃。緑を保ったままだと5℃以上必要」 としています 1)
また、Leo B. Boullemier の FUCHSIAS には 「冬季に4℃を下回る気温にさらさないように」 とあります 2)

しかし実際に育ててみると、暖地のマンション栽培 (12階、南向き) では上記の注意事項を厳密に守る必要がないとわかります。
冬でも日が差し込むと暖かなせいか、たとえ夜間に0℃近くまで下がってもやすやすと休眠には入らず枯死にもいたりません。

ただし春の成長が活発になるのはマゲラニカ・タイプよりも1か月ばかり遅れます。
こんなときに、やはりトリフィラはマゲラニカ・タイプよりも少し暖かめが好きなのだと感じます。

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耐暑性に勝る

トリフィラ・タイプは、マゲラニカ・タイプよりも耐暑性が高いと言われています。私が育てた品種もおおむねそうですが、暖地の夏に楽々対応できるほどの耐暑性ではありません。

「マゲラニカ・タイプよりも枯れるのが遅いだけで保護しなければ夏に枯れることには変わらない」 という品種もあります。

トリフィラ・タイプの耐暑性も品種により微妙な差があり、酷暑地ではトリフィラ・タイプ=暑さに強いとは思わずに夏越しに望むことが必要です。

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到花日数 (最終ピンチから開花まで) が長い

トリフィラ・タイプは全般的に、最終ピンチをしてから開花するまでの日数 (到花日数) がマゲラニカ・タイプよりも長いと言われています。たとえば次のとおり。
データはすべて E. Goulding の FUCHSIAS The Complete Guide 3) によります。
  • Brighton Bell (10週間)
  • Edwin J. Goulding (12週間)
  • Koralle (11週)
  • Mary (13週間)
  • Thalia (12週間)
マゲラニカ・タイプの場合、八重の到花日数が9〜11週間ですから、トリフィラ・タイプはおおむね普通のフクシアの八重並もしくはそれよりもさらに遅咲きになります。

この遅咲き性は、暖地でフクシアを栽培する場合に考慮しなくてはいけない要素です。
剪定時期や栽培環境によっては、開花したと思う間もなく酷暑にさらされることになります。
その結果、早々に切り戻して株を休ませねばならず、開花期間が非常に短くなることがあるからです。

ただし、夏越しに備えて7月に剪定した場合、1か月ぐらいで早々に花芽が上がって来るところを見ると、到花日数は気温にもかなり左右されるのかもしれません。

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中日性

トリフィラ・タイプの中日性は、暖地での栽培に有利に働きます。

栽培経験のあるトリフィラタイプのうち、Gartenmeister Bonstedt、Bornemann's Beste などは拙バルコニーでは秋から翌年の夏越し前まで途切れることなく開花します。
気温と光量が適正なら周年開花させられるものと思います。

つまり暖地では、初夏だけを考えれば開花期間は短いものの、年末年始を挟んで8か月程度連続で開花させられる可能性を秘めていることになります。

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下葉が落ちやすい

実際、品種によっては、上3分の1を残して下半身は丸裸になります (写真は G. Bonstedt)。

下葉の落花はイギリスでも悩みの種のようで、P. Heavens は、深植えにして地下部から新たなシュート (新梢) を出させることで、淋しくなった下半身をカバーする方法を提案しています 4)
しかしながら拙バルコニーでは、下葉が落ちた後に酷暑期に突入するので、生育が停滞してシュートが出ません。
P. Heavens の提案は気候がより穏やかな場所なら試す価値があるのではないでしょうか。

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葉が美しい

トリフィラ・タイプには、非常に美しい葉を持つ品種があります。この葉のおかげで、初夏の開花期間は短くても、株自体の観賞期間はそれ以上に長くなります。
写真ではわかりにくいのですが、品種によっては葉に独特の光沢があります。
ベルベットまたは金属に似た光沢を持つ葉は、シルバー系やオーレア系のカラーリーフと取り合わの妙を楽しめます。開花時には、濃色の背景として自身の花を引き立てます。

この葉の美しさに気付かれて、トリフィラ・タイプをガーデニングに取り入れる試みをしているかたがおられます。管理人はこのことをたいへんに嬉しく思っています。

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参考(数字をクリックするとページ内のリンク先へジャンプします):
  • 1) ALL ABOUT FUCHSIAS、The British Fuchsia Society (2000)、p.40
  • 2) BOULLEMIER, L. B.、FUCHSIAS、AURA BOOKS (1996)、p.23
  • 3) GOULDING, E.、FUCHSIAS The Complete Guide、TIMBER PRESS Inc. (2002)、p.166
  • 4) HEAVENS, P、Growing and Showing Fuchsia Triphylla Hybrids、p.不明

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