病害虫
pests and diseases
フクシアと病害虫
フクシアには、ハダニ、オンシツコナジラミ、アブラムシなどの害虫が付きます。
また、サビ病などの被害を受けることがあります。
ハダニ
葉表が絣状に白くなったり、葉間にクモの巣のような糸が張ることで気付きます (ハダニはクモ網ダニ目の虫です)。
高温乾燥を好み、バルコニーやベランダでは春〜秋までいつでも発生します。
根張りが悪い株は被害を受けやすいように思います。
「ハダニは水が苦手」と言われますが、ハンドスプレーで葉裏に水を噴霧するぐらいでは防除できません。高圧水をホースでぶっかけるぐらいでないと効果薄です。
しかしこれができるのは庭などそこそこの園芸スペースがあるお宅ですし、高圧水を噴射すると株自体がぶっ飛びかねません。
個体数がまだ少ないうちに、薬剤を散布するのが合理的です。
耐性が付きやすいので、複数の殺ダニ剤を輪番で使用するのがお約束です。
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オンシツコナジラミ
フクシアには、オンシツコナジラミがつきものです。株に近づいたときに白い虫がホワーッと飛ぶようなら、それはオンシツコナジラミです。
私は発生時期の前にベストガードを株元にまいておきます。
そうしますとその年はもう被害がありません。
けれども環境によっては、こまめな薬散や黄色の粘着トラップ併用による駆除が必要になるかもしれません。
ベストガードの薬効成分は、ネオニコチノイド系の 「ニテンピラム」 です。
ネオニコチノイド系の殺虫剤にはベストガードの他にアドマイヤー、ブルースカイなどがあります。
これらの成分は「イミダクロプリド」ですが、ネオニコチノイド系という点で共通しています。
耐性が付くのを防ぐために製品名の異なる殺虫剤を買ったものの、結局同系統だったとなる場合がありますので注意してください。
ベストガードも発売されてからだいぶ経ちますし、いずれは耐性が付くことを念頭に置いて新しい薬剤にアンテナを張っておきたいものです。
オルトラン粒剤の適応にはオンシツコナジラミが含まれていますが、「効かない」 と思います。
特定の植物を数多く育てるほど、その植物に特に付きやすい害虫に大繁殖のチャンスを与えるように思います。フクシアとオンシツコナジラミの関係がそれではないでしょうか。
私としては、オンシツコナジラミが発生してから駆除するよりも発生しないようにする方が楽なように思います。
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アブラムシ
多犯性の害虫で、特に新芽から吸汁します。
写真のように緑のだけでなく黒い種類もいますね。
古典的なところではオルトランですが、すでに耐性が高まっているとの話も聞きます。

写真提供:Mr D. Luther
薬剤、粘着君、テデトールなど駆除方法は色々です。
拙宅では今のところ (2009年春の時点) ベストガードが効くのでほとんど発生しません。
たまに発生したときはテデトールですませます。
ヨトウムシ
特定の虫ではなく、夜間に葉を暴食するイモムシの総称です。
写真のは他の植物を食べていたコです。ぷにょ〜っと死んだふりをしています。朝に食害を発見し、用土を浅く掘ると発見。
うちでは今のところ被害が軽微なので、食害を発見したときに用土から掘り出しています。
けれど1晩で株を丸坊主にされると、株がそのまま枯死することもあるので、決まって被害に遭うことがわかっているなら、薬剤をあらかじめ撒いておくことをお勧めします。
薬剤を使いたくない場合は、夜中に懐中電灯で虫を探して捕殺します。
夜中に虫を発見した場合、捕獲漏れがないように昼間にも用土を掘って探すことをお勧めします。
若齢幼虫は葉裏に群がっていますので、そのような葉を見つけたら葉ごとちぎって捕殺してください。
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コスズメ
コスズメというのはスズメガの一種です。
幼虫の食餌植物の1つがアカバナ科です。
右は若齢幼虫で、体長は2cm程度。スズメガの仲間に特徴的な尾角と呼ばれる突起物があります。
ヨトウムシの類とは異なり、明るいうちからウロウロしています。
自身の経験では、浸透移行性の薬剤(オルトランやベストガードなど)を定期的に撒いていた年は、見かけないように思います。
薬剤が浸透した葉を食べた結果、極若齢のうちに駆除されているのかもしれません。
葉や鉢の周囲にススのような黒い粉が落ちているときは要注意です。
幼虫の糞です。上部の葉に付いていないか探して捕殺します。
写真は緑色型ですが、褐色型の幼虫もいるようです。
詳しくは「コスズメ」でネット検索してみてください。
コガネムシ
コガネムシの成虫は葉や花を食害します。
しかしより深刻なのは幼虫による根の食害です。
気付くのが遅れると株が枯死することがあります。
コガネムシの幼虫にはダイアジノンという特効薬があります。 若齢の方が効きやすいので、被害が始まる5月よりも前に撒いておくと安心です。
薬剤を使いたくなければ、コガネムシが好まない用土の使用をお試しください。
あるバラナーサリーは、用土をカニガラでマルチングすることを勧めています。
チクチクした用土は、幼虫の揺りかごに不向きだと親虫が判断して卵を産みたがらないとのこと。
腐葉土は幼虫の好物ですので、たっぷり使うと土中で食べ放題パーティー状態になります。
管理人はフクシア以外にも腐葉土をまったく使っていません。
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サビ病
葉裏に淡いオレンジ色の胞子が付いていればサビ病 (Fuchsia rust) です。
園芸店のトレイに1つでもそのような苗があれば、胞子が認められなくてもトレイごと感染している可能性があります。

写真提供:Mr D. Luther
Edwin Goulding の
FUCHSIAS The Complete Guide によると、「株全体がかかるときと一部の葉がかかるときがあり、後者の場合は葉を取り去ってこまめにチェックすることで被害の拡大を防げる」
とのことです
1)。
フクシアのサビ病を適応とする薬剤は見かけたことがありません。
適切な薬剤に関する情報があればご教示ください。
アメリカの Northwest Fuchsia Society には、3%の過酸化水素溶液を噴霧すると効果があるとの記述があります
2)。このサイトには、協会のメンバーが発見した安価で効果的な病害虫対策をまとめたページがあり、過酸化水素を使う方法もその1つです。
濃度が3%を超えるとフクシアに悪影響があるとのことです。私自身はこの方法を使う機会にまだめぐり逢っていません。
(2009年8月5日)(2011年8月9日「コスズメ」を追記)
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参考(数字をクリックするとページ内のリンク先へジャンプします):
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